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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2021年3月

とある町の、路地を挟んで十軒の家が立ち並ぶ住宅地。そこに、女性受刑者が刑務所から脱走したとのニュースが入る。自治会長の提案で、住民は交代で見張りをはじめるが……。住宅地で暮らす人間それぞれの生活と心の中を描く長編小説。

                    (双葉社HPより)




冒頭の住宅地にコの字形に並ぶ10軒の地図。
それぞれの家族構成などが簡単に紹介されていて、物語を読みながら
こちらの頁を度々、眺めるかんじ。


それぞれの家の生活の様子が少し書かれていて、なんだか重苦しい事情を
抱えている家が少なくなく、ちょっと気が重たくなる。

けれど、そこに絡んでくる刑務所から脱走した36歳の日置昭子。
地元の人で、会社の金を10年間横領していた罪で収監されていたという。



物語のなかには、昭子の同級生だという男性と
昭子が母親の姉だという少年がいる。



そして、住宅地の自治会長の役が廻ってきた丸川は、10軒で交代で
見張りをしようと話を進める。


住人のなかでちょっと危なそうな25歳の大柳のことが心配だったけれど
日置昭子のおかげで自身が犯そうとした罪から遠ざかることが出来て良かった!


そして三橋家の12歳の息子くんのことも心配だったけれど、こちらも
この騒動のおかげでちょっと明るい未来が見えてきた。


日置昭子、犯罪者には違いないけれど、同情する。
新しく人生やり直せるといいなと思う。



                      ★★★★
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発行年月:2020年6月

ある日、千春はバイト先の喫茶店で客が忘れていった一冊の本を手にする。それは誰からもまともに取り合ってもらえなかった彼女がはじめて読み通した本となった。十年後、書店員となった千春の前に現れたのは。人生は、ほんとうにちいさなことをきっかけに動きだす。たやすくない日々に宿る僥倖のような、まなざしあたたかな短篇集。

                  (新潮社HPより)



9つの短編集。

表題作は最初。
<サキの忘れ物>
サキは、詩人の【サキ】だった。

偶然、出会った人から受けたことがキッカケでその後の人生が変化していく
とても良いお話だったなぁ~。


物語の中に出てきた 文庫本の【サキ短編集】読んでみたくなった!



二番目の<王国>は、幼稚園児が主人公。
感性が豊かで、光を見つめているとラッパムシのデリラ(自分で名付けた)
が現れる。
けがをした膝の傷の様子を毎日、観察して、丸くて赤い湖のなかに
浮かんでいる三角形の島は、女王が治めている国。


最初のこの2つが好き!

ほかの作品もそれぞれ面白い。

<ペチュニアフォールを知る20の名所>
<喫茶店の周波数>
<Sさんの再訪>
<行列>
<河川敷のガゼル>
<真夜中をさまようゲームブック>
<隣のビル>


全部読んだあと、この表紙の絵を見ると、また楽しい気持ちになる。

短篇も面白いな。津村さん!


                       ★★★★



発行年月:2018年6月


 こういう話をしてるとさ、どんな気持ちでも生きていけるんじゃないかって思うよね」。
サッカー22チームの22人のファンたちは、それぞれの思いを抱いて2部リーグ最後の試合の「その日」に向かう。職場の人間関係に悩む会社員、別々のチームを応援することになった家族、憧れの先輩に近づきたい男子高生、十数年ぶりに再会した祖母と孫など、普通の人々のかけがえのない喜びを、サッカーを通して鮮やかに描き出す連作短編集。
装画:内巻敦子 

 <目次予定>
第1話 三鷹を取り戻す/第2話 若松家ダービー/第3話 えりちゃんの復活/第4話 権現様の弟、旅に出る/第5話 眼鏡の町の漂着/第6話 篠村兄弟の恩寵/第7話 龍宮の友達/第8話 また夜が明けるまで/第9話 おばあちゃんの好きな選手/第10話 唱和する芝生/第11話 海が輝いている/エピローグ――昇格プレーオフ※単行本書き下ろし版

 <本書に登場する架空の22チーム>
オスプレイ嵐山、CA富士山、泉大津ディアブロ、琵琶湖トルメンタス、三鷹ロスゲレロス、ネプタドーレ弘前、鯖江アザレアSC、倉敷FC、奈良FC、伊勢志摩ユナイテッド、熱海龍宮クラブ、白馬FC、遠野FC、ヴェーレ浜松、姫路FC、モルゲン土佐、松江04、松戸アデランテロ、川越シティ、桜島ヴァルカン、アドミラル呉、カングレーホ大林

                    (朝日新聞出版HPより)



楽しかった!
Jリーグファンなら間違いなく楽しめる!

