発行年月:2006年11月
『かはたれ』から4年後、八寸は、ふたたび長老の言い付けで、人間界へ出かけることになった。今回は、なぜか中学校の古いプールに棲みついてしまった高貴な血筋の河童、不知を河童界に連れもどすという使命を帯びていた。その中学で、3年生の麻と八寸は再会を果たし、麻の協力で、不知は、すでに命を落とした人間の友だちを待ちつづけていることがわかる。不知の持つ霊力で時間を遡り、不知とその友人を再会させようとするが…。
(福音館書店HPより)
「かたはれ」から4年後のはなし。
八寸は長老から頼まれて、人間界から戻らない美しく賢く特別、霊力も強い
月読み族の生き残り・不知を連れ戻すために再び麻と暮らした思い出の
場所へ向かう。
不知が棲みついているのは、学校の古いプール。
なぜ、不知はそこに居続けるのか?
それには、不知と司という少年が交わした約束があったから・・・
八寸は今度は河童の姿のまま、長老から《見え隠れの珠》を首にかけて
もらう。
姿を隠してくれるが水系のものは見えてしまうという。
雨に濡れたり、くしゃみや鼻水にも注意。
八寸は不知にはすぐに会える。
けれど、どんなに説得してもダメ。
プールで誰かを待っているらしいけど誰を?
そして懐かしい麻とチェストタンとも再会する。
麻は14歳になり、身長も160cm近く、チェストタンは年をとり
活発に動き回ることはなくなっていた。
学校で河童らしきものを見たという騒ぎが起き、焦る麻。
そして随分、前にも同じような騒動があったことを知る麻。
その時、少年で河童を見たといった二階堂晋を探し、会って話をする。
二階堂晋の祖母がお屋敷で働いていた時にお屋敷の坊ちゃんと
銀色の人が楽しそうに話しをしている光景を見たという話も。
そのお屋敷の坊ちゃんは天辰司。
銀色の人は不知。
不知は、司を待っていた。
司と不知の話は、なんとも哀しいものだった。
楽しい時間を過ごしていたのに、戦争が始まり、司は戦場へ。
帰って来たけれど右腕を失い、大好きなヴァイオリンが弾けなくなる。
それでも学校の臨時教師として働いていたが、学校に爆弾が落ち
校舎の梁の下敷きになった司。
火の手が迫る場で不知はなんとか司を助けようとするが
司は「プールのところで待ってろ!後で会えるから・・・」と。
そのまま司と会うことはなく時が過ぎて・・・
麻は学校のピアノを弾いている河合くんを偶然、会い
2人は同じ小学校から来ていて、以前、虐められていたときに麻に助けられた
という話をする。
なんとなく、麻は河合くんになら八寸や不知のことを話しても大丈夫
だと感じ、勇気を出して話す。
それから、なんとかして不知を救う方法を一緒に考える。
河合くんも良い子だな。
八寸や不知の姿も河合君にはすぐに見え、なんとかして音楽で記憶を
取り戻せないかと探り、偶然、フルートで吹いた曲に不知が
「もういちど吹いて」と頼み、その音色が時空を超えた司の元へも届く。
不知と司の再会は短い時間だったけれど、不知はそれによって
八寸と散在ガ池に戻ることを決める。
再び、麻は八寸と別れることになるのだけど。。。。
河合くんと二人、共通の思い出が出来たし、また会える方法も残して貰えた。
この話の続きはもうないのかなぁ~。
ステキな物語だったなぁ~。
★★★★★
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発行年月:2025年7月
幼い頃から可愛いものが大好きで、頭のリボンがトレードマークの百花。
”よくわかんない店”で働きながら、マイペースに日々を過ごす彼女は、
あるとき伯母の加代子が営むテーラーを手伝うことになる。
女性であることを理由に、紳士服を作ることが許されなかった加代子は、
夫亡き後、日用品を中心に製作しているが、
あるとき「下着のリメイク」の依頼が届き、
手芸好きの百花の力を借りることにしたのだった。
”よくわかんない店”で働きながら、マイペースに日々を過ごす彼女は、
あるとき伯母の加代子が営むテーラーを手伝うことになる。
女性であることを理由に、紳士服を作ることが許されなかった加代子は、
夫亡き後、日用品を中心に製作しているが、
あるとき「下着のリメイク」の依頼が届き、
手芸好きの百花の力を借りることにしたのだった。
下着にまつわる固定観念を軽やかにすり抜け、
読む人の心をそっと解きほぐす物語。
(文藝春秋HPより)
面白かった!
