発行年月:2020年4月
「私、女優になるの。どうでも、決めているの」。松井須磨子の舞台に胸を貫かれ、二十七歳で津和野から夫と子を捨て出奔した女は、東京で女優・伊澤蘭奢へと変身した。「四十になったら死ぬの」とうそぶき、キャリア絶頂で言葉通りに世を去った女の劇的な人生を、徳川夢声ら三人の愛人と息子の目から描く、著者一世一代の野心作!
(新潮社HPより)
女優・伊澤蘭奢(らんじゃ)の生涯を語る。
40歳目前に亡くなった蘭奢。
4人の男たちが集まり、遺稿集を出そうと話すシーンから始まる。
本名・三浦繁。結構、裕福な家庭に生まれ結婚し、息子まで生まれるのだけど
跡取りが生まれたと姑が手放さず、女優になりたいという夢を捨てきれず
夫も息子も置いて東京へ。
近代劇協会をまとめている上山草人の元で、俳優たちと練習の日々。
舞台にも出られるようになったが、貧乏暮らしのまま。
冒頭集まっていた男たち
・内藤民治・・・欧米生活の経験ある実業家。雑誌社(中外社)を経営し
多くの作家たちとも交流あり。近代劇協会にも出入りし、繁と知り合い、
愛人関係に
・徳川夢声(福原駿雄)・・・活動弁士。有名になるまえから繁とは知り合いで
恋人関係のときも。
・福田清人・・・帝大生時代から、伊澤蘭奢の芝居をみて憧れを抱いていた。
・伊藤佐喜雄・・・繁の一人息子。大阪高等学校に通う。母親ゆずりの美形。
4人の男たちが、蘭奢を介して、良い関係にあるのがいい。
それぞれの才能を活かしながら、遺稿文を作成していったんだろうな。
息子を捨てたかたちになっていたけれど、ちゃんと手紙でのやり取りや
実際に会って二人で過ごす時間もあったのだと知り、ほっとした。
有名な文豪も登場したりして、この時代の空気感を楽しめた。
知らなかった女優さんだけど、過去にも、この人をモデルにした作品が
あるようなので、読んでみようかな。
★★★
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発行年月:2016年10月
ダイエットは運動と食事制限だけではない。大庭小萬里はマスコミには一切登場しない謎の女性だが、彼女の個別指導を受ければ、誰もが痩せられるという。どうやら、身体だけでなく「心のゼイ肉」を落とすことも大事なようだ……。身も心も軽くなる、読んで痩せるダイエット小説。
(双葉社HPより)
4つのケースを大庭小萬里が個人アドバイスによりダイエットを導いていく話。
ダイエット本【あなたのゼイ肉落とします】の著者でもある小萬里は
本のなかで、チェック項目を挙げ、4つ以上イエスのある人は連絡くださいと。
凄い商売だなと思いつつ、ダイエットしたくて連絡をする4人。
<ケース1 園田乃梨子 49歳>
身長 163cm 体重 59.8kg
若い頃はスマートで美人。夫と娘には綺麗じゃなくなった自分を冷たい目を
向けられていると感じる。
小萬里の「ブスとして生きる訓練をする」「筋トレを」のアドバイス。
自分の若い頃と比べても仕方ないということでしょう。
年を取れば、代謝も悪くなるし、筋肉量も減るから、少し食べ過ぎれば
全て蓄積されていく。
う~ん。痛い。ズバリ、今の自分に対して言われているかんじだったなぁ~
この話が一番、グサッと胸に刺さったかも^m^
他は
<ケース2 錦小路小菊 18歳>
155cm 80k超
大学で友達になった春子に大庭小萬里の本の存在を教えてもらい、個人指導を受ける。
元々の夢、お菓子づくりでお金を稼ぎたいを活かして、バイト先で得意の
かぼちゃパイを誉められ、生き甲斐を見つける。
気づけば甘いものを沢山食べることも減り、少しずつ体重が落ちる。
<ケース3 吉田知也 32歳>
178cm 87kg
交通事故で1週間の昏睡状態から目覚める。
しかし過去1年半の記憶を無くしていた。
鑑をみて、「こんなデブは自分じゃない」とショックを受ける。
1年半の間に起きたことが太る原因だった。
太っていても、過去に間違いを犯しても、ずっとそばで見守っていてくれた
幼馴染の友香の存在があってよかった。
元のスマートな彼に戻っていくといいな。
<ケース4 前田悠太 10歳>
123cm 42kg
学校では、ちびでデブだから、コロと呼ばれ蹴られたりして虐められている。
資源ごみの日、捨ててあった「あなたのゼイ肉落とします」の本を
自分の部屋に持ち帰り小萬里に手紙を書く。
特別無料で指導してもらえることになる。
母親と二人暮らしの悠太の食生活を変えることに手助け。
本を捨てた隣の部屋の加奈とも親しくなり二人で大庭から料理を習う。
4つの話、それぞれに言えることは、生活改善。
ダイエットって、今までの生活を振り返って、少しずつ意識して
変えていくことが必要ということだな。
運動しなきゃ!食事制限しなきゃ!と脅迫観念ぽいのは長続きしない。
ちょっと自分の生活パターンも考えてみよう!
