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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2020年3月

2020年7月。オリンピック開催間近の東京で、新聞社に「開会式の日、都内を走るトラックの荷台で青酸ガスを発生させる」という予告電話がかかってきたのが、すべての始まりだった。直後、配送トラックを狙った予告通りの事件が次々と起こる。さらには鉄道の線路が破壊され、高速道路ではトンネル火災が。あちこちで交通が分断され、食料品は届かず、ゴミは回収されないまま溜まり続け、多くの観光客がひしめく東京は陸の孤島に――。
この危機から東京を救うため、物流のプロである長距離トラックドライバーたちが、経験と知恵を武器に立ち上がる!! 「今、起こりうる物流崩壊の危機」をリアルに描いた、緊迫のサスペンス。

                      (東京創元社HPより)



コロナ禍で、延期されてしまった東京オリンピックだけど、その直前に起きた事件を軸に
物語が進む。

「オリンピック開会式の日、都内を走るトラックの荷台で青酸ガスを発生させる」という
犯行予告。

そして、次々に起きる事件。

首謀者は一人だけど、それに共感し、共犯として動く者が複数人。

物語のなかで活躍する、長距離トラックドライバーの世良の仲間、浜さん(もうすぐ60歳)
が逮捕。
仲間のなかでは、人気者だったのに・・・。



物語のなかで、産業廃棄物の違法投棄の問題が出てくる。

違法投棄なんてなぜするのか?と単純に思っていたけれど、なるほど、やりたくてやっているという
わけでもない現実問題があったんだ!と気づく。

新しいものをどんどん造って、それが世の中に広がると、今までのものは要らなくなりゴミとなる。
しかし、簡単に捨てられる物ばかりでなく、安全に捨てるためには、費用がかかるということ。


事件を起こした者たちを一概に責めるのも違う気がするけれど
じゃあ、どうすればいいのか?
簡単に答えが出ない。

読み終えても、モヤモヤしたものが残る。
でも、読んで良かったと思う。


特に物流を支えている、長距離トラックのドライバーさんたちには、本当に
感謝します!!



さて、実際のオリンピックは、無事、開催されるのだろうか???



                                 ★★★★
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発行年月:2020年5月

人生の季節は冬に向かっているけれど、何度でも再生し、何度でもやり直せる。見えないもの、聴こえないものを大切に紡いできた、優しい物語の名手による待望の長編小説。 都会のヘリの窪んだところにあるガケ下の町。僕はその町で、〈流星新聞〉を発行するアルフレッドの手伝いをしている。深夜営業の〈オキナワ・ステーキ〉を営むゴー君、メアリー・ポピンズをこよなく愛するミユキさん、「ねむりうた」の歌い手にしてピアノ弾きのバジ君、ロシアン・コーヒーとカレーが名物の喫茶店〈バイカル〉を営む椋本さん、ガケ上の洋館で、〈ひともしどき〉という名の詩集屋を営むカナさん――。個性的で魅力的な人々が織りなす、静かであたたかな物語。

                    (角川春樹事務所HPより)


鯨塚と呼ばれるガケ下の町での物語。

登場人物は、皆、個性的。
でも、素敵。

流星新聞を刊行しているアルフレッド、その手伝いをしている僕(羽深太郎)。
アルフレッドが故郷のアメリカに帰ることになり、その意思を継いで
太郎は一人、流星新聞をつくることに。

町には昔、鯨が迷い込んだことがあるという。
それを裏づけるように鯨の骨が発見される。200年前の鯨の骨が
大雨による土砂崩れで見つかった。

アルフレッドが昔、8ミリで撮影したフィルムをカナさんが編集しなおした。

解散してしまった鯨オーケストラのヴァイオリン奏者の丹後さんは今でも工場で夜、一人
練習している。

町のチョコレート工場が廃業し、今は使われていない。



最後は、みんなで協力して、工場内を有効活用。

楽しい物語。

吉田さんのこういう長編小説、いいな~。
温かい人と人とのつながりが感じられて、ほっこり癒された。



                          ★★★★★




発行年月:2019年8月

芸術にすべてを懸けた男たちの、罪と罰。
エンタメ界のフロントランナーが渾身の力で書き上げた、
慟哭のノンストップ・ミステリー!

「世界のホンダ」と崇められるカリスマ芸術監督率いるダンスカンパニー。
その新作公演三日前に、主役が消えた。
壮絶なしごきにも喰らいつき、すべてを舞台に捧げてきた男にいったい何があったのか。
“神”に選ばれ、己の限界を突破したいと願う表現者たちのとめどなき渇望。
その陰で踏みにじられてきた人間の声なき声……。様々な思いが錯綜し、激情はついに刃となって振るわれる。

『火のないところに煙は』で本屋大賞ノミネート。
『許されようとは思いません』続々重版中。
もっとも次作が待たれる作家の、実に2年ぶりの長篇大作!

