発行年月:2018年3月
絶対に残業しないと心に決めている会社員の結衣。時には批判されることもあるが、彼女にはどうしても残業したくない理由があった。仕事が最優先の元婚約者、風邪をひいても休まない同僚、すぐに辞めると言い出す新人。様々な社員に囲まれて働く結衣の前に、無茶な仕事を振って部下を潰すという噂のブラックな上司が現れて――。
(新潮社HPより)
結構真面目なお仕事改革のお話だった。
今、巷で問題の過労死に結びつく話。
職場で定時に帰ると決めて浮いた存在の東山結衣(32歳)。
ただし、帰る前に、きちんとやるべきことは片づける。
どこが間違っている?という感じですが、それが許されないような
雰囲気漂う職場って、恐ろしい。
結衣は、自分の意見をちゃんと表現できる人だから率先して自分が示し、
他の人も定時で帰らせたいとチーフにもなる。
自分だけ良ければいいという人でもないところが好感度大!
チーフになったら、無理しなければいけない立場になって、一時は結衣自身も過労で
ダウン。
やるときはやる女!
最悪な上司・福永には本当にムカツク(怒)。
でも最後は、スッキリ!
元婚約者・晃太郎と現婚約者・巧との関係もどうなる?と気にしつつ
最後は、こちらも上手く納まってホッ。
★★★★
発行年月:2018年5月
夏の日の夕方、多摩川沿いを血まみれで歩いていた女子大生・聖山環菜が逮捕された。彼女は父親の勤務先である美術学校に立ち寄り、あらかじめ購入していた包丁で父親を刺殺した。環菜は就職活動の最中で、その面接の帰りに凶行に及んだのだった。環菜の美貌も相まって、この事件はマスコミで大きく取り上げられた。なぜ彼女は父親を殺さなければならなかったのか?
臨床心理士の真壁由紀は、この事件を題材としたノンフィクションの執筆を依頼され、環菜やその周辺の人々と面会を重ねることになる。そこから浮かび上がってくる、環菜の過去とは? 「家族」という名の迷宮を描く傑作長篇。
(文藝春秋HPより)
女子大生・聖山環菜が父親を刺殺。
父親は画家で、多くの美大生を指導。
デッサンのモデルに環菜は小学生のころからされていた。
母親も元は美大生で、父親のことを尊敬し、一切逆らうことない。
なぜ父親を刺殺したのか?
大きな謎だけど、読んでいくうちに環菜に同情する。
本当に憎んで刺したわけではないのか?本当に単なる事故だったのか?
真相はよくわからないままだけど、
こんな風に殺人者となってしまったことに一番戸惑っているのが本人というのが
なんとも哀しい。
環菜の国選弁護士・庵野迦葉(かしょう)と臨床心理士の真壁由紀が
環菜の事件背景を追っていく。
この二人の関係もちょっと訳ありな感じで気になったけど、
由紀の夫・我聞が良い人で救われた。
由紀もきっと我聞によって色々救われているんだと思う。
問題のなぜ、父親を刺殺の背景にあった家庭環境がわかってくると
両親から愛情を感じることなく成長したみたいで、孤独だったのかなと思う。
しかし、もう少し頑張れば、自立できる兆しがあったのに・・・・。
刑期を終えた環菜のその後の生き方が心配。
出来たら、社会復帰して、ちゃんと恋愛して幸せになってほしい。
読み応えはあったし、内容も濃かったけれど、直木賞貰える作品かな?と
個人的には思った。
★★★
発行年月:2018年1月
彼/彼女らの人生は重なり、つながる。
隠された“因果律(めぐりあわせ)”の鍵を握るのは、一体誰なのか──
遺影専門の写真館「鏡影館」がある街を舞台にした、朝日新聞連載の「口笛鳥」を含む長編小説。読み進めるごとに出来事の〈意味〉が反転しながらつながっていき、数十年の歳月が流れていく──。道尾秀介にしか描けない世界観の傑作ミステリー。
ささいな嘘が、女子高校生と若き漁師の運命を変える――心中花
まめ&でっかち、小学5年生の2人が遭遇した“事件”――口笛鳥
死を前にして、老女は自らの“罪”を打ち明ける――無常風
各章の登場人物たちが、意外なかたちで集う――待宵月