なかなか面白かった。
★★★★
発行年月:2019年12月
あらゆる色が重なって、黒になるんだーー。
拉致した女性の体の一部を家族に送り付け楽しむ、醜悪な殺人者
突然、様子のおかしくなった高校生のひとり娘
全ては自らが過去に犯した罪の報いなのかーー!?
推理作家協会賞受賞作家が、人間の悪を描き切った驚愕のミステリー!
あまりに似すぎている、あの時に聞いた話とーー。
不動産会社を経営する財前彰太は妻の由布子、ひとり娘の美華と幸福に満ち足
りた生活を送っていた。だが、その暮らしに不穏が兆す。世間を騒がす女性拉致事件の
手口に覚えがあるのだ。被害者の衣類や髪、爪などを家族に送り付けて楽しむ殺人者。
それは十八年前、探偵事務所に勤めていた彰太が、娘の復讐をしたいという老人から
捜索依頼を受けた拉致監禁犯のやり口と瓜二つだった。
当時、妊娠中の由布子と結婚するため、金が必要だった彰太は、叔父の会社の
乗っ取りを画策。依頼人に伯父が犯人だと嘘の報告をしたのだーー。
あの時の真犯人が再び動き出したのか!?
日本推理作家協会賞受賞!『愚者の毒』の著者が放つ最新ミステリー!!
(祥伝社HPより)
恐ろしい話。
主人公の財前彰太は、伯父・文雄の財産を継いで今は取締社長。
妻(由布子)とお嬢様の通う高校2年の娘・美華と暮らしている。
伯父の後を継いだのは、彰太のある悪だくみが成功したから。
以前は、興信所勤務の彰太が、ある人物に恨みを抱きその復讐心に燃える依頼人の心理を
利用して、伯父を殺害するよう仕組んだ。
その罪悪感が彰太を苦しめる。
依頼人が憎んでいた人物は、今も世の中にのさばり、18年前、依頼人の娘にしたことを
再び、別の誰かに始めたか?と思わせる殺人事件が起きる。
登場人物たちが多いのだけど、話の流れの中で自然に入ってくるので混乱せず
後々、わかる事件の真相で、びっくりする。
なんとなく怪しくないか?と思っていた大黒様の息子・若院の裏の正体が明かされて
えぇ~!?
彰太の若い頃、少年鑑別所送りになったとあったけど、一緒に罪を犯した妹は?と
ずっと気になっていたのだけど、最後にえぇ~!?
ああ、凄い話。
人って、そんなに悪人って人じゃなくても、出会う人やその時の心理状態で、とんでもない
悪が表に出てしまう怖い生き物なんだと思った。
表紙の美しい絵も、今は見ると怖い。
よく考えられた話ではある。
物語としては面白かった!
★★★★★
発行年月:2020年6月
二人の小説家と一人の秘書、三人の女が織りなす、ひりつく心理サスペンス。
才能、容姿、愛情……
持たざる何かを追い求め、わたしは「わたし」を見失うーー
この嘘は誰かを不幸にしていますか?
