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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2015年10月


 ポール・オースターが絶賛した『インディアナ、インディアナ』(朝日新聞出版、2006)につづく、柴田元幸が翻訳を熱望するレアード・ハントの長編翻訳第二弾。南北戦争以前、ケンタッキーの山の中に住む、横暴な男。そこに騙されて連れてこられた一人の女性が二人の奴隷娘たちと暮らし始めると……。雲の女王になった話、黒い樹の皮の話、濡れたパイだねの話、タマネギの話など、密度の濃い語りですすむ、優しくて残酷で詩的で容赦のない小説。

                    (朝日新聞社出版HPより)




1960年頃、14歳で母のまたいとこである男・ライナス・ランカスターの元に嫁いだジニア。
そこには黒人の姉妹、ジニア(12歳)とクリオミー(10歳)が居て、奴隷とて
男の農場の豚の世話やら家事をしていた。
ジニアは最初、年が近い姉妹と本当の姉妹のように遊んでいたけれど・・・
あることを境に、姉妹に対して折檻する立場に。
そしてジニ-は夫に支配されるという日々。

過酷な状況で、精神的に参ってしまうジニアだったんでしょうけれど、姉妹に
とっても過酷さは同様。

姉妹のほかにも、ライナスに仕える奴隷がいて、アルフィブラスが時々
語る話は面白かった。
が・・・・彼もライナスに暴力を振るわれ、そのために命を落とす。


物語は、語り手が変わって行く。

奴隷として居た家から姉妹で逃げ出した姉妹のその後を語る姉のジニア。
時は50年後。
逃げ出してから姉が産んだ息子のプロスパーと共に、再び50年前に居た場所を
訪れる。
ジニーに会うため。

救いは、ジニーも家から出た後、優しい雇い主・ルーシャス・ウィルソンの元に身を寄せ、
穏やかな暮らしを迎えられていたこと。


物事の分別もつかない少女・ジニーが奴隷たちにした仕打ちは許されないけれど
彼女もまた被害者で弱い立場の者を力で押しつけて支配する男に腹が立った。

表題の意味は深い。

この時代、同じような優しい鬼が、たくさん居たんでしょう。


訳が巧いのか、読みやすかった!
同じ著者で同じ訳者の「インディアナ・インディアナ」もそのうち読んでみたい。


                          ★★★★★
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発行年月:2015年6月

 中庭のあるアパートに住んでいる子供たちが出会った奇跡。六つの物語からなる大人のための絵本。

遠縁のおばあさんに引き取られた、けなげな孤児の姉妹の話…「キャベツの奇跡」、ほとんど目が見えない時計職人の曾祖父が、孫娘にしてやったこと…「つぶやきおじいさん」、いじめられっこのゲーニャのために母がひらいた誕生会で起きた思いがけない出来事…「折り紙の勝利」等六篇。静かな奇跡に満ちた、心揺さぶられる物語集。

                   (新潮社HPより



6つの短編から成るが、最後の話で、みなが再び登場。
旧ソ連時代の人々の暮らしぶりも垣間見れる。

子供たちは、孤児になって、おばあさんに引き取られていたり、たいていの子供には
父親が居ない。
多くは戦争で亡くなったりしていて、どの家庭も貧しい。
そんな生活のなかでも、人と人のふれあいの中で微笑ましい場面があって
温かい気持ちにもなれた。

特に最後の話<折り紙の勝利>は、虐められっこの少年・ゲーニャの誕生会を
開いたお母さんの思惑通り、皆がゲーニャのことをバカにするどころか注目の的に
なって楽しいひと時を過ごすことが出来て良かった!

友だちと仲良くしたり、家族と笑い合ったり出来る日常の大切さを
感じさせてくれた気がする。

絵もユニークで良かった。


                       ★★★★★



発行年月:2014年8月


 若くして命を落とした弟。身重の妻と結ばれた兄。

過激な革命運動のさなか、両親と身重の妻の眼前、カルカッタの低湿地で射殺された弟。遺された若い妻をアメリカに連れ帰った学究肌の兄。仲睦まじかった兄弟は二十代半ばで生死を分かち、喪失を抱えた男女は、アメリカで新しい家族として歩みだす――。着想から16年、両大陸を舞台に繰り広げられる波乱の家族史。

                 (新潮社HPより)




著者はロンドン生まれだけど、両親はカルカッタ出身のベンガル人だそう。
幼少期に渡米し、この物語の舞台でもあるロードアイランド州で育ったらしい。
きっと彼女の生い立ちが、この物語に影響されているんだろうなぁ~。


物語は、最初、1つ違いの兄・スパッシュとウダヤンが仲良く遊ぶ姿を描く。
やんちゃなウダヤンに対して控え目な兄のスパシュ。
両親を驚かせたり、感心させたりするのは弟の役目だと思って居る。

2人は成長し、いつも一緒に行動していたが、それぞれ別の大学に進み
お互いが別の環境で親しい人たちと接する時間が増えていく。
大学卒業後、スパシュはアメリカに渡り、博士課程で学ぶ。

