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読んだ本の感想あれこれ。
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5932a2ab.jpg発行年月:2009年5月


物語の魔術師贈る熟成のサスペンス!
顔のない男、映画の謎、昔語りの秘密------ひとくせもふたくせもある人物が集まった嵐の山荘に死の影が忍び寄る・・・・・。

警告!訪問者には気を付けろ

                      (祥伝社HPより)


山中にひっそりたたずむ古い洋館。
嵐の夜。
洋館に集う、高齢者たち。
長男・千蔵 、次男・千次 、三男・千衛、末っ子・千恵子とその夫・宮脇協一郎 
そして、家政婦・更科
訳アリで預かっている愛華ちゃん

このメンバ-が集う館に、訪問者が来る。
物語の最初には、雑誌記者を名乗る井上とカメラマンの長田。
亡くなった映画監督・峠昌彦の追悼記事のための取材ということで、監督の幼い頃からを知るメンバ-に話を聞くのが目的と。

取材をしながら、一時は監督の育ての親であった、実業家・朝霞千沙子の事故死(湖での溺死)などにも話は及び、一族の周りにある不可解な次々と出来事が浮かび上がってくる。

館に数日前、届いた「訪問者には気を付けろ!」の警告文とも取れる物は誰が何のために出したのか?
そして「訪問者」とは誰を指すのか?

読みながら、訪問者がある度に、何が起きる!?と身構えてしまいました。
そして、起きる不可解な事件。
解決しないままの謎がどんどん増えていき、不安もどんどん増して行く。
こんな過程を楽しみながら・・・どう決着つけるの?恩田さん!?と思いながら読みました^^;

話のオチは、最後の訪問者が現れたときから、急展開。
意外といえば、意外だし、言われてみれば、なるほどとも思う。

読んでいる間の不安なかんじが一気に消失したのは、さすがの上手さかな?

でも、もうちょいホントのところ「えぇ~!?」という衝撃的事実が判明して欲しかったような・・・・

まあ、でも過程を楽しめたので、よかったか?

★★★
PR
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   発行年月:2009年6月


   明治40年、売れっ子女郎目指して自ら人買いに
   「買われた」少女フミ。
   満州はハルビンの地で、新しい人生が始まる。

   コバルト文庫の看板作家が満を持してオトナ女子に
   おくる、ハイパ-ガ-ルズエンタメ!!


                                
(角川書店HPより)

12歳のフミが自ら進んで人買いに女郎になりたいと申し出て、船でハルビンへ向かうところから物語が始まります。
アッケラカンとした明るい物言いですが、辻芸人として父親と日本のあちらこちらを旅していたのに、その父親に捨てられたという。
なんて、不憫な・・・。
でも、1つ年上のタエと共に、遊郭の女郎部屋に住まい、下働きからの生活が始まる。
大変そうだけど、どこか楽しんでいるような明るさがあって、救われる。
誰に対してもハキハキとモノを言い、物怖じせず、実に逞しい。

物語の最初の方で、スリに遭い、そこを助けてくれた青年・山村と知り合う。
自分が女郎を目指していることなどを話し、いつか店に来て欲しい。大人になったら、ちゃんと自分でお礼がしたいと言う。
そんなフミの言葉を楽しそうに聞きながら、いつになるかわからないが、必ず再会を・・・と約束して別れる。
あ~いつ再会するんだろ?と楽しみながら読みましたが・・・なかなか登場せず・・・笑

その代わり、登場した華族の次男坊だという黒谷。
フミを気に入るので、二人の関係はどうなっちゃうの?と心配。
でも、この人が良い人そうで安心(^^)

そして、最後の方でやっと山村との再会。

でも、迷うのよね。
二人の男の間で迷うのではなく・・・フミの心の中には山村一人なんだけど、そのほかのことで。
この辺は、フミの立場に立つと、決断は難しいなぁ~。
自分だったら、どうするだろう!?

フミの決断は、でも正解でしょう!
わたしも同じ立場なら、そちらを選びます(聞いてないか?^^;)


明治時代の史実もちょこちょこ出て来て、伊藤博文がハルビン駅で暗殺されたのは、この頃だったんだ!?なんてちょっとビックリしたり・・・。

女郎の話なんですが、一貫して、爽やかです。
女同士の争いはあるんですが・・・。
一人の少女の青春物語というかんじで楽しく読みました。

もうちょっと成長したフミの様子も読みたいな~
と思ったら、続編が出る予定とか。

楽しみに待ちたいと思います!

★★★★

3de5130d.jpg発行年月:2009年8月


林芙美子、吉屋信子、永井荷風が描いた女中小説を一直線に繋ぎ、21世紀のAKIHABARAを閃光でつらぬく、昭和モダン異聞。

失業男とカフェ-メイドの悪だくみ・・・「ヒモの手紙」
令嬢と女中は戒厳令の夜に・・・「すみの話」
インテリ文士と踊り子は洋館で・・・「文士のはなし」

                 
(本の帯文より)


元の作品は全く知りませんが、面白かった。
以前読んだ、「FUTON]も田山花袋の「蒲団」を現代版風に打ち直しして書かれていましたが、これも現代版に。

90歳を越えている、老女・すみ子が語る女中回顧録というかんじで、物語が進む。
若い頃はカフェ-に勤めていたから、秋葉原のメイドカフェに来ると、懐かしい昔を思い出すのだとか。
昔はメイドと言えば・・・・亀井戸の私娼窟のことだったと、すみ子の解説。
すみ子に言わせると、アキバのカフェに居るのはメイドじゃなくて女給というらしい。

