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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2024年11月


「隣に座るって、運命よ」ずっとここにいたくなる、不思議系ラブストーリー
「隣に座るって、運命よ」
文豪ひしめく坂だらけの町の、不思議な恋の話。
大学進学を機に富山県から上京した、坂中真智は、おばあちゃんの親友・志桜里さんの家に居候することになった。
坂の中にある町――小日向に住み、あらゆる「坂」に精通する志桜里さん。書棚には「小日向コーナー」まであり、延々と坂について聞かされる日々が始まった。
ある日、同級生の誘いで文学サークルに顔を出すことになったが、集合先のアパートは無人で、ちょっと好みのルックスをした男の子が一人やってくる。
一緒に帰ることになった真智に、彼は横光利一の『機械・春は馬車に乗って』を「先生の本」といって渡して来、米川正夫、岸田國士、小林秀雄がいまも教鞭をとっているかのような口ぶりで……
ひょっとして、この人、昭和初期から来た幽霊なのでは?
江戸川乱歩『D坂の殺人事件』の別解(⁉)、
遠藤周作『沈黙』の切支丹屋敷に埋まる骨が語ること、
安部公房『鞄』を再現する男との邂逅、
夏目漱石『こころ』みたいな三角関係……
風変わりな人たちと、書物がいろどる
ガール・ミーツ・幽霊譚
目次
フェノロサの妻
隣に座るという運命について
月下氷人
切支丹屋敷から出た骨
シスターフッドと鼠坂
坂の中のまち


                     (文藝春秋HPより)


読みながら、「あれ?この話、読んだことある!」と気づく。
そうそう!前に読んだアンソロジー「いつかアジアの街角で」に登場した
真智の話なんだ!
もっと続きが読みたいと思っていたから嬉しかった♪

富山の実家から東京の大学進学のために上京し、祖母の親友だという
志桜里さん(72~73歳)の家に下宿する坂中真智。

大学の講義でとなりに座った「よしんば」と仲良くなり
誘われた文芸サークルの参加することになり、出かけた先で知り合った別の大学の
永福颯太。母親が台湾人で小学校までは台湾で暮らしていたという。

最初の出会いから、なんだか楽しいふたり。

二人の物語が続いていて嬉しい。

志桜里さんが実は本当の祖母だという事実。
真智の母親・珠緒は志桜里の親友・澄江に実の娘を育てて貰うことになった
のだけど、その経緯とか、なかなか凄い話だった。
でも、そうしたことが正解だったんだと感じた。

東京の下宿先は小日向。
周りには、坂が多く、文豪たちも沢山、住んでいたという。

颯太と一緒に謎のおじさんの行きたいという場所まで案内する場面は
ちょっと面白かった。
あのおじさんは、何処に何の目的で行きたかったのか?
謎のまま。


エピローグでは大学卒業後の真智と颯太。
友達のよしんばと金子泉。
それぞれ自分たちの進む道へ向かっていったんだな・・・・

真智と颯太のその後の話もまたいつか読めるといいな。


東京の地理に詳しかったら、もっと楽しめたんだろうな~。


中島さんの次の「小日向でお茶を」を図書館で予約中。
近いうちにそちらも読むのが楽しみ♪




                      ★★★★
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発行年月:2024年7月


「あんたは、俺から花をもらってくれるのか」犯罪者だと町で噂されていた老人が、孤独死した。部屋に残っていたのは、彼が手ずから咲かせた綺麗な《花》――。生前知り合っていた女子高生・安珠は、彼のことを調べるうちに、意外な過去を知ることになる。淡く、薄く、醜くも、尊い。様々な花から蘇る記憶――。これは、謎めいた老人が描く、愛おしい人生の物語。


                    (中央公論新社HPより)



高校1年生の安珠は、公園でいつもひとり絵を描いている老人・葛城 平(77歳)が
気になる。
親友である瀬尾奏斗との関係で悩み、付き合っている貴博とのことでも悩み・・・