(朝日新聞出版HPより)
4つの章から成る物語。
別の話のようで、それぞれに登場する人物たちが後に繋がりがあった人たちだと
わかるしかけ。
最初の話で、癌で余命わずかと知れている藤沢奈津実は、娘の歩美(15歳)と
高校2年まで住んでいた街の写真館を訪れる。
そこは、遺影を撮影してくれるという写真館で、店内に飾られているのは
亡くなった人が以前、そこで写真を撮った人たち。
故人の身内からの報せを受けて、そこに飾る。
そんな写真のなかから、奈津実はある人物の写真を見つける。
そして、奈津実の高校時代の話へ。
その後の話も奈津実が高校生だった時代とほぼ同じ。
背景に起こった事件が共通している。
第三章では少し時が経ち、小学生だった、まめとでっかちも成人している。
歩美も看護師として働いている。
母親の奈津実は他界し、その母親と交際していた崎村源人の子ども源哉も
高校生になっている。
母親が亡くなる前(7年前)、実は源哉は奈津実と歩美に会っていた。
人の縁って不思議だな。
辛くて哀しいことがあっても、なんとか生きていれば、こうして
次の代(子どもや孫)が、幸せな日々を送っていることに繋がっていく。
辛かった出来事も実は別の事実があったりもする。
全ての繋がりがわかった今、また再読してみたい!
★★★★★
発行年月:2018年4月
小国ナスミ、享年43。
息をひきとった瞬間から、彼女の言葉と存在は、湖に落ちた雫の波紋のように、
家族や友人、知人へと広がっていく――。
命のまばゆいきらめきを描く感動と祝福の物語!
(河出書房新社HPより)
ドラマ『富士ファミリー』を見たので、ナスミ=小泉今日子のイメージで
読んだ。
ちなみに他のドラマでの配役は
長女、鷹子=薬師丸ひろこ
三女、月見=ミムラ
笑子ばあちゃん=片桐はいり
なすみの夫・日出男の再婚相手・愛子も登場。
愛子にもちゃんと、なすみは影響を与えて逝ったんだな~。
その子ども光が小説の最後には40歳か~
43歳で亡くなった、ナスミはその年のまま、皆の記憶に鮮明に残っている。
なんだか羨ましい。
こんな風にいつまでも自分の言ったこととか、やったことを思い出して
貰える生き方したいな~と思った。
素敵な物語!
ドラマもまた続編、やってくれないかなぁ~。
★★★★★
発行年月:2018年3月
映画化(2018.5.12公開)「孤狼の血」シリーズ続編! 警察vsヤクザの意地と誇りを賭けた、狂熱の物語。 捜査のためなら、俺は外道にでもなる。
(KADOKAWA HPより)
「孤狼の血」では信頼していた大上を喪った。
僻地の駐在所勤務になり、地域住民とも交流を持ちながら穏やかな生活・・・
なわけはなく・・・・そこに現れたのは、指名手配犯の心和会会長の国光寛郎。
対立する明石組組長暗殺の首謀者。
しかし、日岡とはお互い、心に通じるものを感じる。
「もう少し時間がほしい」という国光の願いを受け入れる。
ヤクザなんだけど、国光の律義で男気溢れる振る舞いは恰好良い。
自分の周りの者たちへも常に気遣いをしている。
国立大卒で、頭も切れて人としても魅力的な男が何故、ヤクザの世界に居るのか??
もう少し、詳しく知りたかったなぁ~。
約束を守って、日岡に手錠を掛けさせる仕掛けも素晴らしい!
でも最期は。。。。。
やはり恨みを買う立場には、こういう最期が待っていたかというかんじ。
塀の中でも生きていて、これからの日岡を支えて欲しかったんだけどなぁ~。
大上を喪い、国光を喪い、また孤独に戻った日岡。
色恋沙汰でもあればいいんだけど、こういう仕事じゃそういうのは
難しいかな?^^;
「孤狼の血」は映画化されたけど、日岡が松坂桃李っていうのは、ちょっと
ピンと来ないなぁ~。
大上が役所広司はピッタリな感じだけど・・・。
駐在所勤務から捜査課に戻った日岡の姿、また読みたい!
★★★★
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;