第4回ダ・ヴィンチ文学賞大賞受賞作。地味で無口な28歳派遣社員・潔子。職場でいやがらせに遭うが、アパートで潔子を待つ飼い猫は、実は「猫魂(ねこだま)」なる憑き物! 潔子の怒りが頂点に達したとき、猫魂と一体化して美女に変身! いやがらせしてくる敵の憑き物に仕返しします! 妖怪×仕事人のコミカル・アクション
(メディアファクトリ-HPより)
先に読んだ、デビュ-2作目の「海に降る」がとても良かったので、こちらのデビュ-作を読みました。
なかなか面白い設定でした!
主人公の田万川潔子。
田万川家は夏梅種の家筋で、猫魂を自身に憑依させて、無敵の力を得ることが出来る力を、持っている。
潔子は、その唯一の末裔なのだが・・・・・本人にその自覚はなく、猫魂が憑依するとき以外は弱気で冴えない。
そのため、いろいろな人から理不尽な扱いを受ける。
が・・その相手は、憑き物(おにひとで、アライグマ、西洋たんぽぽ、フィレット)により潔子に災いをもたらしている。
派遣社員として昼間は働く潔子が、帰宅しては嫌な目にあったのを憂いている姿を飼い猫のメロが、特殊な能力により、潔子の脳のなかから抽出する。
潔子の負の感情が激しくなることで、メロの猫魂が潔子に憑依し、膨大なエネルギ-を生み出す。
そうすると、普段は冴えない潔子が風貌からして、美しく変身。
潔子に理不尽な態度を取った者たちに反撃していく様子が面白い♪
猫好きには、たまらない愉快な話でありました(^^)
面白いなぁ~。この著者。
もっともっといろいろな物語を読ませて欲しいと期待しちゃう。
有人潜水調査船〈しんかい6500〉の女性初のパイロットを目指す深雪。
深海に棲む未確認巨大生物を追い求める浩二。
目的は違えど想いは一つ「深海へ」。
海洋調査をめぐる冒険恋愛小説の傑作!
(幻冬舎HPより)
面白かった!
独立行政法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)の存在を今まで知らなかったけれど、ちゃんと実在する機関で<しんかい6500>で深海の闇を日々、探索しているとか。
この物語の主人公は、天谷美雪。深海を潜る有人潜水調査船のパイロットを目指している。
父親もかつては同じ機関で、海洋調査技術の専門家として、調査船の開発に関わり幼いときから、父の話はよく聞かされていた。そして自分もいつか父の造った船で深海を調査したいと思っていた。
そして、同じような想いで中途採用されてきた高峰浩二。
彼の父親は深海生物学者で、以前、深海に潜り<白い糸>のような生物を見たと言っていた。
その糸の先には閃光があり、新種の生物だと確信したが、ほかの者にはその主張が認められることなく、つい最近、海に転落死している。
自分は父親の見たものを確認する為に、今までの勤め先を辞して来たと言う。
当初、そんな高峰に、訓練をずっと続けている自分ですら深海に潜れるかどうかわからないのに、新参者の身でそんなことを言うのは場違いだと憤りを覚える深雪。
二人の関係が衝突しながらも同じ思いでいる者同士ということで、和解していく様子が良かった。
そして、突如現われた深雪の弟・陽生(小4で10歳)。
深雪の両親は離婚していて陽生は、父の再婚後の息子。
二人はわけあって一緒に暮らすことになる。
この二人の関係も面白かった。
深海探索にかける者たちの思いとともに登場人物たちの人間関係も面白く読めた。
四方を海に囲まれた日本。
深海探索が進めば、いろいろなことがどんどん発見されていきそう。
この物語のなかに登場した新生生物だって、見つからないだけでどこかにいそうな気もするし・・・
なんだか夢が広がるような話だった。
参考文献もたくさんで、いろいろ資料を集めて勉強して書かれた物語なんだと思った!
「マタタビ潔子の猫魂」でダヴィンチ文学賞大賞を受賞してデビュ-。
本作が受賞後第1作目となるらしい。
デビュ-作も是非、読んでみたい!!
