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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2019年8月


この国の岐路を、異国にゆだねてはならぬ

開国から4年、攘夷の嵐が吹き荒れるなか、幕府に外交を司る新たな部局が設けられた。実力本位で任ぜられた奉行は破格の穎才ぞろい。そこに、鼻っ柱の強い江戸っ子の若者が出仕した。
先が見えねぇものほど、面白ぇことはねぇのだ――

安政5年(1858年)幕府は外国局を新設した。しかし、朝廷が反対する日米修好通商条約を勅許を待たず締結したため、おさまりを知らぬ攘夷熱と老獪な欧米列強の開港圧力という、かつてない内憂外患を前に、国を開く交渉では幕閣の腰が定まらない。切れ者が登庸された外国奉行も持てる力を発揮できず、薩長の不穏な動きにも翻弄されて……
お城に上がるや、前例のないお役目に東奔西走する田辺太一の成長を通して、日本の外交の曙を躍動感あふれる文章で、爽やかに描ききった傑作長編!

維新前夜、近代外交の礎を築いた幕臣たちの物語。勝海舟、水野忠徳、岩瀬忠震、小栗忠順から、渋沢栄一まで異能の幕臣たちが、海の向こうと対峙する。

2017年~18年の日経夕刊連載が、遂に単行本化!

                 (日本経済新聞出版HPより)



主人公の田辺太一のことは、本書で初めて知った。
幕末の外交に関わった人物のひとり。

凄く魅力的な人物だなぁ~と思いながら、読んだ。
異国との取り決め事は何から何まで初めてのこと。
幕府が右往左往する様子も今の時代から見たら滑稽だけど
大変な苦労があったんでしょうね~。

父親を早くに亡くし。家督を継いだ兄の元、居候的な存在だった
太一が、兄を亡くし、兄嫁やその息子。
また結婚して妻となった己巳子との家族の柱となっていく成長も
頼もしかった。
家族間でのやり取りも微笑ましい。


太一は外交の仕事から一時は離れるが、再び、声をかけて貰い、
再び新たな気持ちで外交に関わろうと決めるとことで終わる。

この先の活躍も気になるなぁ~。
後で調べるとしよう。
歴史上の人物は調べられるのがいい^m^


太一が提出した指南書、巻末の参考文献にもある
『幕末外交談』もちょっと気になる。実際、どんなことが書かれているのか?


あまり知らなかった人物だけど、面白く読めた。


                      ★★★★

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発行年月:2019年3月


血はつながってる。だけど家族じゃない。

「はじめまして」から始まった親子の同居生活。近くて遠い二人の物語の行方は――?
優しい涙が止まらない最高のハートフルストーリー。

そこそこ売れている引きこもりの作家・加賀野の元へ、生まれてから一度も会ったことのない25歳の息子・智が突然訪ねてきた。父は月10万の養育費を振込み、息子は写真を一枚送る、それが唯一の関わりだった二人。真意を測りかね戸惑う加賀野だが、「しばらく住ませて」と言う智に押し切られ、初対面の息子と同居生活を送ることに――。孤独に慣れ切った世間知らずな父と、近所付き合いも完璧にこなす健やかすぎる息子、血のつながりしかない二人は家族になれるのか? 

その「答え」を知るとき、温かく優しい涙が溢れ出す。笑って泣ける父と子の再生の物語。

    (ソニーミュージックエンターテイメント/発行)


面白い話になりそうと最初から期待できる設定。
25歳になった息子・智が突然、訪ねて来て、少しの期間、ここに
住まわせてほしいと。

混乱する作家の父親50歳、佐賀野正吉。


智のサバサバした性格が気持ちいい。
オロオロするばかりの父親をリードして
世間とかかわりを持たない生活をしてきた正吉を外に連れ出したり
自治会行事に関わらせたり・・・。

正吉の生活に他人との関わりが生まれてくる。


そして、智はあっさり去ることに・・・。


でも、そこからが新たな始まりという感じ。

ちょっと特殊な家族形態だけど、良い感じ。


正吉は好きでもない美月と関係を持って智が生まれたと言っていたけれど
美月も智も魅力的。
これからは、家族としてもっと関わりを持って行くんだろうなぁ~。

能天気な性格だと思った智も、傷ついて辛い時期があったとは。
彼もまた元の仕事に復帰できる日が来るといいなぁ。


正吉の作家活動も順調に続いて、傑作が生まれそう!

良い物語だった!


