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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2013年12月

新たな警察小説ミステリの誕生!

思わぬ不祥事のあおりを受け、まさかの警視庁捜査一課に配属されることになったキャリア警部、道定聡。
変わり者の美人刑事・山口ヒカルとコンビを組まされ、戸惑いながらも5つの難事件に挑んでいく!

                    


主人公は道定聡25歳。
東大卒のキャリア。
群馬県警総務課長として実務に励むが、部下の汚職事件の責任を取らされ本庁送り。
警視庁捜査一課強行犯三係に配属される。

そして、事件解決のため、捜査に当たるパートナーは山口ヒカル28歳。
容姿は、身長175cmでモデル並みの美貌。しかし・・・勤務態度はいい加減。
警視庁一のやる気のない刑事。
しかし、ある事件には、やる気を発揮し、普段とは全く違う能力を発揮。

凸凹コンビの会話が笑える。
第一話から五話まで5つの異なる事件の捜査をする二人。
やる気はないけれど、勘は冴えてるヒカル。
キャリア警部の道定には、タメ口というか、おちょくってる^m^
東大卒のエリートなのに偉ぶってる感じが全くない道定もいい。
このコンビ、案外いいかも~。

事件の内容は、大したことないけれど、二人の会話が楽しいから
最初から最後まで退屈せず、スラスラと短時間で読みました。

もしかして、シリーズ化されるのかな~?
凄くおもしろいわけじゃないけど、続きが出るのなら、読んでもいいな。


                         ★★★
 
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発行年月:2013年11月

フィラデルフィア、ペルー辺境の村、クアラルンプール、東京、香港、クロアチアの浜辺……世界各地で、未知の小説が発見された!
国境を越えた声なき声が同時代のリアルを映す、新たな「地球文学」の誕生。

●「背中から来て遠ざかる」:人生のどん詰まりから抜け出すため、フィラデルフィアからニューヨーク行きのアムトラックに乗りこんだ男の回想の行方は……。
●「リマから八時間」:ペルー辺境の村にやってきた日本人の小男は、この村で死んだ女の家に「存在しない小説」があるという。
●「あたし」:豪雨のため浸水したクアラルンプールで、マレー人の少女はチャイナタウンに迷い込む。
●「能楽堂まで」:妙見菩薩像を海に沈めた私は、過去に追われるように都内を流されていく。
●「ゴールド」:極貧から成り上がり香港に通う中国人男とロシア人娼婦の愛と破局。
●「オン・ザ・ビーチ」:今から10年先、クロアチアのリゾートホテルに滞在する老人が自分を監視する警備員のノートを盗み読むと……。

いま地球上のさまざまな場所で、声なき声が織りなす「存在しない小説」。
はたして、「作者」は誰なのか?

                  (講談社HPより)



6つの短編集なのだけど・・・・これは存在しない小説。

編者が世界中から存在しない小説を探し求め、ここに集めたという。

編者とは、いとうせいこう氏。

面白い小説を考えたものだ。

やや難解なものもあるけれど、一番わかりやすかったのが「あたし」かな?

豪雨の最中、外出した11歳のシティ。
渡ってきた川が決壊したらしい。
家に帰ることが出来なくて困るシティ。
マレーシアのクアラルンプールのチャナタウンで中国人のオニョーさんに声を掛けられ
雨宿りしていくように言われる。
オンヨーさんの親切はありがたいのだが、汚い家のなかで何やら得体の知れない
料理を出され戸惑うシティ。

シティの心細さが伝わってきた。
最後はタクシーで家路に向かうシティ。
オンヨーさんに向かってした片手のしぐさは、なんだろうなぁ~?
バイバイ(^_^)/~と笑顔で手を振る・・・はわたしの想像。


最後の編者解説を記しておく・・

あらわれてくれてありがとう。
こうしてあなたがページを開けば、黒いインクの何か規則的な模様は
『存在しない小説』として動き始める。
閉じればそれは『存在しない小説』として眠りこむ。




