風変わりな少女、あみ子の目に映る世界を鮮やかに描き、小川洋子、三浦しをん、荒川洋治の絶賛を受けた第二十六回太宰治賞受賞作。書き下ろし作品「ピクニック」を収録。
(筑摩書房HPより)表題作の「こちらあみ子」と「ピクニック」の二編が収められている本書。
どちらの主人公ともちょっと独特な世界観を持つ人たち。
「こちらあみ子」のあみ子は、まだ少女。
すごく純粋な心を持ち、物事の捕らえ方が、ちょっと常識(?)と離れたところにあるかんじ。
こういう視点でものをも見る主人公を描ける、この著者の感性は凄いなぁ~なんて思った。
純粋で、ストレ-ト過ぎるくらいに物事を捕らえるあみ子だけど、周りの大人たちの対応は、あみ子にとっては不幸なかんじ。
なんだか、読んでいくととても辛い気持ちになってきた。
あみ子自身が辛さを感じていない様子なのが救いだけど、そのこともなんだか切ない。
二編目の「ピクニック」の主人公は七瀬。
『スロ-ガ-デン』という飲み屋で働くようになり、そこの従業員仲間とのやりとりが描かれる。
そのやりとりは、結構楽しかった。
でも七瀬も凄く変わってる女性。
最後まで、言動の根拠がよくわからない人だったなぁ~。
二編とも変わった人が主人公の物語なので、とっても不思議な気持ちになる話だった。
こういう物語を書ける著者の今後の作品がとても気になる。
次回新しい作品が出たらぜひ、また読んでみたいと思った。
この表紙もどこか儚げなかんじが本の内容にピッタリ!
★★★★
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ヴィヴァルディはピエタ慈善院で〈合奏・合唱の娘たち〉を指導していた。
ある日、教え子のもとに恩師の訃報が届く。
一枚の楽譜の謎に導かれ物語の扉が開かれる
(ポプラ社HPより)
ヴィヴァルディと言えば・・・「四季」を作曲した人。くらいの知識しかないわたし。
まだ20代のころ、慈善院で音楽指導をしていて、そこの司祭までになっていたとは、凄い人だったんですね~。
そして、その当時、そこで学んだ少女たちが実際、名のなる音楽家に成長していく。
物語の主人公・エミ-リア自身も、かつてはヴィヴァルディの下で音楽を学んだけれど今はピエタ慈善院の運営を手助けする役目を負う立場になっている。
ヴィバルディが、ヴェネチアを去り、ウィ-ンに渡り、その後死去したと知らせを受けたエミ-リアたち。その経緯もきになるところだけど、貴族の娘・ヴェロニカが「先生が自分のために書いてくれた楽譜を探してほしい」と頼まれる。
その楽譜の在り処をつきとめる為、奔走するエミ-リアが次々、ヴィヴァルディと接触のあった女性たちを訪ねながら、幼いころには知りえなかったことを知っていく。
読みながら、なるほどそういう人間関係があったのかぁ~と私自身も興味津々で楽譜の在り処よりヴィヴァルディの交友関係の方に惹かれて行った。
高級娼婦のクラウディア。
クラウディアの元に通うのに利用していたゴンドラの舵取り・ロドヴィ-ゴ。
ヴィヴァルディの妹・ザネ-タ。
いろいろな年齢、いろいろな生い立ち。
この時代を生きた人々の暮らしぶり。
そして、ヴィヴァルディという一人の人を軸に繋がっていく人たちに絆が生まれる。
本の最後には、参考文献が多々並べられていました。
かなり史実を参考にされた物語なのかな?
とても面白かった!
★★★★
『ZOO』『失はれる物語』に続く作品集!
コンビニ強盗との奇妙な共同作業。暗くてイタい文芸部員男女の不器用なやりとり。お正月に降った雪がもたらす不思議な出会い。読者を魅了する、6篇収録。
(集英社HPより)
公募により寄せられた作品に、乙一が手を加えて作り上げた作品6つが収録。
乙一は、あまり読んでないので、乙一らしいのかどうかよくわからないけど
どれも面白かった!
6つの話は別々の話だけれど、物語を紡ぐ町、文善寺町が共通の舞台。
なので、全体を通して、少しずつ繋がっている。
最初の「小説家のつくり方」に登場の小学生の山里秀太とその姉・読書好きの潮音が、後の作品にも少しずつ登場するというのも楽しかった。
話としては一番最後の「ホワイト・ステップ」が読み応えもあって好き!
