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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2016年7月


 裁判所職員採用試験に合格し、家裁調査官に採用された望月大地。
だが、採用されてから任官するまでの二年間――養成課程研修のあいだ、修習生は家庭調査官補・通称“カンポちゃん”と呼ばれる。
試験に合格した二人の同期とともに、九州の県庁所在地にある福森家裁に配属された大地は、当初は関係書類の記載や整理を主に行っていたが、今回、はじめて実際の少年事件を扱うことになっていた。
窃盗を犯した少女。ストーカー事案で逮捕された高校生。一見幸せそうに見えた夫婦。親権を争う父と母のどちらに着いていっていいのかわからない少年。
心を開かない相談者たちを相手に、彼は真実に辿り着き、手を差し伸べることができるのか――
彼らの未来のため、悩み、成長する「カンポちゃん」の物語。

                  (文藝春秋HPより)




家庭調査官・・・聞いたことはあるけれど、具体的な仕事の内容は今回、この

物語を読んで知りました。
法律を学んだ者、心理学を学んだ者、社会学を学んだ者たちが仕事をしているんだとか。
物語の主人公・望月大地は法学部出身。
九州の福森家庭裁判所の家裁調査官補佐・・・カンポちゃんとして調査官の補佐を
しながらの見習い中。

物語は5話に分かれていて、それぞれの話の中で出会う人たちに
いつもその人の立場に立って物を考える姿勢が好印象。
元々の性格も穏やかな人じゃないと務まらない仕事じゃないかなぁ~?


<第1話 背負う者 17歳 友里>
窃盗容疑の鈴川友里。
lineで知り合った男性をラブホテルに誘い、そこで10万近い現金を盗んだという。
父親は3年前に他界し、母親と妹で暮らしている。
高校には行かず、週6日、コンビニで働いている。

人様に迷惑をかけちゃいけない・・・友里の母親の口癖。
母親もずっとそう言われて育ってきた。


<第2話 抱かれる者 16歳 潤>
交際中の高校1年の女の子から交際を止めたいと言われ
その後ストーカー行為を繰り返し、カッターで脅した。
家裁調査官の面接時には、礼儀正しく、自らの罪を反省する言葉も言う
模範的なかんじ。

潤の母親も、すぐに被害者の元に謝罪に行き、息子のどこがダメだったのか
教えてほしいと迫る。


<第3話 縋る者 23歳 理沙>
正月休みに地元に行き学生時代の友人たちと久しぶりに会う大地。
そのなかの唯一の既婚者・理沙が実は離婚していると大地にだけ打ち明ける。

現在、息子の親権争い中という。


<第4話 責める者   35歳 可南子>
夫からの精神的虐待により苦痛を伴い精神科通院中の可南子。
離婚申し立てをするが、夫は反省し自分の行動を改めるので離婚には
応じられないという。



<第5話 迷う者  10歳 悠真>
離婚したら、親権をどちらにするかを決める場面。
悠真の実の父親は現在交際中の男性だという妻。

悠真の本音を聞きだす大地。


まだまだ未熟な家庭調査官補の大地が、これから成長していくだろう姿も
読みたいな~。
罪を犯した少年・少女の背景にある問題にも気づくことが出来たり
親の離婚で心を痛める少年の心の叫びを聞くことが出来た大地は
きっと良い調査官になっていくでしょう。



                       ★★★★★
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発行年月:2016年6月


 探偵・杉村三郎シリーズ、待望の第4弾!
 その部屋には、絶望が住んでいた――。
 宮部ファン待望の14か月ぶりの現代ミステリー。特に人気の「杉村三郎シリーズ」の第4弾です。
 本作品は、前作『ペテロの葬列』で、妻の不倫が原因で離婚をし、義父が経営する今多コンツェルンの仕事をも失った杉村三郎の「その後」を描きます。
 失意の杉村は私立探偵としていく決意をし、探偵事務所を開業。ある日、亡き父・武藤寛二が生前に残した「昔、人を殺した」という告白の真偽を調査してほしいという依頼が舞い込む。依頼人の相沢幸司によれば、父は母の不倫による離婚後、息子と再会するまで30年の空白があった。果たして、武藤は人殺しだったのか。35年前の殺人事件の関係者を調べていくと、昨年に起きた女性殺人事件を解決するカギが……!?(表題作「希望荘」)
 表題作の他に、「聖域」「砂男」「二重身(ドッペルゲンガー)」の4編を収録

                    (小学館HPより)




前作、「ペテロの葬列」読みそびれ・・・・^^;

でも楽しめました。

杉村三郎が探偵事務所で細々と依頼主に寄り添い、調査する姿は好感が持てます。
4つの話に分かれていて、どれも背景にある事柄には切なさがある。


<聖域>
アパートで慎ましい生活を送っていた老女が突然居なくなり、
その少し前に「死にたい」とも漏らしていたと、彼女のその後が気になるという
彼女の真下に住んでいた女性からの調査依頼。


<希望荘>
亡くなった父親が生前「人を殺したことがある」と入居していた介護職員などに
告白した事実を知りその真偽を調べて欲しいと息子からの依頼。


<砂男>
杉村が編集者の仕事をやめ、離婚し、実家に帰った時期に、ひょんなことから
探偵の真似事をするはめになり、その後の仕事になるキッカケとなった事件。
19年前の火災によるその家の主婦とその娘が焼死。
14歳の息子が当時、一時容疑者扱いされた事件の真相。