                 (文藝春秋HPより)


なぜ、主役のダンサー藤谷誠は消えたのか?
その真相は最後にわかるのだけど、そこに至るまでの物語が
面白い。
バレエは全く知らないけれど、ダンサーたちの表現することへの努力が
凄い。
それを指導する誉田は、冷血なかんじでダンサーたちを極限まで
追いやる。
でも、そうしないと納得した表現が出来ないんだろうな。
表現者って凄い。


失踪した主役の代役には、尾上が選ばれ、厳しい練習の日々。
主役に選ばれた嬉しさより選ばれてしまったことでの苦しみの方が
大きいんじゃないか?大丈夫か?と読んでいて心配になる。
誉田の容赦ない指導。

もう一つの物語も同時に進行。
失踪した誠の弟(父親は違うのだけど)・藤谷豪の話。
父親がフランス人。画家であり、今回の「カイン」の舞台にも
豪の絵が使われる。

豪に振り回される恋人の皆元有美の語りで豪の人間関係が
わかっていくけど、なんだかよくわからない人物。


終盤、失踪していた誠が現れ、なぜ姿を消していたのかも
語られる。

表題の意味も・・・なるほどね。


最後に主役が現れて、代役として練習に励んでいた尾上が気の毒過ぎると
思ってたが、無駄にならなかったとわかったのは良かった。

誉田、冷たくて嫌な奴と思っていたけど案外、良い人だったのか?

なかなか面白かった!


                 ★★★★





発行年月:2019年9月

平凡なサラリーマン家庭に育った、ヤヨイ。いいところのお嬢様、ユリコ。体が大きく、心も広く優しい、マスコ。お調子者でおっちょこちょいな大工の息子、カツオ。ヤヨイの隣家の息子、タカオ。同じ小学校で学んだ5人は、大人になりそれぞれの道を歩んで一度はバラバラになったが、還暦近くなって再会した。会わない間に、それぞれ大人になったところもあり、変わらないところもあり……。
昭和30年代〜平成の終わりまで、ささやかなようでいて、いろいろあった人生を生きてきた5人の物語。
誰もが自分の半生を投影できる、「普通の人」を描き続けてきた群ようこ、真骨頂の感動長篇。

                    (幻冬舎HPより)



昭和29年~30年生まれのヤヨイ、タカユキ、ユリコ、マスコ、カツオ。
5人の小学校時代から還暦までの人生を連作形式で描く物語。


生涯独身なのは、ヤヨイのみ。
性格良いし、容姿も悪くなさそうなのに、縁がなかったんだなぁ~。
母親が突然、出奔しちゃったり、一番、波乱万丈な人生というかんじ。
父親が亡くなり、実家で一人暮らしを始めたら、隣家に同級生のタカユキが
やはり一人で住んでいる。
彼は離婚してるんだけど。

気楽に付き合える隣人同士という間柄は、なんだかいいな。
困ったときには、お互い頼れる関係になれそうだし、理想的な関係。


共通の話題で盛り上がれる同級生っていい。
あだ名で呼び合って面倒くさい気遣いもなし。

5人はは、ずっとこのままいい関係で年を重ねていくんだろうな~


群さんの新しいシリーズにはならないかな?
この先の5人の物語も読みたい気分。


                        ★★★★


発行年月:2020年3月


詩帆17歳の誕生日デートは岡山の「大原美術館」、ピカソ〈鳥籠〉のまえ。
それからふたりはいつも一緒だった。けれど、彼は今日旅立つ。

(「窓辺の小鳥たち」)

ある少女に導かれるように会社と逆方向の電車に飛び乗った私。
箱根「ポーラ美術館」のセザンヌ〈砂糖壺、梨とテーブルクロス〉のまえで
夢を諦めた記憶が蘇りーー。(「檸檬」)



日常の中の小さな幸せに寄り添う、珠玉の6篇。

                      (幻冬舎HPより)


6篇それぞれ良かった!
それぞれの主人公たちには、思い入れのある絵、美術館があって
そんな人々の物語。


<ハッピー・バースディ>
ひろしま美術館・・・・ドボーニの庭/ゴッホ

<窓辺の小鳥たち>
大原美術館・・・・・鳥籠/ピカソ

<檸檬>
ポーラ美術館・・・・・砂糖壺、梨とテーブルクロス/セザンヌ

<豊饒>
豐田市美術館・・・・・オイゲニア・プリマフェージの肖像/クルムト

<聖夜>
長野県美術館・・・・・白馬の森/東山魁夷

<さざなみ>
地中美術館・・・・・睡蓮/モネ



お話として好きなのは<豊饒>と<さざなみ>。

豊饒は、作家志望の女性だが、仕事としては、見たことも聞いたことも試したこともないものを
高評価のレビューをつけるというもの。
そんな彼女の隣に引っ越してきたスガワラさん(70歳)と親しくなる、
彼女は美術館で働いているという、いつでも待っているからと言ったスガワラさんが
息子家族の元に引っ越すという最後の勤務日に彼女に会うため美術館へ行く。


このお話の豊田市美術館は、好きな美術館のひとつで家族とちょくちょく訪れる。
クルムト展も見たので、なんだか嬉しかった(^^)


<さざなみ>は子宮筋腫の術後、入院している病院のテレビで見た
地中美術館。モネの絵が展示されていると知り、退院したら即、行こうと決める主人公。
そして、睡蓮の絵のまえで吸い込まれるように見入る。
絵から風が吹いてくる。さざなみが立っている。


風景が浮かんできそうな描写。
ああ、わたしもそこに立ってみたいなぁ~。
出来たらこの主人公のように、あまり人が居ないときがいいな。



こういう短編もいい。
絵は物語のわき役というかんじだけれど、存在感大のわき役。



                          ★★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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