パラレルワ-ルドが主軸となっていて、主人公の大学院生・近藤裕喜と潮音さんが、繋がったときには、なんだか嬉しかったなぁ~。
あとがきの
あとがき、あるいは「箱庭図書館」ができるまで では
6つの作品について、どのようにリメイクしたのか丁寧に書かれている。
本のタイトルも公募によるものだそうですが・・・・なるほど!ぴったりのタイトルです!!
投稿作品6つは、以下のサイトで読めるそう。
http://renzaburo.jp/8528
今度、読んでみよう。
★★★★
貴子(きこ)と永遠子(とわこ)。ともに過ごした葉山の夏の日から25年----。恐るべき新鋭による瞠目の芥川賞受賞作!

葉山の高台にある別荘で、幼い日をともに過ごした貴子と永遠子。ある夏、とつぜん断ち切られた親密な時間が、25年後、別荘の解体を前にしてふたたび流れはじめる。ふいにあらわれては消えてゆく、幼年時代の記憶のディテール。やわらかく力づよい文体で、積み重なる時間の層を描きだす、読むことの快楽にみちた愛すべき小説。
(新潮社HPより)
心地良い文章でした♪
25年前の葉山の別荘で、共に夏を過ごした、貴子と永遠子(きこととわこ)。
表題は、二人の名前だったんですね~。
当時、貴子は8歳(少学3年生)で、永遠子は15歳(高校1年生)。
年の離れた姉妹のような関係で、でもすごく気が合う様子。
微笑ましい光景が文章から、頭のなかに自然と浮かぶ。
自分の子どものころの夏休み・・・例えば、従姉妹の家に泊まりに行って過ごした時間、そんな経験があれば、それを思い出すようなお話。
わたしも従姉妹たちと過ごした夏を懐かしく思い出しながら読んでいました。
物語は、25年前と現在、40歳になった永遠子と33歳になった貴子の話が途中、途中に織り交ぜられ進み、ゆらゆらと25年間の間を行ったり来たり。
二人が、大人になって、葉山で再会し語る場面も楽しかった。
一方は印象深く覚えていることが、他方には記憶がなかったり・・・。
文章が、独特で、なにやら古典ぽい(古典文学は詳しくないけど・・・笑)気もした。
あまり馴染みのない言葉もあった。
P15の・・・・・薄荷と甘いにおいとがからがる。
P129の・・・貴子と永遠子の髪は、たしかにむかしからからがりやすかった・・・・。
絡まるっていう意味だろうけど、あまり馴染みがなく読むたびに「?」と思った。
他にもあったような・・・?
すらすらと気持ちよく読める文章なので、再読してみようかな。
芥川賞受賞後の作品も気になる作家さんです!
★★★★★
高校野球の女子マネージャーと仲間達がドラッカーを読んで甲子園を目指す青春小説です。弱小野球部のマネージャーの川島みなみは、ふとしたことで経営書の名作『マネジメント』に出会います。最初は難しくてめげそうになるのですが、次第に本の内容が野球部を強くするのに役立つのではないかと考えるようになります。そして仲間達といっしょになって、みんなの強みを生かして野球部を変えていきます。感動の青春小説です!
(ダイヤモンド社HPより)
映画化も決定し、コミックも発売されている話題の書。
女子高校生の川島みなみが、主人公。
偏差値60以上の進学校。東大合格者も毎年数人出すほどの学校だけど、運動部の成績は芳しくない。
みなみがマネ-ジャ-をすることになった野球部も決して強いチ-ムではなく甲子園を狙えるレベルではなかった。
が・・・ふとした偶然で、みなみが手にした本『マネジメント』著者はピ-タ-・F/ドラッカ-。
マネ-ジャ-とは何か?を知ろうとして手にした本だったが、中身は企業経営について書かれたものだった。
拍子抜けしたけれど、いちおう中身を読むみなみ。
そして、これは野球部を経営すると考えて使えば、無駄じゃない!と判断し、本を参考に部をマネジメントしていく。
面白い!この発想が素晴らしい!!
内容は、青春小説としても十分、面白かった。
「マネジメント」というものも少しわかった気がするし・・・。
ドラッカ-の本も実際に読んだら面白いかも。
映像化されたものにも興味が沸いて来ました!
(たぶん、DVD待ちだけど・・・・・笑)
★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
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