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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2019年5月


所長も調査員も全員が女性、「ミツコ調査事務所」の目玉企画は「初恋の人、探します」。青春の甘酸っぱい記憶がつまった初めての恋のこと、調べてみたいとは思いませんか? ただし、ひとつご忠告を。思い出の向こう側にあるのは、地獄です――。他人の不幸は甘い蜜、という思いを、心のどこかに隠しているあなたに贈る、イヤミス極地点!

                   (新潮社HPより)



イヤミス度は、相変わらずだけど、意外と大人しめかな?
真梨さんにしては・・・(^^;)

調査事務所・所長の山之内光子。
依頼人の人探しをする。
そんな話が短編で繋がっていくのかと思いきや、どんどん危ない感じに
なっていく。

人探しって、命がけじゃん!
依頼人の意向で探したら、犯罪の片棒担ぐことにもなり兼ねない。


依頼人の人探しの目的が恐ろしいものばかり。


そして、あっさり、主人公だった光子が死んじゃう。
えぇ~っ!?と驚いたけど、そこに至る真相がこれまたヤバイ。

ああ、怖い話だった。


今までの登場人物の相関関係にはびっくりの結末で、最後まで
楽しませてくれた。


                       ★★★
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発行年月:2019年5月


灼熱の夏、彼女はなぜ幼な子二人を置き去りにしたのか。
追い詰められた母親、痛ましいネグレクト死。
小説でしか描けない〈現実〉がある――虐げられる者たちの心理に深く分け入る迫真の衝撃作。

                     (中央公論新社HPより)


大阪で実際にあった事件を基に書かれた物語だそうです。
ああ、そんな事件あったな~。
子どもを置いたまま帰らず暑い部屋に閉じ込め、衰弱死させるなんて考えられない!
と怒りが沸いたことを思い出す。


物語は、子ども二人を死なせてしまった母親・蓮音とその母親・琴音の語りで進む。
蓮音の起こした事件だけど、そこに至るまでの育った環境、母親・琴音の同じく育った
経緯を読んでいくうちに、哀しい事件が起きる背景にあったものが少しわかってくる。

ただただ、つらい。

人が育っていく過程で、どんな大人たちに関わって、どんな風に自分の存在を
受け入れっらえていたかってその後の人格とかをつくるうえでやっぱり凄く
大切なことなんだなぁ~と改めて感じた。

子どもを死なせ、世間では鬼のように思われている母親・蓮音だけど
子どもたちには、愛情を感じていて、子どもたちも母親が大好きだった。
そのことが唯一の救い。
ただ、子どもを守る知恵というか、自覚が欠落していた。
自分が守られて来なかったし、その母親・琴音も同様。
自分の力でなんとか生き抜いて来たから。

哀しい負の連鎖。

蓮音が結婚したときは、相手の男性も学歴もまあまあ、優しそうだし
幸せになれそうだったのに、結婚してからはただの頼りないマザコン男だとわかり
がっかり。
小学生のころ、母親が出奔し、幼い弟と妹の面倒を見てきた経験があったから
多少放置しても子どもたちで何とかするだろうという気持ちもあったのか?
がんばりやさんと言われて一人で頑張ってきた蓮音が、なんだか哀れで仕方ない。

子どもを死なせてしまった母親でも、鬼だと責めることが何だかできなくなった。

実際の事件の母親は、どうだったんだろう。
どうしたら子どもたちは死なずに済んだんだろう?

いろんなことをグルグルと考えてしまった。


この類の事件が再び、起きることがないといいなと思うけど、
もしまたニュースで知ったら、今までとは違う見方で母親のことを考えるだろうな。



                      ★★★★



発行年月:2019年5月

日本に美術館を創りたい。
ただ、その夢ひとつのために生涯を懸けた不世出の実業家・松方幸次郎。
戦時下のフランスで絵画コレクションを守り抜いた孤独な飛行機乗り・日置釭三郎。
そして、敗戦国・日本にアートとプライドを取り戻した男たち――。
奇跡が積み重なった、国立西洋美術館の誕生秘話。
原田マハにしか書けない日本と西洋アートの巡りあいの物語!

日本人のほとんどが本物の西洋絵画を見たことのない時代に、ロンドンとパリで絵画を買い集めた松方は、実はそもそもは「審美眼」を持ち合わせない男だった。
絵画収集の道先案内人となった美術史家の卵・田代との出会い、クロード・モネとの親交、何よりゴッホやルノアールといった近代美術の傑作の数々によって美に目覚めていく松方だが、戦争へと突き進む日本国内では経済が悪化、破産の憂き目に晒される。道半ばで帰国した松方に代わって、戦火が迫るフランスに単身残り、絵画の疎開を果たしたのは謎多き元軍人の日置だったが、日本の敗戦とともにコレクションはフランス政府に接収されてしまう。だが、講和に向けて多忙を極める首相・吉田茂の元に、コレクション返還の可能性につながる一報が入り――。

世界でも有数の「美術館好き」と言われる日本人の、アートへの探究心の礎を築いた男たち。美しい理想と不屈の信念で、無謀とも思える絵画の帰還を実現させた「愚かものたち」の冒険が胸に迫る。

                       (文藝春秋HPより)



美術関連の史実は、面白い。
今回も知らなかったことが色々と学べました!


