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読んだ本の感想あれこれ。
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2e2c9880.jpg発行年月:2009年8月


筑後川の堰梁工事が始まった。
村人たちが総出で水門造り、溝梁造りに励む。
しかし、工事に不都合が生じたら、5人の庄屋たちは見せしめの為、磔になる。
土手にはいつの間にか5つの磔柱も同時に立てられていた。



いよいよ、一大工事が始まり、現場は活気付く。
しかし・・・川の土手に立つ、磔柱は不気味である。

そんな十字の磔柱を、見方変えて、庄屋の5人があそこで見守ってくれていると考えればいいんだ!という声で、皆の気持ちが楽になる。

ここでは、上下関係にある庄屋と百姓が互いを信頼している。
庄屋たちは、莫大な工事費用を集めるのに苦労し、百姓たちは、懸命に働く。

工事は順調に進むが、やはり起こってしまった事故。
5人の庄屋たちは、覚悟を決めるが・・・・・

そのときは、読みながら・・・予想はしていたことですが、辛かった。

ここでもやはり、上に立つものが下を庇う行為があり・・・・その決断は、辛いけれど、素晴らしいものでした。
泣けます。
遺した長い手紙の一字一字に想いが込められていて、涙なくしては読めませんでした。


最後は、工事の完成を祝うもので、嬉しい出来事もあり、満足感いっぱいでした!


筑後川の治水工事の歴史はこの後も長くあるようですが、この物語はそれを最初に始めた昔の人たちを描いた史実に基づいた物語のようです。

昔の人のこういう苦労があっての自分たちの暮らしが、ここに限らず日本各地にはあるのでしょうね。


新潮社のHPで知ったのですが・・・
帚木さん、これを執筆中に、白血病の診断で、治療していたとか。
ビックリしました。
入院生活(無菌室での治療)をしながらも筆をとっていたんですね!
今はお元気だそうで、安心しましたが。

★★★★★
PR

38a4590c.jpg発行年月:2009年8月

筑後川の水を一年中、折桶する伊八と元助。川には沢山の水があるが、そうしないと田畑は涸れる。一方、大雨による増水時には田畑は水浸し。この川に必要なのは堰だ!先代からの苦労をここでなんとしても止めなくては・・・・。その思いに賛同した5つの村の庄屋が立ち上がる。

自身の命を賭けても、成さねばならないという強い決心で・・・。

 

時代は・・・・島原の乱で家族を亡くした話が出て来るので・・・・江戸時代1640年以降~?

筑後川流域に生活している伊八と元助が川から汲んだ水を桶で田畑に続く溝に流す作業(これを打桶というらしい)に励む姿から始まる。

川からの水が途絶えれば、作物は枯れるが、逆に大雨の後の被害では、田畑が流される。大雨の被害で稲がダメになっても年貢は納めなければならず、百姓たちは、自分たちが食べていくのにギリギリの暮らし。食い扶ち減らしの為に、年寄りが生まれたばかりの赤ちゃんと共に山に向かいそこで亡くなったり・・・

ついに5つの村の庄屋たちが、立ち上がり、先ずは藩に嘆願書を提出し、自分たちの声悲痛な思いを伝える。5人の庄屋たちの気持ちが凄い。

村人の代表として、命を賭け、財産も全て投げ打つ覚悟。

藩の役人もそんな5人の意気込みに心を打たれたようで、上巻の終わりは、一大工事の始まりか?と明るい兆しが見えてホッとした。

でも、反対する者も・・・。

下巻はどうなるんだ!?

帚木さんの文章は綺麗。

ちょっと馴染みのない言い回しが多いのですが、物語の面白さがそんなことは気にさせない。

むしろ、現代とは違う時代のお話なんだと、その雰囲気に浸れます。

 

★★★★

 

 

 

4d6e4784.jpg   発行年月:2009年1月


   「なぜ星は流れるの?」「なぜ人は夢を見るの?」
   大人が泣き、子供が笑う。優しさが沁みる物語。

   漫才コンビ「キングコング」の西野亮廣の絵本。
   5年かけて生んだ渾身の一冊!

                
(幻冬舎HPより)


絵本なんですが結構、厚いです。
全て白と黒のペ-ジです。

この表紙の絵でわかるかもしれませんが、かなり細かいところまで丁寧に描かれた絵でした。
すごく沢山!
これはひとつの絵を描くだけでも相当な時間が必要でしょう。
それだけでも驚きでした!

