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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2023年5月


手のひらの上に命の重さを感じて
チアチアチアリー……ぽぴぴぴぴぴ……
「ハーイ、元気にしてたか」
朝起きると日本から届いたばかりのメールをあけて読む。
アメリカ東海岸の朝の七時は、日本の午後八時だ。
わたしは、日本にいる大親友とメール文通しているのだ。
そして、わたしたちは「小鳥の会」を結成している。
主人公の少女は、サンクチュアリでアルバイトをしながら、
生きものの死と直面することで成長していく。


                 (小学館HPより)



千歌は、アメリカに母親と犬のポアロと住んで暮らしている。
両親は千歌が5歳のときに離婚して、父親は日本へ。
そしてその後、再婚して再婚相手の連れ子・絵里奈は千歌と同い年。
日本へ行き、初めて会った時から(小学2年生)すぐ仲良くなって
メールでやり取りをしている。
二人とも小鳥がすき。


チカとエリナの関係がとてもいい。
こんな風に両親が離婚しても子どもが離れている方の親に自由に会いに行けて
新しい家族とも仲良しなんて、理想的。


チカの暮らしている場所は、町はずれの森のなかで四季折々の小鳥のさえずりが
よく聞こえるばしょ。
小鳥がいろいろ登場するので、スマホ片手に検索しながら読んだ。
アメリカンロビン(日本語名はこまつぐみ)の卵がターコイズブルーだと
いうのは驚いた。
検索して画像をみて、ほんとうに綺麗なターコイズブルーで感動。

小鳥の雛は色々な動物から狙われていて、命を落とす雛も少なくないらしい。
飛べるようになったのに羽を広げたまま絶命していた小鳥を見つけたのは
ショック。


3か月の夏休みの1か月をサンクチュアリでボランティアというのもアメリカ
ならではかな?
野鳥の保護や野生動物たちの保護活動を手伝い色々学んでいくチカ。
読んでいても、結構、勉強になった。


愛犬のポアロとの別れはやはり哀しいけれど、最期のときを一緒に過ごせて
ポアロは幸せだっただろうな。



                      ★★★★
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発行年月:2022年4月


ヤングケアラーをテーマにした『with you』が夏の青少年読書感想文全国コンクールの課題図書に選定。坪田譲治文学賞作家・濱野京子がコロナ禍をテーマにした描き下ろし最新作。
6月。コロナの休校開けの生徒たちを待っていたのでは、「コロナに負けるな!」のメッセージと見事な黒板アート。こんなすごい絵、誰が描いたのか? 美術部2年の立花輝も興味津々。そんななか再開した学校は、今までと何もかも違う。みんなマスクをつけ、ソーシャルディスタンスに気をつける毎日。文化祭も運動会もなくなるらしい。なんとなく味気ない日々を送るうち、輝は新しいクラスメイトの貴理・絵実・堅人らとあるイベントをやることに──。
同じような経験をしたはずの全国の中学生に送る、コロナから「ふつう」をとりもどすための、輝たちがはじめたささやかな抵抗の物語!


                 (講談社HPより)



コロナ禍だけれど中学生の学校生活が、楽しそうなのは読んでいてストレスなく
よかった。

主人公の立花輝は、コロナ禍前からマスクをしていて、今は皆がマスクをしている
状況はかえって好都合。
なるほど・・・・こういう子もいるんだな。
暑い時期じゃなければ、顔半分が隠れるマスクって大人でも好都合なこと
多いかも。


中学二年の輝は、ちょっと内向的だけど、人と関わりたくないわけじゃなく
自分の意見もちゃんと言えるしいい子だな。
自分と似たようなかんじの藤枝貴理との距離が少しづつ縮まっていくかんじも
楽しい。

読み終えて表紙の表裏を広げると・・・・二人の様子かな?と想像できる絵で
にんまりししゃった(笑)



コロナ禍で合唱大会とかいろいろな行事がなくなって・・
そんななか輝の提案を具体的に貴理が提案書にして生徒会へ出して
開催された黒板アートコンクールは楽しそう。
実際、こういうのは流行っているのかな?
材料費もあまりかからず場所もとらず、片付けも簡単でいいな~。


最初に登場した謎の黒板アートを描いた人もわかって、すっきり。


濱野さんの小説は楽しいからすき。




                       ★★★★




発行年月:2024年11月


本屋大賞5年連続ノミネート! 今最注目の著者が踏み出す、新たなる一歩とは――。
 幸福度最高値の傑作小説!
 <STORY>
 ある3月の週末、SNS上で「人魚が逃げた」という言葉がトレンド入りした。どうやら「王子」と名乗る謎の青年が銀座の街をさまよい歩き、「僕の人魚が、いなくなってしまって……逃げたんだ。この場所に」と語っているらしい。彼の不可解な言動に、人々はだんだん興味を持ち始め――。
 そしてその「人魚騒動」の裏では、5人の男女が「人生の節目」を迎えていた。12歳年上の女性と交際中の元タレントの会社員、娘と買い物中の主婦、絵の蒐集にのめり込みすぎるあまり妻に離婚されたコレクター、文学賞の選考結果を待つ作家、高級クラブでママとして働くホステス。
 銀座を訪れた5人を待ち受ける意外な運命とは。そして「王子」は人魚と再会できるのか。そもそも人魚はいるのか、いないのか……。

                    (PHP研究所HPより)




1章から5章まで、銀座を舞台に繰り広げられる人間模様。


話の冒頭に登場するテレビの情報番組の突撃インタビューに答えた王子の
す逃げた人魚を探している。今日の夕方5時までに見つけないと・・・・という
言葉がSNSで拡散される。