一方に弟・ウダヤンは次第に反政府運動にのめり込み、警察から追われる身に。
そして身重の妻と両親の目の前で警察官により射殺され遺体も連れて行かれる。

そんなことを知ったスパシュは、ウダヤンの妻・ガウリをこの家から連れ出すことが
救うことだと決意し、説得しアメリカに連れて行く。
やがて、夫婦として生まれて来た女の子・ベラを育てる。


スパシュの取った行動はなかなか出来るものではないし、彼の優しさに感動する。
が・・・・やがてガウリは家から出て行く。
ガウリの行動は母親としてはヒドイなぁ~と思うけれど、その心境を考えると
一概に避難だけするのも酷な気もする。

スパシュは弟の娘を自分の子として愛情を持って育て、本当のことをいつ
話そうか考えている。

スパシュの苦悩を思うと胸が痛む。

物語は、スパシュ目線で書かれたり、ガウリ目線で書かれたり、またベラ目線、または
スパシュの母・ビジョリ目線でも描かれる。
射殺されたウダヤンのその時も気持ちもまた最後の方で語られ、色々な人の思いが
それぞれよく伝わってくる。

色々な人の心の奥の苦悩を伝えているので、重苦しいけれど、この家族の行く末が
気になり、最後まで一気に読んだ。

ラストは、スパシュが自分の幸せを掴んだようで、ホッとした。


海外の文学は、やはり日本の文学と雰囲気が違うのでたまに読むのはいいな。


                        ★★★★



発行年月:2005年11月


 禁断の恋。懊悩。ホロコースト。孤独な少年の夢想が残酷な過去を掘り起こす。

父と母は何か隠している……。ひとりっ子で病弱なぼくは、想像上の兄を作って遊んでいたが、ある日、屋根裏部屋で、かつて本当の兄が存在していた形跡を見つける。両親の秘密とは何か。ナチスによる弾圧と虐殺のはざまで、二人に何が起ったのか。一九五〇年代のパリを舞台にした自伝的長編。高校生が選ぶゴンクール賞受賞作。

                     (新潮社HPより)




スラスラと読めました。

ナチスによるユダヤ人迫害の物語ですが、淡々と描かれていて、読むのが苦しくなる
ような描写は少ないのです。
けれど、それを体験した家族のことを考えると何とも言えない重たいものを感じます。

この物語は、著者人の自伝書。
物語の主人公・フィリップは著者自身。

パリで両親と暮らすフィリップ少年。
両親は鍛えられた筋肉を共に持ち、スポーツ用品の専門店を営んでいる。
けれど、少年は病弱でやせっぽち。
幼いころから、兄のいる友人たちが羨ましく、一人っ子の自分にも兄がいたらいいなと
想像上の兄がいつも一緒であるという雰囲気を感じながら生活する。
けれど・・・ある日、母と一緒に屋根裏部屋に行き、思わぬ発見をする。

両親が結婚するまでのこと。
そして、驚くことに、自分には本当にかつて兄がいたということ。
15歳で大抵の両親の秘密を知ることになる。


成長した少年は、大学生になり、かつての両親のそれぞれの妻と夫(ふたりは姉弟)
のことを調べる。
記録名簿を閲覧して、強制収容所に送られた人の名前や登録番号、列車で送られた先、
収容所への到着の日付、そして生き延びられなかった場合には亡くなった日付を
知ることができるとか。
それによって、かつて存在した兄とその母親(かつての父の妻)はポーランドのガス室で
殺害された事実を知る。


それを知ったときのフリップの気持ちは、どんなだったろう?

あまり自分の感情を出さずに進む物語で、そのあたりは読者が想像するしかないけれど
それゆえ、余計にいろいろな物が胸に迫ってくる。


読み終えて、この表紙の写真、幼い男の子が、何やら会話しながら狭い路地を
行く姿を見たら、堪らない気持ちになりました(/_;)


                        ★★★★★




発行年月:2000年12月


妹にしか見えない大切な友だち ポビーとディンガン。
行方不明になったふたりを懸命にさがす兄と町じゅうの人々が
おりなす小さな奇跡。
せつなくて、あたたかくて、いとおしい。
世界一かわいくて、けなげな兄と妹の物語。

                 (本の帯文より/アーティストハウス)



図書館棚から借りて来た本。
表紙の絵が可愛かったので・・・。

お話の舞台は、オーストラリアのパールの採掘場がある街。
父親のレックスは一攫千金を目的に、この街に家族とともに引っ越して来て、
毎日土埃にまみれながら鉱山でオパールを探す。


ああ、オーストラリアに新婚旅行に行き、お土産に、オパールのイヤリングを
母に買ったっけ・・・なんて思い出したりして読みました。



表題のポビーとディンガンは、8歳の妹・ケリーアンにしか見えない友達。
兄のアシュモルはいつもそれをバカにしていたけれど・・・
行方不明になった友達を心配し、段々と衰弱していく妹の姿を見て
自分が見つけ出して、妹を元気にしてあげなきゃ!と
実際に探し回り、町じゅうの人たちにも協力を求める。

このアシュモルの姿が健気で泣ける(/_;)。


そして起きた奇跡!
それで、ハッピーエンドになるかと思えば・・・・。


なんと切なく温かい物語なんでしょう。


調べていたら、これ映画化もされてるみたい。



ちょっと興味あるので、機会があったら見てみよう。


                             ★★★★ 
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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