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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2019年11月

北海道・大沼湖畔に佇む2つの施設。そこではさまざまな事情で親元を離れた少年少女たちが、自立のために職員たちと一つ屋根の下で暮らしていた。施設を束ねる藤城遼平の娘・ゆきは札幌の病院で働く新人の理学療法士。偶然、父の教え子である同世代の摩耶が唄うYouTubeを見たことから、摩耶、そして同じく教え子の兄・拓弥と出会う。実在の児童自立支援施設を取材し、繊細な心を描き上げた著者の新境地。

                    (発行/潮出版社)



実際にある施設を何度も取材して書いた物語だそう。
かなり重たい内容。
でも現実は、もっと酷いのかも。
読んでいると、なんとも暗い気持ちになる。
こんな風に家庭環境が悪いばかりに、過酷な生活を送らなければならない子どもが
居ると思うと・・・辛い(/_;)。

ここでは、ある兄妹(拓弥と麻耶)を軸に、自動自立支援施設の院長の藤城遼平と
その家族の関わりを描いている。

院長の藤城の子どもの気持ちを理解して24時間、ほとんど自分の自由な時間なしに
働く姿には、頭が下がる。
妻と娘とは、離れて暮らしているけれど、一緒に住んでいたら
家族まで心労を伴うでしょうね。


途中からの展開は、藤城の妻の立場で読んでしまい、心穏やかではいられなかった。
そういう気持ちになるのは、やはり、普通じゃない生い立ちの拓弥たちに
偏見を持ってしまっているということだけど、他人としては応援したくても
身内になるかと思うと。。。。


結果的に、娘のゆきの意志を尊重した夫妻。
そうするしか、こうなればないよなぁ~。

世間も過去は過去として、現在の頑張っている姿を見て応援してあげなきゃね。
生まれた子どもたちは、幸せに温かい家庭で暮らせますように・・・


                           ★★★★
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発行年月:2019年7月


東野圭吾の最新長編書き下ろしは、「家族」の物語。

「死んだ人のことなんか知らない。
あたしは、誰かの代わりに生まれてきたんじゃない」
ある殺人事件で絡み合う、容疑者そして若き刑事の苦悩。
どうしたら、本当の家族になれるのだろうか。

閑静な住宅街で小さな喫茶店を営む女性が殺された。
捜査線上に浮上した常連客だったひとりの男性。
災害で二人の子供を失った彼は、深い悩みを抱えていた。
容疑者たちの複雑な運命に、若き刑事が挑む。

                  (講談社HPより)



とある殺人事件を追うのは、加賀恭一郎の従弟・松宮脩平。
殺害されたのは、自由が丘でカフェ経営の花塚弥生・51歳。
40歳で離婚し、一人でカフェを切り盛り。
「あんなに良い人はいない」誰もが言う。

元夫は、綿貫哲彦・55歳。製薬会社勤務。
内縁の妻・中屋多由子

二人が離婚した理由のひとつに子宝に恵まれなかったことも。


カフェの常連客のなかで特別に親しくしていた汐見行伸・62歳。
妻は2年前に病死しているが、一人娘の萌奈と暮らしている。
汐見夫婦には15年前、新潟地震の際、妻の実家を子どもたちだけで訪ね、
不運にもその時、建物の下敷きになり二人とも命を落とすという悲劇的な
過去があった。
萌奈はそんな絶望的状況後に不妊治療の末、授かった子。


殺人事件を追う、松宮自身にも、知らない女性から突然、連絡があり
自分の本当の父親かもしれない人が余命わずかで、その遺書に名前が
あったと。
自分の姉にあたるかもしれない芳原あやことのやりとり。

脩平は、母親・克子にそのことを尋ねるが、知らないほうがいいと突っぱねられる。



事件の背景にある、家族の物語と松宮脩平のルーツが徐々に明かされていくという
二つのことを徐々に知らされる。

無理なくすらすらと・・・
このあたり、やはり東野圭吾って凄いな~と思う。

殺人事件そのものは、そんなに驚くようなことじゃなかったけれど
犯人も悪人ではないので、なんだか憎いとは思えない。
殺人はひどいことだけど・・・。


ギクシャクしていた、汐見親子の関係が少し、明るいかんじになったことと
脩平が、本当の父親にちゃんと会えたラストがあったので
読後感としては、すっきり!

加賀の出番はそう多くなかったけれど、刑事として人として、良い助言を
松宮にしていて、恰好良かった!

