発行年月:2005年8月
どうやら本当のこととは、こういうことであるらしい
一番素敵な旅がある、おいしい料理がある
女の感性を描いて現代随一の作家が『水霊』のタイトルで新聞に連載した本当の「大河小説」
かおり 16歳、高校生。演劇部所属。“
幼なじみ”室田剛と“転校生”服部至の間で揺れる青春真っ只中。
詩子 49歳、小学校の栄養士。
地元の特産物を使った料理の「試食会」を主催。13年前に夫・昭彦と死別。
ひな 76歳、華道教師。39年前に夫・孝二郎と死別。
20歳の嫁入り以来、浮久町に住み、上げ舟を守る。
祖母はここに嫁ぎ、母はここから出たことがない そして、私は――
母娘3世代、本当の大河小説
(講談社HPより)
主にかおりの日常を描いているけれど、祖母のひな、母の詩子の思い出話も
それぞれ、良い。
木曽川と長良川の堤防に囲まれた地域に住んでいる。
過去にあった伊勢湾台風での水害の様子もひなや詩子の記憶として語られる。
かおりの家の梁に舟が吊るされている。
それを幼なじみの室田剛と横浜からの転校生・服部至が見に来て
ひながその話をする。
昔から水害が多かったその地では、舟を持っていたとか。
詩子の夫・昭彦は、ウナギを釣りにいき、転倒し、水死している。
哀しい出来事だけれど、父親が遺してくれた物語が宝物のかおり。
ちょっとそれは不思議な蛇の話だけれど
後で出てくるうなぎと通じるものがある。
かおりと室田剛と服部至の3人の関係が清々しくていいなぁ~。
ず~っとこのままの関係が続くといいけれど・・・。
3人の女性たちと関わる周りの人々が温かい。
昔からよく知っている者同士の気安さがいい。
表題の還流は、横浜から来た至が、町をあちらこちら散策して
治水タワーにのぼり見た川が流れる景色を見たとき
「川は海と山を結ぶ巨大な還流装置なんだと気づいた。別の言い方をすると
海と山を結ぶことができるのは川だけなんだ」と、かおりと剛に言う場面。
木曾三川をタワーからちょっと実際に見てみたくなった!
ウキィペディアで調べたら・・・・
愛知県一宮市に木曽川が見られるタワーがあるらしい。
138タワー(138はいちのみやを数字にしたとか)
愛知県出身の著者だから書けた物語かな?
★★★★★
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発行年月:2014年12月
「握っていなければならぬ貴重な手がふと離れてしまうとき、あたりにたちこめるとりとめのない時間は、甘美な苛酷さへとまがまがしく変容する。その一瞬に立ちあった者の心の乱れは、容易にはおさまるまい。『九年前の祈り』は傑作である。」─蓮實重彦氏絶賛!!幼い息子をつれて海辺の小さな集落に戻ってきたシングルマザーのさなえ。痛みと優しさが胸を衝く〈母と子〉の物語。
(講談社HPより)
2014年下半期の芥川賞受賞作ですね。
長編かな?と思って居たら・・・・4つのお話で・・・「あれ?短編集?」と
思いながら読み進むと、これはやはりひとつのお話なんじゃないかな?と
思えたちょっと不思議な構成の小説でした。
最初は、表題作の「九年前の祈り」
主人公の安藤きみえ(35歳)は、東京から実家のある大分県のとある海辺の集落に
息子の希敏(ケビン4歳)と共に帰ってくる。
元旦那は、カナダ人。
実家の母親から、元旦那と知り合ったキッカケになったカナダ旅行に一緒に行った
渡辺ミツ(みっちゃん姉)の息子が重い病気で入院中と聞く。
きみえには、忘れられない情景があり、それはカナダの教会でみっちゃん姉が
祈っていた姿。結構何かを長い時間かけて祈っていたその姿をきみえは今も
深く心に留めている。
ほかにも幾つか、みっちゃん姉の言葉を思い出す。
そんなみっちゃん姉の息子さんのお見舞いにケビンと共に出かける。
ケビンは時々、手が付けられないほどの癇癪を起こし周りの大人たちを困らせる。
次の話は<ウミガメの夜>
大学生たちが旅行中、浜辺で3人ウミガメの産卵を眺めている。
大分県は大学生のうちの一人の故郷。
一人は入院中の母親のことが心にあり、祖父とも以前、ウミガメの産卵を見にきた
ことを思い出す。
<お見舞い>
昔から憧れていた日高誠(マコ兄)。
東京の大学に進学し、卒業後、地元に戻り役所勤務をしていたけれど
10年前くらいから体調を崩し、その様子が気になる首藤寿哉(トシ)。
海辺に居た見知らぬ大学生3人が借りていたレンタカーが動かなくなったと
困っていると聞き、なかの一人が病気で入院中の母親の容態が悪くなったので
東京に戻らなきゃならないと聞き、車で空港まで送る。
兄によく虐められていたトシがちょっと虐めた、幼なじみが入院している
大学病院へ今度はマコ兄と一緒に見舞いに行こうと大学生たちを車に乗せながら
考えるトシ。
<悪の花>
千代子は、渡辺ミツの息子のことを思う。
ヘルパーとして働くミツの息子とは、老人たちが集まる、ふれあいサロンで知り合った。
自分の代わりに墓参りにも行ってくれて、そこに咲く繁茂する悪の花を取ってくれた。
ミツの息子が入院したと聞き、悪の花を取らせたのがいけなかったんじゃないか?と
申し訳なく思う。
読みながら、この話のこの人は、この話のこの人と同一人物?