                    ★★★★





発行年月:2019年10月

『ことり』以来7年ぶりの、書き下ろし長編小説。
死んだ子どもたちの魂は、小箱の中で成長している。死者が運んでくれる幸せ。
世の淵で、冥福を祈る「おくりびと」を静謐に愛おしく描く傑作。

私の住む家は元幼稚園で、何もかもが小ぶりにできている。講堂、給食室、保健室、人々の気持ちを慰める“安寧のための筆記室”もある。
私は郷土史資料館の学芸員であったバリトンさんの恋人から来る小さな文字の手紙を解読している。従姉は息子を亡くしてから自分の人生を縮小した。
講堂にはガラスの小箱があり、亡くなった子どもたちの魂が成長している。大人は自分の小さな子どもに会いに来て、冥福を祈るのだ。“一人一人の音楽会”では密やかな音楽が奏でられる。
今日はいよいよあの子の結婚式で、元美容師さん、バリトンさん、クリーニング店の奥さん、虫歯屋さんが招待されている。

                             (朝日新聞出版HPより)




切ないけれど、温かく、不穏さもありながら美しい、小川さんの物語は素敵!

主人公の私は・・・独りで元幼稚園に住んでいる。
そして講堂を訪れる人たちのため、そこを守っている。

講堂に並んだガラスの箱たち。
それは亡くなった子どもたちが成長する場所。

姿は見えなくても、そこで成長していると考えたら哀しさも幾らか慰められそう。

一人一人の音楽会も何やら不思議な雰囲気ですが、みなが自分の亡くなった子どもたちと
対話しているかのような姿は、切ないけれど温かい気持ちにもなれる。

形見の品で作った小さな楽器を耳たぶに吊るし、風に揺れながら、それが奏でる音を楽しむ。
居様な風景にも見えるけれど美しい文章で語られるので、幻想的な雰囲気。


最後は、従姉の子どもの結婚式。
みんながお祝いの気持ちで集う、素敵な式。


この独特な雰囲気にずっと浸っていたくなった。



                                   ★★★★★


発行年月:2019年5月

「あなたは誰?」
息子を忘れていく母と、母との思い出を蘇らせていく息子。
ふたりには忘れることのできない“事件”があったーー。
現代に新たな光を投げかける、愛と記憶の物語。

                (文芸春秋HPより)



切ない話だったけど、良かった。
生まれたときから父親がいなかった主人公の葛西泉。

レコード会社に勤務していて、職場結婚の香織との子どもも
生まれる。


母はピアノ教師として若い頃から働いていたが・・・
アルツハイマー病を発症、徐々に記憶をなくしていく日々。

泉との昔話を時々思い出しては語る。

最後の「半分の花火」、母親に見せてあげられなかったこと
「半分の花火」の意味を母親がいなくなって気づいた泉は
後悔が残るだろうなぁ~。
それを考えると、本当に切なくて・・・・
自然と泣けた・・・(/_;)


泉の母親・百合子の若いころの泉を置いての一時期、出奔の箇所は
衝撃的だったけど
それ以外は、泉にとっては優しく美しい良い母親だったんだろう。


                  ★★★★


発行年月:2019年6月

光満ちあふれ、幸福な色をたたえる名画誕生の陰には、画家たちの壮絶な闘いのドラマがあった。貧しくても、どん底に落ちても、志高く新しい道を切り拓いていったそのあしあとをたどって、アート小説の名手が紡ぐ、7つの物語。モネの愛したノルマンディーへの旅も。

                  (新潮社HPより)



モネ、モリゾとマネ、カサットとドガ、ルノワール、カイユボット
セザンヌ、ゴッホ、
7つの物語を読んで、画家たちがどんな環境で作品を生み出したのか
わかった。

貧しい暮らしのなかから生まれた作品が多いのは驚き。

カイユボットはそんな貧しい画家たちのなかで、彼らを助けたいと
行動した。
彼らの作品を価値あるものだと認め、自ら購入。
死後は、それを国家に寄贈したいと遺言で残していた。

それには、論争が起きるのだけど・・・
カイユボットのおかげで今、わたしたちは素敵な作品を知れることが
出来たのかもしれないなぁ~。

カイユボットという人物は今回、初めて知ったけれど、なんだか
すごく興味が沸いた人物。
自身も素敵な絵をたくさん、描いているんだなぁ~。


本はオールカラーで絵画も沢山、載っていて、読み応えあり
見ごたえありの素敵な1冊でした!

マハさんが画家たちゆかりの場所を訪ねる紀行文もよかった。


                      ★★★★★

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