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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2025年8月


11歳になったその年、戦争が始まった――
美しい時間、美しい言葉、愛する者たちを、
戦争は容赦なく、うばっていく。
それでも彼女は、心の中の「美しいもの」を守りつづけた。
詩に思いをきざみ、未来へつなごうとした。
〈あらすじ〉
物語は、ある女性が日本から届いた段ボール箱をひもとくことから始まる。中に入っていたのは、名もなき女性詩人の青春の思い出の数かずだった――
「誰からも愛されますように」という母親の願いのとおり、立花ミモザはみなに好かれ、自由で、めぐまれた少女時代をすごしていた。しかし、ミモザの日常は、しだいに戦争の影におおわれていく。昼はもんぺ姿で農作業、夜は大好きな読書もままならず、空襲におびえる日々。父親は家族に暴力を振るうようになり、ミモザの「美しいもの」は、次々に汚され、うばわれていく。
詩人になりたい、無念なこの思いのたけを、わたしは詩に書きたい――戦争の時代にあっても、心の中の美しさを守りとおした少女の青春の記憶。
著者が敬愛する詩人・茨木のり子さんへのオマージュを込めて描いた、「詩人」と「戦争」の物語。


                    (さ・え・ら書房HPより)



1930年4月に生まれた立花ミモザの生涯を追う。
青春時代は戦時下。
美しくないばかりの時代でも美しい文章に惹かれ本を読むのが唯一の楽しみ。
そのため、後に視力を悪化させ手術の失敗で右目の視力をうしなうことに
なるのだけど。。。

戦時下の話は、やはり胸が痛くなる。
こんな時代に思春期を迎えたミモザたちのことを考えると本当に辛い。

辛い戦時下では人間の性格まで変えてしまい、父親が母親に暴力をふるうことが
多くなったり、ミモザの意見も全く聞き入れなくなる。
それでも美しい文章に夢中になることでなんとか気持ちを前向きに
頑張っていたミモザ。

ミモザが好んだ 花物語(吉屋信子/著)を、読んでみたくなった。
ハイネの詩集も、素敵な言葉が並んでいた。


物語の後半で、そんなミモザの生涯を振り返っている人物は、ミモザの娘・すみれ
なんだとわかる。

ミモザは娘を産んですぐに亡くなってしまったらしい。
それは哀しいことなんだけど、娘を産んだことをちゃんと見届けていたのは
少し救われた。


戦争の残酷さを描きながらも、すてきな物語だった。




                       ★★★★


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