6歳の頃、のんびり屋で皆をイライラさせたり無視されたりで学校が嫌いな
百花に母が髪にリボンをつけてくれて「堂々としていなさい。そうすれば
周りは自然と敬意を払ってくれるようになるはずだから・・」と。
以来、リボンは百花の心の拠り所。落ち着きたいときはリボンに触れる。
そんな百花は33歳。今も髪にリボンをつけて会社に通う。
会社の社長・西中嶋たかし(52歳)は、なんだかユニーク。
倉庫を改装した店舗兼事務所で雑貨屋(?)を経営。
社長の兄の娘・恵美子(えみちゃん)がたかしの元でアルバイト。
前の会社でうまくいかず外出も出来なくなり、リハビリ中。
百花は社長に信頼されているかんじ。
相談事を聞いて貰うんだから・・・
百花の伯母・加代子は病気で亡くなった百花の母の姉。
テーラー城崎を今は一人で守っている。
義父と亡くなった夫がやっていた店で、義父は今は施設にいる。
加代子は近所の人や口コミで依頼された下着のリフォームをやっていて
裁縫が好きな百花にも手伝いを頼む。
お気に入りのビスチェをリフォームしたいという近所の商店街の肉屋の
奥さんの願いを叶えたり・・・。
百花の父親は今は再婚して再婚相手のマンションで暮らしている。
管理栄養士として病院で勤務していて、家では揚げ物を食べさせて
貰えないからと百花に食事に一緒に行って欲しいと頼む。
離れてもちゃんと交流はあるんだなとちょっと微笑ましい。
百花に別れた恋人・つかさ(女性)から会って話たいと連絡があり
その話もなかなか凄かった。
今、妊娠中で肌に優しい下着を作ってくれないか?と百花が下着の
リフォームの所でも働いているのを知って連絡したらしい。
つかさは、男性も女性も愛せるらしい。
でも、子どもを一緒に育てるのは女性の恋人で男性とは別れ
堕胎しようと思っていたら「産むべきだ」「「産んでほしい」と
今の恋人に言われたと。
結局、百花はその話をその場では断って帰ってきて加代子に相談。
それなら・・・と加代子の洋裁学校時代の同級生で輝かしい経歴の
橘マリエの店を紹介してあげたら?と。
橘マリエの店に出向く百花。
百花はホント、優しくていい人。
その後も病気の後遺症でマヒが残ってしまった女性や、店まで来られない
人たちのために出張テーラーが出来ないか?と加代子と真剣に話を
進める。
実現しそうな様子に、この先の頑張りも読んでみたいなぁ~と
思った。
寺地さんのお話は、やっぱりいいな。
★★★★
読む人の心をそっと解きほぐす物語。
(文藝春秋HPより)
面白かった!
6歳の頃、のんびり屋で皆をイライラさせたり無視されたりで学校が嫌いな
百花に母が髪にリボンをつけてくれて「堂々としていなさい。そうすれば
周りは自然と敬意を払ってくれるようになるはずだから・・」と。
以来、リボンは百花の心の拠り所。落ち着きたいときはリボンに触れる。
そんな百花は33歳。今も髪にリボンをつけて会社に通う。
会社の社長・西中嶋たかし(52歳)は、なんだかユニーク。
倉庫を改装した店舗兼事務所で雑貨屋(?)を経営。
社長の兄の娘・恵美子(えみちゃん)がたかしの元でアルバイト。
前の会社でうまくいかず外出も出来なくなり、リハビリ中。
百花は社長に信頼されているかんじ。
相談事を聞いて貰うんだから・・・
百花の伯母・加代子は病気で亡くなった百花の母の姉。
テーラー城崎を今は一人で守っている。
義父と亡くなった夫がやっていた店で、義父は今は施設にいる。
加代子は近所の人や口コミで依頼された下着のリフォームをやっていて
裁縫が好きな百花にも手伝いを頼む。
お気に入りのビスチェをリフォームしたいという近所の商店街の肉屋の
奥さんの願いを叶えたり・・・。
百花の父親は今は再婚して再婚相手のマンションで暮らしている。
管理栄養士として病院で勤務していて、家では揚げ物を食べさせて
貰えないからと百花に食事に一緒に行って欲しいと頼む。
離れてもちゃんと交流はあるんだなとちょっと微笑ましい。
百花に別れた恋人・つかさ(女性)から会って話たいと連絡があり
その話もなかなか凄かった。
今、妊娠中で肌に優しい下着を作ってくれないか?と百花が下着の
リフォームの所でも働いているのを知って連絡したらしい。
つかさは、男性も女性も愛せるらしい。
でも、子どもを一緒に育てるのは女性の恋人で男性とは別れ
