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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2025年10月


〈 書籍の内容 〉
原爆投下後、石段に焼きついた人影の真実
広島平和記念資料館に展示されている「人影の石」。
それは、原爆の強烈な熱線で石段に残された黒い影。
これはだれの影なのか?
その人はどうしてそこにいたのか?
原爆投下の後、その人はどうなったのか?
「人影」がだれのものなのか、どうしてこのような形で残ったのか、当時の目撃情報、遺体を収容した兵士の証言などから解き明かす、真実をたずねて伝える物語です。
〈 編集者からのおすすめ情報 〉
物語の中で、人影の石の主と言われている越智ミツノさんは、作者、朽木祥さんの姻戚に当たるそうです。作者は子どものころからこの「人影」の話を聞いていたそうです。事実に基づいて創作した渾身の作品となりました。
朽木祥さんの作品で、小学校5年生の国語の教科書に掲載された「たずねびと」は、多くの子どもたちに読まれていますが、本作品はもう一人の「たずねびと」の物語です。
<目次>
Ⅰ 一九七二年 千鶴 十六歳
   1 夏の日
   2 レリーフと石段
Ⅱ 一九四五年 幸子 十七歳
   1 八月六日 午前七時 佐波郡出雲村 越智幸子
   2 八月六日 七時半 広島市皆実町 越智ミツノ
   3 八月六日 八時過ぎ 広島市紙屋町 金子正一
   4 八月六日 八時十五分
   5 八月六日 午前 暁部隊



                     (小学館HPより)



原爆投下によって一瞬に命を落とし、その人影が石に残っている。
その人影の主は、越智ミツノさんだった可能性が大きい。
数人の証言もあり、一時は展示パネルに名前を載せていたけれど
自分の大切な人の影かもしれないと申し出もあり、確実な証拠がないので
再び名前は取り下げられたという経緯。


名前を載せて貰うまでもかなり時間がかかったのだけど
ほかの人たちの墓標のようなものだと考えれば、いいのかもしれないと
ミツノさんの娘さんの言葉。


あの日、広島で起きた悲劇。
その後、長崎でも。


ずっと忘れてはいけないことだな。



あとがきを読んで、著者が「越智ミツノさん」と姻戚関係にあったと知り
ビックリした。
ちゃんとミツノさんの娘さん幸子さんとも交流があったそうで
これは、著者にしか書けない物語で、書くべき物語だったんだなと思った。


装画・挿絵の牧野千穂さんの絵が可愛らしくて素敵。



                     ★★★★★
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発行年月:2006年11月


『かはたれ』から4年後、八寸は、ふたたび長老の言い付けで、人間界へ出かけることになった。今回は、なぜか中学校の古いプールに棲みついてしまった高貴な血筋の河童、不知を河童界に連れもどすという使命を帯びていた。その中学で、3年生の麻と八寸は再会を果たし、麻の協力で、不知は、すでに命を落とした人間の友だちを待ちつづけていることがわかる。不知の持つ霊力で時間を遡り、不知とその友人を再会させようとするが…。


                 (福音館書店HPより)




「かたはれ」から4年後のはなし。

八寸は長老から頼まれて、人間界から戻らない美しく賢く特別、霊力も強い
月読み族の生き残り・不知を連れ戻すために再び麻と暮らした思い出の
場所へ向かう。


不知が棲みついているのは、学校の古いプール。
なぜ、不知はそこに居続けるのか?
それには、不知と司という少年が交わした約束があったから・・・


八寸は今度は河童の姿のまま、長老から《見え隠れの珠》を首にかけて
もらう。
姿を隠してくれるが水系のものは見えてしまうという。
雨に濡れたり、くしゃみや鼻水にも注意。


八寸は不知にはすぐに会える。
けれど、どんなに説得してもダメ。
プールで誰かを待っているらしいけど誰を?

そして懐かしい麻とチェストタンとも再会する。
麻は14歳になり、身長も160cm近く、チェストタンは年をとり
活発に動き回ることはなくなっていた。


学校で河童らしきものを見たという騒ぎが起き、焦る麻。
そして随分、前にも同じような騒動があったことを知る麻。
その時、少年で河童を見たといった二階堂晋を探し、会って話をする。
二階堂晋の祖母がお屋敷で働いていた時にお屋敷の坊ちゃんと
銀色の人が楽しそうに話しをしている光景を見たという話も。

そのお屋敷の坊ちゃんは天辰司。
銀色の人は不知。
不知は、司を待っていた。

司と不知の話は、なんとも哀しいものだった。
楽しい時間を過ごしていたのに、戦争が始まり、司は戦場へ。
帰って来たけれど右腕を失い、大好きなヴァイオリンが弾けなくなる。
それでも学校の臨時教師として働いていたが、学校に爆弾が落ち
校舎の梁の下敷きになった司。
火の手が迫る場で不知はなんとか司を助けようとするが
司は「プールのところで待ってろ!後で会えるから・・・」と。
そのまま司と会うことはなく時が過ぎて・・・


