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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2013年9月
生きるために、踊って踊って踊りまくれ!

爛熟期を迎える18世紀前半の琉球王国。数奇な運命の下に生まれた少年・了泉は、自らの命と野心をかけて舞踏の世界でのし上がる――。琉球に生まれた天才舞踊家の、壮絶なる《天国》と《地獄》を描く一大叙事詩!


                 (角川書店HPより)


いや~凄い大作!!
舞台は18世紀前半の琉球王国。
主人公は、そこで最下層の民・ニンブチャーとして生活していた蘇了泉。
母親が病に倒れ、伝染病と恐れられていたそれを排除するために、村人たちに
追いやられガマで暮らす。
食事は3日に1度のこともあるが病気の母を想う気持ちは変わらず
食べ物を確保して帰ると先ずは母に与える優しい少年。

そして、ある日、石羅吾が大道芸の一員として存在していた了泉に眼をとめる。
王府で踊奉行の地位に就いている男。
了泉には人を惹き付ける力があるとみた。

そしてまだ青年の尚敬王の教育係の男・蔡温は、王を支える月しろになれる男を
探しており、その眼にとまったのが了泉であった。


いろいろな人の思惑で王府に近づく了泉。
しかし、踊りを極めることにも最初は無頓着。
王に近づけば、病気の母を救う薬を手に入れられるという思いだけで
石羅吾の厳しい稽古にもついていく。
そして、踊りのライバル・雲胡もまた、月しろになれるのは自分だと
玉城里之子を師として踊りの稽古に励む。


性格も舞い方も対照的な二人が競う場面は、面白かった。
最初は自分の方が優れていると思いながらも徐々にお互いが自分にない
秀でた部分を持っていると認める。
踊りによって、低い身分から段々と地位を上げていく了泉は、驕りの心から
自ら築いてきたものを全て失うことになり、再び下級層に逆戻り。


ああ、なにやってるの!!と思わず叱りつけたくなるような気持ち。
でもでも、それが後に活きてくる。
そんなどん底生活も図られたものだったのかも?


了泉は、憎めないキャラクターだったけれど、琉球から江戸に向かう途中、
鹿児島で知り合った、樺山聖之助が面白い。
空気が読めない男だけれど、大活躍の場面は笑った。

吃音のチャンダラーは癒しのキャラで、どんなときにも了泉を友として
温かく見守っていた。
ピンチのときには手助けしていたし・・・。


兎に角登場人物たちがユニークで良い!
最初、なじゃこりゃ?と思った者たちが、のちの「おぉ~!」という働きをする。


琉球の踊りは、あまりちゃんと見たことないけれど
ちょっと興味が沸いて来ました。

しかし、月しろになるために生きた了泉の人生は、壮絶すぎて
普通の人なら、途中で死んでるな^m^


しかし、面白かった!!!


                       ★★★★★
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発行年月:2013年8月


 異郷で言葉が伝わること――
それは生きる術を獲得すること。
尊厳を取り戻すこと。

自分が生きる道をつかみたい…。故国を遠く離れ、子供を抱えて暮らす女性たちは、たがいに支え合いながら、各々の人生を切り開いていく。第29回太宰治賞受賞作。

                    (筑摩書房HPより)


主人公は内戦から逃れ、夫と息子2人と共に、オーストラリアに移住した女性・サリマ。
アフリカから渡るときオーストラリアの場所を地図で指し示されても、そこが
隣国なのか、海の向こう側なのかもよくわからなかったサリマ。
平和な地であるオーストラリアに渡ったが、生活するには困難なことばかり。
先ずは言語の問題。
生活費を稼ぐため夫は働き始めるがそこから逃げてしまう。
仕方なくサリマが夫の仕事を受け継ぐ。
その仕事は、精肉加工工場。
慣れない匂い重労働。言語がうまく話せない。精神的にも肉体的にも辛い状況でも
子どもたちを育てていくには働かなくてはならない。
逃げ出した夫に腹が立って仕方なかった!!(怒)。
息子たちは環境に順応し、英語も覚えだし、サリマをバカにする。
そして、都会で暮らす夫が息子たちに会いたいと言い出し、都会に連れ出す。
帰って来た息子たちは父親の元で暮らすことを望む。
でも・・・・したの子はサリマの頑張りを認めて残ってくれた。
ああ、このときはホッとした~。

