発行年月:2015年1月
二八歳の田中真紀子は、友人のイチローから誘われ、彼の家に間借りすることになった。その家は建て増しに建て増しをを重ねた奇妙な家で、真紀子はガレージの上にある赤い小屋に住むことに。イチロー父は全裸で現れるし、女優の母、無職の姉、モテ系女子の妹も一癖ある人ばかり。そんなある日、イチローは、自分はおなじ一日が二回繰り返されることがあると真紀子に打ち明けるのだった。
(講談社HPより)
飲み会で知り合って数回会っただけのイチローの家に間借りさせて貰うことに
なった田中真紀子(28歳)。
イチローの家族(木村家)は、変わったひとばかり。
でも、皆憎めない良い人たち。
父・将春(58歳)・・・全裸でいることが多い。彼が家を増築し続けている。
母・みすず(本名・正子)・・・女優。撮影のロケで長期間留守にすることも多い。
姉・文(ふみ30歳)・・・イラストレーターとして仕事をしている。家族の料理を作る。
妹・絵波・・・イギリスに短期留学していたが帰国。
最初は、風変わりな一家との関わりが楽しく、それが続く物語なのか?と
思ったら・・・・真紀子の両親との関わり(特に母親)に異常なものを感じて
嫌な気持ちになりました。
こんな母親の娘だったら、毎日が憂鬱だろうな~。逃げ出して正解!と思った。
そして木村家の複雑な関係も。
将晴とみすずは再婚同士?
二人が結婚したときには、既にみすずのお腹には文が居て・・・
二人の本当の子どもはイチロー(壱千郎)のみ。
イチローが生まれて暫く、みすずは行方知れずになり、戻って来た時には
絵波を抱いていたという。
文が現在の暮らしになるまでの経過もちょっと悲惨で同情。
そんな大変な思いをしてきたんだ~と思ったら、一番幸せになって欲しい人だと
思った!
だから、最後、家を出て一人で暮らす決心をしたのは、嬉しかった!
この物語の人たちが、これから先、どんな風に生きて行くのか?
ちょっと続きを読みたくなる。
長いけれど、退屈せず読めて、もっと読んでいたいと思わせるのはさすがだ。
★★★★
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発行年月:2014年7月
第151回芥川賞受賞作。
行定勲監督によって映画化された『きょうのできごと』をはじめ、なにげない日常生活の中に、同時代の気分をあざやかに切り取ってきた、実力派・柴崎友香がさらにその手法を深化させた最新作。
離婚したばかりの元美容師・太郎は、世田谷にある取り壊し寸前の古いアパートに引っ越してきた。あるとき、同じアパートに住む女が、塀を乗り越え、隣の家の敷地に侵入しようとしているのを目撃する。注意しようと呼び止めたところ、太郎は女から意外な動機を聞かされる……
「街、路地、そして人々の暮らしが匂いをもって立体的に浮かび上がってくる」(宮本輝氏)など、選考委員の絶賛を浴びたみずみずしい感覚をお楽しみください。
(文藝春秋HPより)
芥川賞受賞作品って、よくわからないものが多いけれど、
これは意外とすんなりこの世界観に入りこめて、なかなか面白かった。
表題の「春の庭」ってなんだろ?と途中まで思いながら読んでいたら、
なるほど主人公の太郎が暮らすアパートの隣に建つ家のことだったんですね。
同じアパートの住人・西さんが最初、その家に興味があるといい
その理由を聞く。
その家が載っている写真集の名前が「春の庭」。
その家は水色の洋館で、20年ほどまえに住んでいた夫婦が日々の暮らしを
撮って写真集にしたもの。
夫はCMディデクター。妻は劇団女優。
離婚歴ありの太郎が、段々とアパートのほかの住人と顔見知りになり交流を持ち
やがて、空き家だった洋館に越してきた森尾ファミリーとも親しくなる様子が
楽しかった。
でもラストはちょっと「え?」という事件めいたものが出てきて驚いたけれど
事実じゃなかったのね?
でもそういう事があっても不思議じゃない前振りがあったので
ちょっと真相は・・・・・。
ササッと読み終えたけれど、なかなか面白かった。
こういう雰囲気好きだな。
★★★★
発行年月:2004年4月
人を思う気持ちはいつだって距離を越える……
遠く離れた距離で“ショートカット”する恋人たちが体験する日常の“奇跡”!
