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読んだ本の感想あれこれ。
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41ZT7KMKQRL__SL500_AA300_.jpg発行年月:2004年5月


鎌倉の四季の中に綴られた女性の人生の哀歓。
鎌倉の美しい四季の中、女盛りが過ぎようとする女性の心情と良き時代を生きた老女の生涯を描く、名エッセイストの瑞々しい小説デビュー作。悲しいほど儚い生だから、命は輝き、老いさえ愛しい。



                       (集英社HPより)



初読みの作家さん。
図書館棚から、長女が手に取り「これ、おかあさんには面白いかも」と。
長女がよんだわけじゃなく、単なる勘で選んでくれたそうで・・・^^;

期待せず読んだら、これがすごい深い話でした!!

物語に登場する二人の老年にさしかかる年代の女性達。
信子と菊子。
若い頃から仲良くしている友人同士で、それぞれ既婚者。

物語の最初は、二人がお花見をする描写。
菊子のおば夫婦が住んでいた家で、その庭にある桜の花を見に行く。
おじは既に亡くなっているが、日本が皆、貧しく慎ましやかな暮らしをしていた時代、豊かな洋風文化のなかで気楽に暮らし、ドイツ人との交流もあった人。
そのためおば・逸子も年老いた今もどこか夢見がちで気位が高い。
おばは病気療養中で入院しているが、なにかと姪である菊子を呼び、あれこれ用事を言いつけ、自分の身元保証人になってほしいとも言われている。

そして、菊子の夫・讓二も堅実な暮らしから離れているかんじで、外国骨董を買い占めて楽しんでいる。
おじの遺したドイツの人形も非常に価値のある物だと知り、自分のものでもないのに、喜んだり・・・。


対して、信子は平凡だけれど、良識ある夫・亮吉と安定した暮らしをそているかんじ。
何度か膵炎で入退院を繰り返したが、胆のう摘出により健康を取り戻した。


菊子と信子は度々、会い、いろいろな話をする。
信子からすると菊子は、若い頃から華やかなイメ-ジのなかで暮らす存在だったけど、菊子からは
「私の欲しいもの、全部持っている・・・・・・あなたはきっと死ぬまで幸せよ」と言われる。



そして、終盤、そんな菊子の言葉の通り、菊子には辛いことが重なって起きていく。

それを傍らで心配しながらみている信子も辛そう。

年老いて生きていくと、こういうことは誰の身にも起きていくことなんだろうな。
辛いな・・・イヤだな・・・・とちょっと気持ちが沈んでしまった。

けれど、生きて死んでいくってこういうことなだろうな。
それは公平に誰にでも訪れることなのだから、そうなったらそうなったで仕方ない。

物語の最後の
「いずれ死ぬことが、今生きているということだ」には、妙な潔さを感じて、不思議とその言葉に素直に共感できた!


うん、なかなか本でした!

ただし、若者が読んでもこの良さは、わからないだろうなぁ~。
自分もこういうものの良さがわかる年代になってしまったか?^^;


舞台が鎌倉で、丁度旅行をしてきた後だったので、出てくる地名やら、景色の描写が頭に浮かんできて楽しかった♪


★★★★
 
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51AFDqRm3CL__SL500_AA300_.jpg発行年月:2011年11月


世田谷区、松陰神社前駅から徒歩15分。
女性専用の下宿「タマヨハウス」には、年ごろの三人の女が暮らしていた。
弁護士を目指す涼子、アパレルのデザイナーとして働く撫子、
そして不条理なリストラに遭い、人生にも道にも迷い続ける柊子。
幸せでも不幸せでもない日常を過ごしていた彼女たちだが、
春の訪れとともに現れた真面目だけが取り柄の臨時管理人の過干渉によって、
少しずつ「足りない何か」が浮き彫りになっていく。


                                         (ポプラ社HPより)


表紙から子どもが主人公の児童書?と思ったけれど、違いました。
そして、なんとなく哀しい話かな?と勝手に想像して読みましたが、それもハズレでした。

女性専用の下宿屋「タマヨハウス」に暮らす3人と、管理人のタマヨがアメリカの友達(恋人)の看病のため渡米し、代わりに管理人として来たのは、トモミ。
トモミはタマヨのいとこ。そして、男性だった!
でも、タマヨが今までやっていた通り、朝、晩の食事の用意から細々した日常のことを完璧にこなしてくれる。
そして、思ったことをズバズバ言う。


