発行年月:2005年2月
ためらいつづけることの、何という贅沢──。ひとりの老人の世話で、異国のとある河岸に繋留された船に住むことになった「彼」は、古い家具とレコードが整然と並ぶリビングを珈琲の香りで満たしながら、本を読み、時折訪れる郵便配達夫と語らう。ゆるやかに流れる時間のなかで、日を忘れるために。動かぬ船内で言葉を紡ぎつつ、なおどこかへの移動を試みる傑作長編小説。
(新潮社HPより)
主人公の彼が、公園で倒れている老人を助ける。
その老人が所有している河岸に繋留されている船を借りて住むことにする彼。
船のなかといっても、その調度品はなかなかの充実ぶり。
居心地がとても良さそう。
そこで、レコードを聴き、本を読み、悠々と暮らす。
訪ねてくる、郵便夫を船内に入れて珈琲をふるまったり、
たまに訪ねてくる少女と会話をしたり、入院中の船の持ち主を見舞いに
行ったり、FAXでやり取りしている枕木氏がいたり
日常のなかに関わる人も何人か。
郵便夫から預かった、前に船に住んでいたという女の人宛ての手紙。
船の持ち主に、その件を聞くと思うような回答がなかったが、心辺りは
あるのか、「女の子もいたのか?」と。
船に時々訪ねてくる女の子が、船の持ち主と何か関係があるのか?
彼はあれこれ考えるが・・・・
結局、関係はなかったみたい。
彼の日々、考えることは、小説の内容からだったり、何か哲学めいた
ことだったり、何やら知識が豊富な人だなぁ~と彼のことを思う。
けれど、彼の具体的なことは最後までわからない。
名前も出てこないし、ここに来る前、何をしていて、どんな風に
生きてきたのかもわからない。
ずっと船の生活をしていけるわけでもないだろうけど、この先
どうするんだろ?なんて思ったりもした。
何も大きな出来事は起こらない、淡々とした日常。
でもすごく読んでいて楽しかった。
堀江さんの作品、どれもハズレがない!
とはいえ、まだまだ少ししか読んでいないので
これから読んでいこう!
★★★★
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発行年月:2019年12月
池内胡雪は多忙なベンチャー企業で働く三十歳。
不規則な生活で食事はおろそかになり、社内も散らかり放題で殺伐とした雰囲気だ。
そんな状況を改善しようと、社長は会社に家政婦を雇うことに。
やってきた家政婦の筧みのりは無愛想だったが、
いつも心がほっとするご飯を作ってくれて――。
現代社会の疲れを癒す、美味しい連作短編集。
(双葉社HPより)
大学時代の同級生たちで立ち上げた医療系のベンチャー企業内で働く
池内胡雪、桃田雄也、田中一郎、伊丹大悟。
そこに週3回、通う筧みのり(52歳)。
筧は、14時~16時の勤務で、社員の夕食と夜食を作る。
忙しさで殺伐とした雰囲気の社内が、美味しいものがあることで、柔らかい雰囲気に
変わっていく。
社員の一人一人と向き合う、筧の言葉も響くものがあって気持ち的にも
楽になっていく面々。
そんななかで、一番、重たいものを抱えていたのが、現社長の田中。
会社を立ち上げたときのリーダー的存在の柿枝との確執。
一人悩んできたことを筧に話し、吹っ切れる。
そして、筧自身のこと。
これは少々、ショッキングだった。
波乱万丈の人生だったんだ~!!
でもそんな体験をしたからこそ、時には、厳しく、時には優しい助言が出来たのかも。
柿枝とも繋がっていたこともびっくり!
最期に柿枝に言った言葉は恰好よかったけど。
柿枝みたいな人間、いやだな。
筧が作る、夕食や夜食は美味しそう。
カレーうどん、ハンバーガー、鯛めし、かやくごはん、だし巻き卵、などなど。
キャンプ先で桃田が食べていた辛ラーメンのスープで
野菜とウインナーを食べてその後の乾麺にチーズと韓国のりも
絵が浮かんできて本当に美味しそうだった!
会社のメンバーは、ここでの経験を元に新たな道に、それぞれ向かいそう。
筧も幸せになってほしいな~
読み始めたときは、ほのぼのしたお仕事小説?と思ったけれど
結構、ダークな部分もあって、読み応えあって面白かった!