これを書くために2年間、日本全国のスタジアムに足を運んで取材したとか。
凄いなぁ~。

架空のチームだけれど、地元のヴェーレ浜松の物語には
ジュビロ磐田のJ2降格、J1昇格失敗に泣いた、悔しい試合の話など
実際の試合のエピソードが盛り込まれていた。

たぶん、他のチームの取材して同じような実際にあったことを盛り込んで
いるんだと思う。


サポータのあるべき姿も示してくれた気がする。

どんなに負けても、次は勝ってくれると期待し続けるのがサポーター。
選手が懸命にやったなら労いの言葉、不甲斐ない試合内容にはブーイング。
相手チームとサポーターにも常に敬意を。


ホームでの観戦しかしたことないけれど、アウェイの地に観光を兼ねながら
応援に行くのも楽しそうだなぁ~。


                     ★★★★



発行年月:2017年4月


七十二候を芥川賞作家が書いたらどうなった? 
骨正月、猫の恋、蚯蚓鳴く……。
四季の言葉から生まれた脱力系歳時記エッセイ

                  (平凡社HPより)


新年の話から年の終わりまで、七十二候に沿ってあれこれ出来事を
綴っている。

季節ごと、思い出す津村さんのお話、どれも面白い。
なるほどね~とか、うんうんわかる!とかいちいち心のなかで思いながら
楽しく読んだ。

ミミズ・・・蚯蚓って書くんですね。
初めて知った・・・すぐ忘れるだろうけど^^;



                      ★★★



発行年月:2016年10月 

初の海外旅行を前に死んでしまった私。幽霊となって念願の地を目指すが、なぜかブラジルに到着し……。川端賞受賞作「給水塔と亀」を含む、会心の短篇集!

【収録作】
「給水塔と亀」…定年を迎え製麺所と海のある故郷に帰った男。静謐で新しい人生が始まる。〈2013年川端康成文学賞受賞作〉

「うどん屋のジェンダー、またはコルネさん」…静けさのないうどん屋での、とある光景。

「アイトール・ベラスコの新しい妻」…ウルグアイ人サッカー選手の再婚の思わぬ波紋。

「地獄」…「物語消費しすぎ地獄」に落ちた女性小説家を待つ、世にも恐ろしい試練とは。

「運命」…どんなに落ち込んでいても外国でも、必ず道を尋ねられてしまうのはなぜ?

「個性」…もの静かな友人が突然、ドクロ侍のパーカーやトラ柄で夏期講習に現われて…

「浮遊霊ブラジル」…海外旅行を前に急逝した私。幽霊となって念願の地をめざすが。

                       (文藝春秋HPより)



こんな色々なハチャメチャで可笑しい物語、どうやって思いつくんだろ?
ハチャメチャだけど、意味不明というわけじゃいので読みやすい。


最初の話と二番目の話の登場人物は同じかな?
最初の話で、定年退職後、妻も亡くし独りの身で、気楽に以前住んでいたことが
ある地に引っ越した男の話が出て、その次の話は通い始めたうどん屋で
見かけるコルネさんと勝手に名付けた女性を観察していて起きたことを語る話。
状況が目に浮かぶかんじで可笑しい。
美味しくてもこういううどん屋は嫌かも^^;


どれも面白かったけど、<地獄>と<浮遊霊ブラジル>が好き。
どちらも死んじゃってからの話。
<地獄>に落ちた主人公だけど、地獄の鬼もなんだか普通の人間と同じかんじだし
課せられたものは、それなりに大変そうだけど、なんだか可笑しい。
物語、消費しすぎ地獄とおしゃべり下衆野郎地獄・・・・^m^

<浮遊霊ブラジル>
何のこと?と思ったら死ぬ前に町内会でアイルランドのアラン諸島に行く事が決まって
いたので、それが心残りで成仏出来ずにいる72歳の男の話。
死後、人に偶然、憑りつく方法を見つけ、次々とアラン諸島に行く可能性のありそうな
人に次々と憑いて行く話。
ブラジルに行ったときの話が面白かったな~。


津村さんの次回作も楽しみに待ちます。


                          ★★★★★

 
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