全部が全部、本当のことじゃないでほうが、こんな風に日本に本物の絵画(タブロー)を
集めた美術館を創ろう!と奮闘した人がいたなんて・・・・
愚かものどころか、偉人です!!
愚かものたちには、日本人、皆が感謝しないといけないですね~。


時代背景も交えての壮大な物語。
こんな話を書けるマハさんは凄い!

巻末の参考文献の数を見て、驚く。
ひぇ~こんなに?


今回も楽しませて貰いました♪



                         ★★★★★


 




発行年月:2016年10月


百貨店内の書店、銀河堂書店に勤める物静かな青年、月原一整は、人づきあいが苦手なものの、埋もれていた名作を見つけ出して光を当てるケースが多く、店長から「宝探しの月原」と呼ばれ、信頼されていた。しかしある日、店内で起こった万引き事件が思わぬ顛末をたどり、その責任をとって一整は店を辞めざるを得なくなる。傷心を抱えて旅に出た一整は、以前よりネット上で親しくしていた、桜風堂という書店を営む老人を訪ねるために、桜野町を訪ねる。そこで思いがけない出会いが一整を待ち受けていた……。

 一整が見つけた「宝もの」のような一冊を巡り、彼の友人が、元同僚たちが、作家が、そして出版社営業が、一緒になってある奇跡を巻き起こす。『コンビニたそがれ堂』シリーズをはじめ、『花咲家の人々』『竜宮ホテル』『かなりや荘浪漫』など、数々のシリーズをヒットさせている著者による、「地方の書店」の奮闘を描く、感動の物語。

                      (PHP研究所HPより)





先に「百貨の魔法」を読んで、星野百貨店の6階にある銀河堂書店の

店員・月原一整が主人公のこちらが気になり、手に取った。

書店員の仕事が興味深い。
万引き事件によって、不幸にも書店を辞める決断をした一整。

ネット上で交流のあった桜風堂の店主を訪ねることで、一整の新しい生活が
始まる。


人付き合いが苦手な一整が本を通じて、色々な人と巡り会い、良い人間関係を
築いていく過程が良かった。
桜風堂書店店主の孫・透くんとのやり取りも微笑ましい。

2人とも境遇が似ていて、これから先、二人が幸せな人生歩んでくれたら
いいなぁ~と強く思った。


1冊の本を売るのにも、こんな努力があるんだなぁ~と分かって
今は本を殆ど買わないで、借りているのが、なんだか申しわけないような
気持ちにもなった^^;


                        ★★★



発行年月:2019年6月


 きみはなぜ、まぶたを閉じて生きると決めたの――かつて愛し合った「私」と「ぼく」が交わす最後の秘密。二人を隔てた、取り返しのつかない出来事とは。作家二人が仕掛ける、胸を震わす物語。

                 (中央公論新社HPより)




男女の手紙の交換から成り立っている物語。

手紙は交互に。

2人の関係が最初はよくわからなかった。
読み進めると・・・あれ?2人は会ったことがあるんだぁ~。結構、頻繁に。
なんだ、元は恋人で夫婦にまでなったんだ~と。


最初の出会いが、ちょっと変わっているけれど素敵。
宇宙線研究所の一般見学会に参加して、円柱形の水が満たされたタンクの中を
ボートに乗って水面をゆくなかで隣同士になった2人。
見学会の後、バスの中でも隣同士になって会話を交わす。


2人の共通の思い出話。
ボートを見つけたら乗るふたり。
最初の出会いを大切にしている二人。

こんなにお互いを思いやり、とても気が合う二人なのに、何故、今は別れて
暮らしているのか?疑問が沸くが、それはあとでわかること。

哀しい出来事があったんだ~。
胸が潰れそうに哀しい。

2人の手紙の内容には、明るく楽しいことよりも、少し哀しいことの方が多い。
全部、とても美しい文章で語られるのだけど・・・

女性が幼い時、歯医者さんの待合室で読んでいたお気に入りの本
『世にもかわいそうな動物たち』は、本当に可哀想なお話。
実際にあるのか?と思わず検索しちゃいました・・・・架空のものですね^^;
小川さんらしい眼の付け所。


男女それぞれの語りですが、なんだか凄く文章が似ていて
小川さんお堀江さんって、同じような思考の方たちなんだ~と思った。
一人の人が書いた文章みたいな統一された雰囲気がずっとある。


なんだか、切なく哀しい感じのお話だったけれど、二人は離れていても
強い絆は繋がったまま。
もう他者の存在は感じなくてもいいというくらいの強固な絆。


哀しいけれど穏やかな気持ちにもなっていて、なんだか不思議な読後感でした。




                         ★★★★
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