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読んだ本の感想あれこれ。
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21862a96.jpg   発行年月:2010年8月

コンプレックスに苛まれる男と女が、自分の居場所を
見つけていく姿を描いた、透明感溢れる“荻上ワールド”!

「モリオ」
------青年モリオは、母の形見の足踏みミシンを前に思い出していた。
子どものころミシンの下に隠れるのが好きだったこと、
ミシンを踏む母が大好きだったこと、
そして姉のために母が作った花柄のスカートを穿きたかったことを……。

「エウとシャチョウ」
------末期癌の猫シャチョウを飼う女医ヨーコと
同棲することになった「僕」。
日々、シャチョウの面倒をみているうちに、
才能など何も無いと思っていた自分に、
「猫と心を通わせる力」があることに気がつく……。


                                    (光文社HPより)


文句なしに面白かった!
荻上さんの描く世界には、ほんわかした緩い温かい空気が流れているかんじがする。
映画「トイレット」の原案とかいう物語の本書ですが、映画が見たくなること間違いなし!

2つのお話の主人公は、それぞれ男性で
最初の話の主人公はモリオ。
母親が亡くなり、その母親が生前よく使っていたミシンを自分が貰う。
モリオにとって、そのミシンは思い出深い大切なもの。
ミシンで母親が作っていた花柄のスカ-トを自分で作ろうと思う発想も凄いけど、それを自分が履くために作るという発想もビックリ!
でも嫌悪感は沸かない。
そこまでのモリオの様子を読んでいれば、そうすることが自然なことだと納得してしまうから。

次の話の主人公はエウ。
彼もモリオと同じように、昔から人とあまり接することなく地味に生きて来たような男性。
バイトは16個も次々、クビになっているし。

2つの話の主人公たちは、似ている。
でも、悲壮感はなく、出会う人たちによって暮らしぶりが変化していく。

二つの話に共通して出てくる「ひだり布地店」のおばさんとそこの猫(三郎)。
考えると、二人の男性は、このひだり布地店のおばさんと猫に知り合ってから、
暮らしぶりが変わったんだ!


何がどういいのか?上手く表現出来ないんだけど、こういう話、好きです!
文章でこんなに楽しめたのだから、これが映像化されたら、きっともっと楽しめるんだろうな~。

映画を観るまえから、期待度UPしました!

この表紙の絵は奇妙だけど、物語の雰囲気にはピッタリ!!

 

★★★★
 

PR
5fc5d706.jpg発行年月:2010年4月


夫の帰りを待ちながら作る〆鰺、身体と心がポカポカになる野菜のポタージュ……。ベストセラー小説『食堂かたつむり』の著者が綴る、美味しくて愛おしい毎日。日記エッセイ。


                      (幻冬舎HPより)



小川糸さんの日常を日記形式で綴ったエッセイ。
表題の「ペンギン」は、ご主人のことでした。
ペンギンと暮らしてみたいと思っていたけど、現実的には難しい。
ならば、ペンギンと暮らしていると思ってみようという発想は、かわいい♪

還暦を迎えるというご主人。糸さんとは結構な年の差でしょうか?
でも二人の会話の様子は実にほのぼのしていて、糸さんがご主人のことをとても愛しているのが文から感じられました。

特に変わったことが起きるわけでもなく、淡々と過ぎて行く日々のなかに、小さな幸せは沢山あるのだなぁ~なんてしみじみ感じました。

糸さんお薦めの「チェリ-スト-ンピロ-」興味あるなぁ~。
使ってみたいなぁ~。探してみようかな?

そして、これまたお薦めの小説「Little  DJ」読んでみよう!
映画化もされて、それも良さそうですね(^^)


楽しいエッセイでアッという間に読み終わりました♪

★★★
638948c5.jpg発行年月:2008年6月


家族とは、愛とは、赦しとは・・・・。
過去の事件を現代の視点から追う、
迫真のサスペンス!

あの夏、わたしは希望をもらった。

                       (本の帯文より)


初めて読む作家さん。
図書館の棚を眺めていたら・・・何となく目に留まりました。
そういうのは、大抵わたしにとっては当たり!
そして、この本も、わたしにとっては、かなり当たり!

物語は、主人公・杉原美緒が小学6年生の頃から始まる。
弟・充は小学3年生で、父親は家を出て行き、母親と3人で暮らしている。
母親はアルコ-ル依存症。入退院を繰り返し、その間、美緒と充は母親の従姉妹である薫の元で暮らす。
薫は夜はお酒も出す喫茶店を経営していて、そこの客である元検事の永瀬丈太郎と美緒も顔見知りになる。
永瀬は、随分前に娘。瑠璃を誘拐されていてその真相は未だ掴めていない。
そして、薫は瑠璃と幼稚園が同じで彼女が連れ去られるのを目撃している。

未解決の誘拐事件の真相は?と気になりつつ、美緒の成長に合わせて永瀬との心の交流が深まっていく様子が物語の軸みたいになっていて、親子以上に年は離れた美緒と永瀬の会話などから、お互いの過去の傷が癒される相手なのかなぁ~?なんて思いながら読んでいました。


後半では、美緒も社会人になり、自分の足で永瀬の娘の事件の真相を追うようになり、わかってくる事実にドキドキ。
そして、わかった真相は、なんとも切ないものでした。

美緒の過去にあった辛い事の真相も同時にわかり・・・・ど~んと気分は落ち込みました。

真実を知るって、辛いことでもあるんだな~。
それによって新たな人を恨みたくもなりそうですが・・・・
美緒の弟・充が「人を恨みつづけることは疲れる・・・・忘れよう」という場面が印象的。
充が一番、辛い思いをしたんだと思ったら・・・たまらなかったけど、この言葉で救われた。

そしてこの表題の「七月のクリスマスカ-ド」がどういう意味かわかるラスト部分では、感動しました。

サスペンスにしては、地味だと思うけどなかなか読み応えがありました。
こういう作品、結構、好み(^^)

ほかの作品も読んでみたくなった!