この最後の解説がいい。
これを書きたいために6つの小説があるような・・・

いとう氏のこの本を書いた意図を汲むのは、難しい。
でも、なんとなくいい・・・うまく感想を書けないけれど・・・・。


                          ★★★★



発行年月:2013年6月

町の景色と人情が心に沁みる石田千連作小説

<いちばんまえの席があいた。となりのおじいさんは、いそいで移動して椅子によじのぼった。男のひとは、いつまでもあの席が好きでおかしい。> 夫をなくしたばかりのお年寄り、自分の進路に迷う高校生、上司とそりが合わず落ち込むサラリーマン、合コンに馴染めないOL……、季節、場所、人は違えど、バスにゆられて「明日もがんばるか」と元気を回復する二十篇。
第一回古本小説大賞、2011年、12年芥川賞候補の石田千氏の最新小説。「お洒落なイタリアンより酒肴の旨い居酒屋が好き」「流行のファッションより古着やナチュラル系の服が好き」という女性を中心に人気を博している小説家・エッセイストの、人情に溢れ、ほろっときたり、ほほ笑んだりしながら読める物語。

                 (小学館HPより)



路線バスに乗る人々のそれぞれの物語が20編。

どの話もよかったなぁ~。

20編のうち特に気に入ったのは3編。

<おむかえ>
保育園に通う、くるみ。
両親は共働きで、大抵は母親が迎えに来てくれる。
バスと地下鉄を乗り継いで帰る。
そして、くるみは今日も保育園で泣いてしまったことを母親に
また聞かれる。
どうして泣くの?と聞かれても困るんだけど・・・。

ああ、こういう小さい子の気持ちがわかる著者って、すごく優しい人なんだろうな~。
きっと良いお母さんなんじゃないかなぁ~?なんて勝手に著者の私生活を想像しちゃった^^;
結婚してるか、子どもさんがいらっしゃるかも知らないけれど・・・
この話で、この作家さんが凄く好きになった!!


<あずまや>
中学校教師の紗代。
母とおばの策略に乗り、お見合いをさせられる。
咄嗟のことで、会話も弾まず、そのまま失礼し、何故かバスで元恋人との
思い出の場所へ向かう。

出会いはあまり良い印象じゃなかった二人がきっと
この後、再会するんじゃないかな?と思えて、なんだか楽しい。


<スパイス国行き>
路線バスの運転手さんの心の中の言葉が愉快。
一人の乗客が持ち込んだカレーと思われるものの香り。
小さな女の子・あっこちゃんがその香りに気付いて母親に言うことも可愛い。
小さい子って思ったこと言っちゃうからね~^m^


初読みの作家さん。
これは短編集でしたが、長編とかも書いているのかな?
是非!他の作品も読んでみたい!!


                           ★★★★★
 





発行年月:2013年9月
生きるために、踊って踊って踊りまくれ!

爛熟期を迎える18世紀前半の琉球王国。数奇な運命の下に生まれた少年・了泉は、自らの命と野心をかけて舞踏の世界でのし上がる――。琉球に生まれた天才舞踊家の、壮絶なる《天国》と《地獄》を描く一大叙事詩!


                 (角川書店HPより)


いや~凄い大作!!
舞台は18世紀前半の琉球王国。
主人公は、そこで最下層の民・ニンブチャーとして生活していた蘇了泉。
母親が病に倒れ、伝染病と恐れられていたそれを排除するために、村人たちに
追いやられガマで暮らす。
食事は3日に1度のこともあるが病気の母を想う気持ちは変わらず
食べ物を確保して帰ると先ずは母に与える優しい少年。

そして、ある日、石羅吾が大道芸の一員として存在していた了泉に眼をとめる。
王府で踊奉行の地位に就いている男。
了泉には人を惹き付ける力があるとみた。

そしてまだ青年の尚敬王の教育係の男・蔡温は、王を支える月しろになれる男を
探しており、その眼にとまったのが了泉であった。


いろいろな人の思惑で王府に近づく了泉。
しかし、踊りを極めることにも最初は無頓着。
王に近づけば、病気の母を救う薬を手に入れられるという思いだけで
石羅吾の厳しい稽古にもついていく。
そして、踊りのライバル・雲胡もまた、月しろになれるのは自分だと
玉城里之子を師として踊りの稽古に励む。


