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読んだ本の感想あれこれ。
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516tRU6WjML__SX230_.jpg   発行年月:2011年11月


   ある日の授業中、突然<それ>はやって来た。
   遮断された高校、降り続く灰。
   彼女は意を決し、自宅へと歩き始めるのだが----
   
   変わりゆく世界の中の確かな希望を描く、第48回文藝賞受賞作!


                              (河出書房新社HPより)



結構、薄い本なので、アッという間に読了。
よくわからない状況のなかで、どんどん緊迫感が増す描写が出てきて、恐怖を感じた。
句読点がないので、息をつく間もないけど・・・それが効果的。

高校の授業中に感じた、激しい音と閃光。
何が起きた?理解出来ない人たち。
それでも、ひとりじゃないのは心強い。
まだ笑う余裕もある。
けれど、どこか遠くで起きていると思っていたにに恐怖がどんどん自分達のそばに迫ってくる。

怖い、怖い。

物語のラストは、希望らしいきものはないけど絶望だけでもない。

まだまだ物語の世界は、このあとも続いていって、登場人物たちは必死に生き抜くための努力をするのだろう。
しんどいなぁ~。


著者のプロフィ-ルを見ると、すごい優秀な人なんだな。
現在は東京大学大学院に在籍中だけど、
元は東京大学医学部で医者を目指していたとか。
将来は作家になるたいと方向転換して、文学部へ転部だと。

これが作家活動、第一号というわけですが、これから書くものにも期待したい作家さんが
誕生です!


                                            ★★★
 
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61lpwkdwl2L__SX230_.jpg   発行年月:2011年12月


   著者初の推理小説、いよいよ登場!

   東京湾で発見された2つの遺体。
   殺人事件の鍵を握るのは、銅鐸と、
   遥か昔の哀しき“夜空の記憶”。
   充実の一途を辿る著者初のミステリが登場


                              (文藝春秋HPより)


久しぶりに手に取った伊集院さんの作品。
初めての推理小説とか。


物語の冒頭は昭和42年の夏。
3人の高専生(美智子・建侑・康次郎)が夜空の星を見ながら、将来の夢をお互いに叶えようと誓うその場の情景が目に浮かぶようなシ-ン。

それが突如、時代が変わり現在へ。
東京湾で若い女性と老人が一緒に繋がれた遺体が発見される。
二人の被害者の因果関係は?

冒頭、登場の3人は、この事件に何か関わりがあるのか?

謎だらけで読み進めました。
登場人物ばかりが、どんどん増えていき、誰が誰と繋がっているのか、混乱するので中盤くらいまでは、なかなか読むスピ-ドが上がらずでしたが、それ以降、少しずつ繋がっていく登場人物たち。

被害女性は、19歳の佐藤可菜子。
両親は三陸沖地震の二次災害で亡くなり、祖父に引き取られ高校までを一緒に過ごし、その後、好意を抱いていた先輩が東京に出たのを追って上京していた。
孫の行方が心配で、上京し手がかりを掴もうと警察に出向き、警視庁鑑識課の皆川と葛西と知り合う。
やがて東京湾の遺体が可菜子だと知ったあとの老人が痛々しかった。

もう一人の被害者は、85歳の佐田木泰治。
鍛治職人であり、捜索願が孫娘である由紀子から出されていた。

一見、何ら関連性のない、少女と老人ですが、犯人がわかると同時に、二人が最初の昭和の話の人物達と深い関わりのあることがわかりました。
そこに辿り着くまでが長かったけど、なるほど・・・・そういうふうに繋がっていたのか!?と納得。

推理小説ではあるけれど、事件そのものよりもそこに居る人物達の気持ちなどを想像して、事件に至るまでの出来事に、なんとも切ない気持ちにさせられた。

犯人の犯行動機はちょっとよくわからないけど、そこは想像するしかないか?

孫娘を亡くした老人が、かつて可菜子と耕した棚田にいるラストの風景も目に浮かぶようだった。
警察官の皆川と葛西が、それを思いやる言葉かけにもジ~ンと来るものがあった。

文章の美しさはさすがだなぁ~と久しぶりに読んで思った。


また推理小説を書かれるのかな?
次回作も期待したいと思います。



 

★★★★

41lLJXUa2JL__SX230_.jpg   発行年月:2011年11月


   憶えていてね、と彼女は言った。
   忘れないで。
   美しく純粋な魂が奏でる、
   せつない祈りに満ちた純愛小説集。



                             (祥伝社HPより)


表題作を含む4つの短編集。
どの話も、美しい純愛だけど、儚げで切ないかんじ。

植物園や赤道儀室など共通のシチュエ-ションが出てくるけれど、主人公たちが全て繋がっているというわけではない。

前の日に読んだ恩田さんの「夢違」と、なにか被るようなものがあったので、比べてしまったのがイカンかんったか?
話はどれもそれなりに良いのですが・・・・ちょっと飽きてしまった^^;
暫く経ってから読めば、違った感想を持ったかも。

