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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2018年12月


アジア初のブッカー国際賞作家による奇蹟の傑作が文庫化。おくるみ、産着、雪、骨、灰、白く笑う、米と飯……。朝鮮半島とワルシャワの街をつなぐ65の物語が捧げる、はかなくも偉大な命への祈り。
ノーベル文学賞受賞!
生後すぐに亡くなった姉をめぐり、ホロコースト後に再建されたワルシャワの街と、
朝鮮半島の記憶が交差する。


                  (河出書房新社HPより)


ノーベル賞受賞作って、ちょっとよく理解できないなぁ~というものが
今まで多かったので、敬遠しがちがったんだけど、これは良かった!!
こういう文章はすき。
わかりやすい。
詩のように、白いものたち、ひとつひとつのことが短く描かれる。
そこにある情景などが自然と浮かんでくる。


表紙の写真にあるしろい産着は
産まれて2時間でこの世を去った、私の姉に母親が着せたものかな?と想像する
写真。
産まれてわずか2時間のことが映像をみるように頭にうかぶ。

そんな姉のことを「わたし」はずっと考えながら白いものたちのことを
語るかんじ。


著者が後ろの「作家の言葉」として書いたものを読むと、この本がどうやって
生まれたのかがわかる。
著者の本を翻訳していたポーランドの翻訳家がワルシャワに招待されたら
自分も行くと約束し、その地を訪れたときに、構想が浮かんだのだとか。


なるほど・・・ワルシャワの地でね・・・

静かだけど、何か強く心に響いてくる良い本だった。


著者の他の作品も読んでみたい。




                     ★★★★★


                    
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発行年月:1990年6月


ノーベル文学賞受賞作家の代表作 解説:村上春樹(ノーベル賞記念版のみ) 品格ある執事の道を追求し続けてきたスティーブンスは、短い旅に出た。美しい田園風景の道すがら様々な思い出がよぎる。長年仕えたダーリントン卿への敬慕、執事の鑑だった亡父、女中頭への淡い想い、二つの大戦の間に邸内で催された重要な外交会議の数々-――過ぎ去りし思い出は、輝きを増して胸のなかで生き続ける。 英国最高峰の文学賞、ブッカー賞受賞作


                     (中央公論社/発行)




主人公のスティーブンスの語りが上品で読んでいて優雅な気持ちになれる。

ダーリントンホールの前の主人・ダーリントン卿の思い出を自動車の旅を
しながら回顧する。
今の主人・フレディはアメリカ人。
そのフレディが5週間仕事で遠方に行くので休暇をとったらどうか?と
スティーブンスに勧める。
そしてスティーブンスは以前、共の働いたミス・ケントン(女中頭だった)から
少し前に何やら今の暮らしを憂いているような印象を受けたこともあり
彼女に会うことを旅の目的として出かける。


途中、親切な人たちに出会う、その人たちとの交流話は楽しかった。
そして思い出す、以前のダールントン・ホールのこと。
第一次世界大戦で敗戦国になったドイツのことや、その周辺のイギリス
フランスなどのこと、そしてアメリカ。
日本と離れたヨーロッパで起きていたことが少しわかる。

ダーリントン卿が品格ある主であったが、ヒットラーの企みに利用される
形になってしまったのが、なんとも切ない。
スティーブンスは、主のことを信じることが執事の務めと割っていたが
内心は心配もあっただろう。


旅の目的、ミス・ケントンとの再会は、スティーブンスの思い描いていた
ものと違うものになったけれど、それはそれで良かったんじゃないか?

離れていても元同僚としての親交が続くといいな。


いい物語だった。
イシグロ氏の物語は幾つか読んだけれど、今まで読んだ中で一番好き。



                     ★★★★★



発行年月:2025年1月


村山由佳が描く、業界震撼の〝作家〟小説!
「どうしても、直木賞が欲しい」
賞(prize)という栄誉を獰猛に追い求める作家・天羽カインの破壊的な情熱が迸る衝撃作!
♦あらすじ
天羽カインは憤怒の炎に燃えていた。本を出せばベストセラー、映像化作品多数、本屋大賞にも輝いた。それなのに、直木賞が獲れない。文壇から正当に評価されない。私の、何が駄目なの?
……何としてでも認めさせてやる。全身全霊を注ぎ込んで、絶対に。


                   (文藝春秋HPより)



本屋大賞も受賞し、本を出せば売れる作家・天羽カイン(天野佳代子)。
何度か直木賞候補に選ばれるが、未だに受賞はなく絶対に次こそ!と
思っている。
そんなカインの担当編集者のひとり緒沢千紘は、カインの気持ちに寄り添い
時には厳しいダメ出しをし、時には褒めてカインの相棒として
カインにとっては最も信頼する編集者になっていく。


作家と担当編集者の様子がわかり興味深かった。
相性が大事なのかもなぁ~。

気難しい作家という認識のカインが千紘には本音を出して語り弱音も吐き
心の拠り所になっている。
そんな作家と編集者の関係はいいな。理想的だなと思いながら読んでいたので
物語の結末は驚いた!


でも千紘のやってしまったことも、少しは理解できる。
絶対ダメなことなんだけど・・・

カインも許さないと言いながら(紙に書いたものだったけど)
そこには千紘の喜ぶものも添えてあり、それは今まで寄り添ってくれた感謝の
気持ちもあったんじゃないかな?

