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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2016年1月


 ある偶然が引き起こした痛ましい死亡事故。
突然の悲劇に翻弄される人間模様を、
映画『エンディングノート』『夢と狂気の王国』でその才能を高く評価された著者が、
独自の視点から描きだした五篇の連作短編集。
生の不確かさ、苦しみ、それ故の煌きを、日常の平穏から深く抉りだす驚きの筆力。
映画だけにとどまらない才能を、ぜひその目でお確かめください。


○もくじ

夏、千恵子の物語 ・・・・・・5
秋、吉乃の物語 ・・・・・・49
冬、健二の物語 ・・・・・・101
春、美里の物語 ・・・・・・143
春、浩一の物語 ・・・・・・187

                    (ポプラ社HPより)



8歳の少年の交通事故死。
それに関わった人たちの物語が連作で綴られる。

<千恵子の物語>
不倫関係にあった男の妻が事故で少年を死なせてしまい、その後しばらく連絡がない。
が・・・暫くすると再び会うようになるが・・・・

<吉乃の物語>
1年半前に息子を事故で亡くした。
以前勤めていた職場の同僚から
「大人になったら、たとえ自分が何一つ悪くなかったことでも
あなた自身の責任・・・・そう思えば楽になる」と言われたことが自分を
楽にしてくれる。

<健三の物語>
千恵子の不倫相手だった男。
大学の後輩が亡くなったため、車で通夜に向かう。
その帰り、同じ大学の同級生だった女性を途中まで送りながら亡くなった
後輩について話す。


<美里の物語>
事故を起こしてしまってからは、車に乗れなくなった。
保育園のバザーの準備に奔走しながら、充実感を味わっている。
ママ友が出産し、事故後、自ら放棄したお腹の子の命のことを考える。


<浩一の物語>
お互いに好意を持っていると感じていた女性に関係を迫り
激しく拒絶されショックを受けていた。
そして少年の事故死した現場に、居合わせ一部始終を見てしまう。
そのことを吉乃に手紙で知らせる。


少年の事故死の加害者その家族、その家族の知り合い、そして少年の母親と
色々な人たちの事故の前後の物語。

交通事故は、加害者もある意味、被害者だと思うけれど、やはり家族を亡くした者の
方が哀しみが大きい。
加害者は、事故のことを置いておけば、以前と同じように家族との生活が続いていける
のだから・・・・

最後の事故を目撃した人の手紙で、哀しみがより一層、深まりました。

初読みの作家さん、映画も有名ですが見てない。
でも人間観察力が鋭いな~と思った。
映画作品もどれか、観てみたい。


                       ★★★★
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発行年月:2016年2月

デビュー作にして25万部を超えるベストセラーとなった「君の膵臓(すいぞう)をたべたい」の著者が贈る、待望の最新作。友達のいない少女、リストカットを繰り返す女子高生、アバズレと罵られる女、一人静かに余生を送る老婆。彼女たちの“幸せ”は、どこにあるのか。「やり直したい」ことがある、“今”がうまくいかない全ての人たちに送る物語。 

                   (双葉社HPより)




「君の膵臓をたべたい」は、衝撃的な感動作でした!
その著者が書いたデビュー2作目ですね。


主人公は、小学生の小柳奈ノ花。
自分は、賢い子と周りの同級生をやや見下した物言いをする文学少女。

隣の席の桐生くんが絵が上手なのに、それを隠したがり、同級生にバカに
されることを恐れているのが理解出来ない。


放課後は、クリーム色のアパートに住むアバズレさんに会いに行ったり、
廃墟ビルの屋上で見つけたリストカットしている高校生の南に会いに行ったり
偶然見つけた大きな木の家に住んでいるおばあちゃんに会いに行ったり。。。。

友だちが学校に居なくても平気と放課後は、3人のうちの誰かしらに会いにいく。

シッポがちぎれた猫をお供に・・・


奈ノ花みたいな子が居たら、クラスで浮くでしょうね。
子どもって、こういう子は排除しちゃうからね~。
でも、感受性は豊かで、隣の席の桐生くんのことを親身になって励まして
自分と違う価値観も認めなきゃと気づいてからは、桐生くんと仲良くなって。

ちょっと大人びた奈ノ花が、アバズレさん、南、おばあちゃんと接しながら
幸せについて考えていく。

担任のひとみ先生が素敵だったのも良かったな。


こういうファンタジーもいい。

このタイトルの意味も前の「君の膵臓をたべたい」と同様、意味あるものでいいと思う。


これからの作品も楽しみにします。



                         ★★★★
 



発行年月:2016年 6月


みんな、普通の人だった──。
作家・浅田次郎のライフワークである「戦争」をテーマにした短編集。
名もなき一般市民の目線から、戦中戦後の東京の風景を描き出す。
人情ドラマが光る全6編。      

                  (集英社HPより)


