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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2005年6月


加賀様は悪霊だ。丸海に災厄を運んでくる。妻子と側近を惨殺した咎で涸滝の屋敷に幽閉された加賀殿の祟りを領民は恐れていた。井上家を出たほうは、引手見習いの宇佐と姉妹のように暮らしていた。やがて、涸滝に下女として入ったほうは、頑なに心を閉ざす加賀殿といつしか気持ちを通わせていく。水面下では、藩の存亡を賭した秘策が粛々と進んでいた。
著者の時代小説最高峰、感涙の傑作。


                  (発行/新人物往来社)




宇佐は親分をなくし、引手の役も失い、渡部一馬の世話で中円寺の寺子として

身を寄せる生活に。
英心和尚は穏やかなもの言いでいい。

ほうは加賀殿が幽閉されている涸滝の屋敷で働くことになる。
女中の一人が亡くなり、その代わりとして。
舷洲先生も時々、屋敷に来たり、心優しいお侍の石野などがいて
ほうの暮らしもまあまあ平穏で安心。

そして加賀殿にも接することになる、ほう。
鬼だと恐れられていた加賀殿だったけれど、ほうに対しては優しく
手習いの相手もしてくれる。
加賀殿にとっても、法と過ごす時間はかけがえのないものだったのでは?


火事が起きたり、大雨で雷鳴が鳴り響き、落雷と災難が次々と起き、
それらは全て加賀殿の存在がもたらすものだという噂。

涸滝の屋敷にも雷が落ち、加賀は、ほうに逃げろという。
宇佐の元へ帰れと。


ほうが無事、元の場所に戻れたことはよかった。
けれど、宇佐は落雷により倒れた木の下敷きになり命を落としてしまっていた。

2人が無事に再会できたらよかったのに・・・
それだけが残念だったな~(/_;)


加賀がほうの名前は阿呆のほうでなく、最後に「宝」のほうだと
書き遺してくれていたのには感動。


                     ★★★★★

そこでも優しい

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発行年月:2005年6月


北は瀬戸内海に面し、南は山々に囲まれた讃岐国・丸海藩。江戸から金比羅代参に連れ出された九歳のほうは、この地に捨て子同然置き去りにされた。幸いにも、藩医を勤める井上家に引き取られるが、今度はほうの面倒を見てくれた井上家の琴江が毒殺されてしまう。折しも、流罪となった幕府要人・加賀殿が丸海藩へ入領しようとしていた。やがて領内では、不審な毒死や謎めいた凶事が相次いだ

                 (発行/新人物往来社)



宮部さんの本は殆ど読んでいるのだけど、これは知らなかった。
上下巻だけど、読みやすいし先が気になり、どんどん読める。


幼い女の子・ほうの生い立ちがなんとも過酷だけど、丸海藩の元に来てからは
親身になってくれる人たちに出会えてよかった。
しかし、良い奉公先だった藩医を勤める井上家で、可愛がってくれていた
お嬢様の琴江がいきなり不審な死を遂げてしまい、ほうはまた新たな場所で
暮らすことに。
新たな場所でも女ながら引手見習いとして働く宇佐に出会い、一緒に暮らす。
本当の姉妹のようで微笑ましかったのに、その暮らしもまた終わってしまう。

丸海藩に罪人となった加賀守利が来て、度々起きる不審なことも不思議なくらい
なかったことに・・・
独自に真相を突き止めようとする宇佐だけど、宇佐自身も引手の仕事から
遠ざけられてしまう事態に・・・・


ほうは、この先、無事に過ごせるのか?