絵の雰囲気は、ちょっとダ-クでグロテスクかも。
小さい子には、あまり受け入れられないかもしれませんが、わたしは結構、惹かれるものがありました。

物語は4つ。
「グッドモ-ニング・ジョ-」
「赤いはしご」
「ドンドコ山のバケモノ」
「Dr.インク」

3番目までは独立したお話ですが、最後の話でそれらが繋がって、なかなかの演出。

某所の読者レビュ-を見たら、賛否両論で、驚きましたが、わたしは、この本、とても好きです♪
なんとなく全体にこの本の暗くて寂しいかんじが漂うのですが、伝わるものはあるようです。
暗くて寂しいけど、温かくもなれる・・・・不思議なかんじ。

三番目の「ドンドコ山のバケモノ」は、特に切なくて泣けました(/_;)
カラ-だったら怖かったかもしれませんが・・・・^^;


最後のあとがきがまた良かった。
子供の頃、不思議だなぁ~と思っていたことを大人の自分なりに答えを出してみたとか。

よく知らない方ですが、テレビで見る印象がこれからはちょっと私の中で変わるかも。
(勿論、良い方です)


中1の次女も読んで、「へ~なかなか面白いね」と高評価でした。


これ1冊で終わらず、ほかにも素敵なお話を描いてほしいなぁ~。
出来れば、今度は、明るいかんじで・・・・^^;



★★★★
 

73e27af5.jpg発行年月:1983年12月
     (単行本初版は1978年9月)


近畿商事に入社して十余年、壹岐正は、異例の昇進をしナンバ-・3となる。彼はエネルギ-資源のない日本の将来を考え、商社マンとしての最後の仕事に、イランのサルベスタン鉱区の石油開発に賭ける。戦後史の中で見過ごしてはならぬ《敗戦》とそれに続く《シベリア抑留の悲惨》と、日本経済を繁栄させ、支えてきた総合商社と政治家との国際商戦にともなう癒着を描いた社会派巨編。

               
(文庫本表紙裏の解説文より)

いよいよ最終巻。
石油事情開発に力を注ぐ壹岐。
石油を掘り当てることには、莫大な金がかかる。
掘るだけで、出なかったら、全ては損失。
博打のような事業に臨むには、どれだけの度胸がいるだろうか?
社長を説得し、国家へも再三、働きかける壹岐の意気込みは、凄い。

一企業の利潤のためでなく、国家の将来を見据え、成すべき事であるという思いが突き進む力となっているのでしょう。

商社の仕事って、今まで殆ど、知らなかったけど、凄いな~。


これは架空の物語である。過去、あるいは現在において、たまたま実在する人物、出来事と類似していても、それは偶然に過ぎない。

と冒頭にはありますが、この時代の人のこういう働きがあって、今日のわたしたちの平和な暮らしがあるのかなぁ~などとも思いました。
実際モデルになった人物がいらっしゃるのは有名みたいですが・・・・。


最終巻の中には、今まで「これはどうなる?」と思っていた事が、殆ど、良い方向で解決していて嬉しかった。
長い物語をず~っと読んできて、壹岐という一人の人間には尊敬しました。

物語中、いろいろな場面で哀しいこともあり、それについては思い出すと今も胸が痛いですが
それでも最後は、本当に清々しい。

過去に「大地の子」、「二つの祖国」を読みましたが、その読後感とは違うかんじ。
いわゆる戦争三部作をこれで全て読んだことになります。

そのなかではこの作品が一番好き!

ドラマを機に多くの人がこの原作を読んでくれたらいいなぁ~。

本当に素晴らしい作品でした!!


★★★★★



e0c3fa94.jpg発行年月:1983年12月
      (単行本初版は1978年8月)


黒いFX商戦から10年、日本経済は次々と襲いかかる貿易・資本自由化の嵐に直面し、第三の世界戦争<経済戦争>に突入する。アメリカの巨大自動車企業フォ-クが、虎視眈々と日本市場を狙う中、商社マンになって11年目を迎えた壹岐正は、アメリカ近畿商事の社長として、経営不振の千代田自動車とフォ-クの提携交渉を進める・・・・・・。国際経済戦争の最前線に立つ壹岐正の苦悩を描く。

                 
(文庫本の表紙裏解説文より)

大本営参謀から商社マンに転身した壹岐が、どんどん、会社の中で地位を確立して行く姿は頼もしい。
しかし、元から商社マンとして社長の側で家庭や家族を犠牲にしながら頑張ってきた者には、会社の為には必要な人材と思いつつも妬みの心が増大していく。

社長の大門がワンマンで壹岐の手腕を誰よりも高く評価しているから救われるが、なんだか会社内の立場は孤立しているようで辛い。

会社を離れた私生活の方で、お互いに好意を持っていた千里とやっと素直な心の内を明かしあえたのはホッとするところだった。
が、やはり息子の誠とは、しっくり行かずに、この関係は修復するのだろうか?
疎んでいるわけでもなく、何かキッカケさえあれば、和解しそうな気配はするのだけど・・・


三巻後半では、石油事業展開を早い時期から手掛ける、兵藤の動きが活発化。
壹岐も国家の為に、重要な仕事であると判断し、今後は壹岐自身も大きく関わっていこうとするところ。
自分の手柄を立てるというよりも常に国の将来を考えての動きは、好感が持てるなぁ~。

国内自動車・千代田のフォ-クとの提携には残念ながら破れるものの、そこで終わりとは考えてなさそうだし・・・

四巻では、自動車、石油その両方の商戦活動の展開が面白くなりそう!

そして、千里との恋の行方は、どうなるのでしょうか?


★★★★★
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