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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2018年12月


 「月は一年に三・八センチずつ、地球から離れていってるんですよ」。死に場所を探してタクシーに乗った男を、運転手は山奥へと誘う。「実はわたし、一三八億年前に生まれたんだ」。妻を亡くした男が営む食堂で毎夜定食を頼む女性客が、小学生の娘に語った言葉の真意。科学のきらめきが人の想いを結びつける短篇集。

                   (新潮社HPより)



初読みの作家さんかな?

短編集でしたが、どれも良いお話。
主人公たちが、前を向いて頑張っていくんじゃないかと思える話たち。


<月まで三キロ>
大手広告代理店勤務から独立した矢先、リーマンショックの影響で倒産。
多額の負債を抱え10歳年下の妻とは離婚。
実家に戻るが母が亡くなり、残された父の認知症が進む。

死に場所を探すが偶然、乗ったタクシーの運転手に山奥の場所を案内される。


この表題作は、舞台が地元近くなので、なんだか嬉しかった。
著者はこの場所をどうやって知ったのかな?と個人的に気になる^m^
大阪生まれだし、学校もこの辺りじゃなさそうなのに・・・。


ほかの話も良かった!

気象、化石、火山、などが絡んだ話が多く、著者の経歴で納得。


ほかの話も良かった!

<星六花>
<アンモナイトの探し方>
<天王寺ハイエイタス>
<エイリアンの食堂>
<山を刻む>


最後の<山を刻む>は、同じ主婦として共感する部分も多く
主人公のこれからにエールを送りたくなった!


好きだったのは<エイリアンの食堂>
父子家庭の謙介と鈴花(小4)。
食堂を営み、そこに平日ほぼ毎晩通う女性。
密かにエイリアンかも?と言い合う親子。
人気の日替わり定食を頼まず、曜日ごとに決まった物を注文する。
淡々と食事をして帰る、その女性。
が・・・・暫く来なくなり・・・再来店した時、声をかける。

こういう人間関係は、ほっこりするなぁ~。

全体的に、どの話も温かい。
ほかの書も読んでみたくなる作家さん。


                           ★★★★
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発行年月:2018年10月


 峠越えの“酷道”を照らす一軒の食堂。
義父を殺めた少年、幼い娘を喪った女、親に捨てられた男。
孤独と絶望の底で三人の人生が交差したとき、
〈まほろば〉が見せた
“十年に一度の奇跡”とは?

「人殺しになるくらいなら、
生まれてけえへんかったらよかった」

奈良県南部の秘境の村を通る峠越えの旧道沿いで、細々と営業を続ける「ドライブインまほろば」。ある日、憂(ゆう)と名乗る少年が幼い妹を連れて現れ、「夏休みが終わるまでここに置いてください」と懇願(こんがん)する。
一人娘を喪(うしな)った過去を持つ店主の比奈子(ひなこ)は、逡巡(しゅんじゅん)の末、二人を受け入れた。
だが、その夜更け、比奈子は月明かりの下で慟哭(どうこく)する憂に気付く。震える肩を抱きしめる彼女に、憂は衝撃の告白をはじめた……。

                   (祥伝社HPより)





子どもが理不尽に痛めつけられるのは許せない!

小学6年の憂は、実の父親からも、継父からも暴力を受けて育った。
我慢できずに継父を殺してしまう。
そして父親違いの妹。来海(5歳)を連れて逃亡。
辿り着いたのは、秘境の村にあるドライブインまほろば。

まほろばの店主・比奈子(37歳)は、5歳の時、娘を事故で亡くし
その後、夫とも別れ一人暮らし。
娘の事故は、自分の母親が運転する車に同乗していたとき。
母親は許しを請うが未だに許せない気持ちが強く、母親の存在そのものも
疎ましく感じている。


不幸な境遇の者たちが出会い、新たな幸せを見つけていく。

本当に辛い話だったけれど、憂がとても賢くて良い子なのには感心。
どうしてこんな良い子が生まれたのか???

罪を償ったあとには、きっと幸せがあると思うし、是非、幸せになってほしい!!


しかし、不幸は連鎖していくんだなとよくわかった。

憂に虐待を繰り返していた継父の流星とその双子の兄・銀河。
2人もまた同じように幼少期、辛い生活をしていた。

子どもの頃の育つ環境で人はこんなにも卑屈になっていくんだなと哀しくなった。

実際、こういうニュースも多いし・・・


子ども達が助けを求められる場所。
避難できる場所の確保が行政の力でなんとかならないか?と強く思った。


しかし、最後は、何となく希望が持てて、少しホッとした。


                       ★★★★



発行年月:2018年11月

江戸時代をこよなく愛する著者が描く、武家の人生の諸相。仇討ち、学問、侍の就活、嫁取り、剣術、罪と罰……。身分に縛られ、役目に忠実であらねばならなかった武士の暮らしにも、喜怒哀楽に満ちた人の情は流れている。練達の筆がすくい上げる、きらびやかな宝玉のごとき八つの物語。江戸の庶民を描いた『福袋』と対をなす、時代小説短編集。


                      (講談社HPより)



