忍者ブログ
読んだ本の感想あれこれ。
[92]  [93]  [94]  [95]  [96]  [97]  [98]  [99]  [100]  [101]  [102



発行年月:2019年11月


わたしが不幸かどうかを決めるのは、他人ではない―──。
《不幸の家》で自らのしあわせについて考えることになった五つの家族を
ふっくらと描く、実力派新人の最新傑作小説。

                  (東京創元社HPより)



<第一章 おわりの家>
理美容師の夫婦が引っ越して来た家。
中古だったのでリフォームしてお店を開くことに。
しかし、知らない人から「ここが不幸の家って呼ばれているのを
知らずに買ったの?」と言われる。
隣人の婦人・荒木信子にそれを話すと、自分次第じゃないか?と言われ
少し気持ちが落ち着く。


<第二章 ままごとの家>
高校生の息子が19歳の女の子を妊娠させた。
2年前に舞台女優になりたいという夢を反対された長女は家を出ていたが
家族の問題に家に突然、現れる。
息子は高校卒業後は働き家族を養うことにし、会社の社宅に妻子と
引っ越す。
夫婦二人には広すぎる家から引っ越すことに。


<第三章 さなぎの家>
高校時代の同級生・叶枝と紫。
二人とも住むところに困る事情に陥り、高校の先輩・蝶子の持ち家だが今は
空いているという家で一緒に暮らすことに。


<第四章 夢喰いの家>
第三章で家を貸した蝶子の話。
結婚して1年経ったころ、夫の男性不妊の診断。
夫から離婚しようと申し出があり蝶子は夫の両親の元へ。
隣の家の信子から、自身も不妊で夫に他所で女の人にこどもを産んでもらってと
頼み生まれた男の子を息子として育てたという話を聞き、もう一度、蝶子と
やり直そうと決意。
もう1年だけ不妊治療をしようと夫婦で決め、その1年を第三章の後輩に
貸すことにした。


<第五章 しあわせの家>
真尋は、バツイチの子持ち健斗と結婚。
健斗は結婚後、どうしようもない男とわかるが息子の惣一(小2)は
優しくて賢く良い子。
健斗が出奔してしまい、隣家の信子を通じて惣一の母親に連絡をし
惣一は母親の元にいくことに。
お別れにと惣一の友達がくれたビワの苗を裏庭に植えていく。


<エピローグ>
最初の話でお店を開いた夫婦は、地域に馴染んでいる様子。
そして第五章でビワの苗を植えた少年が大人になってお店を訪れ
裏庭のビワの木を見せて欲しいと。



表題がちょっと不穏なかんじだったので、嫌な話かな?と思ったら
みんなここから幸せになろうとしていく話で、良かった。



                       ★★★★
PR



発行年月:2021年2月


本屋大賞受賞『そして、バトンは渡された』著者の新たな代表作!
音楽と人が生み出す、たしかな希望の物語。
29歳、無職。
ミュージシャンへの夢を捨てきれないまま、怠惰な日々を送っていた宮路は、ある日、利用者向けの余興に訪れた老人ホームで、神がかったサックスの演奏を耳にする。
音色の主は、ホームの介護士・渡部だった。「神様」に出会った興奮に突き動かされた宮路はホームに通い始め、やがて入居者とも親しくなっていく――。
人生の行き止まりで立ちすくんでいる青年と、人生の最終コーナーに差し掛かった大人たちが奏でる感動長編。

                   (集英社HPより)



主人公の宮路は29歳。ミュージシャンになる夢を絶たれ、大学卒業以来、
就職もせず、市議会議員の父親が毎月振り込む20万円でふらふらした生活を
している。
こんなダメダメな青年が、ある日、ギター弾きの余興を老人ホームで披露し
その会場でスタッフの渡部の吹くサックスの音に感動するところから物語が
始まる。


ダメダメな青年だけど、性格はいい。
お年寄りたちとすぐに親しくなれたし、自分の駄目さも認めている。

渡部くんが、以前にも登場していた渡部くんだというのは、読み終えてから
知った。(ウロ覚えだけど・・・(^^ゞ)



宮路のことをこき使いながら、言いたいことを言っていた90歳過ぎの
静江さん、良い人だな。
人はいつか命が尽きるけど、こんな風に人生の終盤で誰かの前を向かせる
ことが出来たら最高だな。

宮路が今後、どんな風に行くのか、また何かの物語で知ることが
出来たらいいな。


                      ★★★★



発行年月:2021年4月


都会の白兎は何を食って生きているのか?
オオカミ県出身の俺は、ネットの書きこみに「オオカミ県の奴らはステーキを食うから田舎者だ」という悪口を見つけ、気になって東京に出てきた。俺の目に映った兎たちの姿とは? オオカミ県で起きるある事件とは? 苦みのきいたユーモアで現代社会を諷刺し、不思議さ、可笑しさ、不気味さをはらんで展開する物語を、美しく細密な銅版画絵で彩った、初の多和田葉子書き下ろし絵本。