諸々起きる不審なことの真相も下巻で明かされていくのかな?
続けて下巻を読もう。



                      ★★★




発行年月:2024年10月


万作・おたま夫婦が継いだ千吉親分の文庫屋が、放火により火事になった――。

 下手人は、台所女中のお染だというが、親分の家でお染に世話になった北一は信じられず、その疑いを晴らすべく奔走する。

 さらに、焼け出された人たちが過ごす仮住まいでも事件が起きていた……。

 そんななか迎えた新しい年。北一は、ある事をきっかけに、三十年近く前に起きた、貸本屋・村田屋治兵衛の妻殺害事件の真相を明らかにしようと決意する。もちろん、湯屋の釜焚きをしている相棒・喜多次の協力は欠かせない。二人は、この難事件を解決することができるのか。

 「ぼんくら」シリーズ(講談社文庫)の人気キャラクター「おでこ」も、二人を助けてくれる存在として登場。

 岡っ引き見習いの北一と、謎多き相棒・喜多次の「きたきた」コンビによる物語で、著者が「作家生活三十五年、集大成のシリーズ」と位置付ける時代ミステリー第三弾!


                    (PHP研究所HPより)


北一、喜多治、おでこが登場のこのシリーズ、毎回楽しい。
扱う事件は深刻なんだけれど、北一が暮らす富勘長屋の人々も明るくて
ほのぼの。


今回は二つの事件

<気の毒ばたらき>は
岡っ引き見習いとして師事してい千吉親分がなくなり、そのあとを
万作・おたま夫婦が継いでいるのだけど、そこが家事で焼失する。
そしてそれは放火によるものだと。
火をつけたのは、北一も良く知る台所しごとを請け負っていた住み込み女中の
お染。
お染は火をつける3日前におたまからお金を盗もうとしていたところを
目撃され、解雇されていた。


お染が世話になった場所に火を放つなんて、ちょっとショック。
その理由も、少し解せないものだった。
・自分の病が重く余命短い。
・奉公にあがるまえ、子どもを産んでいて、養子に出され、成長して
貧しい町医者として働いている。その子のためにお金を渡したい。

そんな理由で火、つけるかな??
ちょっと納得いかないな・・・・。
切羽詰まった精神状態で、やってしまったことなんだろうか?


気の毒ばたらき・・火事で人々が混乱しているのを悪用して「困りごとはないか?」
など気遣うふりをして近づき、盗みをすることらしい。
とんでもない人たちだなと呆れた。



二つめの<化け物屋敷>は
28年前、貸本屋の村田屋治兵衛の妻・おとよ(20歳)が
買い物に出たきり戻らず、10日ほどしてから酷い姿で遺体で見つかった事件。
下手人は捕まっておらず、当時、治兵衛が怪しいのではと疑う者も多かった。
北一は、治兵衛の潔白をなんとかして晴らしたいと奮闘する。


突き止めるために、おでこの知恵も借りる。
喜多治も助太刀に加わる。
北一自身も危ないめに遇いながら、真相を突き止めるのだけど、
下手人は亡くなっていた。

こちらも、そんな理由で?と驚くものだった。
女が憎いからって、関係ない女性ばかりを何人も殺めるとは・・・。
そして、そんな悪人を今も慕っていた犬の彫りものをしている男が
本当に憐れで不気味だった。


重たい話だったけれど、最初から最後まで一気に読んだ。
そして最後の場面で、少し救われた。
お染の息子・菊地順庵と名乗る人物の登場が今後もあるかな?


北一は17歳になっていた。
喜多治に体を鍛えてもらって、もっと逞しくなっていくかな?
今回は、何度か危なかったから、ヒヤヒヤしたけれど


このシリーズまだまだ読みたい。



                      ★★★★★



発行年月:


おちか、ついに母となる。宮部みゆきのライフワーク、待望の第九弾!
行く当てのない女達のため土から生まれた不動明王。悲劇に見舞われた少女の執念が生んだ家族を守る人形。描きたいものを自在に描ける不思議な筆。そして、人ならざる者たちの里で育った者が語る物語。
恐ろしくも暖かい百物語に心を動かされ、富次郎は決意を固める──。

                (角川書店HPより)



三島屋の百物語も9冊目なんだなぁ~。
聞き手がおちかから三島屋の次男・富次郎に変わったときは、少し
がっかりしちゃったけれど、聞き手としての富次郎もいいなと思えるようになった。
お気楽ものだとおもっていたけれど、ちゃんとした志すものがあるようで
今回は、どんな富次郎の葛藤のようなものも感じられて応援したい
気持ちが強くなった。