堕胎しようと思っていたら「産むべきだ」「「産んでほしい」と
今の恋人に言われたと。
結局、百花はその話をその場では断って帰ってきて加代子に相談。
それなら・・・と加代子の洋裁学校時代の同級生で輝かしい経歴の
橘マリエの店を紹介してあげたら?と。
橘マリエの店に出向く百花。
百花はホント、優しくていい人。
その後も病気の後遺症でマヒが残ってしまった女性や、店まで来られない
人たちのために出張テーラーが出来ないか?と加代子と真剣に話を
進める。
実現しそうな様子に、この先の頑張りも読んでみたいなぁ~と
思った。
寺地さんのお話は、やっぱりいいな。
★★★★
発行年月:2025年7月
情熱と分別のあわいに揺れるあなたへ。
40年ぶりに再会を果たした同級生のカメラマンとスタイリスト――「兎に角」
「ボケたら関係解消」が条件の70代ホストと美容師――「ひも」
遅咲き小説家と過去をあかさぬ大学教授――「情熱」
ほか、全6編。
(集英社HPより)
還暦頃の男女の話が6つ。
どれもいい。
情熱と分別のあわいに揺れる・・・巧い言い方だな・・・。
久しぶりに再会して、淡い恋心みたいなものはあるけれど
恋人みたいになるのは、ちょっと違うかなぁ~とか考えてるかんじ?
<兎に角>
40年ぶりに再会したカメラマンと写真館を構えた女性。
仕事仲間としての新たな関係が生まれるみたいだな
<スターダスト>
音楽ディレクターの63歳男性。自身もサックス奏者。
演歌の新星としてデビューしたのに世に轟くヒット曲に恵まれない歌手を
なんとかしてあげたいと思いつつ・・・・
<ひも>
老人ホストクラブに勤める74歳の男性・朗人。
そこで知り合った美容師の女性・江里子の元で今は家事をやりながら居候生活。
「ボケたら関係解消」
江里子の生き別れた娘だという女性が来る。母には会わずに明日から
ベトナムへ仕事(和裁を教える)で行くというので餞別に5万円を渡す。
江里子が帰宅し、美容院に朗人の生き別れた娘と言う人が来たよと。
可笑しな話だけれど、訪ねて来たのは誰だったんだ?
<グレーでいいじゃない>
ジャズピアニスト・トニー漆原(60歳)の葬儀で90歳の母親が
バッハのG線上のアリアを演奏している。
葬儀のあと、その母親と話をする仕事仲間だったサックス商社の紀和(35歳)。
ジャズ方面に行った息子を許せなかったのだと。
人生グレーでいいいんじゃないと生前、トニー漆原から言われた紀和。
90歳の母親も今は息子を認めているんだなとちょっとジ~ンとした。
<らっきょうとクロッカス>
裁判所職員の青田芙美(50歳)。
東京から札幌と職場を変えて、その場でそれなりに評価されてきたと
思っていたが今度、釧路に転勤。
何か失敗したのか?と自問。
男に振り回されて死んだ母親を反面教師に、叔母(母の妹)の元で厳しく
「マイナスからまっとうになるのは常に百点を取り続けなければ」と
言われて育つ。
職場が変ったのを機にもっと楽に生きれればいいのになぁ~
らっきょうの甘酢漬けが美味しく作れたり、おせち料理もちゃんと
作れるっていうのも尊敬。
新しい場所の大家さん夫婦とか、弁護士の竹下(60歳すぎ)との
人間関係もいいかんじ
<情熱>
表題作は一番最後。
40歳から作家活動を本格的に始めた島村。
講演依頼が博多であり
妻の知り合いでもある大学教授の内田夏海(還暦前)が自身も仕事で
博多に行くのでよかったら案内しますよと。
夏海は門司の出身らしい。
実は島村は密かに夏海を小説のモデルにしたいと考えている。
夏海が語る学生時代の思い出にいる男性が、なんだか素敵。
今は亡くなっているらしいけれど。。。
島村はそんな話を聞きながら、軽く嫉妬しているかんじで
ちょっと可愛い。
最後の小説家が
「北海道しか舞台にしない作家と言われているから、ちょっと反抗したい」と
言う言葉は、著者の桜木さん、そのものなかんじでクスッと笑えた。
そんなに印象に残る話たちじゃなかったけれど
軽く読めて楽しかった。
★★★
(集英社HPより)
還暦頃の男女の話が6つ。
どれもいい。
情熱と分別のあわいに揺れる・・・巧い言い方だな・・・。
久しぶりに再会して、淡い恋心みたいなものはあるけれど
恋人みたいになるのは、ちょっと違うかなぁ~とか考えてるかんじ?
