発行年月:2017年9月
明治29年(1896年)、岩手県花巻に生まれた宮沢賢治は、昭和8年(1933年)に亡くなるまで、主に東京と花巻を行き来しながら多数の詩や童話を創作した。
賢治の生家は祖父の代から富裕な質屋であり、長男である彼は本来なら家を継ぐ立場だが、賢治は学問の道を進み、後には教師や技師として地元に貢献しながら、創作に情熱を注ぎ続けた。
地元の名士であり、熱心な浄土真宗信者でもあった賢治の父・政次郎は、このユニークな息子をいかに育て上げたのか。
父の信念とは異なる信仰への目覚めや最愛の妹トシとの死別など、決して長くはないが紆余曲折に満ちた宮沢賢治の生涯を、父・政次郎の視点から描く、気鋭作家の意欲作。
(講談社HPより)
宮澤賢治、知らない人はいないと思う人物だけど、その父親目線とは
面白い!
生まれた時から、病で亡くなるまで、本当に息子のことを愛おしく思っていたことが
伝ってきた。
家は、結構、裕福だったんですね~。
勝手に貧乏な農家の息子というイメージでしたが・・・・^^;
賢治は長男で、下に妹2人と末っ子は弟。
すぐ下の妹・トシとの関係が一番、濃厚だったかな?
同じように、文才があって、共通するものが多かった兄と妹。
でも、妹が先に結核で亡くなり、賢治もその後、同じ病でこの世を去る。
父親の政次郎にしたら、可愛い子どもを二人も亡くし辛かっただろうな。
勝手に抱いていた宮澤賢治のイメージと違っていたのは、幼いころは
結構、やんちゃだったこと。
大人になっても親のスネを結構、かじっていたこと。
家が裕福で、父親の政次郎に甘えていた部分も多かったんでしょう。
そんな長男の賢治を父親はいつも心配しながら支え続けた。
賢治が童話を書くことに専念するのは、生涯の結構、終盤だったんだな。
存命のうちに、もっと高い評価が受けられたら良かったのに・・・。
読みやすい文章で、面白かった!
もっと他の書も読みたい!
★★★★★
発行年月:2018年5月
明治末、13歳の清作は徴兵から逃れ故郷を飛びだす。
一方、清作を曾祖父にもつ現代の女子大生・あさひは、教師を目指し猛勉強中だった…。
時代をへだてたふたりの希望の光が、小さく輝きはじめる。
(集英社HPより)
読み応えあって良かった!!
主人公の馬橋清作は、13歳の時、日露戦争から帰還した父親が変わり果てた
姿であったことと、そのあとすぐ亡くなったのを見て、自分は同じようになり
たくないと徴兵逃れのため出奔する。
手助けをしてくれた町の有力者の息子・浅間幸三郎の手助けによって。
幸三郎は、その後の人生でも大きな支えとなる。
物語は、清作の曾孫(母親のおじいちゃん)にあたる、あさひの日常も語る。
小学校の教師として働く、あさひ。
学校にいる在日朝鮮人の子どもの事、婚約者の姉が在日コリアンと婚約したなど
人種差別的偏見についても考える。
清作は、鍛冶職人として腕を認められるようになるが、兄の追求から
逃れるため、居場所を転々とする。
そして、幸三郎の助けで、川崎市の朝鮮人町に身を寄せる。
そこで知り合った朝鮮人の女性・香里と恋仲になるが不幸な出来事に
より亡くなってしまう。
清作の生き様が凄い。
色々な困難から逃れ、生き延びたから、喜美代と出会い、あさひが
やがて生まれることになる。
生き延びることを優先した清作の13歳の決断は間違っていなかった!
良い物語だったな~
★★★★★
発行年月:2018年6月
東京湾岸のタワマンに娘の花奈と暮らす岩見有紗は、ママカースト内での複雑な人間関係に悩んでいた。夫との関係は修復に向かっているが、ぎくしゃくしている。
そんななか、同じマンションに住む高梨と急接近し、ママ友でW不倫中の美雨ママに相談をするうちに、有紗は高梨に強く惹かれていることに気づく――
(光文社HPより)
以前読んだ『ハピネス』の続編だそう。
うっすらした記憶しかなかったけれど、読んで行くうちに少しずつ思い出した!
