発行年月:2018年5月
世界を繙く事典、探偵譚、他の惑星から来た友人、
思い出深い食堂や音盤、長い置き手紙──虚実の出会う場所を描く美しい物語の数々。
(平凡社HPより)
あとがきで著者が書いている。
エッセイでもフィクションでもなく、そのどちらであっても、どちらでもない本。
子供のころ、一人で壁新聞をつくっていたのです。
ひとりでニュース記事を書き、雑文を書いて、コラムを書いて、連載小説を
書きました。
ああ、そういうことをこの本でもやったんだなぁ~と納得した。
そうか、そうか、壁新聞!
話があれこれ飛んで、それでもまた戻ったりして・・・・
付いて行くのがやや大変で、時間を掛けて読みました^^;
でも楽しい~(^^)
一週間がそれぞれ語る話が好きだった!
紅一点は水曜日であとは男性。土曜日はやや女性化・・・・^m^
百科事典の執筆者が綴る、あれこれ。
実際の辞典にはないだろうなぁ~と思いつつ・・・・
特に気に入ったのが<大煎餅>
休憩時間内に食べ切れなかった大煎餅。
意味は・・・時間内に予定していたことが終わらない時に用いる言葉。
例文として・・・「なんという大煎餅なんだ」「まったく大煎餅を食わされている」
あとがきの後に紹介されていた<虹を見なかった日>は、
以前書いた<彼女の冬の読書>の続編として書いたと言われていたけれど
それを読んだ記憶がない。
調べたら・・・<空ばかり見ていた>という本の12編納められた
短篇のひとつらしい。
是非、読んでみたい!φ(..)メモメモ
吉田さんの本は感想が書きにくい^^;
でも、読んでいるとなんとも心地よく楽しい!
★★★★★
発行年月:2018年2月
「草どん、語ってくれろ」どこからともなく現れた子狐は、目の前にいた草に話しかけた。
物語をせがむ子狐に、草どんは重い口をひらく……。
子狐に山姥、乙姫に天人、そして龍の子。民話の主人公たちが笑い、苦悩し、闘う!
「俺たち、本当に存在しているんですか?」
やがて物語は交錯し、雲上雲下がひずみ始める。物語が世界から消えてしまうのか?
不思議で懐かしい、ニッポンのファンタジー。
(徳間書店HPより)
聞いたことがある昔話たち。
語るのは草どん。
草どんに懐いて、お話をせがむ子狐が可愛い♪
「あい」 「あいあい」と合いの手を入れながら・・・・。
草どんの元に、来るのは、山姥に、産みの母親を探して旅する小太郎。
草どんは、それぞれの物語も知っている。
山姥、子狐、小太郎。
それぞれの物語も興味深く、本当の姿がわかってくると・・・・
おぉ~そういうことか・・・・と。
それから、最後は、草どん自身の物語。
雲の上と雲の下。その間を繋ぐのが物語。
小太郎と花はその後、幸せになったんだろうなぁ~。
子狐は、お嫁さんを貰って一族の頭領として立派に成長したんだろうなぁ~
色々な昔話をちゃんと知りたくなった。
素敵な物語だったなぁ~。
★★★★★
発行年月:2018年7月
加害者と被害者は紙一重。 あなたは絶対踏みとどまれると断言できるか―?
(角川書店HPより)
短篇の形だけど、繋がっている。
こんなに危ない人ばかりいる社会は、怖い。
被害者として書かれていた人が実は加害者。
しかも、罪の意識がないまま他人を傷つけ平気でいられる。
<case1 ミュール>
<case2 アンビギュイティ>
<case3 キャンディ>
<case4 シイク>
<case5 ファン>
<case6 フリン>
<case7 イットカン>
警視庁ストーカー対策室ゼロ係
・巡査部長 二宮隆
部下 橋田結花
対策室で扱う事件の数々・・・ストーキング、詐欺、恐喝、リベンジポルノ
不法侵入、誘拐、盗撮、盗聴など。
3番目のキャンディは、ショックだった!
