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読んだ本の感想あれこれ。
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74afd767.jpg発行年月:1983年11月
       (単行本初版は1976年)


商社マンとして生き抜くことを自分の宿命と感じるようになった壹岐正は、防衛庁の次期戦闘機選定にともなう各商社・メ-カ-の受注合戦に巻き込まれていく。彼は戦闘機には携わりたくないという信条をもちながらも、次期戦闘機の決定が、次の総裁選挙の道具にされていることを憤り、国防のため<黒い商戦>に耐え、戦い抜こうとする

                 
(文庫本裏の解説文より)

近畿商事社長の大門に誘われた際、過去に関わった軍の地位を利用するような行動は慎みたいと申し出、その信条には変わらぬものがありながら、どうしても大本営参謀時代の繋がりを利用して動かなければならない事態に、悩む壹岐の心情を考えると、読みながら辛い。

そして、そのことで受けた代償もまた、ナンとも酷い。
信頼出来る友を失うことになるのですから・・・・。

どんどん精神的に追い詰められていく姿は、なんとも言えない。
でも皮肉なことに壹岐の商社マンとしての評価は、どんどん上がる。

仕事を離れた家庭内でも、長女・直子の恋人が、ライバル商社の鮫島の息子ということで、家庭内でも悩みの種が出来てしまう。
なんともはや・・・・・心のよりどころがないと壹岐自身が壊れそうと思っていると・・・・
その心のよりどころは、やはり女性なのですね。
奥さんもすごく賢く、謙虚で心から壹岐のことを大切に思っているのに・・・
壹岐自身もそんな妻を本心では、大切に思っているのに、心に余裕を無くすと言動も乱すのですね。
哀しいです。


で、最後には、まさかの悲劇!
えぇ~っ!気の毒過ぎる!


こんな事、普通の人じゃ耐えられない。

でも、壹岐は普通の精神力じゃないですからね・・・・・。

失意のどん底でも商社マンとしての道を進むしかないのですね。

こんな終わり方したら、三巻以降は、ドラマがもう少し進んでから読もうかな?
と思っていましたが、気になって続きを読まずにいられないわ!


★★★★★
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75f0e193.jpg発行年月:1976年6月


元大本営参謀・壹岐正は、酷寒の極地シベリアの収容所で11年間の矯正労働に絶えぬき、昭和31年12月に帰還する。“第二の人生は誤りたくない”と願う彼は、近畿商事の社長大門の再三に渡る誘いに応じ、商社マンになることを決意する。シベリアで地獄のような抑留生活の傷も癒えないまま、彼は再び“商戦”という名の新しい戦いに身をおく。

         
                  
(新潮社HPより)


家にあった古書です。
フジテレビ開局50周年の記念ドラマとして、先日からスタ-トした放送を食い入るように見た後だったので、主演の唐沢さんの顔や、ほか出演者の方の顔が読みながら浮かびましたが、その分、わかり易かった。

初回のドラマは2時間でしたが、この第一巻には、その2時間分のことがほぼ全て収められていたかんじでした。

ドラマより更に詳しいので、あの言動の裏にはこういう事があったのか!と更なる驚きもあったりでドラマも素晴らしかったけど、やはり原作の方が凄い!

抑留生活の凄惨さは、特に・・・・。

シベリアの地でのソ連側からの辛い仕打ちに加えて、同じ日本人元将校達からも指揮していた側の壹岐には、この辛い仕打ちに追いやった責任の矛先が向けられるという二重の苦しみ。
自身もそのことには、強い責任を感じている壹岐にとっては、本当に辛い状況です。
肉体的にも精神的にも極限状態のなかでの11年間のこの生活は泣けます。

物語は、抑留時代のことと日本に帰還してからの事が織り交ぜて進みます。(ドラマも同じでした)

帰還後は、妻と二人の子どもとの生活がはじまります。
下の子(男の子)との関わりが、しっくり来ない事が、少し寂しい。

抑留時代に壊した体調もなんとか快復し、第二の人生は、どうする?という岐路に立ち、長女からの「もう戦争に関わる仕事は、やめて欲しい」の言葉もあり、商社の社長・大門の
誘いに応じ、商社マンとして第二の人生を歩もうと決めた壹岐。
何もわからない世界に進むその決心は、家族を思ってのことだったでしょう。
あまり感情豊かではない人ですが、優しい人柄も感じます。

しかし、入社の条件に自分の過去の経歴を使うようなことは断ると申し出るあたりは、壹岐らしいなぁ~。信念は曲げない。曲げたくないというかんじ。
社長は、その旨、心得たと承諾するけど、今後、どうなっていくのやら?
今から少々、不安。

長い物語ですが、面白くて、思ったより早く1冊を読み終えました。
続けて2巻を読みます!

重いので、軽い文庫本に変えようか?^^;


★★★★★
4f2537c9.jpg発行年月:2009年5月


初恋にふるえ、友情にもえる


熱く激しく、限りなく優しい--------
   昭和30年代の少女たちの物語

                
(本の帯文より)


図書館の新刊本コ-ナ-より借りてきた主人が、面白かったというので、読みました。
表紙の絵が、優しい雰囲気で先ず、良い感じ♪

物語は、現在は小説家となった主人公・章子が、自身の中学2年・14歳の頃を懐かしく思い出しながら書いているという設定。

昭和30年代の少女たちの日常。
会話のひとつひとつが丁寧で、自分の中学時代を自然に思い出しちゃうかんじでした(^^)

この時期って、友だちとの関係が全て。
友だちに自分がどう思われているのか?ちゃんと自分は受け入れられているのか?
そして、もうひとつ友だちとの間で毎日のように交わされる会話といえば・・・今風にいうとコイバナ。
自分に好きな人がいなくても、誰かのコイバナをみんなで共有して楽しんじゃうようなかんじ。

そんな自分の中学時代も思い出し「おんなじ!おんなじ!」と思いながら・・・・。
自分の中学時代は昭和50年代で、今、丁度、14歳の長女の様子を見ても、この物語のなかの少女たちと何ら変わらない!

