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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2014年8月

時は元禄の半ば。陸奥(東北)の小藩にある山深き村が、一夜にして壊滅状態となった。隣り合う二藩の反目、お家騒動、奇異な風土病など、様々な事情の交錯するこの土地に、その“化け物”は現れた。権勢をふるう藩主側近・弾正、その兄と分かち難い絆を持つ妹・朱音、朱音を慕う朴訥な村人たちと用心棒・宗栄、山里の少年・蓑吉、病の本復した小姓・直弥、謎の絵師・圓秀……山のふもとに生きる北の人びとは突如訪れた“災い”に何を思い、いかに立ち向かうのか――!? その豊潤な物語世界は現代日本を生きる私達に大きな勇気と希望をもたらす。著者渾身の冒険群像活劇。

                     (朝日新聞出版HPより)



陸奥にあったふたつの藩。

永津野藩と香山藩。
二つの藩は昔はひとつだったのに、敵対関係にあり、お互いの村人たちは
相手のことを忌み嫌っている。


香山藩で、祖父の源一と暮らしていた蓑吉は、ある日突然山が変貌し
人々をアッと言う間に飲み込む様子を見る。
源一に「先に行け!」と言われひとり源一と落ち合うことにきめた滝沢の下に
向かうが途中で得体のしれない闇に追いつかれる。


蓑吉はやがて永津野藩藩主の妹・朱音の庇護を受ける。
そこで暮らしていたころが一番幸せな時期だったかな~?
用心棒の宗栄、朱音つきの女中・おせん、じいや加介たちに可愛がられ
子どもらしい明るさも戻る。

が・・・・やがて得体の知れない化け物が再び暴れだす。

結局、化け物の正体は、その地で長年にわたって溜まった人の負の感情?
朱音の覚悟が凄かった!優しくて強い小台様でした!

 
 
時代劇とファンタジーが混ざった独特の雰囲気で、話の内容も先をどんどん知りたくなる
面白さでした!


蓑助は逞しい大人に成長していくんだろう。
おせんと再び巡り会えるときが来るといいな。


絵師の圓秀のその後の話が最後にあったのも、本当にそういう絵師がいたみたいで
良かった。




                        ★★★★
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発行年月:2014年9月


 <管内に殺人事件発生>の報が飛び込んできたのは、東日本大震災から五日目のことだった。被害者は原発作業員の金城純一。被疑者の加瀬邦彦は口論の末、純一を刺したのだという。福島県石川警察署刑事課の仁科係長は移送を担うが、余震が起きた混乱に乗じて邦彦に逃げられてしまう。邦彦は、危険極まりない“ある場所”に向かっていた。仁科は、純一と邦彦の過去を探るうちに驚愕の真実にたどり着く。一体何が邦彦を動かしているのか。自らの命を懸けても守り抜きたいものとは何なのか。そして殺人事件の真相は――。
極限状態に置かれた人間の生き様を描く、異色の衝撃作!      

                    (集英社HPより)



衝撃的な内容で、一気に読みました!
東日本大震災から5日目に起きた殺人事件。
その被疑者・加瀬邦彦は、一度は警察に捕まるが、護送中に脱走。
何を目指して逃げるのか?

逃げる加瀬と追いかける警察側の刑事・仁科忠臣。
二人の行動を交互に語りながら、震災後の様子を織り交ぜていて、とてもリアル。

刑事の仁科は、加瀬の起こしたとされる殺人事件の被害者・金城純一との関係を調べるうちに
加瀬は殺意を持って殺したのではないのでは?と思いはじめる。
そして、再び加瀬を追い、刑事としてというより、人として加瀬の行動を容認する。


逃げる加瀬に起きる困難が凄い。
震災後の街を目的地を目指すのだけど、野犬化した犬との格闘は一番ハラハラした。

加瀬の生い立ちも壮絶過ぎて・・・・。
阪神・淡路大震災を7歳で体験し、両親を亡くし、自身も瓦礫のなかから救出され
命を取り留めた。
が、その後預けられた父の弟・亮一の元では過酷な生活が待っていて18歳で
逃げ出すように点々と職を変えながら生き延び、雇われた派遣会社からの要請で
福島の原発で働いていた。
被害者となった金城とは、そこで知り合い親しくなる。
加瀬は金城と知り合い、その家族と交流を持つことによってやっと穏やかな生活に
触れられたんだな~。
そんななかで起きた殺人容疑は、本当に惨い。
金城の行動が、悔やまれる。
しかし、震災は起きてしまった。


救いがない物語で、なんだか読み終えたあと気分が落ち込むかんじでした。

でも、震災が起きたことで、こんな風に今までの生活から地獄のような生活に
変えられてしまった被災者の存在は忘れてはいけないんだとも思った。


  
                            ★★★★



発行年月: 2014年12月


“空腹警報絶対注意”の高原のカフェを舞台に奇跡が起こる--。
百合が原高原に一軒のカフェ「Son de vent(ソン・デ・ヴァン)」を
開業した奈穂。
かつてペンションブームに沸いたこの高原も、今はやや寂れ気味。
東京の女性編集部で働いていた奈穂が、冬には雪深く寒さの待ち受ける
この地へ移ってきたのには、深刻な理由が---
エリート銀行員の夫・滋のモラスハラスメントに堪えかねて極度の
自律神経失調症に陥り、これまでの生活を変えるためだった。

                    (文藝春秋HPより)





わけありで冬は寒さが厳しい高原で1人カフェを営む奈穂の奮闘は

読みながら応援したくなりました。
近くの「ひよこ牧場」や「あおぞらベーカリー」などの経営者と親しくなり
カフェのメニューも充実していく様子にワクワク。

村役場の村岡涼介の存在も大きかった!