そして最初の話は12歳差の男女、友治と理世。
理世が年上で友治は彼女に見合うようにと、かなり背伸びして本当の
自分を偽って接していたが、王子に偶然あって話すうち偽りの富や虚勢は
捨てて理世に向き合おうと決心する。


2章は娘と銀座に来た伊津子。
買い物のあとはミニチュア作家の田中達也のアート展へ。
その後、休憩しようと外を歩き、偶然、王子と話す。
自分には何もないと思っていた伊津子に娘の菜緒(20歳)が
毎日を毎日つくってくれてありがとうと言われる。


3章~4章もまあまあよかった。

5章は最初の話の理世の語り。
12歳年上の理世の方が、最初に友治に惹かれたんだ~!と
嬉しくなった。
二人はこの後、会ってどんな話をして、どうなるんだろう?と
想像するだけでワクワクする・・・^m^



ビックリだったのは、人魚を追う王子が現実の世界にもいて
お話<人魚姫>の世界から本当に飛び出てきた王子もいたというオチ。


ササッと読めて楽しかった♪

青山さんの本の表紙は今回もミニュチュア作家・田中達也さん。
物語のなかにも登場していたのがいいですね~。



                     ★★★



発行年月:2025年2月


『手始めに、有害な生物を駆除する。害虫、病原菌、草食動物、そして人間』
植物の「魔の手」から
逃れられるか!?
人類の命運を託されたのは、
ワーママ研究者と、その息子
震撼のパニックサスペンス!
スタートアップ企業・グリーンプラネットに勤める村岡野乃は、植物の「会話(コミュニケーション)」について研究している。コマツナは虫にかじられると毒を合成したり、SOSを出して虫の天敵を呼び寄せたりするなど、植物もほかの生物と同様、驚くべき知性を持っていることがわかってきた。ある日、農場の視察に訪れた企業の社員が、改良された大豆を食べて救急搬送される事件が発生。さらには、原因不明の山火事や、飢えて狂暴化した猿による襲撃、森を走る「謎の野人」の目撃情報など、奇怪な出来事が相次いでいた。野乃は一連の事件を「植物による反乱」ととらえ立ち向かおうとするが……?


                   (角川書店HPより)



最初は、のどかなかんじで始まった。
グリーンプラネットという会社の研究農場で働く研究員(助手)の村岡野乃。
社長・・・真室(元大学教授、植物神経生物学の第一人者)
石嶺・・・研究員(大学助教授と兼任)、植物語翻訳プログラムに関わる
三井・・・女性研究員


そして研究に使う森を無償に近い条件で提供している由井(70代後半)



森のなかを歩き、何か違和感を感じる野乃。
農園で育てている大豆を茹でて試食した者が体の異常を訴え救急搬送。
ユーカリの林から広がる山火事。
やたら攻撃的なカラス。

植物から発された言葉「ト・・・キ・・・オ・・・マ・・・テ・・・」
「地球に緑を」 「我らが緑の大地」



アカシアの木の樹液を舐め続ける由井は、アカシアに誘導されて異常行動。
社長の真室は襲われて命を落とす。

段々とハードになってきて、終盤は、野乃が逃げる逃げる。
1歳半の息子・イツキと共に・・・

もうハラハラドキドキが止まらない展開に・・・・
山のなかで祖父と生活して得た知恵が役立ちなんとか危機から逃れるのだけど
怖い怖い( ;∀;)


植物が意思を持って人間を攻撃してくるって、想像してなかった。
動物や昆虫をも操れる力を持っているって凄すぎ。


想像以上の面白さだった。




                     ★★★★




発行年月:2025年5月


大学の先輩後輩、江戸川乱歩と杉原千畝。まだ何者でもない青年だったが、夢だけはあった。希望と不安を抱え、浅草の猥雑な路地を歩き語り合い、それぞれの道へ別れていく……。若き横溝正史や巨頭松岡洋右と出会い、新しい歴史を作り、互いの人生が交差しつつ感動の最終章へ。「真の友人はあなただけでしたよ」──泣ける傑作。


                    (新潮社HPより)




江戸川乱歩(平井太郎)と杉原千畝。


大雑把な情報しか知らないので、前情報がなかったら、ノンフィクションか?と
思ったかも。

創作の世界でもがき苦しむ江戸川乱歩と戦時下のなか外交官として、日々
奮闘する杉原千畝。


もがき苦しむ背景は違うため、二人は仲違いする時期がある。
しかし、それぞれが折に触れて思い出す。

戦後、再会したときは、再び友の顔に戻ったようでよかった。


それぞれの奥様が素晴らしい。

乱歩の妻・隆子は、元小学校教師。乱歩に最初から惹かれ、貧しい生活のときも
明るく振舞い、しっかり者なかんじ


千畝は最初はロシア人のクラウディアを妻に。
しかし、ソ連の日本大使館にという話になり、ソ連にとって敵対するロシア人妻の
存在は千畝にとってもクラウディアにとっても危険なこと。
クラウディア自身もそれはよくわかっており、二人は離婚。
二番目の妻は外務省に出入りしていた保険会社の男の妹・幸子。
小説家になろうとしていたといい、音楽や演劇の知識が豊富で快活さにも
惹かれる。
幸子も千畝の仕事をよく理解している。

リトアニア在職中には、ビザを求めるユダヤ人が押し寄せ
その時も幸子の言葉が千畝の背中を押した。


戦後、その時、ビザが発行されたおかげで助かったという人の声は嬉しい。

時代背景と二人の生き様がうまく描かれていて、面白かった。


直木賞候補の1つだったのに、今回は該当者なしという残念な結果。
直木賞、あげてもいい作品だと個人的には思ったんだけどな~。


他の作品も読んでみようかな。



                      ★★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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