ただ、時代が違えば、周りの環境も多少違うのは事実ですけど。
今は、携帯でメ-ルをするが日常茶飯事だったりしますからね・・・・^^;

少女たちのやり取りは、現在の14歳と変わらないですが、昭和30年代らしい事象もあれこれあってノスタルジックな部分も楽しめました。

浅沼事件が出てきたり、安保反対運動がちらっと出て来るあたりも時代を感じさせました。

そして。。。お小遣いに100円札を2枚とか。LPレコ-ドを借りるとか。


この物語は、大人は、自分の少女時代を懐かしみながら・・・・今の10代の子にも読んで楽しい物語かな?
母娘で読むのも楽しそう。

★★★★


baeefa0c.jpg発行年月:2007年8月


宿した命を喪った夫婦。
闇にとらわれた少年。
愛猫の最期を見守る老人。

濃密な文体で、人間の心の壁に分け入ってゆく傑作長編

                     
(本の帯文より)


物語は、第一部、第二部、第三部に分かれていて、一部と二部はちょっと登場する主な人物が違うので「あれ?」と思いますが、三部で再び、一部に登場の人が主になり、ああ、これはずっと時間的にもつながっている物語なんだと気づきました。(気づくの遅い?^^;)

でも、ず~っと出て来くるのが1匹の猫・モン。

第一部では、家のそばでうるさく鳴く仔猫の声を、我慢できず、拾いにいき、でもやはり捨てる夫婦。
夫婦は、40歳の妻と52歳の夫で、あきらめていた子どもを授かったが、6ヶ月で亡くしてしまっていた。
仔猫といなくなったわが子を混同して考えたりもするが、所詮、猫なんだから・・・と捨てる。しかし戻ってくてしまう。そしてまた捨てる・・・・・
この拾う、捨てるの描写がリアルで、ちょっと気持ち悪かった。

第二部で出て来る中学生の少年は、父親と二人暮らし。
毎日の暮らしぶりや、少年の行動などを読んでいると、なんだかすご~く暗くて、重くて、切ないかんじ。
ある時、父親が仔猫を連れて来て、最初は殺そうかと思うのだけど、ある考えが浮かんで一応、世話をする。その間にちょっと心に明るいものが育つかんじだったのは、良かったけど・・・・
これも、最後はちょっと映像を思い浮かべると気持ち悪かったなぁ~。

そして三部では一部の夫婦が再び登場。
猫はどうやらこの家で飼われて「モン」という名前で可愛がられていたんだとホッとした。
二部でちょこっと登場していた猫も「モン」だったんだ!(またまた気づくの遅い?^^;)

どうやら、かなりの年月が一部から経ち、仔猫も老いて、人間も老いて・・・・・・

猫の最期を優しく看取る男の姿が切ないけど、胸にじ~んと来ました(/_;)

死ぬこと=自然なこと
何も恐れなくてもいいんだと猫が教えてくれているかのよう。


全体的に暗くて、重い物語なのに、ちょっと温かい気持ちになれるお話でした。

この方のお名前前から思ったけど、どんな由来でつけたのかしら?
「まほかる」って?

著者経歴を見て、ちょっとビックリ。
1948年生まれ。主婦、僧侶、会社経営などを経て2004年『九月が永遠に続けば』で第5回ホラ-サスペンス大賞を受賞

だそうです。
僧侶の経験があるんですね~。前に読んだ「アミダサマ」の描写を思い出すと、ちょっと納得。

怖いもの見たさで『九月が・・・・・』も読んでみようかな?

この方の文章に不思議な魅力を感じちゃいます。

★★★★

82879531.jpg発行年月:2004年1月


傷ついた子犬を拾った少女は、獣医を目指す少年に助けられた。しかし、幸せな出逢いは、少女の悲しい家庭環境により別れを迎える。そして、8年後、ふたりは偶然の再会を果たすが、ふと幼い日の思い出がよみがえった時、彼女はこつぜんと姿を消した。男は命をかえりみず、彼女を探し続けるが・・・・・。愛し合っているのに巡り逢えないふたり。

感動と奇跡の“純愛”小説
 
                                  (本の帯文より)


前半までは、すごく良かった!
そして、そのままこの純愛は続いて・・・・・と勝手にあれこれ想像しながら読み進めていくうちに様子が変わって来て、ちょっと面食らいました^^;

確かに純愛は続くのですが、憎悪を含んだサスペンスドラマのような雰囲気になってきて・・ちょっと興ざめしちゃいました。
でも、ラストがどうなるのかは、気になるので、どんどん読みましたが・・・。

ラストもなぁ~。
イマイチだなぁ~。

前半の雰囲気をそのまま進めてくれたら、多分、泣けたと思うけど、途中で涙が奥に引っ込んでしまったかんじで、変な読後感。
こういう読後感も珍しいかも。


ちょっ韓流ドラマみたいでした。
「冬のソナタ」と「天国の階段」くらいしか見てないですけど・・・。

ここまで、愛する二人を裂かなくてもいいんじゃないのぉ~!?
みたいな気持ちです(苦笑)

先に読んだ「引き出しのラブレタ-」みたいな話の方がいいな。
ちゃんと泣けて。


★★
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