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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2024年4月


からだは傷みを忘れない――たとえ肌がなめらかさを取り戻そうとも。
「傷」をめぐる10の物語を通して「癒える」とは何かを問いかける、切々とした疼きとふくよかな余韻に満ちた短編小説集。
「みんな、皮膚の下に流れている赤を忘れて暮らしている」。ある日を境に、「私」は高校のクラスメイト全員から「存在しない者」とされてしまい――「竜舌蘭」
「傷が、いつの日かよみがえってあなたを壊してしまわないよう、わたしはずっと祈り続けます」。公園で「わたし」が「あなた」を見守る理由は――「グリフィスの傷」
「瞬きを、する。このまぶたに傷をつけてくれたひとのことをおもう」。「あたし」は「さやちゃん先生」をめがけて、渋谷の街を駆け抜ける――「まぶたの光」
……ほか、からだに刻まれた傷を精緻にとらえた短編10作を収録。

                   (集英社HPより)



身体のどこかに傷痕が残っている人は、多いんじゃないかな?
傷の大小には、違いがあっても・・・。
それに関することも覚えていることが多いと思う。


10の話、どれもそれぞれ良かった。
最初の<竜舌蘭>は、通学途中にあった、竜舌蘭の棘で知らないうちにケガをして
それを機にクラスのなかで無視されていた状況が変わるという話。
見える傷には、人は反応するのに、見えない傷については人は驚くほど
無自覚だということが、印象的だった。

ほかに印象的だったのは
<この世のすべての>
犬に噛まれて顔が変形するほどの大きな傷を持つ男。
犬嫌いで、犬を連れている人に怒鳴ることが多く
それを見て、住人たちは男を疎ましく思う。
わたしもそのうちの一人。
ある日、犬を虐待していた容疑が男にかけられた。
男が犯人ではないと知っているが、否定せず、男が警察に連行
されていくのを見ている。
男の人すべてが怖いから。
後味悪い話だったけど、なんとなくこのこういうこと起こりうる。

<指の記憶>もちょっと、ゾックとする話。
工場の機械で指を切断する大怪我を負い、その時、指のすべてを拾って
救急隊員に渡してくれた恩人が触れた記憶が手術で無事にくっ付いた指が
感覚として覚えているという話。

<あおたん>
刺青で覆われている、おっちゃと親しくしていた。
いつも男の人に顔をじろじろ見られて嫌なかんじだったのに
おっちやんといると皆が視線を向けてこないのが嬉しかった。
新しい担任の先生に体を触られ、顔を舐められて気持ち悪くて泣きながら
おっちゃんの元にいくと、話を聞いたおっちゃんが学校に先生を殴りに
行ってくれた。
そんなおっちゃんが建築現場で高いところから落ちて頭をうち亡くなってしまう

なんだか切ない話。


<慈雨>
父親の誕生日にプレゼントを持って実家へ。
幼い時から、父親と接するのが苦手だった。
母親から自分の額にうっすら残る傷痕の話を聞く。
父親と留守番をしているときに木から落ちて出来た傷。
ずっとそれを気にしているという。

父親とのギクシャクした関係が少しずつ変わっていきそうかな?
良い話。


ひとつひとつは短くて、本自体の頁数も少な目だったので、ササッと
読めてしまったけれど、面白かった。


表紙の写真(絵?)は、結構、痛々しいけれど、そこにある思い出は
案外、悪くないものだったような・・・・



                   ★★★★
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