<兎に角>
40年ぶりに再会したカメラマンと写真館を構えた女性。
仕事仲間としての新たな関係が生まれるみたいだな
<スターダスト>
音楽ディレクターの63歳男性。自身もサックス奏者。
演歌の新星としてデビューしたのに世に轟くヒット曲に恵まれない歌手を
なんとかしてあげたいと思いつつ・・・・
<ひも>
老人ホストクラブに勤める74歳の男性・朗人。
そこで知り合った美容師の女性・江里子の元で今は家事をやりながら居候生活。
「ボケたら関係解消」
江里子の生き別れた娘だという女性が来る。母には会わずに明日から
ベトナムへ仕事(和裁を教える)で行くというので餞別に5万円を渡す。
江里子が帰宅し、美容院に朗人の生き別れた娘と言う人が来たよと。
可笑しな話だけれど、訪ねて来たのは誰だったんだ?
<グレーでいいじゃない>
ジャズピアニスト・トニー漆原(60歳)の葬儀で90歳の母親が
バッハのG線上のアリアを演奏している。
葬儀のあと、その母親と話をする仕事仲間だったサックス商社の紀和(35歳)。
ジャズ方面に行った息子を許せなかったのだと。
人生グレーでいいいんじゃないと生前、トニー漆原から言われた紀和。
90歳の母親も今は息子を認めているんだなとちょっとジ~ンとした。
<らっきょうとクロッカス>
裁判所職員の青田芙美(50歳)。
東京から札幌と職場を変えて、その場でそれなりに評価されてきたと
思っていたが今度、釧路に転勤。
何か失敗したのか?と自問。
男に振り回されて死んだ母親を反面教師に、叔母(母の妹)の元で厳しく
「マイナスからまっとうになるのは常に百点を取り続けなければ」と
言われて育つ。
職場が変ったのを機にもっと楽に生きれればいいのになぁ~
らっきょうの甘酢漬けが美味しく作れたり、おせち料理もちゃんと
作れるっていうのも尊敬。
新しい場所の大家さん夫婦とか、弁護士の竹下(60歳すぎ)との
人間関係もいいかんじ
<情熱>
表題作は一番最後。
40歳から作家活動を本格的に始めた島村。
講演依頼が博多であり
妻の知り合いでもある大学教授の内田夏海(還暦前)が自身も仕事で
博多に行くのでよかったら案内しますよと。
夏海は門司の出身らしい。
実は島村は密かに夏海を小説のモデルにしたいと考えている。
夏海が語る学生時代の思い出にいる男性が、なんだか素敵。
今は亡くなっているらしいけれど。。。
島村はそんな話を聞きながら、軽く嫉妬しているかんじで
ちょっと可愛い。
最後の小説家が
「北海道しか舞台にしない作家と言われているから、ちょっと反抗したい」と
言う言葉は、著者の桜木さん、そのものなかんじでクスッと笑えた。
そんなに印象に残る話たちじゃなかったけれど
軽く読めて楽しかった。
★★★
発行年月:2025年9月
騙し騙され、
知恵と欲の
丁々発止の果て
手にする物は?
天保の世。大坂の道具商の放蕩息子・「どら蔵」こと寅蔵(とらぞう)は、なまじ目利き自慢であるのが運の尽き、奉公先に大損害を与えてしまい、大坂にいられなくなりました。旅に出て辿り着きたるは、知恵と欲が渦巻く江戸の骨董商の世界。手練れたちに揉まれながらも大奮闘! できればよいのですが。そううまくは運ばないのが世の常、人の常。お宝を巡って時に騙され、時に勝負をかけ、時々情に流され――。丁々発止の果て、どらちゃんは「真物(ほんもの)」の目利きになれるのか?
魅力的なお宝そして登場人物(キャラクター)がてんこ盛り!
読み終えるのがもったいなくなるエンターテインメント時代小説!
