男はなぜ、ゴミ屋敷の主になったのか?
いまはひとりゴミ屋敷に暮らし、周囲の住人たちの非難の目にさらされている男。戦時中に少年時代をすごし、昭和期日本をただまっとうに生きてきたはずの男は、いつ、なぜ、家族も道も、失ったのか。誰もが目を逸らすような現在のありさまと、そこにいたるまでの遍歴を、鎮魂の光のなかに描きだす。
橋本治、初の純文学長編。
(新潮社HPより)
主人が図書館から借りて先に読み「なかなかおもしろい」というので、読んでみました。
物語は主人公・忠市が、ゴミ屋敷と化した家に住み、近隣住人たちに大迷惑をかけているところから始まり、テレビのリポ-タ-が住人たちにインタビュ-して周る。
昔、まだ忠市の住む家が荒物屋として存在していた時代を知る人はわずかだが、昔はあんな人じゃなかったんだけど・・・と。
人目を避けるような時間帯には外へも出る。
どこかに行くアテのある人を羨ましくも思う。
ちょっと前、実際にワイドショ-番組でもゴミ屋敷に暮らす女性を取り上げた番組を見ていたときもその人は「これはゴミじゃない」と言ってたっけ。
忠市も「これはゴミじゃないんだ」と。
到底、普通のひとには理解出来ないことば。
物語は、途中から、忠市の過去の話になる。
戦後まもなく荒物屋に住み込みで働きに出て、その後、家業の荒物屋「丸亀屋」に戻る。
見合いで結婚もした。子どもも出来た。
けれど・・・・父親が病に倒れた辺りから、バタバタと不幸が続く。
12歳年下の弟・修次も結婚し、その妻は家事の段取りもよく姑の扱いも上手でなとなく一家がまた明るい方に向かうのか?と思ったら・・・・
ある事を機に弟夫婦は家から出ていく。
店の仕事が減り、母親が亡くなって一人きりの忠市。
そのころから、ゴミが少しずつ溜まる。
なんとも切ない、胸が痛い。
忠市は、普通の人。家業を継いで真面目に働いていたのでしょう。
でも、戦後のめまぐるしい変化に取り残されてしまったかんじ。
近所に迷惑をかけている。片付けなきゃいけない。頭ではわかっている。
けれど・・・この環境を変えられない。
最後はどうなる?と思ったら・・・・
35年ぶりに弟がテレビで実家が凄いことになっているのを知り、兄の元に来る。
偉いぞ!弟!
そして、この弟が現れたことで、忠市の気持ちが大きく変わる。
表題の「巡礼」はどこに?と思っていたら最後、弟が、この先のことを四国88ヶ所をお遍路しながら、お大師さまに教えてもらおうと二人で旅に出るのです。
最後は、ちょっとホッとして、救われました。
ず~っと重たい気持ちで読んでいたので。
なかなか、読み甲斐のある物語でした。
★★★
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★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
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