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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2023年12月


第60回谷崎潤一郎賞受賞
第74回芸術選奨文部科学大臣賞受賞
あれから何年経っただろう。あれからって、いつから? どのできごとから?
日本を襲った二つの大震災。未知の病原体の出現。誰にも同じように流れたはずの、あの月日──。別々の場所で暮らす男女三人の日常を描き、蓄積した時間を見つめる、叙事的長編小説。


                   (集英社HPより)


2020年3月~2022年2月までを男女三人の日常を追いながら綴っていく。

石原優子・・・東京の大学で別の学部(工学部)だった直也と知り合い結婚。
       東京で働いていたが直也が地元(滋賀県)に就職していたので
       結婚を機に 滋賀県で暮らす。7歳と3歳の子あり。
       パートで働いている。


小坂圭太郎・・・働いていた居酒屋の客としてきていた貴美子と付き合い
 (33歳)       貴美子の妊娠を機に結婚。
        貴美子は中古マンションのリノベーションを手掛ける会社に勤務。
        こどもは4歳になり保育園に通園中。


柳本れい・・・・小1のとき、両親が離婚。父親の兄が傷害罪で逮捕され父も
 (46歳)       警察に呼ばれた。

        写真の専門学校に進み、知り合いの写真館で撮影したり、雑誌の
        取材時の写真を撮ったり。



阪神淡路大震災を思い出したり東日本の震災を考えたり、コロナ禍のあれこれを思ったり
三人三様の日常を描きながら、自分のそのときも振り返る。
淡々としている日常のなかにも、いろいろな複雑な思いが描かれていて
心に残る本だった。


バラバラの3人に少し接点が見えるラストもよかった。

ポーランドの詩人、ヴィスワヴァ・シンボウルスカの詩がいくつかあって
どれも印象的。
表題になっている「始まりと終わり」もそのうちの1つの詩(p153)。

夢が狂っているわけではない
狂っているのは現実のほうだ
たとえそれが、物事の流れについていこうとする
頑固さのせいだとしても

夢のなかではまだ
最近死んだ人が生きている
それどころか、若さをとりもどし
健康であったりもする
現実はわたしたちの目の前に
死んだ人の死んでいる体を置く
現実は一歩も後に引こうとはしない


詩集も読んでみたいと思う。





                       ★★★★★
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