発行年月:2007年4月
明治43年、朝日新聞に入社した漱石が職業作家として書いた第一作。
我意と虚栄をつらぬくために全てを犠牲にして悔ゆることを知らぬ女
藤尾に超俗の哲学者甲野、道義の人宗近らを配してこのヒロインの
自滅の悲劇を絢爛たる文体で描く。
(岩波文庫帯文より)
「吾輩は猫である」「坊ちゃん」「こころ」などは読んだ記憶があるけれど
漱石この作品はタイトルさえ、最近まで知らなかった(^^ゞ
虞美人草=ひなげし=ポピーのことらしい。
丈夫で繁殖力が強いので西洋では野草の部類とか。
この物語の中心にいる女性・甲野藤尾のイメージなのか?
最初は、なるほどその例え通りかも・・・と思って読んでいたけれど
最後は、あっけなく最期を迎えてしまった。
物語の登場人物たち、フルネームで出て来ず、読みながら相関図を作り
なるほど・・・ここは兄と妹か。。。と納得しそれが全てわかると
一層、面白くなっていった。
甲野欽吾27歳(哲学者)
甲野藤尾24歳(欽吾の妹)
謎の女と表されるのは海外赴任中に亡くなった欽吾の父親の後妻。
藤尾とは異母兄妹
宗近一28歳(藤尾に好意を抱く)
糸子22歳(一の妹、欽吾に好意を抱く)
小野清三27歳(藤尾と恋人関係)
井上孤堂(学生時代小野が京都にいたときの恩師でいずれ小野が娘と結婚してくれると
思っている)
井上小夜子(孤堂の娘、小野に好意を寄せている)
藤尾と小野は相思相愛なのだから、ここが普通に結ばれれば、何ら問題ないのだけど
小野は恩師の娘・小夜子とも会っていて、
小夜子も小野といずれかは結婚するものだと思っている。
そんな小夜子の気持ち、孤堂の気持ちを感じながら、はっきりさせないこと
が一番の原因で藤尾はそれを小野の友人・浅井によって小夜子という存在を
突然、突きつけられる。
そのショックで倒れ、命を落としてしまうのだけど
ここは驚いた。
「え?死んだ?」と。
ここで亡くなってしまったのは予想外だったけど
もう少し、うまくことを運べなかったんだろうか?
この後、小野は小夜子と何事もなく結婚?
それで幸せになれるものなのか????
唐突に終わってしまうので後は、色々想像しちゃう。
内容は、昭和の時代よくやっていた昼ドラみたいだけれど
漱石の書く文章が今の馴染みの文章と違うものなので高尚なものに
感じさせる。
なかなか面白かった。
★★★★
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発行年月:2023年1月
「好きでやってることだすけな、仲間っこが来てければ嬉しいよ」趣味もなく学校でも進路に迷っていた綾。でも「ひし形屋」で、より子先生に南部菱刺しを教わって、世界が一変した!?「魔女の菱刺し工房」母が認知症となり、接し方に悩む香織。より子先生と一緒に無心で刺している中、あるアイディアを思いつく。「ひょうたん」長らく引き籠もっていたより子の孫・亮平。より子は静かに亮平を見守っていたが……。「真麻の聴色」苦しい時、嬉しい時、そして誰かを想う時。布の目を数え、模様を作る――。青森の南部菱刺しをテーマに描く、手芸×再生の四篇
(中央公論新社HPより)
図書館の棚から手に取り、読んでみた。
凄くよかった。
この著者もお初だったけど、温かい物語だったなぁ~。
舞台は青森県の南部菱刺しの工房。
そこで教えているのが豊川より子。
年齢は・・・・80歳越え?
その工房で菱刺しをする
石田香織・・・母親が施設に入所していてせんべいやを今は引き継いでいる
田向井結菜・・・高校1年のときに菱刺しに出会う。
社会人になってから再会した同級生の伸司ともうすぐ結婚
武田綾・・・高校2年生。公民館に展示されていた菱刺しを見て興味を持ち
公民館職員の結菜から誘われて工房へ
賢吾・・・・綾の幼馴染。高校卒業後はヘアメイクの専門学校に進む目標。
綾と一緒に工房に出入りする
豊川亮平・・・より子の孫。
6年前、恋人を亡くし、失意のままひきこもりに近い生活。
それぞれのことも語られ、とくに亮平の過去はキツイものだった。
それを静かに見守り続ける祖母のより子。
最後は、亮平が指揮をとり、ひとつの作品を作りあげる。
きっと素敵なものが出来たんだろうなぁ~。
そして、より子さんは最期まで菱刺しのことを思っていたのかな?
より子さんの過去の話もなかなか感動。
優しくて強い女性だな。
★★★★
凄くよかった。
この著者もお初だったけど、温かい物語だったなぁ~。
舞台は青森県の南部菱刺しの工房。
そこで教えているのが豊川より子。
年齢は・・・・80歳越え?