そして、サリマには心強い友が出来る。
日本人女性の「ハリネズミ」。夫は大学院研究室勤務。
ハリネズミ自身も大学で学んでいたが出産後は休学しサリマの通う英語教室に通う。
サリマはハリネズミを最初は、自分とは違う学歴もあり教養も身につけたこの女性から
見下されているような印象を受けるが、二人は母親という共通の立場から
親しみを感じていく。
ハリネズミには、その後、哀しい出来事が起きるけれど、再び明るい希望を取り戻す。

オーストラリアに移住したばかりには、無知だったサリマも言葉を実践で学び
息子を介して子どもの母親同士との交流も出来、生活が充実していく様が
読んでいて、うれしかった。


著者は、オーストラリア在住だそうです。
自身の経験にも基づいた物語なのかなぁ~。

読むと勇気が貰えるような素敵な物語でした!


                           ★★★★





発行年月:2013年7月

あなたの会社やマンションは大丈夫? 誰もボタンを押していないのに、必ず三階で止まるエレベーター。住民が見たものとは……? 
奇妙な表題作はじめ、思わず背筋の凍るミステリー短編集。

                (河出書房新社HPより)


表題作を含む8つの短編集。

<宙の鳥篭>
<転校>
<壁の穴>
<院長室>
<ご自由にお使いください>
<心中少女>
<黒い方程式>
<三階に止まる>


ちょっと怖いけれど、ホラー苦手のわたしでも大丈夫な程度の怖さです。
背筋が凍るは大げさでしょう^^;

どれも、まあまあでした。
そのなかで本当に怖かったのは二番目の<転校>かな?
エリートばかりを集めた学校。
昼夜を問わず、管理されたなかで生活する生徒達。
成績が振るわないものは退学。
そして、これ以上、能力向上が望めないと判断された生徒は転校という厳しい規則。
そして学校一の秀才が突然、転校。
能力の向上が望めないからか?
彼の友人だった男子生徒がその謎を追求し、
わかった真実が恐ろしかったぁ~\(◎o◎)/!


後ろ2つも怖いけれど、面白かった。
<黒い方程式>と<三階に止まる>
ちょっと似たような登場人物たち・・・夫婦のやり取りがあるからか?
<黒い方程式>は、トイレ。
<三階に止まる>はエレベーター。

その場面を想像しながら読むと怖い。
特にエレベーターは夜だったら不気味度倍増かも~。


長女が図書館に予約して、その順番が来る前に夏休み終了で下宿先に帰りましたが
ちょうど、今週末、帰省するので、読めるでしょう(^^)

わたしは初読みの作家さんでした。
先に読ませて貰いましたが、なかなか面白かった。

                         ★★★



 




発行年月:2011年3月

『珈琲屋の人々』が好評だった著者の最新作は、様々な家族の情景を切り取った短編集。娘を嫁に出す父親、自身の再婚と息子の問題で揺れる女性、不倫を清算したい会社員、食堂を切り盛りする女将と従業員の微妙な関係など、背筋が凍るような物語から心温まる物語まで8編を収録。 

                       (双葉社HPより)


心が温まるものは少なかったかも・・・^^;
一家団欒楽しい家族という場面はなく、両親のどちらかしか居ない家族が
多かった。片親だけじゃ幸せになれないというわけじゃないと思うけれど、
それ故に感じることとかが、ちょっと重たい問題を孕んでいる気がした。

<父の遺言>
母親が早くに亡くなり、父親が自分を育ててくれた。
そのことに感謝はしているが、結婚を控えた自分に父も再婚したいと言われ
そのことに嫌悪感を抱く娘。

<いやな鏡>
義父が宝くじの1千万円を当てた。
そして、そのお金を隠し子にあげたいと義父母がいう。

<若い愛人>
妻に先立たれた男。娘くらい年の離れた広美と知り合い、愛人とする。
月に決まった額のお金を渡していたら、ある日、通帳を見ると
そのまま手付かずのまま残してある。

