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読んだ本の感想あれこれ。
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51K0TP34ARL__SL500_AA300_.jpg発行年月:2002年1月
 


樺太は半島か島か------。
極寒の地・樺太の探検に情熱を注ぐ松田伝次郎と間宮林蔵。
二人の苦難の行程と葛藤を描き、両者の人物像を活写する力作!

表題作のほか「東韃靼への海路」「遥かなる氷雪の島」を収録。

第25回歴史文学賞受賞作!
 
                                            (本の帯文より)



3つの話からなる書ですが
最初の話「北夷の海」と「東韃靼への海路」は、ひとつの話と言ってもいいかも。
当時、樺太が島なのか、地続きの半島なのかわからず、それを調べることが正しい地図を作るうえで必要なことだった。
松田伝次郎がその検分を託され、間宮林蔵は従者として同行する。
限られた時間で効率よく検分するために二つのル-トに分かれて進もうと言う伝次郎。
伝次郎の隊は西ル-ト。林蔵は東ル-トを行くことに。
自分のル-トの方が困難だと判断した林蔵は伝次郎より早く出発し、先に半島か島かを突き止めようとするが・・・・

3つめの話「遥かなる氷雪の島」は主人公が変わる。
主人公は近藤重蔵。
先の伝次郎や林蔵と同じように、国後(クナシリ)や択捉(エトロフ)島などの北方の探検をした人物。
晩年、息子の犯した罪の責任で幽閉の身となる。
そんな身で語る若き日の探検の苦労話。


よく知らなかった人たちですが、国のためにわが身を犠牲にしてまでも、国の行く末を思って困難に立ち向かい自分の意志を貫き通した精神力は凄いな~と感嘆する。
林蔵にも重蔵にもそんな姿をみて協力する人が現われる。
一生懸命、事を成し遂げようとする人には自然と大きな助けが集まってくるのかも?

あまり知られていないけれど(わたしが無知なだけかも?^^;)、凄いことを成し遂げた人たちの話でした。

歴史文学大賞受賞作品、ほかにも読んでみたくなった!

因みにこの書は先に読んだ同じく歴史文学大賞受賞の葉室作品「乾山晩秋」の巻末に
紹介があったので知りました。



 
★★★
 
 
PR
41qrIiAjzuL__SL500_AA300_.jpg発行年月:2012年8月


稀代のストーリーテラーが集めた「泣ける」話
冲方丁が出会った人々から集めた実話を元に創作した、
33話の「泣ける」ショートストーリー&エッセイ集。
2009年から3年間に亘る、
小説すばるでの人気連載を一冊に凝縮!


                     (集英社HPより)



ひとつひとつの話が結構、短いのでアッと読めていいです。
そしてどの話もちょっと泣ける。
実際にもらい泣きはしなかったけど・・・・・・^^;タイトルとしてはいいと思う。

33の話の中で結構、グッと来たのは・・・
「教師とTシャツ」
厳格な元教師の父親が内心では疎ましく、実家から離れて暮らす。
社会人になり父の意外な一面を知る話。
こういう不器用だけれど実は娘のことを思っている父親の姿って・・・ちょっと泣ける

「地球生まれのあなたへ」
天体観測が好きな妻が夫に贈ったのは、星に夫の名前をつけてのプレゼント。
星なんて興味ない夫だけど、妻は震災で亡くなって・・・・
妻の残したバ-スディカ-ドの言葉にグッと来た。

「先に行きます」
駅の掲示板に書かれた言葉。それと一緒に描かれた落書きは自殺を予告するものだった。
しかし、そこにどんどん他者が書き込みしていく。
何とかして一つの命を救いたいと思う人々の気持ちが温かくて泣ける。


ほかにも著者のあとがきの後に公募作品が幾つか載っていた。
それも結構、ジ~ンと来ました。




 
★★★
 
3685_1341446458.jpg   発行年月:2012年7月


   島の子どもたちと“ぐうたら先生”が織りなす
   感動の物語

   教師から疎外された喧嘩屋といじめにあう少女-------
   不幸を背負った2人は、ひたむきに幸せの道を探す。


                           (潮出版社HPより)


表題からしたら、のどかな島の学校の話かと思いますが・・・・
問題が山積みの学校が舞台でした。

東京の中学から伊豆諸島の離れ小島に赴任して来た教師・柏木真介。
娘の加奈子は中学1年生で真介が赴任した同じ学校の生徒になる。

真介が東京から赴任した経緯は、生徒への体罰が問題になったから。
しかし、その真相を知れば、真介ばかりを攻めるのは酷な状況である。
むしろ、教師らしい教師だと思う。

そして、赴任先の校長・岩崎も真介の東京で問題になった行動を擁護し、そのままの姿勢で、この学校を改革して欲しいと頼む。
すべての責任は校長である自分がもつという。

最初は、自ら「ぐうたら」と言い、生徒の行動に意見したりすることなく野放し状態だったが、校長の言葉や娘の「お父さんは悪くない」の言葉もあり、見過ごすわけには行かない状況にぶつかっていく。

喧嘩ばかりの不良のレッテルを貼られている東野。
親が島の有力者であることを盾に皆をまとめているいじめっ子の梨果。
梨果のいじめのタ-ゲットにされている律子。
母親がモンスタ-ペアレンツで授業妨害の常連者の小西。
学級委員長の坂崎。