                   (論創社HPより)



現在の日本のことを皮肉っているかんじで面白かった。

東京では、色々な動物が自分は兎と偽っていないと住めない。
昔は新聞でニュースをチェックしていたのに、今ではみんな「風の噂」と
いうウェブサイトでしかニュースをチェックしないので
どれが本当のことかわからない。


お偉いさんのいうことに犬みたいに尻尾を振っているわけにはいかない。
とオオカミ県出身の俺は思う。



うんうん、なるほどね。



これは大人の絵本ですね。

絵も凄く素敵。
銅版画家の溝上さんのほかの作品をもっともっとみてみたい!
絵本として、最高級!



                         ★★★★★


発行年月:2021年2月


大阪の北部に位置する蛍石市にある老舗遊園地「ほたるいしマジカルランド」。「うちはテーマパークではなく遊園地」と言い切る名物社長を筆頭に、たくさんの人々が働いている。アトラクションやインフォメーションの担当者、清掃スタッフ、花や植物の管理……。お客様に笑顔になってもらうため、従業員は日々奮闘中。自分たちの悩みを裡に押し隠しながら……。そんなある日社長が入院したという知らせが入り、従業員に動揺が走る。

                      (ポプラ社HPより)




遊園地の社長は国村市子。
元はパートの従業員だった。
そして、入院。
自分が不在中の園内の様子(従業員の様子)を知らせるようにと息子に頼む。


インフォメーション係、アトラクション係、園芸、清掃と色々な仕事に携わっている
従業員たちの様子が月曜日から日曜日まで章を変えて語られる。

従業員それぞれの個人的なこと。
少し重たいものを抱えた人も。

それでも職場では自分の仕事に責任を持って・・・。

中には好きで働ているわけでもないという三沢星哉のようなアルバイト青年も
いたけれど、ほかのスタッフと関わることで、少しだけ考え方が変わったような。


園芸の山田さんの退職には粋な演出があって良かった。
こんな風に退職出来たら理想的だ。


こういう老舗の遊園地は、経営も難しそうだけれど、新しい遊園地にはない
良さも絶対あると思うな~。
長く続いて欲しい。


ほっこりするお話だった。



                          ★★★







発行年月:2021年2月


底辺女子が人生逆転!? 不遇な家庭に育った17才のユキが、
子供を持ちたい人々と貧困女性を救う〝代理母ビジネス〟の賭けに出た。


                   (中央公論新社HPより)




表紙のほのぼのした雰囲気とは、真逆の出だし。

16歳で高校を中退させられ、代理母をやらされた。

え????目が点でした。


これは2040年の日本の話。今から20年後こんなことが現実になるのかも。
なっても不思議ではない。
富士山が噴火して原発の放射線による汚染、新型ウイルスが次々発生。

ああ、長生きするのが恐ろしくなるぅ~(;O;)



で、代理母の問題。
主人公のユキは、義父から騙されて人助けしてお金が貰えるというので
貧困家庭を救うため、弟や妹を長女の自分の力で助けなきゃという気持ちで
代理母を承諾したんでしょう。
が、父親は、自分が楽して娘を利用してお金を得る(500万円)ことだけが
目的と知り、2つ年上の幼馴染・ミチオと共に家を飛び出す。



自分は無理やり、代理母をやらされたけれど、世の中には、子どもが欲しくても
持てないで悩んでいる人も多い。
そして、貧困家庭には代理母を受けることで報酬により貧困から脱却
することが出来る。
二つを結ぶ役割をすればビジネスとして成立するとユキとミチオは
考える。

二人の産婦人科医の芽衣子と静子の協力も大きい。


代理母については、お互いが納得して交渉成立するのなら、いいのかな?

色々な家族があっていいと思うし、今は偏見だらけのことも
ふつうな世の中になるのは、良いことだと思う。



最初は、重苦しい雰囲気だったけれど、主人公のユキが幸せそうな
ラストは救われた。
表紙の絵は、ラストの雰囲気にはマッチしてると思う。



                         ★★★★

カレンダー
03 2025/04 05
S M T W T F S
2 4 5
6 8 9 11 12
13 14 15 17 19
23 24 25 26
27 28 29 30
メ-タ-
kyokoさんの読書メーター
カテゴリー
フリーエリア
最新コメント
[09/20 kyoko]
[05/23 のぶ]
[09/15 kyoko]
[09/14 ひろ]
[03/06 kyoko]
最新トラックバック
プロフィール
HN:
kyoko
HP:
性別:
女性
自己紹介:
台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;

バーコード
ブログ内検索
P R
カウンター
フリーエリア

Copyright (c)本を片手に・・・ All Rights Reserved.
Powered by NinjaBlog  image by Night on the Planet  Template by tsukika

忍者ブログ [PR]