小説家の織部妙は順調にキャリアを積む一方、どこか退屈さも感じていた。
そんなある日、“美人作家”として話題の新人、橋本さなぎの処女作に衝撃を受ける。
しかし、文学賞のパーティで対面した橋本の完璧すぎる受け答えに、なぜか幻滅してしまう。
織部の興味を惹いたのは、橋本の秘書である初芝祐という女性だった。
初芝への気持ちを持て余す織部は、やがて「橋本さなぎ」の存在に違和感を抱くようになる。
その小さな疑惑は開けてはならない、女同士の満たされぬ欲望の渦への入り口だった……。
「第13回エキナカ書店大賞」受賞作家の最新作。
(祥伝社HPより)
3人の女性たち。
・織部妙(35歳)・・・小説家。美人だが、容姿について語られるのは嫌。レズビアン。
・速水咲子(30代半ば?)・・・作家・橋本さなぎのアバターの役割。
・初芝祐(25歳)・・・作家・橋本さなぎとして作家活動をしている。表向きの顔は
咲子に任せて。
妙は、初対面の時に、橋本さなぎの秘書として紹介された初芝に惹かれる。
白い肌、あかちゃんみたいなぷっくりした頬などに欲情していると自ら気づく。
が、初芝とは、深い関係にはならない。
よき相談相手として、相談に乗ったり、一緒にクラッシックコンサートに出かけたりは
するが・・・。
そして、咲子との関係も知る。
自分の力で作家として、やっていくと決めた初芝は、北海道に拠点を移す。
一方の咲子は、ホステスとして夜の街で働き始める。
作家・橋本さなぎは消滅。
好きでもない咲子がスーツケースに入った荷物を預かって欲しいと妙のもとに
持ってきたことから、妙の部屋に度々、出入りすることになり
二人の関係は深いものに。
お互い好きでもないのに・・・
このあたりがよくわからない。
初芝の作品が認められたラストは、良かったけれど。
そんなに面白い話でもなかったかな?
もっとドロドロした愛憎劇が展開されるかと思っていたので・・・(^^ゞ
★★★
(祥伝社HPより)
3人の女性たち。
・織部妙(35歳)・・・小説家。美人だが、容姿について語られるのは嫌。レズビアン。
・速水咲子(30代半ば?)・・・作家・橋本さなぎのアバターの役割。
・初芝祐(25歳)・・・作家・橋本さなぎとして作家活動をしている。表向きの顔は
咲子に任せて。
妙は、初対面の時に、橋本さなぎの秘書として紹介された初芝に惹かれる。
白い肌、あかちゃんみたいなぷっくりした頬などに欲情していると自ら気づく。
が、初芝とは、深い関係にはならない。
よき相談相手として、相談に乗ったり、一緒にクラッシックコンサートに出かけたりは
するが・・・。
そして、咲子との関係も知る。
自分の力で作家として、やっていくと決めた初芝は、北海道に拠点を移す。
一方の咲子は、ホステスとして夜の街で働き始める。
作家・橋本さなぎは消滅。
好きでもない咲子がスーツケースに入った荷物を預かって欲しいと妙のもとに
持ってきたことから、妙の部屋に度々、出入りすることになり
二人の関係は深いものに。
お互い好きでもないのに・・・
このあたりがよくわからない。
初芝の作品が認められたラストは、良かったけれど。
そんなに面白い話でもなかったかな?
もっとドロドロした愛憎劇が展開されるかと思っていたので・・・(^^ゞ
★★★
発行年月:2020年7月
「夫を亡くした女だと、彼には言わないで」「私が忘れないかぎり、あなたはいるのよ」(実日子) 「私はこの男にほんの少し欲情している」「夫が死んでほしいと思っているの」(まり) 愛する夫を喪った女と、夫が大嫌いになった女。おいしい料理教室を舞台にしたふたりの“妻”の孤独と冒険の物語。
(角川春樹事務所HPより)
ふたりの女性。
能海まり(38歳)・・・夫と二人暮らし。夫婦共に不動産鑑定士。まりは結婚後は
夫の秘書的役割。結婚してすぐのころは、幸せだったけれど、今は夫が嫌い。
園田実日子(38歳)・・・1年前に夫が病死。やっと前を向かなきゃと料理教室を
再開させる。
共通しているのは、夫がいないということ。
まりの場合は精神的な不在。
実日子の料理教室にお試しで通い始めたまり。
二人の会話のなかで、まりが「どっちが、かわいそうなのかな?」という。
こんなこと言うまりには嫌悪感。
実日子は、可愛そうな人ではないと思う。
愛する夫を亡くし、まだ完全に立ち直れてはいないけれど、それを支えてくれる
アシスタントのゆかりや、ゆかりの弟・勇介が近くにいる。
亡くなった夫の両親とも良い関係。
実日子は愛される人なんだなぁ~と思う。
反対に、まりは、夫のことが嫌いで死んでほしいと思っているなんて、口に出して
他の人に言うって、本当にかわいそうな人。
マッチングアプリで知り合った星野と良好な関係を築くのも、まあありかな?
と思っていたら、星野をも傷つける。
なんて身勝手な人なんだろう。
これじゃ、誰からも愛されないと思う。
実日子には幸せになって欲しいと強く思った!
ささ~っと読めて、面白かった。
★★★
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自己紹介:
台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
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