忍者ブログ
読んだ本の感想あれこれ。
[226]  [227]  [228]  [229]  [230]  [231]  [232]  [233]  [234]  [235]  [236




発行年月:2016年9月


 ゴッホにセザンヌ、ルノワール。綺羅星のようなコレクションを誇った美術館は、二〇一三年、市の財政難から存続の危機にさらされる。市民の暮らしと前時代の遺物、どちらを選ぶべきなのか? 全米を巻き込んだ論争は、ある老人の切なる思いによって変わっていく――。実話をもとに描かれる、ささやかで偉大な奇跡の物語。

                  (新潮社HPより)



デトロイト美術館展を初夏に観ました!
とても見応えのある素敵な展示会でしたが、このマダム・セザンヌはあったかな?
記憶にないのが残念です^^;

第1章~4章まで。
表紙のセザンヌの絵、<マダム・セザンヌ>が共通して出てくる。
セザンヌの妻・<オルタンス>を描いた絵。
独特の表情。ずっと見ていて飽きない絵。
その絵に魅了された者たちの物語。

第1章は妻と一緒に行ったデトロイト美術館の思い出を大切にしているフレッドの話。
亡くなる前に行ったとき、<マダム・セザンヌ>を一緒に観て会話したことを
思い出しながら<オルタンス>に会いに行くことは妻に会いに行くと等しいことと
なっている。

第2章は、巨万の富に恵まれ多くの美術品を収集していたロバートの話。
特にお気に入りだった<マダム・セザンヌ>は、ロバートの亡きあと
その遺志によりデトロイト美術館の一室の壁に掛けられる。

第3章はデトロイト美術館のコレクション担当チーフ・キュレーターの
ジェフィリーの話。
大学時代からポール・セザンヌの研究をしてきた。
デトロイト市が財政破綻の危機に瀕し、その救済措置としてデトロイト美術館の
コレクション売却の話が出ていた。
そこに第1章のフレッドが訪ねて来て、小切手を差し出す。

第4章は、第3章から引き続き、デトロイト美術館のコレクションを守る
奇跡の働きの話。


こんなに素敵な奇跡の物語がデトロイト美術館にあったんですね~。

短いお話でしたが、素敵な物語でした!


                          ★★★★


PR



発行年月:2005年8月

森の中の緑のポストに届くさよならの手紙。
そこにつづられたさまざまな別れがささやきかけてくるものは……。
ポストを守るおじいさんのモノローグでつなぐ8話のファンタジー。 

                  (平凡社HPより)



緑色のポストに届く手紙を開封して読むポストの番人。
返事は書かないのがルール。
ただお話を読む。


<だれもいない森>
深い森のなかに80年住んでいるふくろうからの手紙。

<星になったライオン>
丘の上から町を四季ごとに交代で見守った4頭のライオンたちの話。

<おばあさんの水晶>
代々、受け継がれてきた水晶玉。
男の子が譲り受けるが、仲良しの女の子から魔女の玉だからきらい。
捨てちゃえば?と言われて海へ。
その時から帰らない男の子と女の子。

<ネムのはなし>
大昔の貝や化石や恐竜の骨たちを山の神の言い付けでそれらを盗みに来る者から
守っているネル。
ある日、盗み人とは違う人たちが来て・・・

<まてんろう>
街の真ん中にある大きなマンションにおばあさんと暮らしている猫のまてんろう。
ある日、倒れたおばあさんを救うため助けを求めて外に出て・・・

<火山の町>
お父さんが火山の研究のため外国にいるというノリオちゃんがお母さんと
引っ越し来た。ノリオちゃんが万華鏡をのぞかせてくれて、そこはお父さんの
国の入口なんだよと教えてくれる。

