発行年月:2019年9月
滅びた集落に人を呼び戻すことはできるのか
住民がいなくなった集落に移住してきた 人々。
彼らの間で不思議なほどトラブルが続き――。
静かに確実に心を揺さぶる連作 ミステリー
(文藝春秋HPより)
これは、ミステリーというより社会問題を扱った問題提起作というかんじ。
6年前に無人となった南はかま市蓑石。
そこに移住者を呼び込み、蘇らせる市のプロジェクトが始動。
万願寺邦和は、そこに異動。
課長の西野秀嗣、新人職員の観山遊香と共に蘇り課で働くことに。
公募して、やってきたまず最初の2組。
夫婦二人の久野家と夫婦と4歳の子供がいる阿久津家。
久野家は、阿久津家が大音量で音楽を流しながら、庭でバーベキューをしいているのが
気に入らない。
阿久津家が大音量で音楽を流しているのは、久野家の主人が操縦する小型ヘリの
音が耳障りだからなのだが・・・・
そして、事件が起きる。
阿久津家のバーベキューの火の始末が完全ではなかったのか、ボヤ騒ぎに・・・。
移住した二組は、それぞれ早々に、この地を去る。
そして再び公募により移住してきた10組。
またまた起きるトラブルの連続で、そのたびに移住者が去っていく。
こんなに、次々、トラブル起きないよね、普通・・・(^^ゞ
と思っていたら、とんでもない事実がわかる。
なんだか、虚しい気持ちになりました(;O;)。
万願寺が気の毒。与えられた仕事を一生懸命やっていたのに・・・・。
次は、前途有望な課に異動して能力発揮してほしいなぁ~。
★★★
発行年月:2017年11月
昭和五十年。雉子宮駐在所に赴任した元刑事・周平と、元医者・花の若夫婦。平和なはずの田舎町にも、事件の種は尽きないようで……? 新任駐在夫婦がワケありな事件を解き明かす「東京バンドワゴン」シリーズ著者初(?)の警察小説!日曜日の電話は、逃亡者 赴任初日、村に強盗犯がやってきた?水曜日の嵐は、窃盗犯 寺秘蔵の仏像が盗まれた……かもしれない?金曜日の蛇は、愚か者 子供たちの遊び場に蛇が大量発生。一体なぜ?日曜日の釣りは、身元不明 身分証を無くした釣り人の遺体。彼の正体は?
(中央公論新社HPより)
昭和の時代のいい意味で緩い感じがいい。
村でも事件は起きる。
駐在所のおまわりさん、簑島周平(30歳)と妻・花(32歳)の人柄がいい。
罪を犯した人がなぜ、そういう行動を起こしたのかを考えた対処するのには
温かみを感じる。
今の時代ならネットやらSNSで、すぐ晒されてしまう個人情報もこの時代は
まだ、広く知られてしまうこともなく・・・・
周平のやったことは、今の時代じゃ問題にされちゃうかもだけど・・・
続編の存在を先に知ったので、続いて読んでみよう。
もしかして、続編では平成とかに話は移っているのかな?
★★★
発行年月:2019年9月
著者2年ぶりの最新長編!
「令和元年」必読の衝撃作!!
隅田川で発生した元警察官殺し。
その息子たちが突き止める、父親たちの秘密――
著者2年ぶりの最新長編!
「令和元年」必読の衝撃作!!
元警察官の辰司が、隅田川で死んだ。
当初は事故と思われたが、側頭部に殴られた痕がみつかった。
真面目で正義感溢れる辰司が、なぜ殺されたのか?
息子の亮輔と幼馴染みで刑事の賢剛は、死の謎を追い、
賢剛の父・智士の自殺とのつながりを疑うが……。
隅田川で死んだふたり。
そして、時代を揺るがした未解決誘拐事件の真相とは?
辰司と智士、亮輔と賢剛、ふたりの男たちの「絆」と「葛藤」を描く、儚くも哀しい、
衝撃の長編ミステリー。
貫井徳郎、新境地!
(実業之日本社HPより)
辛い物語だった。
濱中亮輔と警察官だった父・辰司。
今、警察官の芦原賢剛と父・智士。
亮輔と賢剛は、親友であり、お互いの父親もまた親友だった。
時代は、昭和天皇が崩御されたころと現在を交互に語る。
ちょうど、昭和が終わったころ、自殺した賢剛の父。
そして、何者かに殺された(?)亮輔の父。
時を超えてはいるが、二人の死には、繋がりがあって、その真相を知ったとき
大きな混乱と絶望、悲しみ、怒り・・・いろいろな感情が起きる。
冒頭にあった、地上げ屋による悪質な立ち退きの様子に嫌な気持ちになった。
今後、これが物語の大きな核になるとは思わず・・・
二人の父親の過去を知った亮輔と賢剛は、お互い、苦悩するが
暫くは、お互い別々の場所で過ごそうと話し合う。
10年後の再会を約束して・・・。
10年後、二人がちゃんと笑顔で向き合えるといいな。
きっとそうなるだろうけど・・・
★★★★
発行年月:2019年10月
かつて〈おたく〉を命名し、〈新人類の旗手〉と呼ばれた。
人気アイドルや国民的カメラマンらと、時代を並走した。
フリーライター・中野秋夫。
もうすぐ還暦で、自らの残り時間も見えてきた。
人生の「秋」に差し掛かり、思い出すのは、昭和/平成の「青春」時代のことだ。
自殺してしまった伝説のアイドル、〈新人類〉と呼ばれたあの時代、国民的美少女と迷デザイナー、入水した保守論壇のドン、そして、〈おたく〉誕生秘話――。
東京に生きる、クリエイター、アイドル、浮遊人種……
それぞれの青春、それぞれの人生を丹念に紡いだ渾身の私小説。
青春には続きがある。
人生後半、「青い秋」のせつない季節だ――。
(光文社HPより)
著者の自伝的小説ということで、著者がライターになった経緯とか、その後の
仕事のことなども書かれていて、なかなか面白かった。
ライターになったキッカケは、偶然で運命的ですね~
そして、いろいろなアイドルの話。
名前は少し変えてあっても、ああ、あのアイドルねと著者とほぼ同年のわたしは
懐かしく思い出した。
新人類、おたく・・・著者によって生み出されたものということは知っていたけど
その本当の意味は、これを読んで初めて知った。
「おたく」って家に籠っているからお宅なのかと思っていた
でも、人と面と向かった時、「お宅は・・・・」と他者に呼びかけるからとか。
へ~そうだったのかぁ~。
最後の章<彼女の地平線>は、誰のことかよくわからなかった。
でも、なんだか寂しいラスト。
全体的には、興味深く最初から最後まで読めた。
★★★
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;