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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2016年1月


 さえない52歳の非常勤講師小松とネトゲに熱中する飲み友達のサラリーマン宇佐美。小松に訪れた人生最後(かもしれない!?)恋に、宇佐美は奮闘するのだが……「完全恋愛小説」の誕生!

ーー「小松さん、なんかいいことあった?」
52歳の非常勤講師小松の恋と、
彼を見守るネトゲに夢中の年下敏腕サラリーマン宇佐美の憂鬱


52歳の非常勤講師小松は、新潟に向かう新幹線で知り合った同い年の女性みどりが気になっているが、恋愛と無縁に生きてきた彼は、この先どう詰めればいいか分からない。一方、みどりは自身の仕事を小松に打ち明けるかべきか悩んでいた。彼女は入院患者に有料で訪問サービスをする「見舞い屋」だったのだ。小松は年下の呑み友だち宇佐美に見守られ、緩やかに彼女との距離を縮めていくのだか、そこに「見舞い屋」を仕切るいかがわしい男・八重樫が現れて……絲山秋子が贈る、小さな奇蹟の物語。

                    (河出書房新社HPより)



<小松とうさちゃん>

うさちゃんは、小松の通う居酒屋の常連客宇佐美。
小松が52歳でそれよりは少し若いのかな?
40代で、妻子あり、ネットゲームにハマっている。

ネットゲームって知らないけど、こんな風に四六時中気になるものなのか?
そんな様子も面白かったけど、
小松と宇佐美の関係が、お互い深入りせずほどほどの距離を保った親しさで
なんか羨ましい関係。

そして独身小松に恋バナ。
同い年の長崎みどりとの出会いから、付き合い始め、結婚するかも?という関係に
移行する過程が微笑ましい。
中年のカップルなのに、ちょっと初々しさがあって、いい。
そして二人を見守る宇佐美。
なんと、宇佐美とみどりに驚きの事実!
みどりもネットゲームで宇佐美と一緒にゲームしてたとは~^m^

まあ、楽しいお話でした。


もう1篇短いお話<ネクトンについて考えても意味がない>
なんじゃこのタイトル?と思ったけれど、
なかなか哲学的な話でした。

ミズクラゲと60歳の女性が精神で海の中で会話する物語。
海の情景が浮かんで来そうで、ミズクラゲのいう言葉がいい。

ネクトンは水に逆らって自力で泳ぐことが出来る、イルカや大人の魚たちのことらしい。
そしてミズクラゲは自分から泳ごうとしないから、プランクトンなんだと。

クラゲのなかには死なないものもいるけれど、精神があって死なないのは辛い。
彼らには精神がないのが救いだと。


なるほどね・・・確かに、ずっと死ねないのも苦痛だろうなぁ~。
生きてるって楽しいことばかりじゃないから・・・

寿命で死ねたらそれは幸せなことなんだろうなぁ~。


絲山さんの書く文章は、やはりいいな。


                       ★★★★★

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発行年月:2016年2月

ポンペイの遺跡、猫めいた老婦人、白い紙の舟…。不在の人物の輪郭、欠落した記憶の彼方から、おぼろげに浮かび上がる六つの物語。たくらみに満ちた短篇集

                  (文藝春秋HPより)




表紙の絵、何処かで見た事あるなぁ~と思いました。

グランマ・モーゼスの「プロポーズ」だそうです。

6編の話は、どれもちょっと不可解な部分があって、ちょっと睡魔が
襲って来てダラダラ読んでいたら、わけがわからなくなる^^;


<ポンペイのとなり>
年子の弟の同級生・湖とかいて<みなと>と読むから弟宛に届いた手紙。
それから子供時代の回想が始まる。

最初からちょっと油断すると「え?どうゆうこと?」と分からなくなり
焦りました^^;
読解力落ちた?と。
でも、この雰囲気は、6編の中では一番好きかも・・・^m^


表題作の<フランダースの帽子>も面白かった。
良く似た姉妹・ミナとカナ。
彼女たちのことを述べながら・・・それを語る者にも姉が居て
ラストはよく似た姉妹は姉妹じゃなかったというオチには笑った。

複雑に入り組んだ構成、凄いな。
そんな風に思わせる話の数々で、凄い思考力だわ~と感心した短編集でした。

ちょこっと読みにくかったけど、楽しませて貰いました♪


                       ★★★
 



発行年月:2015年6月

 中庭のあるアパートに住んでいる子供たちが出会った奇跡。六つの物語からなる大人のための絵本。

遠縁のおばあさんに引き取られた、けなげな孤児の姉妹の話…「キャベツの奇跡」、ほとんど目が見えない時計職人の曾祖父が、孫娘にしてやったこと…「つぶやきおじいさん」、いじめられっこのゲーニャのために母がひらいた誕生会で起きた思いがけない出来事…「折り紙の勝利」等六篇。静かな奇跡に満ちた、心揺さぶられる物語集。