<紅の記憶>
痴呆が進んだ元教師の母。
介護に疲れた妻は施設入所を希望する。
そして、息子は父が亡くなって2年後のある日のことを思い出す。

<不鈴>
妻子ある男が不倫相手の女性と、そろそろ別れようと思っている。
しかし、別れ話を切り出しても、逆に結婚話を切り出され困惑。

<十年愛>
17歳だった男は当時37歳だった女性とバイト先で知り合い、好きだと告げるが
女性から10年後にまた会ってみようと提案する。
そして10年後27歳になった男が待ち合わせ場所で女性を待つ。

<薄いカツレツ>
元気食堂の厨房担当の多津子と接客担当の育枝。
2人は同い年。
そして多津子はかつて店の主人だった夫と育枝の仲をずっと疑っている。
夫は1千万円の借金を残し失踪中。

<バツイチ>
母子家庭の麻子と小学3年生の武。
麻子は再婚を考えている男性がいるが、男性は結婚はしたいけれど、
自分の子どもでない子どもを育てる自信がないという。
再婚したい麻子は悩み・・・


感動したのは最初の話<父の遺言>。
自分勝手な娘のことを十分、理解しながら、娘の幸せを願っていたんだな~と
思ったら泣けて来た。

ほかの話は、それぞれ物語としては面白いけれど、重たい。
最後の<バツイチ>は、最初の話とは違う意味で泣ける。
武くんが健気。
その健気さに気づいた母親がこの先、武くんと幸せになることを考えて欲しいな。


読み終えると、この本の表題の意味がわかるかんじ。


                         ★★★








発行年月:2013年7月



奇跡を接続する人たち----その涙。
新人駅員の若菜直は、個性的な同僚たちとアクシデントに七転八倒。
それでも彼女はまっすぐ進む。彼の気持ちを知るために。

「大事なことを三つ言っとく。緊急時は非常停止ボタン。間に合わなければ走れ。線路に落ちたら退避スペースに入れ」
酔っ払う乗客、鉄道マニアの同期、全自動化を目論む副駅長に
強烈な個性の先輩たち。
毎日100万人以上が乗降する東京駅に配置された若菜は、定時発車の奇跡を
目の当たりにし、鉄道員の職務に圧倒される。初日、足が棒になった若菜が
絡まれたのは、かつて自分に手を差し伸べてくれた人だった----。

臨場感あふれる筆致で駅を支える人と行き交う人を描ききった
書き下ろしエンターテイメント!

                   (講談社HPより)



主人公の若菜直。
高学歴の彼女がなぜ、鉄道員に?
それは、亡くなった弟が鉄道マニアだったから。
そして、駅で自分が倒れたときに、多くの人が通り過ぎるなか、足を止めて
助けてくれた人をいつか探し出せるのでは?と思ったから。 


同期の犬塚俊則や、最初の指導員であった藤原は、初対面の印象は最悪なかんじ。
こんな人間関係のなかで、やっていけるのか?と心配しましたが・・・
本性は、みんな良い人でした~(^^)

しかし、駅員さんって大変な仕事ですね~。
鉄道マニアなことを隠して就職した犬塚のような人も実際、多いんでしょうね。
それでなければ、なかなか選ばない仕事かも。

台風などで遅延、運休の場合や
人身事故のときの対応は、リアルなかんじでした。
取材したんでしょうね。

人のために働いているのに、文句を言われることの方が多い仕事。
好きでなければ勤まらないな・・・・。


若菜自身、すごく優しくてシッカリした女性なので、好感が持てました。
駅の知らないこともいろいろ知れたのも面白かった。


深く関わることになる乗客がかつて自分を助けてくれた人というのは
ちょっと都合よすぎたかんじだったけど、まあ物語なので
その辺は良しとしよう。


                        ★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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