僕たちはあの街で出会い、そして別れる。
次の街へ行くために--------。
彼女が暮らす街まで電車の経路を、ずっと頭の中で考えている。その街に彼女しか存在しないように感じ、その街に自分だけが存在しないような感じ----十年の歳月をかけて書きためた、「忘れられない場所」をめぐる短編集。『パレ-ド』から『悪人』まですべてのエッセンスが詰めこまれた、ファン必須のマスタ-ピ-ス!
(新潮社HPより)
10の短編集。
ほのぼのしたかんじの作品あり、闇のようなくらいイメ-ジの作品あり。
この著者の作品は、あまり沢山、読んではいませんが、ハ-ドボイルドなものは、まだ未読。
これから、過去作品のそういう類のものも読んでみたくなりました。
でも、この10編では、最初の話と次のがすき。
最初の「日々の春」は新入社員の立野くんをちょっと気になる先輩の私。
ちょっとこの後日談を想像して、楽しんだ。
二番目の「零下五度」は、韓国旅行の女性が旅先で見かけたある状況。
お粥屋の前で自転車に取り付けた警報機を鳴らしてしまうおじさん。
それをお粥屋から覗きに出てきた客と思われる韓国人男性が手助けする。
同じ場所に居合わせただけの全く他人で何ら接点もない二人なのに、ある共通の疑問を持っているというのが面白かった。
こういう話、大好き(^^)
表題作「キャンセルされた街の案内」は一番最後で、ちょっと長い作品。
故郷から東京の自分のアパ-トに突然、住みついた兄。
最初は疎ましく思うのだが、居ると安心したりもする。
「ぼく」は小説を書きながら、今は無人島と化した軍艦島を案内する仕事をすることになる。
「ぼく」の書く小説が、よくわからなかったなぁ~^^;
でも、なんだか不思議な魅力みたいな物を感じた作品でもあって、好きじゃないけど、一番印象に残ったかも。
軍艦島・・・・ちょっと前にテレビでもやってたけど、わたし行きたくないな。
なんだか、不気味なかんじで・・・。
文中にもあったけど、「いるべきものがいない時の恐怖と、いるはずのないものがいた時の恐怖とでは、一体どちらが不気味だろうか?」
う~ん・・・両方不気味だけど、いるべきものがいない方が、わたしは怖い。
ササッと読めて、なかなか面白い本でした。
★★★
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十二歳。
大人の途中の子ども。
悲しくせつなく やりきれないような
痛みだって知っている。
第42回講談社 児童文学新人賞受賞作品
(本の帯文より)
椰月さんの作品はいくつか読んでいますが、これが一番好きかも!
12歳の女の子・鈴木さえが主人公。
学校代表のポ-トボ-ルの選手の一員として放課後、練習に励む。
男女2名ずついる学級委員の一人として、クラスをまとめなきゃいけないとも思う責任感の強い面もある。ちょっと疎まれてる子を何気なく庇う優しさもある。
以前の担任でポ-トボ-ルの練習も見てくれる直人先生に密かに憧れ、先生がそばに居るとちょっとドキドキ。
あ~12歳ってそんな風だったなぁ~と懐かしく思う場面が沢山。
昼休みの「馬乗り」、わたしも楽しみだった!
さえは明るい女の子だけど、心の中にはちょっと今までの子どもとは違う感情も芽生え、戸惑ったり。
「人間離れ」と自分で呼ぶ感情は、感受性の高い子には似た感じあるのかも。
自分が自分でないような変な感覚・・・・・遥か昔のことなので、自分にあったかどうか?
娘に後で聞いてみようかな?
いや、聞いてもわからないかな?
大人になって振り返って思い当たる事なのかも。
小学校卒業前に見つけた教科書の落書き。
自分に宛てて4月に書いた質問事項。
それに答える今の自分。
同じ自分なのに、少し前の自分は違う人みたいな感覚。
これはすごくわかる!!
前の自分の言葉に励まされたり・・・・・
椰月さんの書く児童文学は何かすごく心を打つものがあるなぁ~。
娘たちにも読ませたいけど、こういうのは、大人になってから読む方が理解出来るかも?
★★★★★
奴らが俺を追ってくる----お前は、敵か、味方か?
FN大賞史上最凶作、降臨。
父親に虐待される14歳、誇大妄想に囚われるホ-ムレス。うらさびしい巨大な団地で孤独な魂がこすれ合い、喜びと憎しみの火花を散らす。男がつぶやく「増大派」とは、いったい誰のことなのか?じわじわと厭な気持ちになるのに、ペ-ジをめくる手が止まらない!狂気に憧れたことのあるすべての人に贈る挑戦状的作品。
(新潮社HPより)
第21回日本ファンタジ-ノベル大賞 大賞受賞作ということで、読みましたが、こんなファンタジ-は初めて!
暗いです。
悪意と狂気が渦巻く闇のなかをず~っと進むようなかんじです。
でも、最初の頁からなんだか魅力ある文章で飽きずに読み終えました。
主な登場人物は二人。
ひとりは14歳になろうとしている(途中で誕生日を迎える)中学生の舜也、両親と弟と団地に暮らすが幼いときから父親から暴力を繰り返し受けている。
もうひとりは、愛犬とともに公園で寝泊りしている男。子どもも時に、この世は増大派と減少派に分かれ両者は戦っていると気づいたという。自分は減少派で、増大派から隠れている。見つかれば殺されると思いながら、生活している。
二人の話が別々の場所を舞台に、時に時代を前後しながら語られるので、少々、読むのに時間がかかってしまった^^;
でも、整理しながら読むと、凄い話!