                   (新潮社HPより



6つの短編から成るが、最後の話で、みなが再び登場。
旧ソ連時代の人々の暮らしぶりも垣間見れる。

子供たちは、孤児になって、おばあさんに引き取られていたり、たいていの子供には
父親が居ない。
多くは戦争で亡くなったりしていて、どの家庭も貧しい。
そんな生活のなかでも、人と人のふれあいの中で微笑ましい場面があって
温かい気持ちにもなれた。

特に最後の話<折り紙の勝利>は、虐められっこの少年・ゲーニャの誕生会を
開いたお母さんの思惑通り、皆がゲーニャのことをバカにするどころか注目の的に
なって楽しいひと時を過ごすことが出来て良かった!

友だちと仲良くしたり、家族と笑い合ったり出来る日常の大切さを
感じさせてくれた気がする。

絵もユニークで良かった。


                       ★★★★★



発行年月:2016年2月


 仙台にある「本当寺」というお寺の墓地には、振袖姿のかわいい幽霊がでます。名前は「お鈴」。そう、お鈴さんは江戸時代の呉服屋の娘さん。とある事情で平成の世になっても、いまだに成仏できずにいるんです……。

                    (角川書店HPより)




お鈴さんは、幽霊でした。
呉服屋末広屋の娘で17歳で亡くなっている。
力弥という男が好きだったのに、彼はおナミさんと駆け落ちしてしまった。
お鈴は、そんな二人の末裔を探しているという。

村田カエデ(27歳)は、信用金庫勤務で母と二人暮らし。
カエデが2歳の時に両親は離婚し、父親とは全く会っていない。
が・・・そんな父親が亡くなり、娘あての手紙があると病院で父を看取った
看護師がカエデの元にそれを送ってきた。
そのなかに八木山の本当寺にお参りに来てほしいと。

そして、そのお寺に行った際、出会ったのがまるで舞妓さん姿のお鈴さんと
そのそばにいた呉服屋の番頭だった重兵衛さん。

カエデには二人の姿が見えたけれど、他の者には見えない。

以来、カエデの前に突如現れる。
力弥とおナミを探して欲しいと頼まれて・・・・

で、現在の世で夫婦の佐藤奈美とその夫・力弥に出会う。
二人はお鈴の探している者たち?復讐するの?と思いきや
二人の危機を救う。
なんとも心優しい幽霊です(^^)

他にも困っている人の手助けをして、おせっかいというより
困っている人を見過ごせない性格なんでしょう。

カエデの父親の事も詳しくわかり、母親にナイショにしていた手紙の
ことも実は全部、知っていたとは。

表紙の絵の通り、可愛い幽霊とそれに助けられる人たちの楽しいお話でした♪

ところで、お鈴さんは成仏したのかな?


                       ★★★




発行年月:2015年10月

森のイスキア・佐藤初女さんとの15年にわたる交流の中で、田口ランディさんが体験した「気づき」と「変化」とは--。「自分」という檻から解放されていく魂の軌跡。感涙のエッセイ。2014年11月に行われた佐藤初女さんと田口ランディさんの対談「深き森の語らい」も収録。

                  (中央公論新社HPより




青森県弘前市の岩木山の麓にある小さな三角屋根の家。
そこに佐藤初女さんという優しいおかあさんがいて、お料理をつくって
食べさせてくれる。
心に苦しみを抱えた人が訪れる。

初女さんは、特別なことはしないという。
丁寧につくった食事を食べて貰い、相手の話をただ静かに聞くのだと。
話を聞きながら特にアドバイスのようなものはしないのだと。
解決する力は本人が持っていると信じているから・・・。


初女さんの物の考え方は共感したり、「なるほど~」と気づかされたり
巻末のランディさんとの対談は素晴らしい。


初女さんが素晴らしい人であることがよくわかった。
そして、ランディさんの生い立ちに驚いた!
家族のことを語っていたが、なかなか壮絶で息を飲んだ。
淡々と過ぎたことだと言う風に書いていたけれど。
読みながらかなりショックを受けた。


ランディさんの本はこれからも読み続けるし、過去の未読の本も順番に
読んでいこうと思う。

そして初女さんの数多くある著書も読みたい!

調べたら・・・・なんと今年の2月1日に94歳で逝去されていたことを知り
これまたビックリ!
ご冥福をお祈り致します。


素敵な本でした!


                       ★★★★★
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