(河出書房新社HPより)
4つの短編。
別々の話なのに、繋がっているかんじ。
<ショートカット>
バイト仲間の子から誘われて合コンに参加し知り合った、なかちゃんと名乗る男から「ワープ」の話を聞き自分も同じように東京にワープしたいと思う。
<やさしさ>
カフェの一周年記念パーティーの帰り道、親友の親友と一緒になりそれぞれが
東京に居る好きな人のことを思う。
<パーティー>
フリーマーケット会場に友達と二人で行き、声を掛けてきた、なかちゃんという
妙に馴れ馴れしい男性から写真のモデルに二人でなって欲しいと頼まれ
仕方なく承諾。
後日、写真を撮るために会って、その後・・・
<ポラロイド>
雑誌編集者と飲んでいるカメラマンの女性。
会話の成り行きで「今から仙台に行こう!」と決めて上野駅まで行くが
最終が出たのは2時間前。
解散し、前の日から泊めて貰っている友人宅に行くと、友人は不在で
弟が迎え入れてくれる。
友人の置いて行った携帯電話が鳴るので出ると、写真の専門学校で同じだった、
なかちゃんだった。
どれもなかなか面白かった。
偶然が作った人間関係から生まれる奇跡のようなこと。
共通して出てくる、”なかちゃん”がインパクト大!
妙に馴れ馴れしいけれど、嫌みがないかんじなので、みんな受け入れる。
なかちゃんと知り会う人たちは、大阪に居るのかな?
そして、なかちゃんも皆も、東京に好きな人がいたり、気持ちが時々
東京に向かう。
なかちゃんの言う「ワープ」の話は、最初の話では、ちょっと不思議だったけれど
案外、そうしたいと思えば、躊躇することなく実行したらいいだけかもね。
若ければ、自分もこれ読んだ後、どこかに向かって行きたくなるかも・・・^m^
話としては、3番目の<パーティー>が面白かったな。
なかちゃん、何者なんだろ?
面白い人だな。
こういう友達ほしいかも。
★★★★
発行年月:2014年4月
片想いをモチーフにした連作短編集。
彼の部屋でラブレターを見つけた女、好きな人だけに振り向いてもらえないOL,
まだ恋を知らない女子高生、数か月で離婚したバーテンダー、恋人に会えない人気モデル、元彼の妻のブログを見ることを止められない二児の母・・・・・。
等身大の恋の物語
(発行:幻冬舎)
・五月の雨
・さっきまで、そこに
・ほんの、ちいさな場所で
・この夏も終わる
・雨が止むまで
・Too Late, Baby
・九月の近況をお知らせします
7つの短編、どれも恋の話だけど、ドラマチックなことは何も起きない。
誰かの日常を覗かせてもらっているかんじ。
ある意味、リアルかもね。
高校生の恋を描いた2つが好きだった。
<さっきまで、そこに>と<この夏も終わる>は、好きな人には思いが届かず
でも男子って、まだまだ男友達と居る時間の方が楽しかったりするんだろうなぁ~。
たわいもない話だけれど、こういう話を飽きずに読ませられるのは
やはり巧いってことなんだろうな。
しかし、大きな感動とかはないので、感想を書きにくいです^^;
この表紙の絵、くらもちふさこさんだったんだ~。
ずいぶん、漫画見てないけど、こういう絵だったっけ??
★★★
発行年月:2012年6月
会えない人と、死んでしまった人と、どこに決定的な違いがあるのだろうか。

世界は変わってしまったと騒ぐけど、いつのまにか戻っている。戻ったみたいに、なっている-----。大阪で、ユーゴスラヴィアで、墨田区で、アフガニスタンで、世田谷で、イラクで、瀬戸内海で、ソマリアで……、わたしは、かつて誰かが生きていた場所を、生きていた。今この時を確かな言葉で捉えた作家の放つ、圧倒的飛躍作。
(新潮社HPより)
タイトルから惹かれるものがあった。
主人公の36歳・平尾砂羽(さわ)は離婚して引越した。
休みの日は一人で戦争に関するドキュメンタリ-番組を見るのがすき。
そして偶然、ネットで見つけた作家・海野十三の敗戦日記を知り、文庫を買い求め、
終戦間際の海野氏の日記を読みながら、あれこれ考える。
自分の祖父も1945年の広島でホテルのコックをしていたと聞く。
砂羽の日常はごくごく普通。
職場の同僚とのたわいない会話。
友人の中井は、自由気ままに旅を続け、その様子を帰って来ると報告してくれる。
そして、中井との会話にたびたび登場の行方知れずの葛井(クズイ)。
ごく普通の生活をしながら、ふとした瞬間に、自分が居るこの場所の
過去に起きたこと、そこに居た人のことを思う砂羽。
旅行中には、たびたびそういう気持ちになることがあるけれど、
自分が今、ここに存在しているのは、いろいろな偶然が重なってのことなんだと
改めて気づかされた。
砂羽が読む『海野十三敗戦日記』・・・ちょっと読んでみたい。
なかなか深い話だった。
★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
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