それが少し救いだった。
面白い物語でした!
直木賞受賞経験のある村山さんだから、書けるんだろうな。



                        ★★★★



発行年月:2025年4月


愛はここにある。
幸せはここにいる。
「これまでの私の人生を全部込めたと言い切れる作品を描きました」
――瀬尾まいこ
著者インタビュー
母親との関係に悩みながらも、一人娘のひかりを慈しみ育てる、シングルマザーの美空。
義弟で同性のことが好きな颯斗は、兄と美空が離婚した後も、何かと二人の世話を焼こうとするがーー。
「子育てをしながら自分が受けた恩を思い知って、親に感謝していくのだと思っていた。それが親になった途端、さっぱりわからなくなった。この日々のどこに恩を感じさせるべきところがあるのだろう」
(本文より)
本屋大賞受賞作『そして、バトンは渡された』、ベルリン国際映画祭フォーラム部門正式招待&日本アカデミー賞優秀作品賞原作『夜明けのすべて』など、人々のかけがえのない関係性を紡ぎ続けた瀬尾まいこが描く、あなたの小さな、でも確かな支えとなる感動の物語!



                     (水鈴社HPより)




温かいお話。
瀬尾さんの物語は、いつも安心して読めるからすき。


シングルマザーの美空(26歳)はパート勤めをしながら5歳のひかりと暮らしている。
夫の浮気癖に我慢できずに離婚。


夫の弟・颯斗(25歳)が毎週水曜日に、ひかりを保育園までお迎えに行き
そのまま一緒に帰って夕飯を作って待っていてくれる。
元夫とは雲泥の差の本当に良い人。
同性愛者で恋人の林田圭吾と暮らしている。
この林田圭吾も良い人。

他、パート先の宮崎さん(62歳)も同じ保育園に子ども(そら)を
通わせている三池里美(30歳)もみんなそれぞれ、人のことを思いやれる
いい人たち。

唯一、美空の母親が毒親。
美空のことを愛していないかんじで、自分の都合のいい時に訪ねて来て
愚痴を言って帰っていく。
そんな母親に対して強く拒否できない美空を叱る颯斗や里見。
それぞれが「クソバアアだ!」と憤慨するのが面白い。
美空が自分の気持ちを母親にキチンと言えたときはスカッとした。

こういう母親、いるんだな。
親になったらダメな人だけど、美空が言うように、一応、高校生までは
面倒みてくれたのは良かった。
最低限のことだけしたかんじだけど、その恩を子どもに返せと迫るのは
呆れる。


元夫の両親も良い人たちで、ひかりにとっては祖父母になるので
時々、訪問している関係もすてき。
ひかりは色々な人から愛情を注いでもらっているから、きっと幸せなまま
成長していけそう。

美空とひかりの二人の会話が、とてもいい。


読んでいて楽しかった♪



表紙の絵もいい。



                       ★★★★★



発行年月:2024年12月


沙羅は自分の誕生と引きかえに母親を失った。男手ひとつで育てられた彼女は作家を目指すようになり、新人賞を獲得、最初の作品はヒットするが、その後低迷が続き、あらたな作家としての可能性を探るため渡米する。リタイアメントホームのアルバイトでダニエルという老人と仲良くなった矢先、沙羅は、父親が危篤になった知らせを受け帰国する。
沙羅と彼女の描く作中作が、交互に描かれる構成。
作中作は、第一次世界大戦下で看護師として渡仏する椿イズミが主人公。
二つの物語は、いくつかのワードでつながっていく。

                   (偕成社HPより)



アメリカで小説を書きながら、介護施設でヘルパーとして働く伊藤沙羅。
編集者の助言で、次の小説は、従軍看護婦になった女性を主人公に
した物語を書こうと決める。

沙羅は入所者のダニエル(80歳過ぎ)から、親しみを持たれる。
ダニエルは気難しい気性だが、沙羅の声が亡き妻の声に似ていると言い
沙羅に対しては穏やかに接する。
そんなダニエルから妻の祖父(ノア)が婚約者(カメリア)に宛てたラブレターを貰う。
沙羅に持っていてほしいと。
そのラブレターには椿のような花の絵があった。

沙羅が書く、小説の主人公は椿イズミ。
ダニエルから貰ったラブレターも小説のヒントになっていく。
イズミが派遣されたのはフランス。
慣れない場所で、聞き馴染みのない言葉を理解しなくてはならないだけで
苦労の大きさがとてつもないものだと想像される。
イズミが看護した一人の兵士・ノアとのこと。
重傷を負い足は切断されるが、なんとか一命をとりとめたノア。
フィアンセの元に帰ることが唯一の希望だったのに、そのフィアンセから
別れの手紙が届き、絶望感で自殺を図る。
未遂に終わったけれど・・・

沙羅は日本に居る父親が事故で重傷を負い、意識が戻らない状態で
入院していると父の再婚者・和子からの報せを受け、帰国。
父とは仲たがいしたままだった。
和子とも会わずにずっと過ごして来たが、この機に沙羅自身の父に対する
わだかまりも溶けていったのは良かった。
父親も快方に向かいホッとする。



沙羅と作中作のイズミの物語。
二人それぞれの話に惹き込まれながら読んだ。


表紙の絵は、最初、「椿?」と思ったけれど、クリスマス・ローズなんだな。
よく似てる。
どちらも綺麗。




                     ★★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
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