麻は学校のピアノを弾いている河合くんを偶然、会い
2人は同じ小学校から来ていて、以前、虐められていたときに麻に助けられた
という話をする。
なんとなく、麻は河合くんになら八寸や不知のことを話しても大丈夫
だと感じ、勇気を出して話す。
それから、なんとかして不知を救う方法を一緒に考える。
河合くんも良い子だな。

八寸や不知の姿も河合君にはすぐに見え、なんとかして音楽で記憶を
取り戻せないかと探り、偶然、フルートで吹いた曲に不知が
「もういちど吹いて」と頼み、その音色が時空を超えた司の元へも届く。


不知と司の再会は短い時間だったけれど、不知はそれによって
八寸と散在ガ池に戻ることを決める。


再び、麻は八寸と別れることになるのだけど。。。。
河合くんと二人、共通の思い出が出来たし、また会える方法も残して貰えた。


この話の続きはもうないのかなぁ~。

ステキな物語だったなぁ~。




                     ★★★★★



発行年月:2021年6月


河童の子どもが猫に姿を変えてやってきた!
河童族の生き残りの中で、人間でいうと8歳になったばかりの「八寸」と呼ばれる河童が、修行を積んで人の目から姿を隠す術を学ぶため、猫に姿を変えて人間の世界に送り込まれることになった。八寸は麻という女の子の家で暮らすことになり、母親を亡くしたばかりの麻は、猫の八寸に大いに慰められるが、ある日猫を洗ってやると、八寸は河童の姿に戻ってしまったのだった…。心の問題を抱える少女とかわいらしい子どもの河童とのユーモアと感動に満ちたファンタジー。

        
                    (福音館書店HPより)


優しくて温かくていいお話だった。

河童の八寸がなんとも愛らしい。
人間でいうと6歳(河童の年齢では60歳過ぎたところ)の八寸が
住んでいる池でひとりぼっちになってしまっていた。
兄たちが出かけたあと、その兄たちを探しにいった親たちも帰って来ず・・・

河童の長老に8歳になったとき「人間の世界に夏の間だけ修行にいったら
どうだろう?」と言われ人間の世界にうまくなじむようにと猫に姿を
変えられる八寸。
水を切らさないようにせなくてはならないが、浴びてしまうと河童の姿に
戻ってしまうから注意せよ。
首に珠を付けてくれ、月のあかりを十分に浴びせれば河童に戻って
しまうことになっても3度は元に戻してくれる力があるという。



人間の様子を観察しながら生活した5日目。
情けない顔の犬に出会う。
その様子を観察していると、女の子が夕方帰ってくるとすごく嬉しそう。
そんな様子をみて、羨ましく、沼で家族で過ごした思い出が蘇り
しんみりしてしまう八寸。


その後、その犬・チェスタトンと麻(小学5年生)と出会う。
麻が仔猫の八寸の世話をしながら、河童であることも知ってしまうのだけど
変わらず八寸を大切な存在として接してくれる姿がいい。
ラブラドール犬のチェスタトンも大人し優しい。
盲導犬に臆病すぎてなれなかったらしい。

麻は、母親を半年前に病気でなくしていて、父親が帰宅するまでは
チェスタトンと過ごす日々だった。
そこに八寸も加わったことで麻自身も気持ちが前向きになっていくのも
いい。
人間じゃなくても気持ちが通じれば絆が生まれる。


終盤、いじわるな男の子3人に対峙する八寸とチェスタトンの様子が
勇ましく微笑ましかった。


最後は元の生活に帰った八寸。
八寸のことを心配していた家族の様子も後半は知れて
再び、家族揃って楽しく暮らしているかな?

麻のその後が少し気になるけれど・・・自分のために男の子と闘ってくれた
ことは、嬉しかっただろうな。


「かはたれどき」=彼は誰?と顔の見分けがつきにくい、おぼろげな朝刻のこと
           (夕刻にも同様なことがあるので両方で使われる)


挿絵も素敵で大人でも楽しめる1冊だった。

朽木さんの書く物語は、いつも温かい気持ちにさせてくれる。



                      ★★★★★



発行年月:2022年5月


美人画は「色気がない」、役者絵は「似ていない」と酷評されてばかりの歌川広重。鳴かず飛ばずの貧乏暮らしのなか、舶来の高価な顔料「ベロ藍」の、深く澄み切った色味を目にした広重は、この青でしか描けない画があると一念発起する。葛飾北斎、歌川国貞が人気を博した時代に、日本の美を発見した名所絵で一世を風靡し、遠くゴッホをも魅了した絵師の、比類なき半生を描く傑作長編。
受賞
第42回 新田次郎文学賞
テレビ化
特集ドラマ「広重ぶるう」(2024年3月放映)


