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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2014年6月


 十六歳のときに美しい人生を穢され、心を閉ざした容姿端麗な女と、あらかじめ歪んだ人生の中で、すべてを手に入れようと藻掻く醜い女。過去の因縁に引き寄せられ再会したふたりの運命が、断末魔の叫びにも似た「不協和音」を奏ではじめるー。生きることは、こんなにも愚かしく美しい。話題の女性作家が描く、嘗てないほど愛おしい人間小説!

                     (幻冬舎HPより)




誰もが認める美少女・加村織江と、誰もがその容姿を蔑む・香村由羽。


物語は、31歳の作家・由羽(ゆう)が書いた本が映画化され、その記者会見に
臨む面々が並んだ場面から始まる。
俳優陣の中に醜女の由羽は、場違いだが、俳優の真島謙介は親しく接してくる。

由羽が書いた原作は、16歳の美少女がレイプされるというショッキングな出来事が
あるが、これは高校時代の織江に起きたこと。
そして、織江自身も自分の身に起きたことだと気づく。


由羽の織江に対する気持ちは何なんだろう?
憧れ?嫉妬?愛情?
醜い自分と美しい織江、見た目は違っても中身は同じと何故か思い込む怖さ。
中身が同じなんだから、自分こそが織江の唯一の理解者であると確信している。

怖い、怖い。
由羽の何もかもが怖い。


「ドミソラ」は、不調和音だそう。
ちぐはぐな二人なのに、大人になって、また出会ってしまう。
織江は由羽に嫌悪感しか抱いていないのに、何故か離れない。

気持ち悪い関係。

周りの男たちも気持ち悪い。

兎に角すべてが気持ち悪かった。

でも、途中放棄出来なくなってしまう、面白さ。

凄い作家さんだな・・・・。


こういう本は、評価が難しいな・・・^^;


                            ★★★
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発行年月:2014年7月


 真島圭太(29) 律儀で真面目、振り回され上手なモラリスト
繁田 樹 (33) 上昇志向が空回りする、女好きバツイチ研究者
仲杉幸彦(28) チャラい言動で自爆しがち、人なつっこい営業マン
斎木 匡 (30) 人の気持ちをはかるのが絶望的に不得意なイケメン

仲良くもなく、友だちでもない四人の青年。
ひょんなことから連れ立った旅先に、それぞれの人生の答えがあった!……のか?

                 (光文社HPより)




4つの章からなる連作集。

<敬語で旅する四人の男>の言葉通り、四人での会話はずっと敬語。
最初の話は、表題と同じで、四人が初めて知り合う話。

佐渡の居る母親に11年ぶりに会いに行くことに聞けた馬島圭太。
先輩の斉木が、一緒に行くよと言い、斉木と同じ大学出身の繁田、その繁田の
飲み友達である仲杉も佐渡行きに同行することになる。


11年ぶりに会った母と息子。
案外普通の再会で、これからは交流も頻繁にありそうなかんじ。


<犯人はヤス>
離婚した元妻と息子が暮らす京都に真島以外の3人で向かう。
元妻・花江は、実家で息子と共に暮らしていて、その実家というのが
地元の名士らしく、ちょっと気位が高い人たち。

空気を読まない斉木先輩の花江家族への言葉が痛快でした!
繁田と息子との関わりがこれからも続くといいなぁ~


<即戦クンの低空飛行>
住宅設備メーカー勤務の仲杉くんの仕事場での話。
前の話まででは、明るい好青年というキャラでしたが、一番大変そうな
状況でした!
職場では、上司に虐げられ、顧客には謝罪の日々。
恋人の詩織とのこともちょっと重たく感じていて、息が詰まるかんじ。

そんな精神的ピンチの仲杉のことを思いやる真島。
連休に仲杉が行きたいという鳥取砂丘に二人で向かう。

何故か、砂丘で斉木登場!しかもラクダに乗って・・・・^m^
シチュエーションを想像して大笑い。

仲杉くんの抱えていたもの、少し軽くなったのかなぁ~?
良い青年だから幸せになってほしい!!


<匡のとおり道>
人の感情を読むのが苦手で、変わり者扱いの斉木匡。
職場も特別枠入社ということで、周囲の評価も仕事の能力はあるけれど・・・・と
いうかんじ。
そんな斉木が惹かれたのは、会社内の掃除をしている望月アルエ。
掃除をしている所作の美しさに魅せられて声をかける。
アルエも斉木に好意を持つ。

斉木の亡き母が遺した「匡くんマニュアル」の存在に亡き母の思いが感じられた。
斉木を理解するには、なかなか大変そうだけど、アルエなら
斉木の本質を理解してうまく付き合っていけそう。


四人の男たちのそれぞれの物語としても面白かった♪
四人の話がもっと読みたい!!


                          ★★★★







発行年月:2013年11月


 清少納言は28歳にして帝の后・中宮定子に仕えることになる。内裏の雰囲気に馴染めずにいたが、定子に才能を認められていく。やがて藤原道長と定子一族との政争に巻き込まれ……。美しくも心震わす清少納言の生涯!

