発行年月:2019年11月
「謎多き琳派の祖、俵屋宗達×バロックの巨匠、カラバッジョ」――雷神(ユピテル)と風神(アイオロス)が結んだ縁が、ここに完結!!
織田信長の命を受け、狩野永徳による傑作『洛中洛外図屏風』をローマ法王に届けるため、天正遣欧少年使節ともにヴァチカンへの旅に出た俵屋宗達。嵐や日照りなど、幾たびも降りかかる試練をかいくぐりながら、一行はついにヨーロッパの地にたどり着く。そこで、宗達を待ち受けていたものは、輝かしい西洋美術の数々、スペイン国王をはじめとする高貴なる人々、そしてもう一人の天才絵師との出会いだった――。
その絆が、その想いが、傑作を生み出す! アート小説の旗手・原田マハが描く、一気読み必至の感動巨編。
(PHP研究所HPより)
上巻に続き、下巻も面白かったぁ~!
いよいよ、ローマの教皇に謁見する場面。
ドキドキワクワク。
遣欧少年使節に同行した宗達という立ち位置が無理なく、礼拝堂の堂内の側壁に
描かれている素晴らしい絵画を見たときの一行が感動する様子は
その様子がこちらにも伝わってきて、一緒にジ~ンとしました。
教皇が持参した『洛中洛外図屏風』を見たときの様子も同じく感動。
そして旅の終わり、ミラノで出会ったダヴィンチの『最後の晩餐』
そこで出会った少年。
宗達と少年のやり取りがまたいい!
この少年が、後に世界的に有名な画家となるカラバッジョ!
ああ、こんな偶然、あったら凄いな。
史実に基づきながらのフィクションだけど、もしかしたら、こんな物語も
実際あったかも。
誰も実際のことはわからないのだから。
マハさんの想像力によって、素晴らしい物語を読める喜びに感謝!!
あ~楽しかった。
物語の最後の方に、その後の少年使節のことが少し書かれていました。
彼らのその後のことは、苦難に見舞われると歴史からわかっていること。
それを思うと、ちょっと複雑な心境になるけど・・・。
★★★★★
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発行年月:2019年11月
美術(アート)という名のタイムカプセルが、いま、開かれる――。日本が誇る名画『風神雷神図屏風』を軸に、海を越え、時代を超えて紡がれる奇跡の物語!
20××年秋、京都国立博物館研究員の望月彩のもとに、マカオ博物館の学芸員、レイモンド・ウォンと名乗る男が現れた。彼に導かれ、マカオを訪れた彩が目にしたものは、「風神雷神」が描かれた西洋絵画と、天正遣欧少年使節の一員・原マルティノの署名が残る古文書、そしてその中に記された「俵…屋…宗…達」の四文字だった――。
織田信長への謁見、狩野永徳との出会い、宣教師ヴァリニャーノとの旅路……天才少年絵師・俵屋宗達が、イタリア・ルネサンスを体験する!?アートに満ちた壮大な冒険物語!
(PHP研究所HPより)
風神雷神は知っているけれど、それを描いた俵屋宗達については、名前も
正直、知らなかった(^^ゞ
俵屋は、家業の扇屋の屋号で幼いときから絵が上手で扇に絵を描いていたそう。
それを信長に知られ即興で描いてみろと言われる宗達。
ハラハラしたなぁ~。
そこで認めらえないとその後の話は続かないからと思ってはいても
緊迫感が伝わって来ました!
信長にいつか、本物の絵を異国に渡ってみてみたいと話をたことが実現する
運びにワクワク。
キリシタンではないけれど、特別な使命を信長から受け4人の少年キリシタンと
共にローマを目指す。
下巻を読むのが楽しみ!
★★★★
発行年月:2019年7月
「東京バンドワゴン」シリーズの著者が贈る、レトロで心温まる連作短篇ミステリー。1971年。元刑事・蓑島周平と元医者・花の夫婦の駐在生活も板についてきた頃。新たな仲間、柴犬のミルも加わりのんびりした生活......と思いきや、相変わらず事件の種はつきないようで――。平和(なはず)の田舎町を、駐在夫婦が駆け回る!日曜日の雪は、落とし物子どもたちが作った雪だるまが......歩いていなくなった?木曜日の滝は、逃亡者指名手配犯の目撃情報が! 見つかった場所は――?土曜日の涙は、霊能者村を騒がせる自称霊能者の女性。彼女の目的は?火曜日の愛は、銃弾兄弟喧嘩があわや殺人事件に。その悲しき真相とは?
(中央公論新社HPより)
冬の話から始まって。、春、夏、秋、それぞれの季節に起きた事件について。
どの話も、人が人を想う優しさから起きた事件というかんじ。
駐在所の2階に、神社の一人娘・早稲ちゃんと。山小屋で働く圭吾くんが結婚して
新居として住むことになり、賑やかで楽しそうな日常が良い感じ♪
元外科医の花さんの指の回復も順調な様子で、物語の最後にあったように
ここで診療所みたいなものが出来たら素敵だろうなぁ~。
このシリーズ、続いて欲しい!
