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読んだ本の感想あれこれ。
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27cdf6ee.jpeg発行年月:2009年11月


美しく壮大な自然に囲まれた長野県安曇野。ここで生まれた少年が「いとこおば」にあたる同い年の少女に恋をした-----五感に響く描写で、生き生きとその姿を描く。



                     
(ポプラ社HPより)

流星とリリ-の初めての出会い。
安曇野の田舎で毎年、夏にだけ一緒に過ごす子ども時代。
広大な自然のなかを、生き生きと駆け回る様子は楽しかった。


流星にとってリリ-はいとこおばに当たる。
流星の父とリリ-がいとこ。

年は、流星が1つ下。とはいえ、3月生まれのリリ-と4月生まれの流星なので、学年が1つ違いなだけでほぼ同年。
けれど、子どもの頃から活発で男勝りのリリ-がのろまな流星をいつも引っ張るかんじ。
大人に段々成長する過程で、少しは対等になるけど、やはり大人なのはリリ-かな?


一時、親戚関係にあるリリ-との事に悩む流星にずっとソバで見守ってきたひいばあさんの菊さんの一言が流星を後押したんだろうな。
「従兄弟でも結婚できる時代。二人はそれよりずっと遠いんだし・・・」
菊さんが素敵でした。
作るお料理が全部、とても美味しそうでした(^^)

成長しながら、お互いの環境も変わり、何度か別れを繰り返す二人。
二人共、他にお互い以上に分かり合える人に巡り合えなかったのかな?と考えるとちょっと寂しいかんじもしちゃうけど、ま、ハッピ-エンドで良かったということかなぁ?

最後、二人で家系図を眺めながらの会話がいいな。
あと・・・

命日は亡くなった日でもあるけど、天国でのお誕生日なんだね。
全然、悲しい日じゃないんだね

ということばもよかったな。

生まれる命あり、逝く命あり・・・・どんどん血は繋がっていくんだな~。


★★★
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2569f11a.jpg   発行年月:2006年9月


   専業主婦の恭子は、夫の子供を身篭ったという
   不倫相手を毒殺、
   完全犯罪を成し遂げたかに思えたが、
   ある疑念を抱き始める。
   
   罠が罠を呼ぶ傑作ミステリ。

                          
 (幻冬舎HPより)



長い話ですが、面白くて、殆ど一気読みでした!

夫の出張中に不倫相手だという女・関口真弓からかかってきた電話に激しい憤りを感じる恭子。
プライドが高い彼女に殺意を抱かせるだけの言葉。
そして、真弓を毒殺。

犯人が最初にわかるパタ-ンの推理小説。
でも、その後が面白い。
完全犯罪かと思われた恭子の綿密な犯行だったが・・・
捜査段階の割と早くから刑事・戸田は、恭子が犯人なのでは?と睨み、その確証を得るための推理と捜査の過程が面白い!
いろいろな仮定を立ててひとつひとつを事実と併せて検証してゆく。

そして、事情聴取での刑事・戸田と恭子のやりとり。

罪を割りとアッサリ認める恭子だったが、どこか自信に満ちている態度に違和感を覚える戸田。

そして裁判・・・・・ここからがまた面白かった!

いろんな人間が出てくるけれど、自然と頭のなかに残っていて、「あ~この人は・・・」とその前に書かれていた伏線がこういう風につながるんだ!と納得。

鋭い推察力の刑事・戸田ですが、彼女の本当の殺害理由はついに謎のままというのもいい。
ラストは壮絶だけど、恭子らしい。


これは、2009年にドラマ化されたそうですが、正にドラマを見ているような感覚で読めます。f36f6f58.jpeg
ドラマ、見てみたかったなぁ~。

恭子役は米倉涼子。
刑事役は舘ひろしだったんですね!!

他にも豪華キャスト!
う~んDVDないかな?(笑)


著者は60過ぎでこの本でデビュ-とか。
最初は自費出版。その後、出版社から単行本として発行され、売れに売れ増刷も何度かされてる作品だそうです。

この次に出した「目線」は先に読みましたが、それもなかなか面白かった!

次の作品も期待します!!


著者のこの本に賭けた意気込みのようなものも垣間見える
幻冬舎のこちら(氷の華 もうひとつのスト-リ-)のペ-ジを気になる方は一緒にどうぞ♪

 

★★★★★


           

 


 

                         

           
 


 

57fefe2e.jpeg発行年月:2009年10月


酉乃初、普通の高校一年生。
だけど実は・・・・・
レストランバ-『サンドリヨン』でマジシャンとして活躍する彼女が遭遇した出来事を解き明かす。

第19回鮎川哲也賞受賞
(東京創元社HPより)
 
ポチこと須川くんが可愛い♪
学校では無口で無表情の女の子・酉乃初のことが気になって仕方ない。

レストランバ-でマジックを披露する酉乃を偶然、見かけ、学校で見せる表情とはまるで別人の様子に更に興味が増して、学校で勇気を出して話しかけ、事の成り行きで一緒の図書館へ。
そこで、最初の謎に遭遇。

その謎を見事解明するが、解明したことにより人を傷付けてしまったと落ち込む酉乃を優しく見守る須川くん。
そして傷付けた相手を偽善でも良い、何もやらないよりは・・・・と思い直し得意のマジックで勇気付ける。

青春っぽくて爽やかな話でスタ-ト。

その後も学校内で起きる不可解な出来事を須川くんに乗せられながら、解明していく。

そこには、妬みやちょっとした軋轢があり、学校内の人間関係がリアルに描かれていました。

校舎から飛び降り自殺した女生徒の幽霊が出る話がちょこちょこ出てくるが、最後にその真相も明かされる。
なるほど、そういうことでしたか!?と気持ちよく終わって、読後も爽やか。

謎の部分が多い、酉乃初だけど、須川くんのおかげで、今まで自分のなかで我慢していた感情を素直に出せたり、二人の間に信頼関係が確実に芽生えたようで、微笑ましかったな~(^^)

最初から最後まで、楽しめ一気読みでした!