<帰郷>
終戦から3か月、復員兵の古越庄一は体を売って日々を食い凌ぐ綾子と出会う。
庄一は帰郷後、妻子が弟と新たな家庭を築いているのを知らされ行き場が
なくなっていた。

二人の出会いは、新たなスタートになりそう。


<鉄の沈黙>
大学の工学部出身の専門技術者の清田吾市。
野戦高射砲の修理のために危ない目に遭いながらニューギニアの小さな岬に。
修理後は、再び戻る道もあったが、そこに残ることに決める。

悲惨な最期が想像できるけれど、そこに至るまでの部隊内の温かい人間関係に
ちょっと、ホッとするものがあった。


<夜の遊園地>
苦学生の武内勝男は、奨学金を貰いながら大学に通っている。
学生課の斡旋で遊園地のバイトを始める。
そこで出会った二組の父と息子の姿を見て戦死した父親を想う。

なんだか、泣ける。
良い話。


<不寝番>
片山賢三は、20歳で自衛隊地方連絡部の勧誘員に声を掛けられ入隊。
射撃集合訓練に参加することに決まったが、その前の不寝番の夜、不思議な
体験をする。

仙波上等兵との会話は、時空を超えたもの。
その後の射撃はきっとアドバイスが効いたかな?


<金鵄とともに>
染井俊次は、傷痍軍人を見かけ、なんと恥さらしな・・・・と呆れ
文句を行こうと近づく。

なんだか哀れな話。


<無言歌>
香田直也と沢渡恭一郎、戦地で互いの大事な人のことを話し盛り上がる。

大切な人を想うときは、どんな過酷な状況下でも幸せか?
戦争さえなければ・・・・と強く思う。


どの話も心に沁みました。



                       ★★★★★



発行年月:2016年4月


 宇藤聖子・50歳・主婦。人生はいちいち、驚くことばっかり――
更年期世代の戸惑いと感慨、思いがけない新たな出会い。
上質のユーモアが心地よい、ミドルエイジ応援小説。



                   (中央公論新社HPより)



面白かったなぁ~。
50歳の聖子の日常・・・案外自分と当てはまる部分多くていちいち
「そうそう!」なんて心のなかで頷いちゃった^m^

1954年発行の伊藤整の随筆「女性に関する十二章」に沿って
聖子の日常をその章に当てはめてあれこれ綴ったもの。

年齢が近いこともあって、更年期の話なんて笑っちゃった!
著者の中島さんも同じ年代だからリアルな表現ですね~。


勤める税理士事務所からのお願いで、NPO法人の経理を手伝うことになり
その行った先で出会った調整ボランティアの片瀬さんがユニークで
他にも小学4年の夏、一時期一緒に暮らした中学生だった久世祐太とのこと、
聖子の息子・勉が久しぶりに帰省したかと思ったら彼女連れで・・・などなど
次々現れる人たちが皆、良いかんじ。
夫・守との会話もなんだか和みました(^^)
いい夫婦関係だな。


最後、ぜ~んぶ丸く納まっていたのも良いですね~。

これ、また暫くしたら絶対再読したいわ~。

聖子の10年後くらいの話ももう少ししたら書いて欲しいくらい。


                      ★★★★★



発行年月:2016年4月

幼い息子とふたりきりで生きる女性・比紗也は、対照的な性質の二人の男と出会う。複雑な過去を抱えた比紗也を、二人はそれぞれの想いから救おうとするのだが──。鮮烈な印象を残す傑作長編小説。

                 (集英社HPより)



徳永比紗也は、息子の紡と生きて居る。
まだ紡がお腹に居る頃、偶然、真田幸弘と会っていた。

比紗也の夫は、3.11で亡くなっている。



仙台から、東京に出て、美容師として働きながら子育てをしている。
美容院の店主家族が紡の面倒を見ることもあり、恵まれた人間関係かな?

そして、真田との再会。
最初は、だたのセックスフレンドという関係。
真田はプレイボーイで元カノが沢山いそう。

そして、もう一人、偶然の再会をした神父の如月。
指を挟みそのままだったら大怪我になりそうなところを咄嗟に助けた比紗也と
教会主催のヘアカットのボランティアで訪れた際に再会。

以来、如月は比紗也を守ると宣言し、何かと危機を救う。


真田と如月。
二人とも比紗也のことを大事に想っている。
が・・・比紗也の複雑な過去のことが、二人の想いを純粋に受け止められない。

神父の如月と一時は、このまま二人は???とまで思わせる場面もあったが
如月の理性は凄い。
真田を最後は、比紗也の元に行かせるお膳立てまでしてる。
神様のような人だ・・・。



ラストはハッピーエンドで良かった!
表紙の女の子は、比紗也の娘・紗雪かな~?なんて想像して
紡と紗雪がこの先、幸せであるといいな~と思った。


なかなか読みごたえあって面白かった!



                       ★★★★


 
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