その工房で菱刺しをする
石田香織・・・母親が施設に入所していてせんべいやを今は引き継いでいる
田向井結菜・・・高校1年のときに菱刺しに出会う。
社会人になってから再会した同級生の伸司ともうすぐ結婚
武田綾・・・高校2年生。公民館に展示されていた菱刺しを見て興味を持ち
公民館職員の結菜から誘われて工房へ
賢吾・・・・綾の幼馴染。高校卒業後はヘアメイクの専門学校に進む目標。
綾と一緒に工房に出入りする
豊川亮平・・・より子の孫。
6年前、恋人を亡くし、失意のままひきこもりに近い生活。
それぞれのことも語られ、とくに亮平の過去はキツイものだった。
それを静かに見守り続ける祖母のより子。
最後は、亮平が指揮をとり、ひとつの作品を作りあげる。
きっと素敵なものが出来たんだろうなぁ~。
そして、より子さんは最期まで菱刺しのことを思っていたのかな?
より子さんの過去の話もなかなか感動。
優しくて強い女性だな。
★★★★
発行年月:2024年9月
なんとかウミガメの卵を孵化させ、自力で育てようとする徳島の中学生の女の子。
老いた父親のために隕石を拾った場所を偽る北海道の身重の女性。
山口の島で、萩焼に絶妙な色味を出すという伝説の土を探す元カメラマンの男――。
人間の生をはるかに超える時の流れを見据えた、
科学だけが気づかせてくれる大切な未来。
きらめく全五篇
(新潮社HPより)
直木賞受賞作!!
納得の内容でした!!
5つのお話、それぞれが凄く良くて
おまけに知らないことが色々学べる内容。
全部、本当のことみたい。
一部は著者の創作だと、あとがきにあって、そうなんだぁ~と。
<夢化けの島>
地質を調査するために日本海の小さな島にきた大学の助教授・久保歩美と
陶芸のため島にある土を求めて来た三浦光平。
もう出会うべくして出会った二人じゃん!
でも恋愛話にまで発展したかどうかは・・・
<狼犬ダイアリー>
夜、獣の遠吠えを聞く。
大家の家の小学3年の拓巳は、オオカミだという。
数日前にオオカミらしい獣を見て、驚いた話をする。
その後、同じように遠吠えを聞いた者、オオカミにような獣をみたという
者が現れる。
動物病院の先生が語る狼の歴史。
昔、犬と狼の子どもが生まれたことがあったと。
<祈りの破片>
空き家になっている家の中から青白い光が時々、目撃される。
年配者たちはその光の色から原爆を想像し怖がる。
役場の職員・小寺はその家になかに警察官と一緒に入る。
家のなかには石像の顔の一部や建物の一部のような瓦礫が沢山。
そしてノートが5冊。持ち主は加賀谷昭一。
原爆投下後の何かを調べていたよう。
原爆について、まだまだ知らないことがいっぱいあるなと感じた。
長崎に原爆が落ちたのはキリシタンが多かったからなんて言われていたことも
あるとか・・・・なんて考え方をするんだろ・・・恐ろししい考え方。
<星隕つ駅逓>
北海道の各地で目撃された火球。
それが隕石を降らせたと捜索隊が来る。
偶然、隕石らしきものを見つける涼子。
涼子の父親は郵便局員として働き、もうすぐ定年を迎える。
そしてその郵便局は廃止される。
隕石は昔、見つかった場所の近くの郵便局の名前をつけていたと知り
拾った場所を偽るが・・・・
郵便局の歴史も語られ、なるほど・・・・駅逓と呼ばれる場所のなかに郵便局ができ
その後、郵便局だけが残ったとか。
「逓」の意味は次々に伝え送るの意味。
隕石からこんな風に話を広げて素敵な物語に仕上げる伊与原さん、凄い!!