やはり加賀恭一郎シリーズはいいな。



                     ★★★★★


発行年月:2019年9月

ミモザの父・閑に一通の封筒が届いた。白い線で描かれた薔薇の絵のモノクロ写真が一枚入っていて、裏には「四月二十日。零時。王国にて。」とあった。病床の父は写真に激しく動揺し、捨てろと彼に命じる。その姿を見たミモザは春の夜、余命短い父のために指定された明石ビルに向かう。廃墟と化したビルの最上階には三人の男たちが待っていた。男たちは過去を語りはじめる。白墨の王国だったこのビルの哀しく凄まじい物語を──。

                             (光文社HPより)





哀しい物語。
明石ビルで起きた50年前のこと。

そこで暮らしていたのは、最上階にビルのオーナー明石とその娘(白墨)。

そして、山崎、源田、鵜川、和久井。

物語の冒頭で登場のミモザは、このビルで暮らしていた和久井閑の息子。


ビルで起きたことは衝撃的だった!
でもその真相を知ったときは・・・ショック。


鵜川が許せないと怒りが沸いた。

でも罪の意識を抱いて苦悩していたのは想像出来る。
最後にとった行動も納得。


ミモザは、この後、幸せになって欲しい。
妻と子どもと再び暮らせるように・・・。



始終、つらい物語だったけれど、最後にわずかな希望があって良かった。


                                

                                    ★★★



発行年月:2019年6月


あの人にいま会えたら、何を伝えますか?

子育て、離婚、定年、介護、家族、友達。
人生には、どしゃぶりもあれば晴れ間もある。
重松清が届ける5つのサプリメント。

年を重ねると増えていく「再会」の機会。
再会は、別れがあるから存在します。
どう別れたかで、再会の仕方も変わってくる。
会いたい人、会いたくない人、忘れていた人。
《結婚もして、子どもをつくり、そして、いま、家族をなくした。》
あなたならどんな再会を望み、何を伝えますか。

泣きたいときに、泣けないあなたへ。

                      (講談社HPより)



5つの短編の主人公は50台半ばの男性たち。

結婚し、子どもたちは手がかからなくなったけれど、老いた親の今後のことが
色々と心配な年代。

昔のことはすごく細かいことも覚えていたりするのに、自分の現在の状況が
急にわからなくなったりする親。
哀しいなぁ~。
でも、哀しがってばかりじゃなく昔の思い出を一緒に楽しむことが出来たら
素敵かも。
そんな風に思った最初の話<あの年の秋>はお話としては
一番好きかも。


表題作の<旧友再会>は、タクシー運転手をしている青田が偶然、同級生の
川村を客として乗せる。
川村は住んでいる東京から老人ホームに入所している母親を見舞うために
タクシーに乗った。
実家には父親が独りで暮らしているという。

学生時代は自分より勉強もスポーツもはるかに出来てリーダー的存在だった
川村だけど、今の暮らしは大変そう。
あの時はどちらかといえば苦手だった川村と今、普通に話しをしている自分。
川村の家で飲んだ「薄いカルピス」の話で笑い合ったり・・・・

微笑ましいような哀しいような、不思議な感情が起きる話だったなぁ~。



他の作品も、なんとなく切ない気持ちになる。
主人公たちと同年代だから、気持ちがわかりすぎて・・・

<ホームにて>は、唯一、ちょっと元気になれた。
定年退職したあと、駅の立ち食い蕎麦屋で働くことに決めた男性の話。

まだまだ新しいことに挑戦できる年でもあるんだなぁ~(^^)


                       ★★★



発行年月:2019年9月


湊かなえの新たなる代表作、今年最高の衝撃&感動作。重い十字架を背負って生きる人々の心の叫びと希望の灯。“落日”の向こうに見える未来とは!?入魂の書き下ろしミステリー長篇。新人脚本家の甲斐千尋は、新進気鋭の映画監督長谷部香から、新作の相談を受けた。『笹塚町一家殺害事件』引きこもりの男性が高校生の妹を自宅で刺殺後、放火して両親も死に至らしめた。15年前に起きた、判決も確定しているこの事件を手がけたいという。笹塚町は千尋の生まれ故郷だった。この事件を、香は何故撮りたいのか。千尋はどう向き合うのか。“真実”とは、“救い”とは、そして、“表現する”ということは。絶望の深淵を見た人々の祈りと再生の物語。

                   (角川春樹事務所HPより)


いや~やはり面白いな。湊作品。

話は、15年前に起きた一家殺害事件が元になっているので、やはり重苦しいものだけど・・。

その事件を映画化しようとしている女性監督・長谷部香と
脚本家の甲斐真尋。
二人は、その事件のあった、町の出身者であり、香は幼い時、アパートで両親と生活して
いたとき、立石家とは隣人だった。

そして、真尋の姉・千穂と立石力輝人にも接点があったとわかる。


話は、過去と現在を交錯しながら進み、終盤、いろいろあった過去の事柄の真実が
明かされていく。


重く辛い話のなかに、少し、希望もありそう。
この先、二人が力輝人に会って「あの時は・・・・・」と語り合う場面が
沢山、あればいいのにと思う。


表紙の絵は、物語を凄くうまく表現していて哀しく美しい。


                            ★★★★
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