ヒモ男を嫌だと思いながらも、女に金を要求する手紙を代筆してやったり、奥さんが西洋人でわがまま娘が一人いる館に女中として通ったり、変わり者だと言われる物書き先生が一人暮らしの洋館に住み込みで働いたり。

すみ子さんは、いろいろな人と関わるけれど、深く立ち入った関わり方をしない。
薄情とは違うかんじで、変に慣れたりしない。
一人暮らしの物書きのところに住み込みで・・・と自分から言ったけれど、単にその方が便利だからかな?
作家の方もまた似た様な人みたいで、二人の男女としての関係はどうにかなるのか?なんて少々期待したりもしたけど・・・何もなく・・・・^^;
でも、なんだか、こういう関係が羨ましい。
変わり者同士だからか、お互いが居心地良さそうで。

女中だから・・・・と変に卑屈にならず、自分の思う事は述べるし、思ったように行動する、すみ子はなんだか格好いいな~なんて思って、読んでいて楽しかった。

最後は、ちょっと見方によっては、気の毒なのかもしれないけれど、彼女は別に不幸でもなかったんじゃないかな?

もっとすみ子さんの話が聞きたい!!
3つの話だけじゃ、物足りない!なんて思ってしまいました。

元作品も気になるなぁ~。
探して読んでみようかな?

★★★★
63f5ed67.jpg発行年月:2009年3月


スラム、物乞い、ストリ-トチルドレン、売春婦の生と性・・・・・

1日1ドル以下で暮らす人々と寝起きを共にした
気鋭のノンフィクション作家が語る

第一部 スラム編
スラムの成り立ち、人々の暮らしと性・・・

第二部 路上生活者編
物売り、路上の犯罪・・・

第三部 売春編
売春形態と地域、性の国際化・・・

                                   (光文社HPより)

お友達がブログで紹介していて、興味を持ち、わたしも読みました。
「絶対貧困」という言葉の意味も恥ずかしながら、初めて知りました。
1日1ドル以下で生活する人だそうです。

路上に寝泊りして、少しマシになると屋根のあるところに寝泊り、その後、小屋のようなところと段階があるそうです。
著者は、ちょこっと見てきたというのではなく、実際に生活を共にしながらの取材というのが凄い!
危ない目にも遭うのですが、どこかユ-モラスで冷静に考えたら、怖かったりするのに、笑っちゃう場面も多々ありました。

「貧困」というだけで暗い影のようなイメ-ジで胸が痛くなるような悲惨なこともあるのですが、この文章に救われるかんじで最後まで興味を持って読めました。

大人も子どもも貧しいなかで苦労しているのですが、やはりストリ-トチルドレンが一番、どうにかならないものなのか?と考えちゃいました。
こんな平和な国に居て、彼らからしたら、天国のような環境にいる、わたしが何をどうしたらいいのか?なんて考えてもどうにもならない事なのに・・・。

ストリ-トチルドレンでは
幼いときに受けたことによるトラウマが大きな問題とか。
物心ついたときから、強姦されたり暴力を受けたり、親が目の前で殺されたり・・・・そんな大きな心の傷を抱えて孤独に生きる子達が、戦争が始まると、自分から兵士になって危険な最前線の戦地に赴く場合も多いそう。
何故なら・・・兵士になれば、一人の人間として必要とされるから。それが嬉しいんだと・・・(/_;)

第三部の「売春宿」の女性とその子ども達の様子には、ちょっと驚きの事実がありました。

こんな平和な暮らしをしている自分の価値観、モノの見方で考えたら違う事ってあるんだな。

こういう本は、多くの人が読むべきかも。

子どもには、いろいろな意味でちょっと刺激が大きい箇所もありますが・・・^^;

多くの事を学ばせてもらいました!


★★★



 
68885499.jpg発行年月:2009年9月


神の手を持つ医者はいなくても
この病院では奇跡が起きる。

夏目漱石を敬愛し、ハルさんを愛する青年は、
信州にある「24時間、365日対応」の病院で、今日も勤務中!


                
(本の帯文より)

著者もこの物語の主人公・栗原一止と同じく、信州の一地方都市の病院で働く現役の医師。

物語は、著者の経験した事を基に、地域医療に携わることの必要性など、自身の置かれた立場からの考えなどを記しているのかな?

堅苦しくなく、病院の患者さんと接する場面を見てもとても温かいものを感じました。
最先端技術を駆使した医療機械を使い、高度医療を日々行う医師も勿論、必要ですが、ここではちょっと違う。

病気を治すのは勿論ですが、病気そのもの以上に患者さんを一人の人間として診ている医師の姿がありました。

末期癌の安曇清子さん(78歳)との関係は、ホント、医師と患者の理想の姿でした!
泣けます!
ここまで医師を信頼する患者さんと、ここまでその人の一番望むものは何か?と考えての治療をする医師の姿。
読む人に、「あ~こんなお医者さんに自分も最期を診て欲しい!」と思わせます。


主人公の医師の病院を離れた場所での人間関係も素敵で、可愛い奥さんと、同じアパ-ト内の住人たちとの関わりがユ-モラスで温かいのです。
ちょっと変なんだけど・・・それも含めていいかんじ♪

夏目漱石を敬愛する主人公の為、物語の文はクラッシック。
きっと著者本人がそうなのでしょう。
著者の名前からしてね・・・・(^^)

初投稿の本作品で第10回小学館文庫小説賞を受賞だそうです。


続編もありそうということで、今後が楽しみな、お医者さまの作家さんがもう一人誕生しました!


★★★★

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