公園であった平がある日、不自由な脚でひまわりを抱えている様子を見て
声をかけ、ひまわりを家まで自分が持って行ってあげる。
そして、優しそうなアパートの大家さん夫婦とも会う。
奏斗へのプレゼントとして買った、ひまわりのブローチは無残な形で返されて
しまい、それをみた平が直してあげると預かる。
そして平のひまわりの花を1つ貰う。


けれど、それが安珠と平の最後の会話となる。

平は、そのあと、部屋で亡くなっていたのを大家さん夫婦が見つけたと知る安珠。

何故か平のことが、もっと知りたくなり、祖母・悦子にも訪ねる。
同い年で昔からの知り合いという悦子。


そこから、平の過去の物語が明かされて・・・・
安珠と祖母・悦子との関係もただの知り合いではなく、お互いが惹かれ合った仲
だったとわかる。

なのに、別れることになった原因が、辛い・・・(/_;)。
二人は何も悪くないのに、お互いが一緒にいると、自分たちの罪を悔いてしまう。



ラストは、悦子と平の息子が、安珠の父で名前は「等」。
ああ、すごいいい名前。


平が生きている間に、皆で語り合える時間があればよかったのにな。。。。


でも平は素敵な物語と絵を遺してくれた。

切ないけれど、優しい物語だったな・・・。




                       ★★★★★



発行年月:2024年3月


作者・編者ともに不詳、ミステリアスでユーモアに溢れる日本最古の短篇物語集『
堤中納言物語』。
中島京子による名訳により生き生きと蘇る「可笑しみ」を堪能できる10篇を収録。


                       (河出書房新社HPより)




堤中納言物語というので、紫式部の曾祖父の物語かと勘違いしていた(^^ゞ

巻末の解題で陣野英則さんが
10編の物語をひとつに包んだという意味で実在する堤中納言のなまえに
結び付けて、この短編集のタイトルにしたのではないかという推察を
支持したいとある。

なるほどね~これを10篇にまとめた編者はなかなか、ユーモアのある人だなと
感心。
それが誰なのか?は未だわからないそうだけど・・・・


10篇のお話、それぞれが面白かった。
貴族たちのことを書いているのだけど、色々な意味で人間味があって・・・・
優美な世界で品行方正というわけではないのがいい。
クスッと笑えたり、微笑ましく感じたりと
中島さんの訳もいいんだろうな~とても読みやすかった。

表紙は、<虫好きのお姫様  原題:虫めづる姫君>
蝶がすきというのは、理解できるけれど、その幼虫である毛虫にも愛情たっぷり
「毛虫が思慮深そうにしている姿って、心打たれるわね」と。
手の平に乗せて可愛がり飽きずに見守っている。と

変わったお姫さまだけど、その純真な様子が微笑ましい。


もうひとつ微笑ましいな~と思ったのが
<貝合  原題:貝合>
のちの時代の貝合わせは、左右の貝を伏せたまま合わせる遊びだけれど
この平安時代の貝合わせは、左右それぞれが美しいものや、変わった紋様の貝を
出し合って競う遊び。
姫君に仕える幼い童たちが姫様のために勝つための貝を必死に探している様子を
そっとみている蔵人少将。そして陰ながら応援する様子が書かれていて、
童たちの様子も可愛らしく、それを応援する蔵人少将の優しさも微笑ましく
感じるお話ですきだな~。


NHKの「光る君へ」を見ていたので、頭のなかで物語を映像化しながら楽しめた。



                      ★★★★★



発行年月:2024年11月


直木賞作家・千早茜が紡ぐ、10の夜の物語。
人気イラストレーター・西淑による美しい挿絵とともに味わう、「眠れない夜」をテーマにした短編集。
「眠らなくてはと、まぶたを閉じる。けれど、目の奥にすこんとした空洞がある」。家族が寝静まった深夜、ひとり台所に佇む時間──第一夜「空洞」
「夜にあるのは、見えない恐ろしさではなく、見ようとしてしまう恐ろしさ」。美しい刺繡を生業とする「わたし」の暮らす土地に、ある日旅人が訪れて──第八夜「繡(うつく)しい夜」
「夜の底の黄金よ、君の寝顔は本当に変わらないから、こんな静かな晩は永遠に続く夜に閉じ込められてしまったような心持ちになるのだ」。眠り続ける「君」の呼吸に、傍らで耳をすます──第九夜「寝息」
……ほか、夜の世界へと誘う10篇を所収。