それにしても、読んでいてお腹が空いて来ました^^;

「高原のチーズクリームシチュー」「ベーコンサンド」「ポークソテー」
「野生きのこのオムレツ」ほかにもスイーツ類などなど。


いろいろな悩みを抱えながら訪れる人たちが、カフェに寄って
料理を食べたり、お喋りしたりしながら、少しずつ良い方向に向かっていく。
奈穂自身も大きなおもりから解放されていく。

離婚に応じなかった夫・滋もこれからは別の人と幸せになって欲しいな。


素敵な物語でした♪



                          ★★★★★




発行年月:2014年11月


 海外営業部長、望月正幸は、贈賄行為に携わっていた。それに気づいた浮気相手の夏目は、告発するとともに「逃げて」と正幸に懇願する。結果、行方をくらました正幸の妻、娘、姉……残された者たちのその後は。正幸とはどんな人間だったのか、なぜ逃げなければならなかったのか。『誰かが足りない』の著者が、人間の弱さと強さに迫る連作短編集。

                   (双葉社HPより)



第一話では、望月正幸という男が会社の贈賄行為を告発され失踪したという
女性社員たちの会話から始まる。
その告発者と名指しされた女性・夏目。
名指ししたのは蒼井。
共に正幸と関係があった。
妻子がいるのに、複数の女性と関係を持っていた?

第二話からは、望月正幸の周りの人たちの話。
第二話は正幸の妻・可南子。幼い娘(レイ)を抱えて失踪した夫のことを思う。

第三話は、正幸の姉・有希子。
弟の失踪を訪ねてきた警察官から知り困惑する。

第四話は、小学3年生になったレイの担任教師・須藤。
転校してきたレイの味方でいると宣言する。

第五話は、公立高校に進学したレイ。
トータという男子に告白される。トータには武勇伝がたくさん。

第六話は、正幸のその後の生活。

最後に、レイと正幸が知らないうちに会うことになりそうなシチュエーションで
ちょっと嬉しくなる。
が・・・・贈賄疑惑の真相は明かされないままなので、ちょっと消化不良。


まあ、楽しんで読めたからいいけれど。


                          ★★★



発行年月:2010年9月


 気鬱を払い、心を養う。庭ってのは不思議なもんだ。
江戸・千駄木町の庭師一家「植辰」に、千両の庭をこしらえる大きな仕事が舞い込んだ。だが、庶民に流行り病が猛威を振るい、武家と商家では謎の失踪事件が連続する。不穏な浮き世に、植辰の面々が立ち向かう。

<「植辰」に集う人々>
●辰蔵……作庭の腕は一流だが、酒好きでおっとりとぼけた親方
●お百合……男所帯をきびきび仕切っている、辰蔵の一人娘
●福助……池泉や流れなどの水読みに優れた庭師。元備前の侍
●玄林……穴太衆の末裔で、石の見立てや石組を得意とする庭師
●ちゃら……辰蔵に拾われて植辰で修業中の元浮浪児。「ちゃんちゃら可笑しいや」が口癖

                   (講談社HPより)




主人公・ちゃらがとっても魅力的。

庭師・辰蔵の元で庭師として働いて10年。
辰蔵の娘・お百合との会話は実の家族のような気安さで微笑ましい。


千両の庭を作ってくれと言われたり、高級料亭(?)の庭(南蛮好みの庭)を任されたり、
老夫婦の庭を掟破りの雑木で設えたり、ちゃらの庭づくりの考えに親方の辰蔵がアドバイスをしながら作っていく庭造りの様子が楽しい。


孤児として、幼いときに色々な家に貰われては逃げ出していた、ちゃらは
庭師という天職を見つけたんでしょう。

とある出来事から知り合った若侍・佐伯伊織も最初は、ひ弱なイメージでしたが
ここぞというときには頼りになって良かった!

この時代に流行った病、今では「厳しすぎるでしょ?」というお家とり潰しなども
出てくる。

ちゃらが思いを寄せたお都留とのことはちょっと切なかったけれど
お百合との関係は今後、何らかの変化があるのかな?


朝井さんはお庭についての思い入れが強いのかな?
巻末に紹介されていた「実さえ花さえ」も種苗屋の若夫婦のお話だとか。
そちらもまた読んでみたいな。


                       ★★★★
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