次回作も期待したい作家さん!


★★★★★
0bd00a31.jpg発行年月:2009年11月


奴らが俺を追ってくる----お前は、敵か、味方か?
FN大賞史上最凶作、降臨。

父親に虐待される14歳、誇大妄想に囚われるホ-ムレス。うらさびしい巨大な団地で孤独な魂がこすれ合い、喜びと憎しみの火花を散らす。男がつぶやく「増大派」とは、いったい誰のことなのか?じわじわと厭な気持ちになるのに、ペ-ジをめくる手が止まらない!狂気に憧れたことのあるすべての人に贈る挑戦状的作品。

                                     
(新潮社HPより)

第21回日本ファンタジ-ノベル大賞 大賞受賞作ということで、読みましたが、こんなファンタジ-は初めて!
暗いです。
悪意と狂気が渦巻く闇のなかをず~っと進むようなかんじです。

でも、最初の頁からなんだか魅力ある文章で飽きずに読み終えました。

主な登場人物は二人。

ひとりは14歳になろうとしている(途中で誕生日を迎える)中学生の舜也、両親と弟と団地に暮らすが幼いときから父親から暴力を繰り返し受けている。

もうひとりは、愛犬とともに公園で寝泊りしている男。子どもも時に、この世は増大派と減少派に分かれ両者は戦っていると気づいたという。自分は減少派で、増大派から隠れている。見つかれば殺されると思いながら、生活している。


二人の話が別々の場所を舞台に、時に時代を前後しながら語られるので、少々、読むのに時間がかかってしまった^^;
でも、整理しながら読むと、凄い話!

二人の生い立ちには、共通している物が多い気がした。それは「絶望」かな?

ある日、二人は出会う。
男は、少年を敵ではないと判断し、自身のことを少し語り、探し人を一緒に探すこともする。
仲間意識をお互いに持ったようなかんじなのに・・・・・

ラストは凄い!
こういう結末は全く予想してなかった。

少しも救いがない。

なんだかショック!
久しぶりに衝撃的な作品を読んだというかんじ。

好きな話じゃなかったけど、凄いな、この人(作家さん)!と感動した。

これがデビュ-作とか。
1974年生まれだそうですが、それまで何をしていたんでしょ?

また、何か書いて欲しい!

★★★★
b910831d.jpg発行年月:2007年4月


現役医師が描く「医療の危機」!困難に立ち向かう医師たちのドラマ!

城南大学病院に勤める女性医師・柊奈智は、深夜の当直で容態の急変した胎児を救うために緊急帝王切開を行なう。それは、生死を分けるギリギリの判断だった。だが、それから悪夢が始まった。過酷な勤務の中、次々と奈智を襲う試練。そして、ついに、迎えた医療における最大の悲劇にショックを受けた奈智は・・・・・・。

                                      
(早川書房HPより)

この秋スタ-トのテレビドラマ「ギネ 産婦人科の女たち」の原作本ということで興味があり読みました。
著者は現役の産婦人科医師で教授。
その立場から、現場の過酷な状況を臨場感溢れる描写で書きながら、産婦人科医師としての著者本人の今の日本の周産期医療の遅れを鋭く指摘されていました。

患者さんに精神誠意、向き合い、その場その場で一番良いと判断した処置を行なっている医師たち。
そんな医師でも、不幸な結果が起きてしまったら?
物語は、そんな設定で進みます。

お産は病気じゃない。赤ちゃんが生まれて母子共に無事に退院するのが普通だと認識されている今の世の中。
そこで、母子死亡という事態が起きてしまったら?
遺族のショックが大きいのは想像つきますが、医師側のショックも計り知れないものだと、読者はこれを読んで気づく。

ショックを受けた担当医と遺族、それぞれ同じ哀しみを抱えながら、周りからいろいろな影響にさらされ裁判というものにより、敵対するような形を取らざるを得ない状況はどうにかならないものか?
いろいろな影響の最たるものは、マスコミの容赦ないバッシング。

医師の助けられなかったという自責の念は、置きざりにされ、病院のトップは過失はなかったの証拠集めに奔走。
そんな様子を遺族側は、担当弁護士から聞かされ、信頼していた気持ち一挙に失う。
なんとか助けようと懸命に処置を行なった医師が訴えられる側になってしまう。

裁判って、誰のため?何のために必要?

今の日本では、それをしないと遺族側に何ら補償の手立てがないから・・・・。

それなら、補償制度を作ればいいじゃない!!

読んでいるとそう強く思います。

著者もその辺の事を強く世間に訴えたかったと、あとがきで書かれていました。

一刻も早く、産科医療における無過失補償制度が創設されますように。
それを機に、全領域の医療事故に適応されることも必要ですが、先ずは産科!


かなりリアルな医療の現場の話で、難しい専門用語も多いのですが、多くの方に読まれるべき書だと思います。

ドラマも楽しみに見ていますが・・・・ちょっと誇張し過ぎで「そんな事は現場ではあり得ない!」という事も度々出て来て、ずっと前、産婦人科病棟で勤務していたわたしには苦笑してしまう場面もありますが。。。。^^;

原作は、素晴らしいです!!
主人公の柊先生、原作では、始終素晴らしい先生です。


お医者さんって、自分の訴えることがあると、こんな風に本を書けちゃうものなのかな?
すごく忙しいと思うのに、こんな文才もあって、尊敬します。


★★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
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