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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2025年2月


多様な都市国家の思惑が交差する海峡地域。その盟主、一ノ谷には「高い塔の魔法使い」と呼ばれる老人タイキがいた。歳のころ六、七である孫娘マツリカは、早くに両親をなくし祖父のもとに身を寄せている。
ある日、タイキを中心に密談が開かれた。海を隔てた潜在的敵国・ニザマとの海戦に備えてのものだった。一方、マツリカは好物の海老饅頭の味が落ちたことを疑問に思い、その理由を解き明かそうとする。
国家の大計と幼女の我が儘が並行し、交錯していく……。

                    (講談社HPより)



続編が出たんだ~。

と思って読んだけれど、今まで読んだ話を過去に遡っての話だった。
マツリカは7歳くらい?
それでも十分な貫禄だったけど・・・。

マツリカのそばにいるハルカゼという住み込みの司書の女性が
マツリカの手話を理解し心も理解している様子に安心。
マツリカの考えを周りの者に理解して貰うのためには重要な存在。


マツリカの祖父・タイキは政治の中心人物。
海に囲まれた一の国をどう守るか?常に考え周りを動かす。


そんななか、小間使いが買って来た海老饅頭の味が落ちたことに疑問を感じた
マツリカは、そのわけを追求しようと動く。

海老饅頭の味が落ちたことから、そこに起きている事象を考えるなんて
7歳の子には、なかなか出来ない。
マツリカ凄いな。

マツリカの言葉を解せないイソキの存在もよかった。
心は通じているっていい。
「婆あ」と呼んで信頼しているんだな。


そしてマツリカは祖父・タイキのことも大好きなんだな。
往復書簡の自作自演は、可愛らしいし、ちょっと切なかったけど。



マツリカの周りの環境がどんなものなのかがよくわかった。
地名とか言い回しがちょっと難しい言葉で読むのに少し時間はかかったけれど
物語は面白かった。



                     ★★★
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発行年月:2020年2月


東京から深澤が転校してきて、何もかもおかしくなった。
壮多は怪我で「鹿踊り部」のメンバーを外され、幼馴染みの七夏は突然姿を消した。
そんな中、壮多は深澤と先輩の三人で宮沢賢治ゆかりの地を巡る自転車旅に出る。
花巻から早池峰山、種山高原と走り抜け、三陸を回り岩手山、八幡平へ。
僕たちの「答え」はその道の先に見つかるだろうか。
「青」のきらめきを一瞬の夏に描く傑作。

                  (新潮文庫HPより)



花巻農芸高校(架空らしい)地学部の部員たちの話。

先ずは部を立ち上げるところからのスタート。

発起人は、3年生・土木造園科の三井寺修平
東京から転校してきた2年生の深澤北斗
美術部と掛け持ちの2年生・佐倉七夏(なのか)
鹿踊り部を怪我で休部中の2年生・江口壮多
宮沢賢治を研究している1年生の川端文香

顧問は新任で国語教師の芳本。


夏休みに宮沢賢治の
イーハトーブはどこか?をテーマにゆかりの地を巡る調査へ。
参加は諸事情あり、三井寺、深澤、壮多の3名。

結構な距離で時間(2週間?)もかけての調査旅。
出会う大人たちに助けられながら、途中、結構、危ないことにもなりながら・・

深澤が転校してきた理由。
深澤が壮多に語る話は、びっくりする内容だった。
最初は深澤に嫌悪感すら感じていた壮多だったけれど、話を聞いて
旅を一緒にするうちに思いは大きく変わっていって
きっと、この二人は大人になっても友達としてお互いを大切に
思い合うんだろうな・・・・と。