おちかも無事に女の子・小梅を出産。
その成長の話も今後、読ませてもらえるのかなぁ~と期待。


百物語は、今回は4つ。
表題の<青瓜不動>は、最初の話。望まない妊娠をしたお奈津。
自分で冷たい水に浸かり堕胎。
その後は、荒れた人気のない寺に棲み、そこで行商の六輔爺さんから
瓜の苗を植えろと言われ、それに従う。
育った青い瓜は、その土の悪い物を吸収し、食べられないが、それを
何度か繰り返すことによって作物が育つ土が出来ると。
奈津は、その後、自分と同じような境遇に置かれた女性たちを寺に住まわせる。

次の話<だんだん人形>も、おびんという村で評判の器量よしの少女が
悪代官によって辛い目に遇う話から始まる。
村人たちのために自分が犠牲になるおびんが作った土人形。
語り手の祖先が、おびんから貰った土人形が4代に渡って命を救ったという話。


<自在の筆>
絵師の男が、自身の筆を折り、それを飲み込み命、果てたという話。
この話を聞いた富次郎は、自身の絵師になりたいという気持ちに封印しようと決める。

<針雨の里>
ヤマワタリの巣とその卵の殻を売ることで生活している里に暮らすことになったナナシ。
そこでは雨の日は気を付けないいけないと。
針のように刺されて体に穴が開いてしまうからと。

その里に暮らす人たちの本当の姿がわかり、なんだか切ない気持ちになった。
ナナシとハチは村を出たあと幸せに暮らせたと信じたい。



今回も面白かった。

まだまだ読みたい、このシリーズ。



                      ★★★★★


発行年月:2023年4月

俳句と小説の新しい出会い。17音の奥に潜む繊細で彩り豊かな12の物語。
宮部みゆきが深い洞察力と鑑賞力で12の俳句から紡ぎだした玉手箱。社会派からホラー、SFに至るまで、あらゆるジャンルに足跡を残してきた宮部文学の新たなる挑戦!
※画像は表紙及び帯等、実際とは異なる場合があります。
もくじ
1. 枯れ向日葵呼んで振り向く奴がいる
2. 鋏利し庭の鶏頭刎ね尽くす
3. プレゼントコートマフラームートンブーツ
4. 散ることは実るためなり桃の花
5. 異国より訪れし婿墓洗う
6. 月隠るついさっきまで人だった
7. 窓際のゴーヤカーテン実は二つ
8. 山降りる旅駅ごとに花ひらき
9. 薄闇や苔むす墓石に蜥蜴の子
10. 薔薇落つる丑三つの刻誰ぞいぬ
11. 冬晴れの遠出の先の野辺送り
12. 同じ飯同じ菜を食ふ春日和

                (角川書店HPより)


ひとつの話が短くて読みやすく、面白かった。
内容的には、切なかったり、気持ち悪かったり、怖かったりというのが
多かったけれど・・・

印象に残ったのは、二番目の
<鋏利し庭の鶏頭刎ね尽くす>
この俳句を読んだだけで、なんだか恐ろしいかんじ。
内容も予想通りで、鶏頭を刎ね尽くした知美に「よくやった!!」と拍手したい。
こんな人たちと一緒に居たらダメ!絶対!!

しかし、これを読んだ 薄露さん、どういう想いでこれを詠んだんでしょう?
それがとても気になるのだけど・・・。


<薔薇落つる丑三つの刻誰ぞいぬ>
も何やら不気味な俳句。
でも、これは、幽霊に救われる話で、ちょっとファンタジーっぽくて良かった。


最後の<同じ飯同じ菜を食ふ春日和>
これは、家族が数年おきに訪れる夫婦の故郷の話。
娘さんがまだ幼児だったときから成人したころまでを描いていて
ほんわか。
これが最後なのもいい。


後ろに、この本が出来る経緯が書かれていた。
仲間とやっている俳句の会の作品を元に宮部さんが短編を書いたそう。

また新しい作品集、読めたらいいな。



                  ★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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