下宿人の3人の女性たち
涼子(26歳)・・・・弁護士を目指す司法浪人生

撫子(36歳)・・・・アパレルデザイナ-、24歳の上堂薗くんに結婚を迫られている。
柊子(34歳)・・・・前の会社で横領の濡れ衣を着せられリストラ後、就職活動中


3人には、それぞれに父親とのことで、抱えている想いがある。

表紙の絵は、柊子が幼いときの記憶。
それは父の葬儀に参列したときの記憶。
よくわからないけれど、黒い服を着せられ、なぜか不機嫌な母親に連れられ姉とともに葬儀会場に向かった幼い柊子。
雨が降っていたので、持っていた赤い傘をさして、先を歩く母を必死で追う。

表紙の絵から、何か悲壮感が漂ってきましたが、実際には、父親の記憶は乏しく、姉から後にそのときの状況を聞く柊子。

ほかの二人も父親との関係には、ちょっとした確執があるのだけれど、管理人のトモミさんからのアドバイスだったり、タマヨハウスに集う人たちによって、その確執が少し和らいでいく。

自分の心の中で悶々としていることも、こうして良い方向に向かうことって、良い人間関係のなかに居る人にはあるだるだろうなぁ~。
こういう人と人との関わり方、いいなぁ~。

素敵なお話でした♪

ほかの本も読んでみよう!


                                           ★★★★




 
41x8HTpcyJL__SX230_.jpg   発行年月:2010年1月


   第4回ダ・ヴィンチ文学賞大賞受賞作。地味で無口な28歳派遣社員・潔子。職場でいやがらせに遭うが、アパートで潔子を待つ飼い猫は、実は「猫魂(ねこだま)」なる憑き物! 潔子の怒りが頂点に達したとき、猫魂と一体化して美女に変身! いやがらせしてくる敵の憑き物に仕返しします! 妖怪×仕事人のコミカル・アクション



                           (メディアファクトリ-HPより)


先に読んだ、デビュ-2作目の「海に降る」がとても良かったので、こちらのデビュ-作を読みました。
なかなか面白い設定でした!

主人公の田万川潔子。
田万川家は夏梅種の家筋で、猫魂を自身に憑依させて、無敵の力を得ることが出来る力を、持っている。
潔子は、その唯一の末裔なのだが・・・・・本人にその自覚はなく、猫魂が憑依するとき以外は弱気で冴えない。
そのため、いろいろな人から理不尽な扱いを受ける。
が・・その相手は、憑き物(おにひとで、アライグマ、西洋たんぽぽ、フィレット)により潔子に災いをもたらしている。

派遣社員として昼間は働く潔子が、帰宅しては嫌な目にあったのを憂いている姿を飼い猫のメロが、特殊な能力により、潔子の脳のなかから抽出する。
潔子の負の感情が激しくなることで、メロの猫魂が潔子に憑依し、膨大なエネルギ-を生み出す。

そうすると、普段は冴えない潔子が風貌からして、美しく変身。

潔子に理不尽な態度を取った者たちに反撃していく様子が面白い♪

猫好きには、たまらない愉快な話でありました(^^)

面白いなぁ~。この著者。

もっともっといろいろな物語を読ませて欲しいと期待しちゃう。



 
★★★★★
417FpcF9QLL__SL500_AA300_.jpg発行年月:2012年1月


有人潜水調査船〈しんかい6500〉の女性初のパイロットを目指す深雪。
深海に棲む未確認巨大生物を追い求める浩二。
目的は違えど想いは一つ「深海へ」。
海洋調査をめぐる冒険恋愛小説の傑作!



                         (幻冬舎HPより)



面白かった!

独立行政法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)の存在を今まで知らなかったけれど、ちゃんと実在する機関で<しんかい6500>で深海の闇を日々、探索しているとか。

この物語の主人公は、天谷美雪。深海を潜る有人潜水調査船のパイロットを目指している。
父親もかつては同じ機関で、海洋調査技術の専門家として、調査船の開発に関わり幼いときから、父の話はよく聞かされていた。そして自分もいつか父の造った船で深海を調査したいと思っていた。

そして、同じような想いで中途採用されてきた高峰浩二。
彼の父親は深海生物学者で、以前、深海に潜り<白い糸>のような生物を見たと言っていた。
その糸の先には閃光があり、新種の生物だと確信したが、ほかの者にはその主張が認められることなく、つい最近、海に転落死している。
自分は父親の見たものを確認する為に、今までの勤め先を辞して来たと言う。