★★★★
edf28e46.jpg   発行年月:2010年6月

わたしを残して、逝ってしまった彼。
古都・京都を舞台に繰り広げられる、哀しく切ない人間模様。


一緒に死んでもいいと思った相手は、わたしを残して逝ってしまった-----。
傷心の尚子(なおこ)は、東京を後にして学生時代を過ごした京都に舞い戻る。
亡くなった男・井串(いぐし)との過去を引きずりながらも、かつての大学時代の恋人と再会し、普通の生活を取り戻したように思えたのだが……。

井串と知り合うきっかけになった寺の石仏をめぐり、
豆腐料理屋を営む謎の外国人・ボビーや寺の主・寿桂(じゅけい)など、
尚子を取り巻く人々の秘めた思いが京の町に交錯する、人生の儚さを丹念に描いた物語。


                                     (光文社HPより)


主人公・尚子の気持ちの揺れが痛いくらいに伝わって来て、辛かった。
でも周りにいる元彼で老舗の和菓子屋を継いだ今道くんも、仕事を通じ知り合った年下の細谷くん、そして豆腐料理を振舞うボビ-など、男性陣が温かく尚子を見守ってくれていて羨ましい状況でした。

尚子は相手の好意に気づいていながら・・・自分は亡くした恋人を忘れられないということを隠さず男性たちに話ながらも、そのときの気持ちで行動する、女性側から見たら、ちょっとイヤな女かも?

でも、わたしは不思議と尚子には嫌悪感を抱かなかったなぁ~。
何故だろ?
誠実さみたいなものを感じたからかな?
相手の気持ちをへんに弄んではいないと思ったから。
今道くんも細谷くんもそんな尚子の誠実な部分を理解していたから、最後まで優しくいれたんじゃないかな?

ボビ-はちょっと異質だったけど、頑なに貫こうとしていた事を尚子の言葉によって、断念した時はホッとした。
実行されてたら、この物語がメチャクチャになってしまうから・・・・実行されないとは思っていたけど
この説得の仕方は、なるほど!と感動した。

尚子が心中までしようとした井串という画家の描いていた「埋め仏」が物語の中心にいつもあって、京都ならもしかして本当にあるのかな?なんて思っては想像したりしましたが、実際はどうなんだろ?

埋め仏があるお寺を守る寿桂が尚子の愛した井串と関係があったという事実、そしてそこにあったもっと深いものが最後の方で語られたあたりは、特に面白かった。
人の縁って不思議だな。
偶然過ぎるかもしれないけど、無理矢理なかんじはあまりなく、よく出来た話だと素直に思いました。


埋め仏を見ての外国人のボビ-と細谷くんの意見交換の場面が良かった。
ボビ-はこれは拷問による恐怖と怒りで歪んだ顔だと言うのに対して、細谷くんは反論。
皆の罪を背負い埋められていると伝えられているお地蔵さまだから、日本人ならこの顔を慈愛に満ちた笑顔と見るものだと言う。

日本が好きで日本人に近づきたいと思うボビ-には痛い反論だっただろうな。


二人の男性から結構、言い寄られる尚子だけど、この先どちらかを選ぶのかな?
案外どちらも選ばないか?
でもわたしは細谷くんがいいな。(ホントは年下は興味ないんだけど・・・^^;)


結構、この話、好き!


★★★★

64bc09d0.jpg   発行年月:2009年11月


  天命こそ、最高の勝負。

  江戸、四代将軍家綱の御代。
  ある「プロジェクト」が立ちあがった。
  即ち、日本独自の太陰暦を作り上げること----
  日本文化を変えた大いなる計画を、個の成長物語として
  みずみずしくも重厚に描く傑作時代小説!!

           
                              (角川書店HPより)


江戸の時代に、こういう人物が実在していたのは、恥ずかしながら知らなかった。
そういう意味でも、この書は多くの事を学ばせて貰えた。

徳川将軍の前で碁の定石を披露する「碁打ち」の家に生まれた安井算哲。
しかし、定められた碁打ちの道を進むことにだけ満足せず、算術や暦にも興味を持つ。
そして幕府の命で、北極星の位置から緯度を計測する「北極出地」に参加する。
それが21歳。
そして、その後数々の有識者と知り合い、22年間かけて日本独自の暦(大和暦)を作り出すまでを描いた物語。

碁打ちとして父親の後を継ぎ、二代目算哲を名乗りながら、もっと別の生き方がしたいと自ら名前を「渋川春海」と名乗る。
そんな生き方を応援する人物たちが、皆、すごい大物なのも幸運というか当然なのかな?

数学の天才・関孝和 、老中・酒井忠重 、碁の天才・本因坊道策 、徳川幕府の陰の総裁・保科正之 、そして水戸光圀。
みんなが春海の成し遂げようとすることを応援している。
その関わり方が楽しかった。

春海と最初に出会った女性・えんとは一時は別れながら、再び巡り合いかけがいのない存在であったというのも素敵だった。

春海と言う人は、兎に角、皆に愛された人なんだなぁ~。

実在のあまり知られていない人物(私だけか?^^;)を、こういう形で、知ることが出来て良かった。
読み終えるのが惜しいと思える書でした。

ほかの歴史上の人物も、こういう風に小説に書いてほしいなぁ~。


★★★★★

 
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★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
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