★★★★
発行年月:2019年10月
いつか見つかるだろうか、私の、私だけの。
祖母の法要の日、一堂に会した親戚たち。
同棲していた恋人から家を追い出され、突然実家に帰ってきた娘、梓。
元体育教師、「実行」を何よりも尊びながら、不遇な子供時代にこだわる母、祥子。
孤独を愛するが、3人の崇拝者に生活を乱される大叔母、道世。
死ぬまで自分が損しているという気持ちを抑えられなかった祖母、照。
そして、何年も音信不通の伯父、博和。
今は赤の他人のように分かり合えなくても、同じ家に暮らした記憶と共有する秘密がある。
3世代にわたる一族を描き出す、連作短編集。
(集英社HPより)
家族の3代に渡る物語。
祖母・照
母・祥子、伯母・純子、伯父・博和
大叔母・道世(照の妹)
梢、姉・灯里
若い頃、照と喧嘩別れの形で日本から海外に飛び出した博和が
ニュージーランドから妻と二人の娘を連れて何十年かぶりに日本に
来て親族と再会のラストは、温かい家族の時間が
流れていて良かったなぁ~。
家族には、それぞれいろいろな歴史があって
それを共有しながら生きていくんだな~。
久しぶりに皆の前に姿を見せた博和が、子どもの頃の
「実は、あの時は・・・・」と話した真実から
子どもの着物がずっと物語の核だったんだと気づいて
なんだか、感動した。
これから、新たな交流もありそうだし、梢も新たなスタートを
切れそうでラストは明るく、良い感じ!
★★★★
発行年月:2019年10月
死者との再会を叶える使者「ツナグ」。長年務めを果たした最愛の祖母から歩美は使者としての役目を引き継いだ。7年経ち、社会人になった彼の元を訪れる依頼者たちは、誰にも言えぬ想いを胸に秘めていた――。後悔を抱えて生きる人々の心を繋ぐ、使者の物語。シリーズ累計100万部の大ベストセラー、9年ぶりの待望の続刊!
(新潮社HPより)
もう9年も経つんだぁ~。
前作も良かったけど、こちらも楽しめた。
歩美が祖母のアイ子から引き継いだツナグ。
最初の話<ポロポーズの心得>では杏奈がツナグとして活躍。
8歳とは思えない。
でも、依頼者の前と、そうでない場所でのギャップはやはり子ども
なのが可愛かった^m^
<歴史研究の心得>
元は高校の校長で今は前後区資料館勤務の鮫川。
自身がずっと尊敬し研究している地元の上川岳満に会いたいという依頼。
自身が抱えていた謎を本人に問う。
伝えられていたのとは、ちょっと違う事実は判明するが
また違った魅力も再確認したかんじかな?
<母の心得>
二人の母のそれぞれの依頼。
一人の母は、5年前、一緒にいながら娘を海で溺死させてしまったことを
ずっと悔やんでいる母。
もう一人は、20年以上前に乳がんで亡くなった娘に会いたい母。
自分より先に娘が亡くなるなんて想像しただけで泣ける。
特に水難事故で亡くなってしまった娘に再会した母親。
申し訳ない気持ちでいっぱいだと思うけれど、娘は生前と変わらない
で母親に甘えてくれた。それだけで救われたでしょうね。
<一人娘の心得>
歩美も度々仕事で訪れる鶏野工房の大将が亡くなった報せを
受け、ショックを受ける歩美。
大将と娘の奈緒をもう一度、会わせてあげられたらと思うが・・・・
8歳の杏奈の方が大人だなぁ~
「余計なお世話なんじゃないかなぁ~」の言葉。
確かに杏奈の言う通りの展開になりましたもんね。
でも奈緒は、素敵な女性だなぁ~
<想い人の心得>
依頼人は85歳の蜂谷氏。
若い頃修行していた料亭の娘・絢子に会いたいと40過ぎから
定期的にツナグに依頼し、絢子から断り続けられている。
そんな絢子が蜂谷も85歳になったと聞き、会うことを承諾。
ずっと忘れず想い続けてくれた人がいるって素晴らしい!
蜂谷の「同じ時代に生きられるということは尊いです」の
言葉が印象的。
その言葉を受けて、歩美も自身の気持ちに向き合い一歩踏み出す決心の
ところで終わってしまった。
ああ、続きは気になる!
奈緒との関係が良い方向にいきますように・・・・
★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
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