そして七夏と深澤の関係も、気になったけれど(東京から来たのに七夏のことを
知っている様子だった)、そういうことだったのかと納得のわけがあった。


宮沢賢治の作品についてのことなども多く出てきた
「へ~」と思うことが多く、毎度ながら伊与原さんの書くものには
勉強になることが多い。


宮沢賢治の作品もまた読んでみたくなった。


この青ノ果テというタイトルもすごくいい。

今回も素敵なお話でした♪




                     ★★★★★




発行年月:2024年12月


「いじめ」問題に正面から切り込む、著者渾身の意欲作!
佐久間美保は小学生の息子・晴翔と夫の三人暮らし。ある日、晴翔が小学校のベランダから転落して骨折してしまう事件が発生する。
転落した理由を尋ねるも、晴翔はかたくなに口を閉ざしたまま。
もしかして、わが子はいじめを受けていたのではないか……? そう思った美保は独自に真相を探ろうとするが、自身も小学生時代にあるいじめを「目撃」しており……?
衝撃のラストに震撼する、「いじめ」問題に切り込む意欲作!


                    (角川書店HPより)




小学校5年生の息子が小学校のベランダから転落なんて連絡を貰ったら動揺する

のはわかる。
手術はしたが踵の骨折で入院後、リハビリをすれば日常生活に支障はないくらいに
回復すると言われホッとする。
が・・・誰のせい?
と最初から自分の息子・晴翔

事の真相が段々わかってくると、子どもたち一人一人は、その親にとっては
普通ないい子。
けれど学校という集団生活のなかで、ちょっとしたことが引き金になり
人を恨んだりすることは誰にでもあり得るだろうな。
クラスのなかでリーダー的に皆を誘導していくような存在の子が
ちょっと極端な正義感みたいなものを持っていたため、晴翔は精神的に
追い詰められていったのかな?

晴翔自身にもよくないことは、あったと思う。
学校であった出来事を逐一、報告する子はいないと思うし
外で我が子がどんなふうに人と接しているのかは、なかなかわからない。


そして、母親の美保自身にも小学校時代、クラスのリーダー的存在の
アケミに翻弄された過去があり、今でも苦い思い出。
美保自身も虐められた過去があり、二度とそうならないために
自分が標的にならないために行動し、結果的に虐めに加担したことに
なってしまった。


大人になって反省して謝りたいと思ったとしても、被害者側の傷は
深く、素直に赦せるものではないんだな。


子育て真っ最中の人が読むには、なかなかハードな内容だけど
そういう人こそ、読むべきなのか?


こういうの読むと学校の先生は、やはり凄く大変な仕事だと感じる。




                   ★★★





発行年月:2025年2月


生きているものは、みんなさみしいのです。
マッドガイド・ウォーターの冬。そこで暮らす小さないきものヤービたちは、春まで長い眠りにつきます。それは、彼らのご先祖と、「氷獣」とが交わした契約のためと言い伝えられています。ところがヤービは、友だちのナミハナアブの幼虫のことが気になり、眠れません。同じころ寄宿学校では、幽霊騒動が持ち上がり……。ヤービたちと人間それぞれに伝わる「ふしぎ」が、彼らを冒険へと誘います。「岸辺のヤービ」シリーズ、第三弾。

                   (福音館書店HPより)




第三弾は冬の季節。

ベック族のトリカ家族は冬の間は暖かい南の場所へ移動して暮らすため
暫くお別れ。モリバトの背中に乗って行ってしまう。
おわかれの合図に空からオオヒカリゴケを地上する
ヒカリゴケの光を地上でみるヤービたち。
そしてヤービの家族も冬眠へ。

でも1日だけ起きて<お日さまばんざいパーティー>をする
お日さまの光が一番小さくなる日、消えてなくならないようにお日さまを
力づけるためのパーティー。


ヤービたちが暮らす森の近くには寄宿学校と寮があり、その寮のなかも
生徒たちは親元などに帰り静か。
そんななか冬の嵐のような吹雪。
寮に残っている教師のウタドリさんは唯一、ヤービたちを知っている人間。
カンヌキさんは庭師。
ニレノキさんはクリーニングレディ。寮のあれこれを世話してくれる。
タンタンさんは料理人、奥さんのミンミさんと内戦の続く国からそこで
仕事をしていたニレノキさんと一緒に寮にやってきた。



ヤービたちの話と寮内の人間たちのお話が交錯しながら
人間の世界には戦争があって、それによって理不尽な環境に置かれた
人がいるということもお話のなかに出て来る。

ヤービとセジロが出会った幽霊のマシューさんに最後はお迎えが来て
よかった。


今度は春の物語かな?
トリカ家族が戻ってきて、また楽しい話が読めるかな?