                       (角川書店HPより)




清少納言の語りで綴られる物語。

「枕草子」が誕生したいきさつがわかる物語。

春はあけぼの。
やうやう白くなりゆく山際、少しあかりて、紫だちたる雲の
細くたなびきたる。

冒頭の一文しか知りません・・・^^;


28歳で中宮定子の元に仕える清少納言だが、その前に2度結婚していたんですね~。
1度めの夫は、橘 則光。離縁後も宮中内では顔を合わせることもあり、互いに
妹兄と呼び合う仲となる。
2番目の夫・藤原信義と結婚後に参内出仕の話が来て迷うが夫の勧めもあって
出仕を決めている。が、やがて信義は病で亡くなってしまう。


清少納言の名前や、枕草子の誕生には、主人である中宮定子の功績が大きい。
この主従関係があっらからこそ、清少納言は誕生し、枕草子も生まれたと
この物語を読んで感じた。
それだけ、中宮定子の清少納言の才能を見出す力があったということですね~。

28歳の清少納言に対して、仕えた最初はまだ17歳の若さ。
昔の人は、考えることが大人だなぁ~。

煌びやかな宮中の様子が夢のように続けばよかったけれど、中宮定子の父・藤原道隆の
死後、権力争いにより宮中は混乱。
結果、父親の兄・藤原道長が権力を手に入れ
定子も一時は出家の真似事のような事態に追いやられ、権力争いに敗れた兄・伊周は
捕えられ追放されてしまう。

しかし、定子は運が良かった。
一条帝との子どもを産み一条帝の愛は失わずに済んだ。
窮地に立たされても毅然としている定子の姿が凛々しい。
そして、そんな定子をずっと慕い仕えた清少納言の姿も美しい。

枕草子には、女主人・定子に対する清少納言の思いが込められているのかな?


素敵な物語でした!


                           ★★★★



発行年月:2014年3月


 私の人生を動かしてくれるのは誰?

ミュージカル女優、つかさのファンクラブ「ファミリア」を束ねている美知代。大手化粧品会社で働いていると周りには言っているものの、実際は関連会社の事務に過ぎない彼女が優越感を覚えられるのは、ファンクラブの仕事でだけ。ある日、美知代の小学校時代のクラスメイトが「ファミリア」に加盟する。あっという間に注目を集めた彼女の登場によって、美知代の立場は危うくなっていく。美知代を脅かす彼女には、ある目的があった。
華やかなつかさに憧れを抱く、地味で冴えないむつ美。かつて夢組のスターとして人気を誇っていたが、最近は仕事のオファーが減る一方のつかさ。それぞれに不満を抱えた三人の人生が交差し、動き出す。
待っているだけではなにも変わらない。私の人生は私だけのもの。直木賞作家朝井リョウが、初めて社会人を主人公に描く野心作!

                    (講談社HPより)




3つの章から構成される連作物でした。

章ごとに主人公は変わりますが、かつて同じ学校で学んだ同級生だったり先輩後輩の
間柄だったりの彼女たちの物語。

<第1章 スペードの3>
主人公は、江崎美知代。
化粧品会社に勤務しながら、舞台女優の香北つかさのファンクラブを取り仕切る幹部組織の
リーダー的役目を務める。
小学校時代もクラスの学級委員としてリーダーシップを発揮していた。
ある日、ファンクラブに新規入会してきた、「アキ」。
彼女は小学校時代の同級生だった。「アキ」の出現により今までの自分の存在価値が
薄れていく危機感を抱く美知代。


<第2章 ハートの2>
主人公は明元むつ美。
小学校時代は目立たず、容姿も冴えないため友達と呼べる人が居なかった。
中学は出身小学校の同級生が誰も居ない中学に進学し、早々に親しくなった志津香の誘いで
演劇部に入部。
元々絵を描くのが得意だったので、美術班の一員として活躍する。


<第3章 ダイヤのエース>
主人公は36歳の女優・香北つかさ。
人気のピークは去ったが仕事はボチボチ。
ファンクラブもあり、ファンは大事にしている。
同期入団の沖乃原円が女優業から引退を最近、発表し、自身の今後についても悩む。



それぞれ主人公が変わり、前の話のなかの真実がほかの話で明かされたりと
なかなか面白い展開でした。
女性ならではの妬みやら計算を巧く描いていて、男性がここまで鋭い心理描写を
表現しているのは、凄いなぁ~と感心した。
ちょっと湊かなえっぽいかんじ?(笑)。


第1章で登場の転校生「尾上愛季」と「五十嵐壮太」の成人した現在も
知りたかったなぁ~。



                           ★★★★



発行年月:2006年5月

さわやかに のびやかに きらめいて

小澤征良 初の青春小説

――なんて深くて、なんて大きな夜だろう。立ち止まった私は、そのまま夜空をあおいだ。気をつけないと、そのまま宇宙の果てに吸い込まれてしまいそうで目眩がした。深い夜空の中で自分という輪郭があやふやになってゆく感覚が心地よかった。わたしは完全な自由を思い切り抱きしめてみる。――<本文より>

                     (講談社HPより)





指揮者の小澤征爾さんの長女ですね。

それは知っていましたが、本を読むのは初めて。
ご本人の経歴からして、なかなかハイセンスなかんじ。
物語もどこか高尚な雰囲気でした。

ある一組の男女の友情物語?
レナには6歳の時からの幼馴染・草野冬彦(通称:フーちゃん)がいる。
今はお互い、仕事を熱心にしている社会人。
二人の関係がいいなぁ~。
こんな恋愛感情抜きの男友達がいたら心強いよなぁ~。
でも恋人出来たら、この関係はどうなるんだろ??
なんて思いながら読みました。

二人が行きつけにしているバー「Far Away」のマスター舟木さんが良かった!
終盤、語る言葉は沁みました。


物語としては、淡々としていて大した感動はないけれど
言葉の選び方や、風景描写みたいなものが巧い作家さんだなぁ~と思いました。
初の青春小説とあるから、他はもう少し違ったかんじなのかな?
別の書を今度、読んでみようかな?


                          ★★★
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