事件の真相を知る過程も楽しい。
★★★★
発行年月:2019年11月
ハリウッド俳優Bの泊まった部屋からは決まって1冊本が抜き去られていた――。
客室係の「私」だけが秘密を知る表題作など、
著者ならではの静謐で豊かな物語世界が広がる、珠玉の短篇6本。
(河出書房新社HPより)
表題作<約束された移動>は1番目。
今は、映画界から姿を消した、ハリウッド俳優だったBについて。
彼の生い立ちが語られ・・・
彼がまだ若手俳優の時からホテル滞在中に客室係で働いていた「私」。
彼が1冊づつ本を持って行くのに気づくが、ほかに知られないように
取り繕う。そして、次は何を持って行くか、予想したりして楽しむ。
彼が持ち去る本に共通しているのは、誰かがどこかに移動してゆくお話。
<ダイアナとバーバラ>
ダイアナ妃が着ていた服を忠実に再現しているバーバラ。
以前は、市民病院の1Fロビーで案内係をしていた。
口癖は「わかります、わかりますよ」。
孫娘がダイアナ仕様の服の着付けを手伝い、一緒にショッピングモールまで
外出。そこのフードコートで休憩がお決まり。
バーバラの恰好は奇妙で、通り過ぎる人は、見て見ぬふり。
これ、最後のオチがいい。
少年と孫娘、友達になれそう・・・^m^
<元迷子係の黒目>
ママの大叔父さんのお嫁さんの弟が養子に行った先の末の妹(通称・末の妹)
と「私」。
末の妹は、退職まで勤めていたデパートの迷子係として能力を発揮していた。
遠い親戚として「私」の家の隣に住む彼女。
グッピーの産卵の時に大仕事をやってのけた末の妹。
でも、その後、熱帯魚を全て死なせてしまった「私」。
デパートで迷子の体験をする「私」。迎えに来る役は末の妹。
二人の関係がなんだか、ほのぼのしていて良かった。
<寄生>
彼女にプロポーズをすると決めて目的のレストランに向かう途中に
見知らぬ老女につかまってしまう。
どうしても離れてくれないので交番へ。
寄生というタイトルから、もっと不穏なものを想像してしまったけど
おばあさんを迎えにきてくれる人が見つかってホッとした。
そしてポロポーズはたぶん、成功ですね。
素敵なカップルのなれそめも面白く、微笑ましい話。
<黒子羊はどこへ>
貿易船が座礁し、多くの漂流物が流れ着き、そのなかに白い2匹の羊。
以前は、家畜を飼っていたが夫が亡くなりすべて処分した女性がその2匹を
連れ帰り、育てる。
春、毛を刈ろうとしたら、赤ちゃんが生まれていた。
なぜか黒い羊。
村人たちは、不吉の予兆と噂するが、子どもたちには人気で、羊を見にやってくる。
やがて、そこは託児所になり、村人たちは「子羊の園」と呼ぶ。
女性(園長)の話す、黒羊の死に方の物語は、少し残酷だけど子どもたちには
一番人気。
これは、最後、ちょっと哀しかったなぁ~。
最後は<巨人の接待>
巨人と言っても言葉通りの巨人じゃなかった。
なぜ、巨人と呼ばれているのか??
世界的に有名な作家だけど、生まれ育った地域語しか話さず、その通訳係に
呼ばれた「私」。
ほかの誰もが二人の会話を知れないって、なんだかおもしろい。
巨人と「私」の意気投合ぶりが愉快だった。
どの話も、それぞれ面白い!
言葉のセンスはやはりさすが。
懐かしいと思ったり、哀しく感じたり、切なくなったり、可笑しかったり
ほんわかしたり、いろいろな感情を読み手に届けてくれる。
本の装丁も、毎回、素敵です!!
いうことなしの短編集!!
★★★★★
発行年月:2019年10月
私の初恋は微笑ましいものなんかじゃなかった
母を喪くし高見澤家で暮らすことになっ たひとりの少年に
三姉妹は心を奪われていく。
プリズムのように輝き、胸を焼く記憶の 欠片たち。
(文芸春秋HPより)
三部作。
最初は、三姉妹の真ん中の咲也。
少年に最初からきつく目の態度。
彼が自分たちの暮らしのなかでいい気にならないだろうか?と監視する。
母親の趣味である温室のなかの草花のなかで二人がいる場面を盗み見したり・・・
母が少年に夫と少年の母のことを詰問する様子は、まるで拷問のようだとも感じ
少し、少年に同情的になったり・・・
第二部は、長女の麗子が中心。
麗子は、優雅さをもって少年を下僕のように扱う。
が、少年はそれを楽しんでいるかのよう。
そして、今までの報酬だと急に口づけされる麗子だが、嫌悪感はなかった。
第三部は、末っ子の薫子の語り。
高見澤家の女性たち(母、姉2人、お手伝いさん)がなんだかんだ言いながらも
少年に惹かれていく様を観ながら成長していく。
ある意味、一番、冷静にみなを観ていたのかも。
その後の高見澤家の様子も語られ、姉妹たちは、それぞれ結婚し、自分だけが
独身で、自分だけが今も変わらず力のことを想っている。
最後は、薫子の願いが叶いそうなラストで良かった!
ほかの姉妹も力が、これからも高見澤家から離れずいてくれたら
嬉しいだろうから、この結末はハッピーエンドかな?
もっと、ドロドロな関係になっていくかと思っていたので、案外、ほんわかした
家族の物語だったなぁ~と感じたけれど、こういう話も読後感が良いから好き。
★★★★
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自己紹介:
台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
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