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発行年月:2025年9月


戦後、連合国軍占領下の日本では米国兵士と日本人女性の間に生まれた子供たちが街中に捨てられ、悲惨な状況に追い込まれていることが社会問題となっていた。
 三菱創業者である岩崎弥太郎の孫娘で、外交官婦人でもあった沢田美喜は現状に心を痛め、女性たちが子供を託せる施設、エリザベス・サンダース・ホームの設立に乗り出す。
 資金繰り、世間からの差別の目、子供たちの行く末……様々な困難を乗り越え、千六百人近い子供たちを育て上げた女性の物語。

                 (PHP研究所HPより)



エリザベス・サンダース・ホームを設立した女性の話。
三菱財閥の創業者のひ孫・沢田美喜。
外交官の夫の赴任先だったロンドンで以前、親のない子達が大勢、笑顔で
暮らしていた施設<ドクター・バーナードス・ホーム>で週1回、
ボランティアとして働いた経験があった。


戦争は終わったけれど、実家の洋館はGHQに接収されてしまっていた。
そして、日本に来たアメリカ兵と日本人女性の子どもが捨てらていることに
胸を痛め、そういう子どもを養護する施設の必要性を強く感じた美喜。

幸い、実家の岩崎家で以前、奉公した八重が訪ねてきて夫が亡くなり
故郷に帰ろうと挨拶に寄ったという八重に養護施設を一緒に
手伝ってほしいと頼み、勉強し保育の資格を取り、美喜の片腕として働く。


外交官の夫や実家の父も美喜のやることに賛成し、尽力してくれて
施設<エリザベス・サンダース・ホーム>を造ることが出来る。
そして捨てられた子どもを預かるのだけど、想像するだけで目が回る
忙しさ。
アメリカ人との子どもという世間の偏見が想像以上に酷く
子どもが体調を崩しても医者さえも容易に診てくれないとは・・・。
百日咳に次々、子どもたちが感染し、7名が亡くなってしまった時は
なんとも辛かった。
そして、私立の小学校も開校<聖ステパノ学園>
戦死した三男の洗礼名から付けたそう。

天皇皇后両陛下がホームを訪れたことで少し、近所の見る目が変わるが
それでも金持ちの道楽とか売名行為などの批判も続く。

美喜たちは、そんな雑音にはめげず、子ども達のために尽くす。


彼らがホームを去って自立していかなければならない時期が来ても
まだまだ世間の目は冷たい。
なかなか、普通の日本人のような仕事には就けず大変そう。

美喜はそういう子どもたちを偏見が日本よりは少ないブラジルに呼び寄せる
ことを考え、ブラジルの開拓を試みるが、うまくいかずに終わったのかな?

本当に一生懸命、子どもたちの幸せのために奔走している様子はすごい。



終盤、子どもたちがどんな風に今、生活しているのかが出てきた。
みんな厳しい世間の偏見にも負けず、それぞれが踏ん張って生きていた。
悪い道に逸れた子もいたとは思うけれど、大切に育てて貰えた時が
あったということは忘れていないと信じたい。


美喜の最期はあっけなかった。
海外で仕事中に体調を崩して、そのまま亡くなったのだとか。
葬儀に駆けつけた人の数は凄かったと。


一人の女性として尊敬しかない人だった。



                       ★★★★★



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