当初、そんな高峰に、訓練をずっと続けている自分ですら深海に潜れるかどうかわからないのに、新参者の身でそんなことを言うのは場違いだと憤りを覚える深雪。

二人の関係が衝突しながらも同じ思いでいる者同士ということで、和解していく様子が良かった。

そして、突如現われた深雪の弟・陽生(小4で10歳)。
深雪の両親は離婚していて陽生は、父の再婚後の息子。

二人はわけあって一緒に暮らすことになる。
この二人の関係も面白かった。


深海探索にかける者たちの思いとともに登場人物たちの人間関係も面白く読めた。

四方を海に囲まれた日本。
深海探索が進めば、いろいろなことがどんどん発見されていきそう。

この物語のなかに登場した新生生物だって、見つからないだけでどこかにいそうな気もするし・・・
なんだか夢が広がるような話だった。

参考文献もたくさんで、いろいろ資料を集めて勉強して書かれた物語なんだと思った!

「マタタビ潔子の猫魂」でダヴィンチ文学賞大賞を受賞してデビュ-。
本作が受賞後第1作目となるらしい。

デビュ-作も是非、読んでみたい!!


                                         ★★★★★

 
41SBUkxFLZL__SX230_.jpg   発行年月:2011年10月


   現役大学生作家が、学生生活最後の年に書き下ろす、奇跡の物語。


亡くなった父が残したもの……喫茶店、星型の天窓、絆、そして、奇跡。三男三女母ひとり。ささやかな一家が出会う、ひと夏の奇跡の物語。家族が"家族を卒業する"とき、父の残した奇跡が降り注ぐ……。

                             (角川書店HPより)



デビュ-作の「桐島、部活やめるってよ」や「チア男子」は、現役の学生さんらしい今の若者の学生生活のお話でしたが、今回は、ひとつの家族の物語。
ちょっと趣向が変わっていましたが、今までのなかでは、一番プロの作家さんらしいものだったと思う。(上から目線ですが・・・^^;)


早坂家の兄弟姉妹6人が、それぞれの章ごとに、それぞれの抱えている悩みだったり想いを語る。


<長男・光彦>・・・大学生。家庭教師のアルバイトをしている。
<三男・真歩>・・・小学生。首からいつも黒いカメラを提げている。小学生にしてはク-ル。
<二女・小春>・・・高校3年生。ボ-イフレンドはギタ-の弾き語り奏者。
<二男・凌馬>・・・高校1年生。テニス部。兄が家庭教師で教えるあおいとは同級生。
<三女・るり>・・・双子の小春と似ているのは顔だけで性格は対照的。成績優秀。
<長女・琴美>・・・結婚し、家からは出ているが、家族のことをよく見ていてその洞察力はエスパ-並み。夫は警察官。


↑の順番で物語が進みます。
早坂家の大黒柱であった星則は、建築家で母親が経営する喫茶店(星やどり)も建てたり近所の家をリフォ-ムしたりしていたけれど、4年前に病死。

物語は子どもたちの語りが主ですが、両親の優しい気持ちも読んでいるとわかり、本当に理想の家族のかたちだなぁ~と思った。

一番、ジ~ンとしたのは、二番目の真歩の話。
小学生にしては、いつも落ち着いていて、どこか冷めたかんじの男の子なんだけど、卒業文集の係りに成り行き上なり、その同じ係りの子達とのやりとりが良かった。
4人が係りになったのだけど、二人は女子で、真歩ともう一人の男子・ハヤシ君との友情が泣けた。
どうしてカメラを提げていて、写真を撮ることに夢中になっているのかもわかり切なくなった。
けれど、写真館の青年とも出会い、真歩は、ちょっと今までと違うものを手に入れたかも。
いろいろな人と接して、いろいろな感情を抱くって成長していく過程では大切なんだなぁ~と思った。


ほかの話もそれぞれに良く、ラストの長女の琴美の話では、亡くなった父親が生前に、家族のためを想ってしていたことを知り、涙腺がウルウル。
長女の話をラストに持って来たのは、こういう意図からですね(^^)


著者の今後の作品にも大いに期待したいです!
社会人にそろそろなる頃ですよね?


                                           ★★★★

 
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