表題作より<夜の燕>が、印象的だった。
家が隣同士の少年・幸生と美織の恋。
お互いを意識しながら何故か素直に接することを拒んでしまう思春期を経て、大人になり夫婦になる。これはハッピ-な話?と期待したけど、幸せは長く続かず・・・・
あぁ~辛いな。


読み終えると、なんだかズ~ンと暗い気持ちになってしまった。

物語の主人公達は、彼らなりに幸せだったのかもしれないけれど・・・・。


                                         ★★★


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発行年月:2011年12月


 『桐島、部活やめるってよ』で鮮烈なデビューを飾った
 現役大学生小説家・朝井リョウが満を持して放つ、
 書き下ろし青春小説。時間と自由を持て余し
 不器用に生きる若者達に訪れる、5つの転機


                    (幻冬舎HPより)


5つの短編からなる連作集。

「ひ-ちゃんは線香花火」
大学2年の汐梨は同じ大学のの友達、ひ-ちゃんと風人とはマ-ジャン仲間でもある。
夜通し遊びウトウトしてると、突然キスされた。
え?どっち?ひ-ちゃんは女だし、風人?


「燃えるスカ-トのあの子」
遥と翔多は高校時代のクラスメイトだった。
翔多とはなんでも話せるが、翔多はクラスメイトの礼生に映画づくりに誘われる。
礼生は最近、観た映画に回文が出てきてハマっているという。
一緒に映画を撮る椿が可愛いとか・・・・そんな自分の周りの話を楽しそうに喋る翔多。


「僕は魔法が使えない」
美大生の新(あらた)。一浪して大学に入った。
父親は高校3年の時、事故死。母は勤め先の上司と最近、付き合っている。
凄い才能を持っている3年生のナツ先輩から、「次のコンク-ルは人物画でいけよ」と言われ、偶然で見かけた女の子・佐倉結実子にモデルを頼む。
学校に飾られていた先輩の絵が誰かに破られる。
強くて魔法使いみたいだと思っていた先輩だったけど・・・



「もういちど生まれる」
わたし(梢)は、二浪して予備校通い。
双子の椿は、現役で第一志望の大学に合格した。
幼馴染の風人は、おなじ大学のひかる(ひ-ちゃん)のことが好きだと話してくる。
椿が学生サ-クルが作る映画に出演することになったらしい。
ある日、その撮影現場に椿の変装をして行ってみる。
誰にもバレず映画の撮影が始まるが、途中でバレて白状するけど、良いシ-ンが撮れたからOKと。



「破りたかったものすべて」
プロのダンサ-を目指して日夜、練習に明け暮れる遥。
兄は二浪して今は美大に通っている。
兄とは仲が良かった。
でも今はなんとなく気持ちがズレていると感じている遥。
兄が翔多の大学の人たちに映画づくりに参加してほしいと誘われたらしい。
兄が描いた絵が大学に飾ってあるから遥にも見てほしいと言っていたけれど・・・・・


5つの話に登場する若者たちは、それぞれ恋や将来のことに、何かしら悩みながら生活している。
そして5つの話の主人公は別々だけど、みんな何らかの繋がりのある人たちだと、読んでいくとわかる。
あれ?この子は前の方の話の・・・・・だった子だよなぁ~。とか。

今の若者の暮らしぶりもリアルにわかる。
やはり現役大学生ならではの視点だな。


表紙の写真は表題の「もういちど生まれる」を読めば、ああ、このシ-ンなんだ!!と納得。
とても良い写真だ!


 

★★★★


 



 
51fNYPcMHTL__SL500_AA300_.jpg発行年月:2011年7月


働けば働くほど、イタい人になっていく
東大生のキノキダは、時給800円のマンガ喫茶に雇われる。
中卒で30歳過ぎの茶髪の店長はキノキダに敵愾心を…(「マンガ喫茶の悪魔」)。ほか、時給で働く若者達の世界を描く連作短
編集。

                      (集英社HPより)




時給800円で働くひとたちを描いた短編連作集。
漫画喫茶、洋服屋、パチンコ屋、野菜畑(低農薬販売)と4つの場所で働く人たちが描かれ、最後の章はちょっと異質なネット社会(オンラインンゲ-ム)でお金を稼ぐ話。

どれも面白かったけど、特に二番目のお話「洋服屋のいばら姫」がなかなか面白かった!

ファッションビルのなかのワンフロア-で洋服を販売する店員たちの姿を描いたお話。
毎日の売り上げのノルマ達成のため、頑張る彼女たちの様子は、なんだかドキュメンタリ-を読んでいるかんじ。
実際、こういう風に仕事してるんだぁ~なんて興味深く読みました。
女子ならこういう仕事に憧れている人も居るだろうから、読めば「13歳のハロ-ワ-ク」的に参考になりそう。


今まであまり知らなかった仕事の裏側が覗けるかんじも面白かった。

しかし、この著者のペンネ-ム変わってるな(笑)


★★★
 
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