性格も舞い方も対照的な二人が競う場面は、面白かった。
最初は自分の方が優れていると思いながらも徐々にお互いが自分にない
秀でた部分を持っていると認める。
踊りによって、低い身分から段々と地位を上げていく了泉は、驕りの心から
自ら築いてきたものを全て失うことになり、再び下級層に逆戻り。


ああ、なにやってるの!!と思わず叱りつけたくなるような気持ち。
でもでも、それが後に活きてくる。
そんなどん底生活も図られたものだったのかも?


了泉は、憎めないキャラクターだったけれど、琉球から江戸に向かう途中、
鹿児島で知り合った、樺山聖之助が面白い。
空気が読めない男だけれど、大活躍の場面は笑った。

吃音のチャンダラーは癒しのキャラで、どんなときにも了泉を友として
温かく見守っていた。
ピンチのときには手助けしていたし・・・。


兎に角登場人物たちがユニークで良い!
最初、なじゃこりゃ?と思った者たちが、のちの「おぉ~!」という働きをする。


琉球の踊りは、あまりちゃんと見たことないけれど
ちょっと興味が沸いて来ました。

しかし、月しろになるために生きた了泉の人生は、壮絶すぎて
普通の人なら、途中で死んでるな^m^


しかし、面白かった!!!


                       ★★★★★



発行年月:2013年8月


 異郷で言葉が伝わること――
それは生きる術を獲得すること。
尊厳を取り戻すこと。

自分が生きる道をつかみたい…。故国を遠く離れ、子供を抱えて暮らす女性たちは、たがいに支え合いながら、各々の人生を切り開いていく。第29回太宰治賞受賞作。

                    (筑摩書房HPより)


主人公は内戦から逃れ、夫と息子2人と共に、オーストラリアに移住した女性・サリマ。
アフリカから渡るときオーストラリアの場所を地図で指し示されても、そこが
隣国なのか、海の向こう側なのかもよくわからなかったサリマ。
平和な地であるオーストラリアに渡ったが、生活するには困難なことばかり。
先ずは言語の問題。
生活費を稼ぐため夫は働き始めるがそこから逃げてしまう。
仕方なくサリマが夫の仕事を受け継ぐ。
その仕事は、精肉加工工場。
慣れない匂い重労働。言語がうまく話せない。精神的にも肉体的にも辛い状況でも
子どもたちを育てていくには働かなくてはならない。
逃げ出した夫に腹が立って仕方なかった!!(怒)。
息子たちは環境に順応し、英語も覚えだし、サリマをバカにする。
そして、都会で暮らす夫が息子たちに会いたいと言い出し、都会に連れ出す。
帰って来た息子たちは父親の元で暮らすことを望む。
でも・・・・したの子はサリマの頑張りを認めて残ってくれた。
ああ、このときはホッとした~。

そして、サリマには心強い友が出来る。
日本人女性の「ハリネズミ」。夫は大学院研究室勤務。
ハリネズミ自身も大学で学んでいたが出産後は休学しサリマの通う英語教室に通う。
サリマはハリネズミを最初は、自分とは違う学歴もあり教養も身につけたこの女性から
見下されているような印象を受けるが、二人は母親という共通の立場から
親しみを感じていく。
ハリネズミには、その後、哀しい出来事が起きるけれど、再び明るい希望を取り戻す。

オーストラリアに移住したばかりには、無知だったサリマも言葉を実践で学び
息子を介して子どもの母親同士との交流も出来、生活が充実していく様が
読んでいて、うれしかった。


著者は、オーストラリア在住だそうです。
自身の経験にも基づいた物語なのかなぁ~。

読むと勇気が貰えるような素敵な物語でした!


                           ★★★★

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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
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