                   (新潮社HPより)



先に「ふたりの歌川」を読んで、広重のことを更に読みたくなり、こちらを
手に取った。

絵師として少し仕事を始めた頃。
師匠の豊広は一昨年に亡くなったところ。


絵だけではまだ食べて行けず、定火消同心としても働く身。

同い年の国芳は自分を弟子にしなかった豊国の元で既に世に名を知られる
絵師になっているし、70歳の北斎もまだまだ新しい作品を出し人気は
衰え知らず。
それに比べて、自分は・・・・と鬱々とする気持ちもありの広重。

それでも広重の絵を評価してくれる者も出て来て弟子にしてほしいと次々に
若者が来る。

が、そんなとき、どんな時も笑顔で寄り添ってくれていた妻が亡くなり
気落ちする広重のもとに師匠・豊広と親しかった喜三郎が弔問にきて
師匠の話、妻・加代の話を聞き、自分は色々な人に見守られていたのだなと
つくづく感じ、師匠に対しての感謝の気持ちを強く抱く。


祖父の後妻が生んだ仲次郎が30歳を超えたあたりで急死。
遺された嫡男はまだ幼い。

妹のさだが赤子・辰を産むが、辰が6歳の頃、夫の了信(僧侶)と別れ再婚したいが
嫁ぎ先には4人の子があり、辰を預かってほしいと言われる。
そして辰を預かったあと、了信には50両の借金があり、借金取りが・・・


波乱万丈な広重。
借金を返すために嫌々、描くことになった枕絵。
元々、女性を描くのは苦手な広重が豊国に指南して貰って、なんとか
描いて借金を返済。

絵師にも得意分野があるんだな・・・^m^


加代がなくなり家の細々したことをしてくれる女性・お安が来て加代とは
性格は真逆ながら、こちらもしっかり広重を支えていて
結構、人間関係には恵まれていたんだなと感じた。


絵師として成功するには、良い版元、彫師、摺師に巡り会うことも必要だった
んだと思う。

先に読んだ「ふたりの歌川」同様、楽しかった。


「広重ぶるう」が以前、NHKでドラマ化されていたと知り、見逃したと
がっかりしていたら、明日BSで再放送の情報を得て、うれしい!!
なんともラッキー!


梶よう子さんの作品、今まで読んでなかったけれど、これから
読んでいこうかな?



                     ★★★★★



発行年月:2025年6月


★第33回日本児童文芸家協会賞 受賞作品
★第23回赤い鳥さし絵賞 受賞作品
 
「こんど、また遊んでね」
「こんども、こんども、また、こんどもね」
也子が出会った、ふわふわのしっぽの小さなきつね。
あしたも、きっときつねを探しに行こう。
そう思っていたのに――。
戦時下の広島でくらす、小学4年生の也子。
子ぎつねと次第に仲よくなっていく
つつましくも穏やかな日々が、
一発の爆弾によって、突然奪われます。
あたりまえの暮らしが奪われることこそが、非戦闘員までも巻きこむ戦争の恐ろしさであり、悲しみなのです。~あとがきより~
教科書に採用された『たずねびと』の著者による、新しい戦争児童文学の原点。
日本児童文芸家協会賞、赤い鳥さし絵賞受賞作品。
※本書は2008年に発行された『彼岸花はきつねのかんざし』(Gakken)の新版です。新版の刊行にあたり、全編を通して表記を改め、表現の一部を加筆修正しました。


                    (佼成出版社HPより)





B29が飛んでいくのがみえる。
戦時下の広島の田舎で暮らす小学4年生の也子(かのこ)が主人公。
ある日、竹藪で友達とかくれんぼをしていて、気づいたら皆、居なくなり・・・
子ぎつねにあう。
子ぎつねが「わたしにばかされたい?」と聞くので「ぜんぜん」と答える。
その後、暫く会えず、また会いたいなぁ~と思っていると、再び会えて
一緒に追いかけっこ。

子ぎつねとの会話のなかで、かのこが「白い彼岸花がいいな」と話すと
「町のほうにはある」と。

そして再び会えない日が続き・・・・


8月6日、ぴかどんが空から降って・・・・



最初は、ファンタジーだけど、戦争の怖さや虚しさを感じる物語。

絵もかわいい。


こういう話は、辛いけれどずっと誰かが書いてくれないといけないな。




                    ★★★★★
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