★★★★★
現役大学生作家が、学生生活最後の年に書き下ろす、奇跡の物語。
亡くなった父が残したもの……喫茶店、星型の天窓、絆、そして、奇跡。三男三女母ひとり。ささやかな一家が出会う、ひと夏の奇跡の物語。家族が"家族を卒業する"とき、父の残した奇跡が降り注ぐ……。
(角川書店HPより)
デビュ-作の「桐島、部活やめるってよ」や「チア男子」は、現役の学生さんらしい今の若者の学生生活のお話でしたが、今回は、ひとつの家族の物語。
ちょっと趣向が変わっていましたが、今までのなかでは、一番プロの作家さんらしいものだったと思う。(上から目線ですが・・・^^;)
早坂家の兄弟姉妹6人が、それぞれの章ごとに、それぞれの抱えている悩みだったり想いを語る。
<長男・光彦>・・・大学生。家庭教師のアルバイトをしている。
<三男・真歩>・・・小学生。首からいつも黒いカメラを提げている。小学生にしてはク-ル。
<二女・小春>・・・高校3年生。ボ-イフレンドはギタ-の弾き語り奏者。
<二男・凌馬>・・・高校1年生。テニス部。兄が家庭教師で教えるあおいとは同級生。
<三女・るり>・・・双子の小春と似ているのは顔だけで性格は対照的。成績優秀。
<長女・琴美>・・・結婚し、家からは出ているが、家族のことをよく見ていてその洞察力はエスパ-並み。夫は警察官。
↑の順番で物語が進みます。
早坂家の大黒柱であった星則は、建築家で母親が経営する喫茶店(星やどり)も建てたり近所の家をリフォ-ムしたりしていたけれど、4年前に病死。
物語は子どもたちの語りが主ですが、両親の優しい気持ちも読んでいるとわかり、本当に理想の家族のかたちだなぁ~と思った。
一番、ジ~ンとしたのは、二番目の真歩の話。
小学生にしては、いつも落ち着いていて、どこか冷めたかんじの男の子なんだけど、卒業文集の係りに成り行き上なり、その同じ係りの子達とのやりとりが良かった。
4人が係りになったのだけど、二人は女子で、真歩ともう一人の男子・ハヤシ君との友情が泣けた。
どうしてカメラを提げていて、写真を撮ることに夢中になっているのかもわかり切なくなった。
けれど、写真館の青年とも出会い、真歩は、ちょっと今までと違うものを手に入れたかも。
いろいろな人と接して、いろいろな感情を抱くって成長していく過程では大切なんだなぁ~と思った。
ほかの話もそれぞれに良く、ラストの長女の琴美の話では、亡くなった父親が生前に、家族のためを想ってしていたことを知り、涙腺がウルウル。
長女の話をラストに持って来たのは、こういう意図からですね(^^)
著者の今後の作品にも大いに期待したいです!
社会人にそろそろなる頃ですよね?
★★★★
ある日の授業中、突然<それ>はやって来た。
遮断された高校、降り続く灰。
彼女は意を決し、自宅へと歩き始めるのだが----
変わりゆく世界の中の確かな希望を描く、第48回文藝賞受賞作!
(河出書房新社HPより)
結構、薄い本なので、アッという間に読了。
よくわからない状況のなかで、どんどん緊迫感が増す描写が出てきて、恐怖を感じた。
句読点がないので、息をつく間もないけど・・・それが効果的。
高校の授業中に感じた、激しい音と閃光。
何が起きた?理解出来ない人たち。
それでも、ひとりじゃないのは心強い。
まだ笑う余裕もある。
けれど、どこか遠くで起きていると思っていたにに恐怖がどんどん自分達のそばに迫ってくる。
怖い、怖い。
物語のラストは、希望らしいきものはないけど絶望だけでもない。
まだまだ物語の世界は、このあとも続いていって、登場人物たちは必死に生き抜くための努力をするのだろう。
しんどいなぁ~。
著者のプロフィ-ルを見ると、すごい優秀な人なんだな。
現在は東京大学大学院に在籍中だけど、
元は東京大学医学部で医者を目指していたとか。
将来は作家になるたいと方向転換して、文学部へ転部だと。
これが作家活動、第一号というわけですが、これから書くものにも期待したい作家さんが
誕生です!
★★★
著者初の推理小説、いよいよ登場!
東京湾で発見された2つの遺体。
殺人事件の鍵を握るのは、銅鐸と、
遥か昔の哀しき“夜空の記憶”。
充実の一途を辿る著者初のミステリが登場
(文藝春秋HPより)
久しぶりに手に取った伊集院さんの作品。
初めての推理小説とか。
物語の冒頭は昭和42年の夏。
3人の高専生(美智子・建侑・康次郎)が夜空の星を見ながら、将来の夢をお互いに叶えようと誓うその場の情景が目に浮かぶようなシ-ン。
それが突如、時代が変わり現在へ。
東京湾で若い女性と老人が一緒に繋がれた遺体が発見される。
二人の被害者の因果関係は?
冒頭、登場の3人は、この事件に何か関わりがあるのか?
謎だらけで読み進めました。
登場人物ばかりが、どんどん増えていき、誰が誰と繋がっているのか、混乱するので中盤くらいまでは、なかなか読むスピ-ドが上がらずでしたが、それ以降、少しずつ繋がっていく登場人物たち。
被害女性は、19歳の佐藤可菜子。
両親は三陸沖地震の二次災害で亡くなり、祖父に引き取られ高校までを一緒に過ごし、その後、好意を抱いていた先輩が東京に出たのを追って上京していた。
孫の行方が心配で、上京し手がかりを掴もうと警察に出向き、警視庁鑑識課の皆川と葛西と知り合う。
やがて東京湾の遺体が可菜子だと知ったあとの老人が痛々しかった。
もう一人の被害者は、85歳の佐田木泰治。
鍛治職人であり、捜索願が孫娘である由紀子から出されていた。
一見、何ら関連性のない、少女と老人ですが、犯人がわかると同時に、二人が最初の昭和の話の人物達と深い関わりのあることがわかりました。
そこに辿り着くまでが長かったけど、なるほど・・・・そういうふうに繋がっていたのか!?と納得。
推理小説ではあるけれど、事件そのものよりもそこに居る人物達の気持ちなどを想像して、事件に至るまでの出来事に、なんとも切ない気持ちにさせられた。
犯人の犯行動機はちょっとよくわからないけど、そこは想像するしかないか?
孫娘を亡くした老人が、かつて可菜子と耕した棚田にいるラストの風景も目に浮かぶようだった。
警察官の皆川と葛西が、それを思いやる言葉かけにもジ~ンと来るものがあった。
文章の美しさはさすがだなぁ~と久しぶりに読んで思った。
また推理小説を書かれるのかな?
次回作も期待したいと思います。
★★★★
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