                     (平凡社HPより)




短いお話が10編。
それぞれ「眠れない夜は・・・・」の文からはじまる。


第二夜の森をさまようは現代人ならではの話で印象に残った。
眠れない夜、ネットのなかのいろいろなひとたちが吐く呪詛のような言葉を読んで
自分もそんなばけものになると言っている。
そして、あたしはあたしより不幸なばけものを見つけたいのかもと。

便利な世の中になったけれど、知りたくないこともいっぱい知れてしまうことで
自分自身がばけものになってしまうのは哀しいことだと思う。


好きだったのは第六夜 木守柿
家庭の事情で幼い頃、一時期を祖父母の家で過ごした女性のはなし。
庭の柿の実が沢山なり、近所にもおすそ分けをしたりして楽しむが
幾つかは残しておく。
鳥たちのため。そしてそれでも残った実は木守柿として、遠くから我が家を
見つける目印ともなった。

女性の今が幸せそうでよかった。


全体的に暗いかんじが多かったかな?
静かな夜の雰囲気には合っている。
絵も繊細なかんじで美しい。




                      ★★★★





発行年月:2024年9月


本を読み、人生を語る、みんなの大切な時間
本を読み、人生を語る。
人が生のままの姿になり言葉が溢れだす。
そんな幸福な時間をぎゅっと閉じ込めたい、という願いが込められた物語です。
小樽の古民家カフェ「喫茶シトロン」には今日も老人たちが集まる。
月に一度の読書会〈坂の途中で本を読む会〉は今年で20年目を迎える。
最年長92歳、最年少78歳、平均年齢85歳の超高齢読書サークル。
それぞれに人の話を聞かないから予定は決まらないし、連絡は一度だけで伝わることもない。
持病の一つや二つは当たり前で、毎月集まれていることが奇跡的でもある。
なぜ老人たちは読書会を目指すのか。
読みが語りを生み、語りが人生を照らし出す。
幸福な時間が溢れだす、傑作読書会小説。


                       (文藝春秋HPより)





叔母・美智留が経営していた喫茶シトロンを引き継いだ安田松生(28歳)。

そこでは定期的に老人たちの「本を読む会」が開かれる。
会は発足20年。

メンバーは
大槻克己(88歳)・・・会長で元人気アナウンサー
佐竹 均(86歳)・・・元中学教師
加藤竜子(82歳)・・・会計
三田桃子(86歳)・・・副会長、元中学教師、佐竹と同僚だったことあり
増田正枝(92歳)息子が交通事故死、息子は美智留と同年で親しかった。
増田晋平(78歳)・・・正枝の夫。妻の付き添いで入会


老人たちの読書会は、賑やか。
本を読むことより、集まってお喋りして持ち寄ったおやつを食べて・・・
こういう集まりは楽しそうでいいな。

でも正直、本の話よりお喋りが主だったりで、ちょっと退屈だったかも(^^ゞ

後半、20周年記念の公開読書会を開催することになり、その会場となる
私立小樽文芸館に勤務する井上紋(あや)が登場してから面白くなってきた。


正枝の亡くなった息子には、付き合っていた女性がいて、その女性との子が
井上紋ということがわかる。
そして、安田松生も幼い時に紋と遊んだ記憶があり・・・・

表紙の女の子は誰だろう?と最初から思って読んでいたので
それがわかってスッキリ!

こちらをメインにした話にしてほしかった。

でも、正枝さん、自分の血が繋がった孫ということにイマイチ、ピンときていない?
感動の御対面を予想していたけれど、ちょっと肩透かしなかんじだったな。



直木賞候補ということで、すごく期待して読んだせいか、
ちょっと「?」という感じがしないでもない。
まあ面白くは読んだけれど・・・




                    ★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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