真介と共に学校改革を目指す、養護教諭の真由子。

どうなることか?と思った問題だらけの学校が少しずつ真介の体当たりの対話で良い方向に向かう。

途中、東京で真介が体罰をすることになった生徒・林田の登場で、一騒動起きた時には、怒りが沸いてきた。
林田をけしかけた梨果にも同様。
こんな子どもたちが大人になったら、恐ろしいとも思った。

真介や岩崎校長が、子どもたちの間違った意識を真剣に正そうと自らの保身を一切捨てて臨む姿には感動した。
日本中の教師たちの意識がこういう風であって欲しいと思った。

巷でいろいろ問題になる教育現場がこういう意識で生徒に接する教師たちばかりだったら、哀しい事件も今よりずっと減ると思う。


読みながら、いろいろと考えさせられた。


★★★★★
515VN0OqWGL__SL500_AA300_.jpg発行年月:2012年5月

中国・台湾が領有権を主張する尖閣諸島。
中国が実力行使に出た時、日本は……。
政治的影響を睨みつつ展開される水面下での熾烈な駆け引き
と日中の軍事作戦の行方を、迫真の筆致で描く。


 
                   (中央公論新社HPより)



新聞の文芸コ-ナ-で見つけて図書館で借りました。
面白くて一気読み。

インパクトある表題。
正に今の日本の問題でもある尖閣諸島の領土問題。
それが、喪失しちゃうってこと??
どういう経緯でそうなるんだろう?と読み前からドキドキ。

水面下でジワジワと中国が尖閣奪還の作戦を遂行していく。
日本はそれに気づいてどうする??

そこに関わってくるアメリカ。
日米安保条約によって、日中間での武力抗争はない。
そして、表題の通り、尖閣は失われてしまう。

う~ん。
実際に、こんなことは起きないだろうと思うけれど・・・・いろいろ考えさせられたなぁ~。
日米安保条約って、ナンなんだ?とか。

この物語では中国が尖閣に上陸するけれど、無人島だから出来たこと。
だとしたら・・・日本はここを無人島にしておかなきゃいいじゃん。
なんて考え方が単純かな?
でも、そんなことできるならとっくにしてるだろうし・・・・・
それが出来ないのは何故なんだ?

そういえば、ちょっと前に石原都知事が尖閣諸島を買うと、その土地の地権者に申し出たというニュ-スがありました。
東京都が買う?とそのときは思ったけれど、このままじゃダメだという思いが強いからで
その行動力は凄いなと思った。


小説の背景が、日本の政治状況とか、この物語とドンピシャなので、凄いリアルに感じる部分もあった。
この物語のなかのように、強い姿勢で「ここは日本の領土だ!!」と態度で示すことが出来る人が国の政治を動かす人のなかに現われて欲しい!!



今後の尖閣諸島問題に、これからも注目していかなきゃ。

 

★★★★

 

 
41YxXGk8RrL__SX230_.jpg   発行年月:2011年7月 (文庫)


   家族とは何か。赦しとは何か。迫真のサスペンス巨編!



  深い喪失感を抱える少女・美緒。謎めいた過去を持つ老人・丈太郎。
  世代を超えた二人は互いに何かを見いだそうとした……。
  感動のサスペンス巨編。


                        (角川書店社HPより)




途中で・・・・「あれ?どこかで読んだかも?」と思ったら・・・・
2年くらい前に読んだ「七月のクリスマスカ-ド」を改題し、一部書き換えての文庫本でした^^;

でも、殆ど詳しいことを忘れていたので、再び楽しむことが出来ました。

物語は、始終重苦しいです。
けれど、そんな状況のなかでも必死でもがきながら頑張る主人公・美緒にはエ-ルを送りながら読みました。

物語は3部構成で、
第一部は、小学校時代の美緒。
ある日、突然、父親が自分と弟、母の元から去る場面から。
母は父親が出て行く前からアルコ-ル依存症。
そして、美緒の一番下の弟・穣が亡くなってから、家庭内の不和がより増していた。
小学生の美緒と弟の充は、母親の従姉妹の薫の元で暮らし始める。

第二部は、薫が営む店「ロ-ズ」の常連客である、元検事の永瀬丈太郎の話。
薫の紹介で、美緒と充も丈太郎に親しみを感じる。

丈太郎は、妻を病気で亡くし、一人娘の瑠璃は、幼いころ、誘拐されそのまま帰って来ない。
薫は瑠璃と幼稚園が同じで、瑠璃が連れ去られる場面を目撃していた。

第三部では、大人に成長した美緒が、瑠璃の誘拐事件の真実と、幼い弟・穣の死の真相を追究していく。

丈太郎も美緒も大切な家族を失い、そのほかに家族の行動のなかにも不審な何かを感じながら生きていた。
美緒は、まだ幼いうちからそんな状況のなかで、もがきながらいろいろな心の葛藤と闘って成長してきた。
そんな二人が偶然、知り合い、親子以上の年なのに、お互いの存在が生きるうえでの支えとなっていく部分は大きな救いであった。

物語は終盤に、いろいろな真実が明かされる。
真実を知って更に胸が痛くなる。
けれど、憎しみだけを持ち続けるのは、自分も辛くなる。
気持ちを赦しに変えることが出来たとき、自分も前に進めるということだろう。

丈太郎は、すべての真実を知ったうえで赦すことを選んだのか?と考えたら切なくなった。
美緒も丈太郎と同様に赦す努力をしようと決めたよう。
しかし、なかなか実際には難しいことかも。。。
う~ん。考えちゃうな~。
そうすることが正しいのか?


表題は、個人的には単行本として出た「七月のクリスマスカ-ド」の方が好きだな~。


★★★★
 
 
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