(講談社HPより)
大阪の骨董所・龍仙堂の別家・松仙堂の長男・寅蔵(18歳)が道具商として
多くの体験を経て成長していく物語。
元々は病死した母が道具商の娘として目利きで父親は手代だったが
母の父が逝去した際、二人は夫婦となり松仙堂を継いだ。
そして母親から小さい頃より、寅蔵は目利きの多くを学び、実際かなりの
目利きとして成長していた。
けれど。。。。それが原因で奉公先で失敗して父親から叱られ、家を出て
江戸へ向かう。
亡くなった母親の妹・叔母の静江が江戸までの路銀を用意してくれる。
寅蔵が出会う人たちが皆、面白くて良い人たち。
最初に叔母の夫から途中の御遣いを頼まれ酒問屋へ。
そこの主から御遣いの駄賃だと小壺(古い丹波)を貰う。
みみずく法師と名付け
旅のお供に大事に持ち歩くが、途中で割れてしまう。
そして、それを直してくれた道具商・白浪屋の権兵衛親分。
行くところがないなら・・・とそこで寝泊まりし、道具商の手伝い。
娘のれんや陶工の金助、末吉とも親しくなる。
そうやって、色々な人の縁を繋ぎながら道具商として逞しく成長
していく寅蔵の姿は読んでいて楽しい。
権兵衛親分のところから、次に寅蔵を預かる温古堂の田畑液斎。
町人学者でもいある人物。
寅蔵は師匠を尊敬しながらも結構、好き勝手喋り、それを鷹揚に受ける師匠。
寅蔵の持っていた古丹波(みみずく法師)を一度、割れたものと気づきながら
最初に寅蔵に会った際、寅蔵が気に入った伊万里の盃と交換してくれた。
その盃は芝居を観に連れて行ってもらったところで竹本桃之介(女性)が
見つけて欲しいと頼まれていたもの。
寅吉は、手紙商(いまでいうカタログ販売?)をやってみたいと思い付き
それに手を貸す鍋島貫太郎(23歳)。
許嫁がいるのだけど、自分には想い人が他にいると聞き、寅蔵が奔走したのも
面白かった。
相手にも他に想い人がいるとわかり、話し合いでめでたく解決。
貫太郎の想い人・さつきは10ほど年上で3人の子持ち。
それでも幸せそうなのはいい。
江戸でいろいろありながら成長していく寅蔵が、大阪で反乱(大塩平八郎の)
があり実家のことが心配だからとすべてを置いて大阪へ戻る。
師匠やほかの人たちから餞別の品を貰い・・・
実家が無事だったけれど、あちらこちら焼け跡だらけで、幼馴染のるうの
所で厄介に腹違いの弟・佐次郎と焼け跡を廻り品を拾ったりしながら
商売。
るうが蔵の中のものを売り捌いてOKというので
神社で道具商を集めての売り立て会を開くことに。
最後のその場面には江戸からも寅蔵が世話になった面々が来て賑やか。
まだまだ成長していく寅蔵を読んでみたいと思うほど
楽しい物語だったなぁ~。
★★★★★
(講談社HPより)
大阪の骨董所・龍仙堂の別家・松仙堂の長男・寅蔵(18歳)が道具商として
多くの体験を経て成長していく物語。
元々は病死した母が道具商の娘として目利きで父親は手代だったが
母の父が逝去した際、二人は夫婦となり松仙堂を継いだ。
そして母親から小さい頃より、寅蔵は目利きの多くを学び、実際かなりの
目利きとして成長していた。
けれど。。。。それが原因で奉公先で失敗して父親から叱られ、家を出て
江戸へ向かう。
亡くなった母親の妹・叔母の静江が江戸までの路銀を用意してくれる。
寅蔵が出会う人たちが皆、面白くて良い人たち。
最初に叔母の夫から途中の御遣いを頼まれ酒問屋へ。
そこの主から御遣いの駄賃だと小壺(古い丹波)を貰う。
みみずく法師と名付け
旅のお供に大事に持ち歩くが、途中で割れてしまう。
そして、それを直してくれた道具商・白浪屋の権兵衛親分。
行くところがないなら・・・とそこで寝泊まりし、道具商の手伝い。
娘のれんや陶工の金助、末吉とも親しくなる。
そうやって、色々な人の縁を繋ぎながら道具商として逞しく成長
していく寅蔵の姿は読んでいて楽しい。
権兵衛親分のところから、次に寅蔵を預かる温古堂の田畑液斎。
町人学者でもいある人物。
寅蔵は師匠を尊敬しながらも結構、好き勝手喋り、それを鷹揚に受ける師匠。
寅蔵の持っていた古丹波(みみずく法師)を一度、割れたものと気づきながら
最初に寅蔵に会った際、寅蔵が気に入った伊万里の盃と交換してくれた。
その盃は芝居を観に連れて行ってもらったところで竹本桃之介(女性)が
見つけて欲しいと頼まれていたもの。