相変わらず、どうしようもないママ友たちの話。
不倫関係になる者同士が、元々、知っている人同士って・・・苦笑
ま、でも他人の揉め事なので、楽しんで読みました^m^
ただ気になるのは、このママたちの幼い子ども達は、どうなるんだろ?
幼いながらにママの不審な行動とか、絶対に気づいていると思うし・・・
特にママが他の男との間に子どもを作り、そちらで新たな家庭を築くという
美雨ちゃんは、ちょっと可哀想。
父親と二人・・・・と思ったら、ママの妹が母親になる展開!
ま、美雨ちゃんが寂しくなくて良かったかな?
主人公(?)の岩見有紗も泥沼にはまっていきそうだけど、これまた
忘れた頃、続編あるのかな?
どうしようもないママたちの不倫話が軸だけど、桐野さんが書くと
面白い。
★★★
発行年月:2017年11月
パンデミックによって浮かび上がる、人間の光と闇。これほどの絶望に、人は立ち向かえるのか。時は天平、若き官人である蜂田名代は、光明皇后の兄・藤原四子(武智麻呂、房前、宇合、麻呂)によって設立された施薬院の仕事に嫌気が差していた。ある日、同輩に連れられて出かけた新羅到来物の市で、房前の家令・猪名部諸男に出会う。施薬院への悪態をつき、医師への憎しみをあらわにする諸男に対して反感を持つ名代だったが、高熱に倒れた遣新羅使の男の面倒をみると連れ帰った行為に興味も抱く。そんな中、施薬院では、ひどい高熱が数日続いたあと、突如熱が下がるという不思議な病が次々と発生。医師である綱手は首をかしげるが、施薬院から早く逃げ出したい名代は気にも留めない。だが、それこそが都を阿鼻叫喚の事態へと陥らせた、“疫神”豌豆瘡(天然痘)の前兆だったのだ。病の蔓延を食い止めようとする医師たちと、偽りの神を祀り上げて混乱に乗じる者たち――。疫病の流行、政治・医療不信、偽神による詐欺……絶望的な状況で露わになる人間の「業」を圧倒的筆力で描き切った歴史長編
(PHP研究所HPより)
ドラマ「JIN」を思い出した!
天然痘により次々、命を落とす人々。
醜い疱瘡が全身を覆い、苦しみながら亡くなるって本当に地獄のような光景で
胸が痛くなる。
そんな状況のなか、必死に命を救おうとする医師たち。
そしてそれを手伝う者。
悲田院の子どもたちを蔵に入れることにした場面は、泣けた(/_;)
それに付き添った隆英は、凄い人だ。
自らを犠牲にしてまで、子どもたちのこと、感染拡大を防ぐことを考えての
行動には、頭が下がる。
子どもたちの最期、辛すぎる。
事態は収束するけれど、そこに大きな役割を果たした諸男。
無実の罪で牢に入れられ、過酷な状況でなんとか生き長らえ、
一時は、悪巧みに利用されるが最後は、名誉挽回出来、ホッとした。
読み応え十分で、結構、厚い本ですが、一気読みでした!
他の作品も読んでみたい!
★★★★★
発行年月:2018年2月
秘密に束縛され、男性が苦手なまま大人になった洋服補修士の女。要領よく演技するのが得意だけど、好きな事から逃げてばかりいるフリーターの男。洋服を愛している。それだけがふたりの共通点のはずだった――。絶対に消えない記憶を、隠し続けるのはいけないこと? 一歩前に、もっと前に。あなたの勇気を後押しする長編小説。
(新潮社HPより)
青柳服飾美術館が舞台。
西洋の服飾を受け入れた日本の歴史を展示。
繊細なレースのランジェアリーや豪華な飾りのついたドレス。
想像しただけで楽しそうな美術館。
どこかにあるのかな?
学芸員の青柳晶と洋服補修士の白峰まきこ。
2人は親友同士。
幼い頃の体験から男性恐怖症になってしまった、まきこをずっと守って来た晶。
そこにアルバイトとして、加わった百貨店勤務の下赤塚 芳。
幼い時から綺麗な服が好きな男子。
まきこが芳の存在がキッカケで少し前を向いていけるようになる。
幼い頃、二人が出会っていたというエピソードも素敵。
美しい服飾の描写には、想像を掻き立てらえた。
表紙の絵もとてもいい!
★★★
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;