原田真二の名曲<キャンディ>の解釈がとんでもない犯罪オンパレードだという
もの。
でも、言われてみれば・・・そうも考えられる。
ロマンチックな曲だと思っていたのに・・・・(T_T)
しかし、異常な執着心を持った人物に近づかれトラブルを起こすと怖いな~。
他人事としして読んでいるから面白がれるけれど、自分の身に起きては欲しくない!
★★★
発行年月:2016年11月
読み始めると心がざわつく。
何気ない日常の、ふわりとした安堵感にふとさしこむ影。
淡々と描かれる暮らしのなか、綻びや継ぎ目が露わになる。
あひるを飼うことになった家族と学校帰りに集まってくる子供たち。一瞬幸せな日常の危うさが描かれた「あひる」。おばあちゃんと孫たち、近所の兄妹とのふれあいを通して、揺れ動く子供たちの心の在りようを、あたたかくそして鋭く描く「おばあちゃんの家」「森の兄妹」の3編を収録。
(書肆侃侃房HPより)
芥川賞候補作だったという<あひる>は、3つの短編の最初にありました。
父親の元同僚の飼っていた、あひるを譲り受けて飼うことになった家族の話。
両親と共に暮らす女性の目線で書かれている。
女性は就活のための勉強中であひるを飼うことになった家に
子ども達が遊びに来たり、それに対応する両親の様子などを観察している。
微笑ましい光景だなぁ~と思って最初は読んでいたけれど・・・・
あひるが弱って・・・居なくなり、新たなあひるを飼うことを繰り返す。
4匹目のあひるが飼われた後は、弟家族が引っ越して来るというところで
終わる。
何という事はない話なんだけど、なんだろう?
不思議と哀しい気持ちになる。
次の<おばあちゃんの家>も<森の兄妹>も
特に何かが起きると言う話ではないいんだけど・・・共通したどこか
懐かしい、哀愁を帯びた物悲しさがあって、それが読み終えたあとも
ずっと胸のなかに残っている不思議な感覚。
作者は、自分と同じくらいの年齢か?とプロフィールを見たら
1980年生まれだった。
<こちらあみ子>は読んで他のも読みたいとこちらを手に取ったけど、
共通の何かを感じる。
何かを上手く表現できないのだけど・・・^^;
また違う作品も探してみたくなる。
★★★★
発行年月:2018年6月
「神楽坂を舞台に怪談を書きませんか」。突然の依頼に、かつての凄惨な体験が作家の脳裏に浮かぶ。解けない謎、救えなかった友人、そこから逃げ出した自分。作家は、事件を小説にすることで解決を目論むが――。驚愕の展開とどんでん返しの波状攻撃、そして導かれる最恐の真実。読み始めたら引き返せない、戦慄の暗黒ミステリ!
(新潮社HPより)
5つの怪談と最終章ではその総括的な話。
最初の<染み>を夕方~夜に読んだので、怖さが倍増(;O;)
結婚を考えている男女が占い師の元を訪れる。
そのお告げに激怒した彼は占い料金も払わず、その後も罵詈雑言ばかり。
そんな姿を見て興ざめした女性。
結婚自体を白紙にしたほうがいいかも?と思い始めていた矢先
彼が交通事故死。
結婚まで決めたのに、なんでそんな所、行ったのよ~!!と突っ込んだ(笑)。
その後の話は
<お祓いを頼む女>
<妄言>
<助けてって言ったのに>
<誰かの怪異>
そして最終話の<禁忌>。
要するに・・・全部の怪談話に絡んでいたのは、最初で出て来た占い師。
占い師に占って貰った事も、占って欲しいと思った事もないけれど・・・
今後も近づかないようにしようと強く思った^^;
2章以降は昼間に読んだので(?)、全然、怖くはなかった。
気味は悪いんだけど・・・
それから、本の装幀が怖い。
芦沢さんの他の本もちょっと怖い物見たさ的に読んでみたいけど
装幀が怖いから手に取るのを躊躇します^^;
★★★
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;