挿絵の絵もかわいい。


過去のお話もまた読み返したくなる。



                       ★★★★★



発行年月:2025年2月


絵師の一念、憂き世を晴らす。
仏画、絵巻、浮世絵――美に魅了された人々の営みを描いた歴史小説集
六十路を越した老境の絵師・喜平治(宮川一笑)は、肉筆美人画の名手・菱川師宣の曾孫である姉弟と知り合う。絵描きを志す弟の伊平の面倒を見ることになった喜平治は、幼いながらも確かな筋の良さに感嘆するが、折しも町絵師の宮川一門と表絵師の狩野家の間で諍いが起きてしまい……。(表題作「しらゆきの果て」)
鎌倉、戦国、江戸、幕末
時代と歴史を超えて、
人々を狂わせ、神仏さえも惑わせる、
あらゆる「美」の真髄を描く5つの物語


                    (角川書店HPより)




5つのお話、どれも読みごたえがあった。
表題作は、ちょっと絵師の世界の派閥争いみたいなものが激しくて
恐ろしかったなぁ~。


<さくり姫>
絵師の詫間為久は、代々絵師の家の3男。
源頼朝が亡き父・義朝の菩提を弔う寺を建てその後御堂に壁画を描くよう
命じられ長兄の代理で寺へ。
そこで出会ったしゃくり(さくり)をする美しい女性。
それは頼朝の妹・有子だった



<紅牡丹>
9歳の苗は人質として松永久秀の城に。
同じように人質として暮らす3人の男子たちとも打ち解け
何不自由なく暮らすが、そのうちの一人は父親が裏切ったということで処刑。
もう一人は父親が良い働きをしたとして家に帰される。
そして一番年上の藤松は戦へ
東大寺に火か放たれ城は混乱。その隙に逃げることを決意する苗。
苗が大切に育てていた牡丹は苗に優しくしてくれた老僧・勝源が
引き継いで育てると。
老僧から聞いた焼けてしまった巨勢金岡(こせかなおか)という画人が
描いた極楽図の美しさ。


<輝ける絵巻>
左近中将の四辻季賢は歌会で知り合った豪商の宗蓮から
白河院の源氏絵巻を手に入れたというが
それは既に焼けてしまったとされている絵巻?



<しらゆきの果て>
亡き菱川師宣を師としている宮川長春。
長春の弟子・喜平治は師匠がずっと気になっいる師宣の息子のこと。
菱川の家は師宣亡き後、あっという間に落ちぶれ息子は筆を置いてその後は
行方がわからなくなってしまった。
が、ある日、その息子を長春の息子・長亀が見つける。

長春の師に対する想いはすごい。
そしてそんな長春を慕う喜平治もまた師を思い・・・

壮絶な話だった。
この時代の絵師の派閥争いみたいなものは命がけだったのか?




<烏羽玉の眸>
天子さまのご下命により寺を地元の村人たちによって壊されることが決まって
いる内山永久寺。
住職の亮珍は、200名の僧侶を集め、寺男・八太吉に用意させた鹿汁を皆に
振舞い、これを食べて寺から去れという。
そして亮珍は5年前に殺された絵師・岡田式部のことを思い出す。
寺が滅茶苦茶になる前に、その絵師。冷泉為恭の描いた画帖を持ち出してほしいと
八太吉に頼む。



どれも、そのまま長編でじっくり読みたいと思える内容だった。
知らない絵師の名前も出て来る。

一番好きだったのは<紅牡丹>
人質として出て行く娘・苗に母親が持たせた牡丹の苗。
その意味を教えてくれた老僧。
苗が無事に親元に帰り、牡丹の花を勝源が咲かせる未来があってほしい




                      ★★★★





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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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