などと考えながら読みました。
同じ集落の人たちの物語で、抱えている病がそれぞれの人たちを悩ませている。
けれど、九年前のミツの祈りは、それぞれの人たちを不思議な糸で結び
やがて、何かしら救いの手が差し伸べられる?
さなえの息子・ケビンもこの集落に呼び寄せられた?
救いの手に引き寄せられて?
なんて、勝手な自己解釈かな?
小野正嗣さんの本は、以前「マイクロバス」を読んで、何か暗く重い
けれど、不思議な魅力を感じ読み終えた後、余韻が残るような話だと記憶していますが
これも似たような印象でした。
ほかの本も読んでみよう!
★★★★
発行年月:2014年7月
「結婚おめでとう」虚ろな一言をなんとか書き終える。
サークルの同期が結婚するたびに行われるメッセージアルバム作りだ。
けれどカフェの店内に陣取る華やかな衣装に身を包んだ一団の中で、私は落ち着かない。だって、私は彩音から招待状をもらっていない。
他のみんなは式に呼ばれているのに、どうして私だけ……。
もうすぐ始まる、招かれていない結婚式に出席して、一体何をしようとしているのだろう――。(『届かない招待状』)
OL、ママ友、中高生……。さまざまな年代、立場の女性の友情に隠された想いを情感あふれる筆致で描ききる!
注目度ナンバーワンの新鋭が贈る連作ミステリ。
(東京創元社HPより)
短編集なのに、どれも内容が濃い!
凄いなぁ~、この作家さん!
<届かない招待状>
大学時代のサークルの親友の結婚式に自分だけ招待状が届かない。
悩みながら、招待状がないまま式に出席。
そして、その理由を知る。
<帰らない理由>
中学の同級生・くるみが交通事故死。
親友だった瑛子と、彼女の幼馴染で最近付き合い始めた僕が彼女の部屋に居る。
お互いがお互いを早く帰ればいいのに・・・・と思いながら。
<答えない子ども>
4歳の娘が描く絵を毎日、誉め写真に撮るのが日課。
ある日、アトリエ教室で知り合った、そうくんママの家を娘と訪ねる。
常々、そうくんママのガサツさが苦手だった。
家に帰ってきて娘の描いた絵がないことに気づき・・・
<願わない少女>
中学入学後に知り合った悠子は漫画家志望。
自分もそれに合わせるように漫画家志望と言ってしまうが、悠子は相談なく
漫画家の夢を捨てた。
<正しくない言葉>
老人ホームに夫婦で入居した澄江。
ある日、同じホームの親しい孝子の息子夫婦が何やら孝子のことを話しているのを
聞いてしまう。
どれも登場人物たちの心情が巧く表現されていて、ちょっと重苦しい状況も
最後は、丸く納まるという話たち。
特に最後の話は、これから迎える老年期を考えさせられたなぁ~。
ある程度、元気なうちに澄江夫婦のような選択をするのもいいか?とか
思ってしまった^^;
そこで、孝子みたいな友人が出来たら最高!
子どもに親として「年を取るのも悪くないわよ~」と示すことが出来る
親でずっと居られたら素敵だなとこの話を読んで思った。
★★★★★
発行年月:2012年8月
大切な人の命を奪われたとき、あなたはどんな償いを求めますか?
女子高生の不可解な転落死。あれは自殺だったのか、それとも――。
真相を求めて父親の戦いが始まった。
息もつかせぬスリリングな心理戦に一気読み必至!
(角川書店HPより)
女子高校生・安藤加奈が校舎から転落死。
自殺ではない。
誰かに落とされたのでもない。
でも、それを仕掛けたクラスメイト2名。
木場 咲と新海真帆。
加奈の父親・聡は、娘の死の原因を作った2人を探す。
咲は、優等生タイプで外見も人目を惹く。
真帆は、咲に憧れ咲のそばに居ることが自分の価値も高めてくれると思っている。
こういう子たちって、どこにもいそう。
と自分の学生時代を振り返り考えた。
加奈の父親の苦痛を考えると、起こした行動は理解できる。
でも結局、誰も救われていないような結末は、後味が悪い。
一気に読ませた力は、これがデビュー作としたら、凄いと思う。
後の作品も読んでみたくなった。
★★★
発行年月:2015年1月
サーカスに魅せられ、綱渡り師を目指す少年の冒険と生長。心躍る物語。
離ればなれになった両親とかつて一緒に見たサーカス。忘れられないその不思議な世界の一員になることを目指して入団した少年の前に現れる、自由で個性の強い人々。クラウン、ピエロ、ブランコ乗り、ジャグラー、そして美味しいお菓子やスープを作ってくれるコック。少年は少しずつ綱渡りを学んでゆく。新鮮な長編小説。
(新潮社HPより)
今までの著者の作品とは雰囲気が違ったけれど、こういうのも良いですね。
13歳の少年が、サーカス団の一員として成長していく物語。
ちょっと海外の児童書みたいでした。
サーカスの団員たちとの関わりが温かい。
最初は、両親に捨てられた少年の境遇に驚いたけれど、新しい場所で
素敵な大人たちと沢山、知り合い、サーカス団の皆が大家族のようでした。
小川さんの作品には、美味しい物が登場するのが常で、今回も
コックが作る美味しそうな物が登場。
少年がサーカスにデビューの芸名はソリャカ。
トマト味のちょっと酢っぱいスープの名前で、両親が居なくなったあと
面倒をみてくれたグランマがよく飲んでいたスープ。
表紙の絵も素敵です。
★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
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