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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2025年10月


たとえままならずとも。あたたかな恋の旋律
「好きだ」と言ってくれる男性と結婚するも、少しずつすれ違っていく心に気づかないふりをして生活を続けようとする「私」に、海辺の別荘で出会った隣人の画家を忘れられない「私」……。
恋に落ち、人を愛することに決まったかたちなどない。
目の前の気持ちに、ただ必死に追いつこうとする人々の姿を描いた6編の短編を収録。
一筋縄ではいかない、珠玉の恋愛小説集。
◆◇あらすじ◆◇
 夫を亡くし、10年間の結婚生活に終止符が打たれた恵美は、夫の残した別荘に暮らしている。心は悲しくもせつなくもないけれど、思い出すと目から自動的に涙が零れる。 
 自分が、女を好きなわけがない。そう納得させたくてした結婚だった。
 ある日、隣に画家の女性が越してきた。絹香と名乗る彼女と行き来するうち、恵美は自分の胸の奥の痛みに気づく。絹香もまた、怒ったように言う。
「恵美さん、旦那さんという人がいた人だったんだ」(「海鳴り遠くに」)
 高校を休みがちになった僕の家へ、夏休みの間だけはとこの桃子さんがやって来ることになった。両親の離婚により始まった母との2人暮らしにも慣れ、告白されて彼女もでき、〈幸福が加速している!〉はずだったのに……。(「風は西から」)
 自分は「普通」ではない。だから木に化ける蛾のように擬態を続け、「普通」の人間なのだ、と思い込もうとした。
 そうして70手前になった学校清掃員の老人はある夏、昔想いを寄せた友人によく似た少年に出会う。「男女(おとこおんな)」と呼ばれいじめられていた彼と関わるうち、自宅に招き食事をともにするようになる。だが、2人のひと夏の終わりはすぐそこまで来ていた――。(「赤くて冷たいゼリーのように」)           
                                    ――直木賞受賞作『夜に星を放つ』を超える感動をもたらす全6編
 読み終えた後、「いろいろあるけど、こんな人生も悪くないな」と顔を上げられる、至極の短編集です。
目次
海鳴り遠くに
風は西から
パスピエ
赤くて冷たいゼリーのように
天鵞絨のパライゾ
雪が踊っている


                   (文藝春秋HPより)



色々な「恋」を描いた短編集。
どの話もそれぞれ読んでいて面白かった。
切ないのが多かったけれど・・・。


<海鳴り遠く>
夫が遺した別荘で暮らしている恵美(38歳)。
隣の別荘に数か月滞在の画家の絹香と親しくなる。
恵美と絹香は互いに惹かれるけれど・・・

本当にお互いが好きなら、男女とか関係ないよね?って
周りも思う世の中になればいい。
ここからまた新たな関係が始まるのかな。


<風は西から>
両親が離婚した小学4年生から頑張ってきた陸。
高校2年生になって、告白されたのに、「好きかどうかわからなく
なっちゃった」と言われ・・・・理不尽過ぎるよ~(/_;)
この先、良いこと起きるといいな。


<パスピエ>
仕事帰りによく行く居酒屋に脚の綺麗な中野さんがバイトに加わる。
ついつい脚をみてしまう板倉(25歳)。
ストーカーに家を知られてしまったという中野さんが家についてきて
そのまま一緒に暮らすことに。
でも中野さんは居酒屋の大将の妻だった。

あ~板倉、かわいそう。
脚フェチはちょっと気持ち悪いけど、秘めた思いのままだから
まあ、そんなに嫌悪感はないかも。


<紅くて冷たいゼリーのように>
偏差値と授業料が高い私立高校の清掃員として働いている初老の宏。
17歳でバイクで事故死した祐のことを今でも想っている。
その祐に似たかんじの男子生徒がトイレで虐められているところを
目撃し、声を掛けたのを機に男子生徒・佐々木結(ゆう)と親しくなる。
結はその後、両親が離婚して遠くへ引っ越す。
そして、また別の男子生徒が暴力を受けているところを目撃し
助けに入り、暴行されて救急車で搬送。

宏、優しい人なんだろうな。
優しい誰か信頼できる人と幸せな時間を持てるといいんだけど・・・。
イチゴのゼリーがなんだか哀しい(/_;)


<天鵞絨のパライゾ>
仕事を通して知り合ったYと結婚。
Yは裕福だったけれど、結婚後も仕事を続けさせて欲しいとお願いし
家事も仕事も頑張るけれど、少しづつすれ違い、離婚。
結婚前から気にかけてくれるユーシェンが荒れた生活をする自分を
慰め、立ち直らせてくれる。

結婚しなくてもいいじゃん別に・・・
一人で生きていける仕事もあるわけだし。


<雪が踊っている>
小学校3年の息子・紡が塾の友達に乱暴をしたと報せが入り迎えにいく。
相手側の連絡先を聞き、ケガをした子が以前、結婚まで考えた男性の息子
だと知る。
子ども同士は些細な喧嘩で、ケガも大したことなく、その後も仲良く
遊んでいる。
ある日、塾から二人が居なくなったと・・・
探すと公園で雪遊びしている。


別れた男と、よりが戻らず、ホッとした。
雪遊びのどさくさに紛れて雪玉を男にぶつけ「あの人が鬼だから・・・」
と子どもたちにも雪玉を投げる標的にしたのは、ナイス!

面白かったけれど、次は長編が読みたいな。

                    ★★★
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