<昨日のわたし>
明日が嫌いなわたし。
夏休み、公園で出会った女の子も明日が嫌いで昨日から来たという。
会うたびに小さくなっている女の子。

<夏の魔女>
夏の間は毎年、おばあさんおところで過ごす。
ラズベリーのジャムを沢山作って、近所の人たちと物々交換。
変わり者だと言われているけれど、わたしはおばあさんが好き。

<最後のあいさつ>
みどりのポストの番人をしてきたけれど、ここを去ることになった番人が
入れた手紙。



切ないお別れの物語の方が多かったかな?
そんななか、猫が主役の<まてんろう>は、なんだかいい感じ。
おばあさんが倒れたときは、どうなることかと思ったけれど
まてんろうの勇気が新たな出会いも生まれて最後はハッピーエンド♪

表紙の絵の黒猫がまてんろうの彼女かな?

稲葉さんの書く本は、素敵だな。
亡くなっているから新刊は読めないけど、過去の作品をまた
探して読もう!


                          ★★★★
 



発行年月:2016年4月

・札幌で就職した息子がわずか一年で帰郷。理髪店を継ぐと言い出した。
・幼馴染の老父が突然倒れた。残された奥さんは大丈夫?
・異国の花嫁がやって来た。町民大歓迎。だが新郎はお披露目を避け続ける。なぜ?
・町に久々のスナック新規開店。妖艶なママにオヤジ連中、そわそわ。
・映画のロケ地になり、全町民大興奮。だけどだんだん町の雰囲気が……。
・地元出身の若者が全国指名手配犯に! まさか、あのいい子が……。

──心配性の理髪店主人が住む過疎の町で起こる騒動を描いた極上の一冊。

                    (光文社HPより)




章はわかれて短編連作の形だったけど、登場する人物たちが共通なので

1つの物語として読めた。

向田理髪店の店主や、ガソリンスタンドの店主が自分と同じ世代なので
親近感もあって、過疎化の進む町に戻って来て店を継ぐという息子たちに
親が感じる喜びと戸惑いの気持ちもよく理解できた。

町の人たちの情報伝達力は凄い。
どこかの誰かが何をしたとかすぐ伝わって、煩わしさも時にはあるだろうけど
困ったことになったときは、皆がすぐ駆けつけるのはいいなぁ~。

中国からのお嫁さんを貰った者には、歓迎会を開いてお嫁さんが皆から
歓迎されているんだということを伝えたり、
町出身の若者が東京で詐欺事件を起こしたことを知れば、戻って来た若者を
諭して警察に連れて行く。
でも戻って来たら迎え入れるという優しい言葉は忘れない。

向田理髪店の息子・和昌は素晴らしいな~。

町が実際、この後どう変化するのか、和昌が理髪店店主になった話も
あればいいな。


実状は厳しい過疎化の町の話だけど、なんだか活気があるし
この先そんなに暗くないかな?と期待感大で終わるのもいい。


                         ★★★★★
 



発行年月:2016年9月


 今は学生でいたくなかった。コンビニでバイトし、青くない海の街でひとり暮らしを始めた。唯一のアイデンティティは深夜ラジオのリスナーってこと。期間限定のこのエセ自立で考え直すつもりが、ヘンな奴らに出会っちまった。つまずき、人づきあい、好きだって気持ち、夢……若さと生きることのすべてが詰まった書下ろし長篇。

                  (新潮社HPより)




主人公は20歳の大学生・富山一志(トミヤマ)。

1年の秋から大学に行かなくなり、休学して親元を離れ生活。
夜はコンビニでバイトしながら、大好きな深夜ラジオは録音してバイト明けに
聴く。

バイト先の仲間、鹿沢や度々、夜来る高校生・佐古田愛、高校時代からの親友・永川
らとの関係がどんどん深まって行く様子がなんだか楽しかった。
そこに共通してあるのが、ラジオ。
ラジオに投稿して度々、読まれるリスナーは職人と呼ばれるんだね~。
そういう世界の話、全然知らないけれど、楽しかった。

