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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2023年11月


祖母が守りたかったもの、それは?
瑞ノ瀬村に暮らす佳代、千代、三代の三姉妹は、美しい自然の中をかけまわり元気に暮らしていた。大切な人が戦地から帰ってくる日も、村中から祝われながら結婚式を挙げた日も、家で子を産んだ日も、豊かな自然を讃えた山々の景色が、佳代たちを包み込み、見守ってくれていた。あるときそんな瑞ノ瀬村に、ダム建設計画の話が浮上する。佳代たちの愛する村が、湖の底に沈んでしまうという。佳代は夫の孝光とともに懸命に反対運動に励むが──。
 定年退職まで営業部で忙しく働く佳代の娘・雅枝と、海外留学先であるイタリアで「適応障害」になり、1ヶ月と少しで実家に帰ってきてしまった孫・都。湖の底に沈んだ瑞ノ瀬への想いはそれぞれにまったく異なっていた。
 大藪春彦賞受賞、吉川英治文学新人賞ノミネートなど、いま最注目の若手作家・辻堂ゆめの最新刊! 都市開発や自然災害で、瞬く間に変わりゆく日本の古き良き故郷(ふるさと)の姿。私たちが得たものと失ったものは、一体何なのか。若き作家が三世代の親子の目を通じ、変わりゆく日本の「故郷」を壮大なスケールで描いた感動作。

                      (小学館HPより)


最近、よく読んでいる作家さん。
これも素晴らしかった。

孫、娘、祖母の順に語り手が変わり、時代を遡っていく。

最初は大学生・都の物語。
大学3年生を休学して、憧れのイタリアに1年留学のはずが、海外の生活
人間関係、言語、すべてがうまくいかず適応障害になって留学からわずか1か月少々で
帰国。
近くに一人で住む祖母の元にいくことで、何とか気持ちを保っている


次はバリバリ仕事をしている雅枝。
夫は元部下だが今は専業主夫。
優しすぎる性格故、仕事場のストレスから精神が参ってしまった。
寡黙で何を考えているのかわからない夫。
行く先が不安な娘のことなどで、ついつい家では不機嫌になってしまう。

最後は、ダムに沈んだ村・端ノ瀬村への想いを持ち続けた佳代の話。
夫の孝光とは同い年で、ほぼ毎日、一緒に遊んでいた。
2つ下の妹・千代。まだ幼い三代は佳代が背中におんぶして。
孝光も弟の茂則をおんぶして競争したり・・・。
やがて孝光と佳代は結婚。戦争があり孝光も出兵するが無事、帰る。
千代が戦後すぐ結核で亡くなる。

端ノ瀬村にダムが出来る話が出て来てから、そんな幸せな光景が一変してしまう
のが辛かった。
多くの人が最初は建設反対を訴えていたけれど、時間が経つと国の補償金と今の暮らしを
比べ補償金を貰うことの方が将来的には良しとする者が増えていく。
反対を続ける佳代と孝光を邪魔者扱いする者も。
どんな状況になっても夫婦の気持ちはひとつ。
けれど、ある日、孝光は置手紙を残し、村から姿を消してしまう。

これは納得できなかったな・・・。
佳代が気の毒過ぎて・・・・(/_;)


前の娘の雅枝の話で、父親のものかもしれない骨と腕時計が出てきたという話の
その腕時計の話がまだ二人が希望を捨てていなかった頃の話で出て来て
泣けた・・・・(/_;)

佳代の覚悟もすごいもので、そこまでそこに居続けることは夫をそこで待ちたいと
いう思いだったのかな?
諦めて、違う土地で、娘や孫と穏やかに暮らす方が幸せのような気がするけれど
それは他人が思うことで佳代にとっては、そうすることが一番大事な
ことだったのかもしれない。


重たい話だったけれど、行き詰まりのようだった都と雅枝のこの先が少し
明るいものになりそうなかんじになって、ホッとした。


まだ若い作家さん、これからの作品にも期待!



                       ★★★★★

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