寅吉は、手紙商(いまでいうカタログ販売?)をやってみたいと思い付き
それに手を貸す鍋島貫太郎(23歳)。
許嫁がいるのだけど、自分には想い人が他にいると聞き、寅蔵が奔走したのも
面白かった。
相手にも他に想い人がいるとわかり、話し合いでめでたく解決。
貫太郎の想い人・さつきは10ほど年上で3人の子持ち。
それでも幸せそうなのはいい。
江戸でいろいろありながら成長していく寅蔵が、大阪で反乱(大塩平八郎の)
があり実家のことが心配だからとすべてを置いて大阪へ戻る。
師匠やほかの人たちから餞別の品を貰い・・・
実家が無事だったけれど、あちらこちら焼け跡だらけで、幼馴染のるうの
所で厄介に腹違いの弟・佐次郎と焼け跡を廻り品を拾ったりしながら
商売。
るうが蔵の中のものを売り捌いてOKというので
神社で道具商を集めての売り立て会を開くことに。
最後のその場面には江戸からも寅蔵が世話になった面々が来て賑やか。
まだまだ成長していく寅蔵を読んでみたいと思うほど
楽しい物語だったなぁ~。
★★★★★
発行年月:2025年8月
高永家の子供たちは四兄妹。中学の新米教師で正義感の強い長男、いわゆる美容男子である高三の次男、スカートを穿いて進学校に通う高一の三男、いちばん如才なく兄たちのことを観察している中二の末娘たちだ。父親は再婚しているけれど、離婚した「ママ」も気ままに子供たちに会いに来る。そんなフクザツな家庭で過ごす四兄妹が夏休みを経て、新学期の「9月1日」を迎えるまでを描いた青春家族小説。9月1日、それは学校に通う子どもたちにとって、とても大きな意味をもつ日――。
(双葉社HPより)
9月1日・・・新学期が始まる日。
全国で18歳以下の一番自殺者の多い日。
高永家の四兄弟妹。
それぞれの章で、彼らの悩みなどが明かされる。
<第一章 智親>
高校3年生。
メイクには興味なしだけれど、自身の肌荒れを何とかしたいという
思いから美容男子に。放課後は、隣のクラスの西野かの子と化粧品の開拓の
ため西大久保へ。かの子はリスカの痕を繰り返している。
LINEで9月1日は学校終わったらそのまま新大久保直行な、約束!
9月1日の朝、駅で待ってるから
<第二章 民>
中学2年生。
明るくムードメーカーな自分と思っていたら
女子バスケ部の中で孤立してしまう。
告白されて付き合うことになり、一緒に海に遊びに行った時、彼が撮った
写真が何故か、出回り、民に対しての意地悪な発言がたくさん。
面倒なことになったからと彼からは一方的に別れようと。
<第三章 善羽>
中学校教師。1年2組担当。担当科目は社会科。
夏休み中も学校で仕事に追われる。
午前中は男子バレー部の顧問として指導。
自身はサッカーしか経験ないが、独学でなんとか指導。
市役所に就職した彼女とデートする時間もなくふられた。
もうすぐ新学期だが、三年生の女子生徒が自死したと連絡あり。
バレー部にその弟(中1)祐介がいる。
祐介が心配で仕方ない。
<第四章 武蔵>
高校1年生。
県内でも偏差値の高さが1.2を争う学校に通っている。
制服はスラックスでもスカートでもOKなのでスカートで通っている。
男子でスカートは武蔵のみ。
なぜか、自分につきまとう高江洲太郎(S)と桜田あすか。
どんな時も二人は味方。
四人には、産みの親のママ。
父親の再婚相手の玲子。
ママがいなくなってから育ててくれた父方の祖母・おかーさん。
三人の母親がいる。
ママがどうして家を出て行ったのか?よくわからないのだけど
三人がそれぞれ、子どもたちのことを気にかけ愛情を持って
接している。
そして三人は定期的に会ってお喋りしている。
父親の影だけ薄い家族だけれど、いいかんじ。
それぞれ、悩みはあっても、自分のことを大切に想っている家族や
友人がいれば、なんとかなる・・・・と思わせてくれる物語。
★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪
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★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
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