二人の生い立ちには、共通している物が多い気がした。それは「絶望」かな?
ある日、二人は出会う。
男は、少年を敵ではないと判断し、自身のことを少し語り、探し人を一緒に探すこともする。
仲間意識をお互いに持ったようなかんじなのに・・・・・
ラストは凄い!
こういう結末は全く予想してなかった。
少しも救いがない。
なんだかショック!
久しぶりに衝撃的な作品を読んだというかんじ。
好きな話じゃなかったけど、凄いな、この人(作家さん)!と感動した。
これがデビュ-作とか。
1974年生まれだそうですが、それまで何をしていたんでしょ?
また、何か書いて欲しい!
★★★★
男はなぜ、ゴミ屋敷の主になったのか?
いまはひとりゴミ屋敷に暮らし、周囲の住人たちの非難の目にさらされている男。戦時中に少年時代をすごし、昭和期日本をただまっとうに生きてきたはずの男は、いつ、なぜ、家族も道も、失ったのか。誰もが目を逸らすような現在のありさまと、そこにいたるまでの遍歴を、鎮魂の光のなかに描きだす。
橋本治、初の純文学長編。
(新潮社HPより)
主人が図書館から借りて先に読み「なかなかおもしろい」というので、読んでみました。
物語は主人公・忠市が、ゴミ屋敷と化した家に住み、近隣住人たちに大迷惑をかけているところから始まり、テレビのリポ-タ-が住人たちにインタビュ-して周る。
昔、まだ忠市の住む家が荒物屋として存在していた時代を知る人はわずかだが、昔はあんな人じゃなかったんだけど・・・と。
人目を避けるような時間帯には外へも出る。
どこかに行くアテのある人を羨ましくも思う。
ちょっと前、実際にワイドショ-番組でもゴミ屋敷に暮らす女性を取り上げた番組を見ていたときもその人は「これはゴミじゃない」と言ってたっけ。
忠市も「これはゴミじゃないんだ」と。
到底、普通のひとには理解出来ないことば。
物語は、途中から、忠市の過去の話になる。
戦後まもなく荒物屋に住み込みで働きに出て、その後、家業の荒物屋「丸亀屋」に戻る。
見合いで結婚もした。子どもも出来た。
けれど・・・・父親が病に倒れた辺りから、バタバタと不幸が続く。
12歳年下の弟・修次も結婚し、その妻は家事の段取りもよく姑の扱いも上手でなとなく一家がまた明るい方に向かうのか?と思ったら・・・・
ある事を機に弟夫婦は家から出ていく。
店の仕事が減り、母親が亡くなって一人きりの忠市。
そのころから、ゴミが少しずつ溜まる。
なんとも切ない、胸が痛い。
忠市は、普通の人。家業を継いで真面目に働いていたのでしょう。
でも、戦後のめまぐるしい変化に取り残されてしまったかんじ。
近所に迷惑をかけている。片付けなきゃいけない。頭ではわかっている。
けれど・・・この環境を変えられない。
最後はどうなる?と思ったら・・・・
35年ぶりに弟がテレビで実家が凄いことになっているのを知り、兄の元に来る。
偉いぞ!弟!
そして、この弟が現れたことで、忠市の気持ちが大きく変わる。
表題の「巡礼」はどこに?と思っていたら最後、弟が、この先のことを四国88ヶ所をお遍路しながら、お大師さまに教えてもらおうと二人で旅に出るのです。
最後は、ちょっとホッとして、救われました。
ず~っと重たい気持ちで読んでいたので。
なかなか、読み甲斐のある物語でした。
★★★
翻訳本の仕事に憧れて入社した世里が配属されたのは、ファッション誌の編集部。そこで見たファッション誌の華やかな表舞台と、嫉妬渦巻く裏舞台。そして・・・・
完全無欠の鬼編集長 VS. ファッションに興味のない新人編集者
一流ファッション誌を舞台に、女たちの華やかな戦いが始まる-----
(ポプラ社HPより)
主人公の小島世里は、元々文芸志望で入社したのに、なぜか全く興味のない女性ファッション誌「ダリア」に配属されて、数ヶ月前から、読者モデルが登場するペ-ジの編集を担当している。
華やかなファッション誌で働く女性たち。
ファッションに疎いとホント、大変だろうなぁ~なんて思いながら楽しく世里の奮闘ぶりを読んでいました。
そして、途中からある謎が登場。
以前「ダリア」の特集記事のカメラマンとしても仕事をしたという二之宮伸一の死。
川に転落しての事故死とされているが、そこには、何か隠された真実がある?
父親の不審な死を突き止めたい、中学生の息子の太一と世里が知り合い、二人でそれを追求していく。
二人の関係がなかなか微笑ましいかんじでよかった。
姉と弟みたい。
メ-ルしたり、時にはお互いを頼ったりしてしていて。
死の真相は、途中で大概、予想出来る物でしたが、最後まで、結構楽しめた。
真相を知った太一くんの心境を考えると、とても気の毒ですが、気になっていたことが解決したのは良かったのかな?
表題になっている「マノロブラニク」・・・どこかで聞いたなぁ~と調べたら、映画にもなった海外ドラマ「SEX&CITY」のなかでキャリ-が集めていた靴のブランドだったのね!?
ヒ-ルが高く靴華奢なかんじは女性らしくて見ているだけでため息が出そうに素敵!
あ~一足くらい、わたしも欲しいな。
なんて思うけど、履いていくところがないか?(笑)
スラスラ読めて(頭を使わず^^;)、なかなか楽しめた1冊でした。
★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
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