この話が一番、好きだなぁ~。
最後は<藍を繋ぐ海>
ウミガメの孵化を毎年、管理しているところの近くで育った中学生の沙月。
ウミガメの卵を5個、持ち出し、自分で育て海に返そうとする。
沙月の気持ちもよくわかる。
ウミガメの放流とか時々、ニュースで見て「かわいいな」と思っていたけれど
それってウミガメにとっては迷惑なことなんだとか。
暗い海に放流してあげないと食べられてしまう確率があがってしまうそう。
どの話もよかった。
伊与原さんのまだ読んでいない本も読んでみよう。
★★★★★
発行年月:2024年5月
原生林で5歳のASD児が行方不明になった。1週間後無事に保護されるが「クマさんが助けてくれた」と語るのみで全容を把握できない。バッシングに遭う母のため義弟が懸命に調査し、4人の男女と一緒にいたことは判明するが空白の時間は完全に埋まらない。森での邂逅が導く未来とは。希望と再生に溢れた荻原ワールド真骨頂。
(新潮社HPより)
森で母親とはぐれ行方不明になった5歳児の真人。
一週間後に見つかるが衰弱した様子はなく、食べ物や飲み物を誰かに
貰っていた様子。
真人が過ごした森のなかでの1週間が明かされていく。
森のなかで出会った人物は・・・
松元美那・・・恋人を殺害し遺体を森の中に遺棄しているところで真人に会馬
寒そうな真人に自分のマフラーを巻いてあげる恐怖を紛らすため
歌っていた「もりのくまさん」を真人が歌い二人で歌う。
戸村拓馬・・・YouTubeチャン寝る「タクマのあくまで原始キャンプ」の撮影のため
森にきて、キャンプ中に真人に出会う。
キャンプ飯のカレーを与え、一緒に焚火で温まる。
拓馬のキャンプのお供、じゃがりこも一緒に
畠山理実・・・中学教師。人間関係に疲れ、自殺しようと森の中に入り真人と出会う。
寒そうにしていたのでマフラーを巻いてあげる。
その後も暫く一緒に行動。
谷島・・・・・ヤクザ。娘の心臓移植の金を組から盗み追われている。車を乗り捨て森に
逃げ込こみ、再び車に戻ると真人が寝ていた。
娘よりまだ小さい真人に持っていたクリームが挟まれたパンにバナナを
挟んで食べさせ、そのまま一緒に逃亡しようとするが追手に追いつかれ
真人だけなんとか逃がす。
みんな出会った真人に優しかった。
真人の母・岬と、義弟・冬也も真人を探し、後に助けてくれた人たちに会いにいき
感謝の言葉を伝える。
美那は逮捕されていたので拘置所に。
谷島はその後の行方がわからず、妻だったカイラと娘の莉里花の元へ。
しかし、SNSでは事情を知らず勝手な憶測で岬や冬也を誹謗中傷する言葉が並ぶ。
ユーチューバーの戸村拓馬の協力でその誹謗中傷を続ける二人を見つけ
身元を調べることに成功し、そこに書き込み削除を直訴しにいく。
一人は、真人の捜索に参加していた地元の自警団のひとり。
そしてもう一人は真人を助けた一人、畠山理実だった。
理実は一方的に岬が酷い母親だと決めつけ攻撃していた。
そして途中から理実を嫌う生徒の刈山心亜が理実に成りすまし投稿していたと
わかり心亜の家にも向かう。
そこには暴力団風の父親がいるのだけど、元ボクサーの岬がノックアウト!
これはスカッとした!
以来、理実は岬のファンになる・・・^m^
最初はどうなることかと思って読み始めた物語だったけれど面白かった。
ただヤクザの谷島が気になる。
娘の元にどうにかお金は届けられた様子だけど・・・
生き抜いて(元)妻子に再会してほしい。
ASDの真人も大変な1週間だったけれど、親切な大人たちに接し
色々なことを体験し、大きく成長した様子なのも良かった!
結構、厚い本だけれど、一気読み!
★★★★★
発行年月:2024年10月
傷口に、おいしいものがしみていく――つらい過去をもつ主人公が、
かけがえのない人たちと出逢い自らの心と体を取り戻していく。
(ポプラ社HPより)
変わった表題だなと思ったら男女2人の名前だった。
小鳥は母子家庭で育った。
母親は社会的には地位のある仕事で、経済的には恵まれており
小中一貫校に通っていた。
けれど、セックス依存症で、色々な男性が家にきて、小鳥がいるのに
平気で自分たちの寝室に呼んだり・・・
中学になると親友と呼べる美船(父親は医者)と仲良くなったが妊娠し
出産したがコーディネーターに生まれた男の子は渡したと話す。
いつか会いにいくんだと明るく語る美船だったけれど、自死してしまう。
やっと心を許せる友達が出来た小鳥だったのに。。。。
そして18歳のとき、父親だと名乗る小島さんから連絡を貰い
治らない病気でいずれ死を迎える状態だけれど、自分の介護をしてくれないか?と。
普通に考えたら知らない人からそんな連絡来ても断ると思うのだけど
小鳥には、それは今の生活から逃れるための唯一の方法だった。
実際、小島さんは紳士で小鳥にいろいろなことを教え、小鳥を養子にする
手続きも自分の死後のことも小鳥が不自由ないように万事整えて亡くなる。
それからの小鳥は小島さんが整えてくれた道を進み、かけがえのない人と
巡り合う。
後半は小鳥が幸せな道に進んでいくので、よかったけれど
小島さんと出会うまでの日々が地獄のようだったので読んでいて辛かった。
ひとつ前の「老人ホテル」の主人公は、貧困家庭に育ったのだけど
こちらは、違う。
廻りの目からも母子家庭だけれど比較的、裕福で特に問題のある家庭とは
思われていない状況。
ある意味、小鳥の方がキツイかも。
表紙の絵は、小鳥と理夢人。
二人がいつまでも幸せでありますように・・・・
★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
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