<二重身 ドッペルゲンガー>
3.11の後、行方が分からなくなっている母親の交際相手を探して欲しいと
いう高校2年生の明日香。



やはり一番印象に残ったのは表題作の<希望荘>。
自分の人生最後に人の為についた嘘。
それを聞いて考え方を変えて欲しいという願い。
そんな他人にも思いやりの気持ちを見せる祖父のことを孫の幹也くんは
理解している。
調査依頼した父親との関係も新に築いていけそう。
最後の二重身で調査依頼に来た少女に探偵事務所を教えたのは幹也くんという
繋がりもなんだか嬉しい。

このシリーズは、まだまだ続きそうですね。
「ペテロの葬列」も読まなきゃ^^;


                      ★★★★



発行年月:2016年6月


 
ふいに思い知る、すぐそこにあることに。
時に静かに、時に声高に――
「死」を巡って炙り出される人間の“ほんとう”。

直木賞作家が描く「死」を巡る10の物語。

                (祥伝社HPより)



どの話にも「死」が出てきて、それによって引き起こされる人の感情を
描いている。
平穏から不穏に移行するような、なんだか心がザワザワするような物語たち。

表題作の<赤へ>は
夫が病死した後、娘夫婦と一緒に暮らしたミチ。
が・・・娘は同居から3年目、浴室で自ら手首を切り自死。
ミチと娘婿の関係がギクシャクし、ミチは介護付のマンションに引っ越すことに。

娘婿との何とも気まずい空気感が読んでいて、ひしひし伝わって来た。
こんな老後嫌だなぁ~

他の話も実に暗くて気が滅入る話だった。
でも<死>は避けられないし、こんなこと実際に幾らでもある話なのかもね。

気は滅入るけれど、短編集なので、一応、気持ちを入れ替えて次の話に
夢中にはなれたけど。。。^^;


                       ★★★



発行年月:2016年8月

2014年に逝去した著者の三回忌に際し、死の直前に発表された最後の遺作を単行本化! 
余命短い老女優の、人生の幕引きの日々を描いた表題作は、死と向き合う著者の息遣いが聞こえる感動作。

                 (河出書房新社HPより)



3つの話の前2つは、「死」と向き合う人の話で、
どういう思いでこれを書かれたのかなぁ~と思う。
どの話も素晴らしかった!

表題作の<月兎耳の家>は、劇団女優だった叔母(82歳)が怪我で
見の周りのことを手伝うために同居することになった、わたし。
叔母と最後に会ったのは、中学の頃、祖母の葬式。
そのときの叔母は綺麗だった。
そんな叔母と暮らしながら、叔母の過去の話を聞く。
叔母が深く関わった葵という5つ年上の女性とのこと。

表紙の絵は、この中に出てくる着物を連想させるもの。
静かに過去を語る叔母。
姪に話すことで、自分の生きた証を確かめるようだった。


次ぎの<風切橋奇譚>が一番すき。
叔父から、別荘に住まわせていた女性が亡くなり空き家になっているから
そこに住んでくれないか?と言われた美弥。
和歌山の山中にある別荘の奥には森でそこから行き来する橋がある。
あの世からこちらに来る者が渡る橋。
家を訪ねて来た者には白湯をふるまい話を聞く。

自分が果たす役割を心得ている美弥。
そして、次にそれを引き継ぐ者はやってくる。


このふたつは、ちょっと似ているかんじ。
ちょっと不思議で怪しいけれど静かに受け入れられる心地よさもある。


最後の<東京・アンモナイト>は
バーで知り合った男女の話。
男性は名前をイクミと名乗るけれど、それは10歳で溺死した弟の名前。
母が亡くなったあと、すぐに別の女性を家に入れた父に反発して
家から出たイクミ。

なんとなく暗い陰のある二人が最後は一緒に明るい方に進んで行きそうな
描写で終わるこの話。
これを最後に持ってきたのはいい!

稲葉さんの新作はもう読めないけれど、過去の作品はまだまだ未読な
ものあるので、少しずつ読んで行こうと思う。
 

                      ★★★★★



発行年月:2016年7月

ランチワゴンは疾走する。
危険な中学生アイドルを乗せて。

街をワゴンで駆けながら、料理を売って生計を立てる女性・夏都(なつ)。
偶然にも芸能界を揺るがすスキャンダルを知ってしまった彼女は、
その流出を防ぐため、緑色の髪をしたアイドル・カグヤと協力することに。
ある女性の携帯電話に残されたメールを削除するという、
難しくないミッションのはずだったのだが――。
 
                (文藝春秋HPより)



読み始めはなかなか面白かった。

夏都がランチワゴン車で販売する様子が楽しくて・・・

で、その夏都がワゴン車ごと乗っ取り誘拐にあって・・・
でもそれは誤認で、その首謀者はなんと中学2年生のアイドル・カグヤ。
そして、夏都が一緒に暮らしている姉の息子・智弥(同じく中2)も加わって
カグヤが夏都を誤認誘拐したわけを聞き、それに協力する形で物語が進む。


登場人物たちもなかなか個性的でよかったけど、
なんとなく途中で飽きてきた。
道尾作品で途中で飽きるのは初めてだったんだけど・・・・^^;


結局、カグヤの計画には、智弥も絡んでいて、二人の心のうちを知ったら
ちょっと切なくもなった。

でも、なんだかグチャグチャしたわりに、すっきりしないかんじの終わり
だったかなぁ~。


次の作品では感動を期待したいけど。


                           ★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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