庶民の生活を描いた「福袋」も良かったけれど、こちらも良かった。
武士の世界の厳しさ、生き抜くのも大変な様が描かれていて
辛い場面もあった。

8つの短編集
<紛者>
牢人の信次郎が、尊敬していた兄の仇を討つ機会を狙って紛者から抜け出す。

<青雲>
酒屋で奉公していたが兄が亡くなり実家へ戻る。
武士としての生活へ。「己の運を鍛錬せよ」以前言われた言葉を理解する。

<蓬莱>
四男の平九郎。
格上の旗本・中山家に婿入り。
何故、自分が好まれて?と不思議に思う平九郎。

<一汁五菜>
代々、江戸城本丸の台所人である山口家。
伊織の妹は大奥に仕えていたが自死している。
料理人らしくその仇をとることを決める。

<妻の一分>
大石内蔵助の妻・りく。
主君・浅野は吉良を短刀で刺した罪で切腹となる。
そんな事件後を見守って来た飼い犬・唐之助の眼からみた家族の様子。

<落猿>
藩の留守居役の理兵衛。
刃傷沙汰をおこした罪人に仕置きを伝える。
切腹のほかの一案。

<春夫>
剣術指南所の娘・芙希。
若い頃、道場に武芸修練のため、藩の赦しを得て旅をしているという
原数馬とのことを思い出す。


<草々不一>
前原忠左衛門。56歳の隠居の身。
妻は流行病の麻疹で亡くなり、嫡男・清秀が家を継ぐ。
武術より学問一辺倒の息子の差配が気に入らなかったが
妻が遺した文が見つかり・・・・


最後の話が一番、素敵だった!
妻の書いた文の内容が気になるものの、漢字が読めない忠左衛門。
息子に代わりに読んで欲しいと頼むが、との以外は読んではいけないと
書いてあると。
手習い所で漢字を習う忠左衛門。
そこで出会った利発で少々、生意気な半太郎とのやり取りが愉快。

そして、やっと読んだ文。
妻・直の気持ちが伝わってくる。

なんて素敵な女性なんだろう。

切なく重苦しい話もあったけれど
最後にこの作品があることで、読後感がすごく晴れやか♪


やはり、まかてさんの作品はハズレなしです!



                         ★★★★

 
 




発行年月:2016年7月


 第155回芥川賞受賞作!

36歳未婚女性、古倉恵子。
大学卒業後も就職せず、コンビニのバイトは18年目。
これまで彼氏なし。
オープン当初からスマイルマート日色駅前店で働き続け、
変わりゆくメンバーを見送りながら、店長は8人目だ。
日々食べるのはコンビニ食、夢の中でもコンビニのレジを打ち、
清潔なコンビニの風景と「いらっしゃいませ!」の掛け声が、
毎日の安らかな眠りをもたらしてくれる。
仕事も家庭もある同窓生たちからどんなに不思議がられても、
完璧なマニュアルの存在するコンビニこそが、
私を世界の正常な「部品」にしてくれる――。

ある日、婚活目的の新入り男性、白羽がやってきて、
そんなコンビニ的生き方は
「恥ずかしくないのか」とつきつけられるが……。

現代の実存を問い、
正常と異常の境目がゆらぐ衝撃のリアリズム小説。

                  (文藝春秋HPより)




変わった主人公の話だったけど、面白かった!
世の中、色々な人がいて、古倉さん、みたいな人もいるでしょう。

最初は、変な人だな~と思ったけれど、段々と理解出来て
応援したくなってきた!

コンビニの仕事なら、完璧!
マニュアルをきちんと守って働いている人はそんなにいないんじゃないかな?
古倉さんみたいな人をバイトから正社員にすれば会社の利益にもなると
思うのに・・・。


一方、白羽さんも変わった人だけど、こちらは全く応援する気になれず^^;

古倉さんは一人でも大丈夫!
コンビニ人間だって悲観することなし!


スラスラ読める芥川賞受賞作ってあまりないけど、これは面白かった!



                      ★★★★



発行年月:2018年11月


 その絵は、いつでもあなたを待っている。人生の岐路に立つ人たちが辿り着いた世界各地の美術館。巡り会う、運命を変える一枚とは――。故郷から遠く離れたNYで憧れの職に就いた美青は、ピカソの画集に夢中になる弱視の少女と出会うが……(「群青 The Color of Life」)ほか。アート小説の第一人者が描く、極上の6篇。

                        (新潮社HPより)


6つのお話。
それぞれ主人公の思入れの深い絵画が出て来る。


<群青 The Color of Life>
ピカソ 盲人の食事

<デルフトの眺望  A View of Delft>
フェルメール 真珠の耳飾りの少女とデルフトの眺望

<マドンナ  Madonna>
ラファエロ 大公の聖母 
ボッティチェリ ヴィーナスの誕生

<薔薇色の人生  La Vie en Rose>
ゴッホ ばら

<豪奢  Luxe>
アンリマティス 豪奢

<道 La Strada>
東山魁夷 道



どの作品も良かった!
最後の<道>は、感動的でした(/_;)

好きな話としては<薔薇色の人生>かな?
45歳、バツイチ独身の女性の恋?と思いきや・・・
結果は残念でしたが、明るく吹っ切れた主人公・多恵子を応援したくなった!


どの話も巧く話のなかに絵画が登場して、どんな絵だったっけ?と
調べながら読み進める楽しみがあった。
マハさんのお話はいつもそうなるんだけどね~^m^



また絵画絡みのお話、楽しみに待っています!



                         ★★★★
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