ラジオ番組をしている芸人たちも実在の人たちが出てきて・・・
でも、富山の好きなアルコ&ピースっていう芸人さん知らなかったぁ~^^;
知っていたらもっと面白かったんだろうけど。


表題の「明るい夜に出かけて」・・・いい。
この物語の核心部分。


女子高生の佐古田愛(虹色ジャランドゥ)が、可愛い。
ちょっと変わっているけどチャーミングな子だなぁ~。

富山と同じ大学受験していい?なんて聞くのも可愛いけど
その理由が一緒に学食で昼食を食べたいって。


二人が並んで学食でランチしてる姿想像しちゃいました^m^


話の内容には、ちょっとよくわからない部分もあったけど
若者たちの親密感が、なんとも心地よい物語だった。


                          ★★★



発行年月:2016年10月






止(や)まぬ雨はない。
明けぬ夜もない。
少年は、ただ明日をめざす。

父は切腹、所払いとなった天羽(あもう)藩上士(じょうし)の子・伊吹藤士郎(いぶきとうしろう)は、一面に藺草(いぐさ)田が広がる僻村(へきそん)の大地を踏み締める――
過酷な運命を背負った武士の子は、何を知り、いかなる生を選ぶのか?

わたしたちは生きていかねばなりません。死んではならぬのです。
紅(あか)く焼ける空の下篠(しの)突(つ)く雨の中を、元服(げんぷく)前の天羽藩大組組頭(おおくみくみがしら)・伊吹(いぶき)家嫡男(ちゃくなん)の藤士郎(とうしろう)は、父・斗十郎(とじゅうろう)の佩刀(はいとう)を抱え、山奥にある牢(ろう)屋敷に向かっていた。姉・美鶴(みつる)が嫁ぎ、両親や親友の風見慶吾(かざみけいご)、大鳥五馬(おおとりいつま)と送る平穏な日々が暗転したのは20日前。豪商・出雲屋嘉平(いずもやかへい)と癒着(ゆちゃく)し藩を壟断(ろうだん)したという咎(とが)で斗十郎が捕縛されたのだ。切腹が申し渡されたこの日、謎の若者・柘植左京(つげさきょう)に牢屋敷に呼び出された藤士郎に、斗十郎は身の潔白と藩政改革の捨て石になると告げ、介錯(かいしゃく)を命じた……。
  
                 (祥伝社HPより)



読み応えあった!
父親の切腹の場で、介錯役を務める息子の伊吹藤士郎。
武士の生き方って、凄すぎる(;O;)。

父の最期に言葉を交わし、父から渡された刀と死ぬ前に伝えられた言葉の意味をずっと胸にしまって生きる。

親友の慶吾と五馬との関係も素敵だなぁ~と思って居たら
五馬には、別の顔があったことを知る。
ああ、哀しい。
父親の切腹の場面より、こちらのほうに泣けた(;O;)。


物語は、終わったけれど、この後、藤士郎はどうなったんだろ?
藩の行く末はどうだったんだろ?
いろいろ気になることが残った。


藤士郎の父・斗十郎のことももう少し詳しく知りたかったし・・・。


やや消化不良気味な気分ですが、まあまあかな?


                      ★★★




 
カレンダー
05 2025/06 07
S M T W T F S
1 2 3 5 6 7
8 10 13 14
15 16 17 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30
メ-タ-
kyokoさんの読書メーター
カテゴリー
フリーエリア
最新コメント
[09/20 kyoko]
[05/23 のぶ]
[09/15 kyoko]
[09/14 ひろ]
[03/06 kyoko]
最新トラックバック
プロフィール
HN:
kyoko
HP:
性別:
女性
自己紹介:
台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;

バーコード
ブログ内検索
P R
カウンター
フリーエリア

Copyright (c)本を片手に・・・ All Rights Reserved.
Powered by NinjaBlog  image by Night on the Planet  Template by tsukika

忍者ブログ [PR]